2017.05.17  2023.07.12|新規開業ノウハウ

店舗内を換気する理由と方法!換気設備の種類や費用、デザインも紹介

店舗内を換気する理由と方法!換気設備の種類や費用、デザインも紹介

本記事で、店舗に換気設備をデザインするポイントを解説します。店舗内を換気する理由と方法や機械換気設備の種類と費用などもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗内を換気する理由

店舗内を換気する理由

最初に店舗内を換気する理由をご紹介します。入店する顧客だけではなく、従業員や経費のためにも、店舗内の換気が必要です。換気の必要性を理解したうえで、店舗空間をデザインしましょう。

建築基準法により定められているから

まず建築基準法により定められているから、店舗内を換気しなくてはなりません。2003年7月の建築基準法改正によって、機械換気設備の設置が義務付けられています。

居室には換気のために換気設備(窓や開口部、換気ファンなど)を設け、換気設備の面積が居室の床面積に対して20分の1以上としなければなりません。

参考:e-Gov法令検索「建築基準法」28条2

上記法改正の目的は、主にホルムアルデヒドなどの化学物質によるシックハウス症候群を防ぐためです。原則として全ての建築物に、機械換気設備の設置が義務付けられています。

参考:国土交通省「シックハウス対策のための規制導入」

換気以外にも、店舗の内装に対する制限が設けられています。次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

ウィルスや汚染物質を除去するため

次にウィルスや汚染物質を除去するためにも、店舗内の換気が必要です。空気が換気されずに室内にこもると、ウィルスや汚染物質もこもったり、増殖したりしてしまいます。

ウィルスや汚染物質は、人体に悪影響をもたらす恐れがあります。特にコロナ禍においては、店舗内の換気が重要です。コロナ禍における店舗デザインの課題は他にもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

二酸化炭素の濃度を減らすため

さらに店舗内を換気することで、二酸化炭素の濃度を減らせます。店舗内の二酸化炭素が濃度が高まると、顧客や従業員の健康を害する恐れがあります。給排気のバランスを保ち、店舗内を快適な状態に保つことが必要です。

一般的に、外気には二酸化炭素が400ppm程度しか含まれていません。しかし店舗内の二酸化炭素濃度が1000ppm以上に上昇すると不快感や眠気を感じ、2000ppm以上になると頭痛や吐き気も感じます。

参考:ミッシェルジャパン「二酸化炭素(CO2)濃度と室内空気品質の関係, ROT21-01」

結露とカビを防止するため

なお店内の換気は、結露とカビを防止するためにも必要です。店舗内で暖房機器や調理器具などを使用すると水蒸気が発生するため、結露の原因となります。結露を放置すると、カビの発生が引き起こされてしまいます。

室内を換気することで水蒸気が蒸発されると、店内の結露やカビの発生を予防しやすくなります。換気以外にも内装の結露やカビを防止する方法があります。次の記事も併せてご覧ください。

店舗内を換気する方法

店舗内を換気する方法

店舗内を換気する理由を把握したうえで、具体的な換気方法を確認しましょう。換気には給気(室内に供給する空気)と排気(室外へ排出する空気)の流れが必要で、自然換気と機械換気の方法で行われます。

自然換気方式

自然換気は、ドアや窓などを開閉して室内外の温度差や風圧によって換気する方法です。対角線上にドアや窓を施工して、店舗内に空気の通り道を確保できます。自然換気のメリットは電気代がかからず、手軽に換気できる点です。

ただしデメリットは、外気の影響を受けて室内の温度が変化する点やほこり・虫が入る点などです。一般住宅では窓やドアを開けて空気を入れ替えますが、店舗では必ずしも窓やドアを開けて換気できるわけではありません。

例えばプライベートサロンにおいて換気のためにドアや窓を開けてしまうと、外気や騒音が入り、静かなリラックスムードが台無しになる恐れがあります。原則的に機械換気設備の設置が義務化されているので、完全に自然換気だけで営業することができません。

機械換気方式

機械換気方式は、機械設備(換気扇や送風ファンなど)を使用して給気と排気を行う方法です。次の3種類に分類されています。

第1種機械換気方式

機械換気第1種換気方式は、機械換気設備で給気も排気も行う方法です。給排気のバランスを調整することができ、店舗内の空気を快適な状態に保ちやすいです。仕事に集中したいオフィスビルなどにおすすめです。

しかし給排気の両方に機械換気設備を導入するコストがかかり、換気設備を稼働する電気代もかさんでしまいます。

第2種機械換気方式

機械換気第2種換気方式は、機械換気設備で給気して、排気口などから自然に排気する方法です。機械換気設備で外気を店舗内へ送り込み、店舗内の空気を店外へ押し出します。主にクリニックやサロンなどに適し、無菌室や手術室などに使用されます。

注意点は、排気率を下げない点です。排気口や窓を塞いでしまうと排気率が下がるため、給気率も下がる恐れがあります。

第3種機械換気方式

機械換気第3種換気方式は、給気口や窓などから自然に給気して、機械換気設備で排気する方法です。第1種換気方式より、導入コストも電気代も安く抑えられます。飲食店の厨房や店舗全般のトイレなどに適しています。

しかし給排気のバランスを一定に維持することが難しく、外気の影響を受けやすい点がデメリットです。冬場に扉や窓から冷気が入ると、店内の温度を一定に保ちにくく暖房機器の運転コストがかかります。給気のバランスが悪いと、従業員の作業率にも影響を与えます。

店舗に換気設備をデザインするポイント

店舗内を換気する方法を選んだら、店舗に換気設備をデザインしましょう。店舗内の給排気バランスを保ち快適な空間を保てるように、店舗に換気設備をデザインするポイントをご紹介します。

自然換気設備の位置と数

まず店内の各部屋に対して、自然換気設備の位置と数を決めましょう。機械換気設備と併せて、開口部の広いドア・窓をレイアウトすれば、換気効果を期待できます。空気の通り道をつくる必要がありますので、各部屋内の対角線上にドア・窓を2箇所以上レイアウトしてください。

ただしドア・窓により換気すると、店内の温度が外気の影響を受けます。建築基準法の定めからも、機械換気設備の設置が必要です。季節や時間帯によって、自然換気の頻度を決めましょう。

機械換気設備の位置と数

次に機械換気設備の位置と数も決めましょう。第1~3種機械換気によって、必要な機械換気設備の位置と数が異なります。営業時間中には、基本的に機械換気設備を稼働させておきましょう。

また機械換気設備の種類はさまざま(標準型とパイプ型、天井埋め込み型、レンジフード型)ですので、後ほど種類ごとの特徴をご紹介します。種類ごとに費用も異なりますので、予算内に必要な機械換気設備をデザインしましょう。

メンテナンスのしやすさ

またメンテナンスのしやすさも、店内に換気設備をデザインするポイントです。給気口や排気口のフィルターにホコリが付着したまま機械換気設備を稼働していると、ホコリやウィルスなどをまき散らして空気を汚してしまいます。

また飲食店の厨房やサロンの施術室の排気率が低いと、厨房機器から出る油や施術に使用される薬剤などを含んだ空気が排出されません。壁や床などに汚れが付きやすくなったり、顧客や従業員が不快感を感じたりしていまいます。床に油や薬剤が付着していると、転倒事故なども引き起こします。

そこで店舗内の換気率を保つために、換気設備を定期的にメンテナンスして清潔に保つ必要があります。フィルター交換や定期点検などをしやすい換気設備の種類や位置を検討しましょう。

換気機器や空調機器との併用

さらに店舗に換気設備をデザインする際には、換気機器や空調機器との併用も検討しましょう。具体的な換気機器として空気清浄機やサーキュレーターなどがあります。空気清浄機は、店内を舞うチリやウィルスを除去してくれます。サーキュレーターは窓の少ない部屋に空気の流れを作り、換気を手助けしてくれます。

また空調機器は、いわゆるエアコンです。換気機能を兼ね備えたエアコンなら、店内の温湿度管理と空気清浄を行うことができます。火災報知器から1.5m離れた場所に設置可能ですので、配管穴やコンセントの位置を検討しましょう。部屋の広さに合わせて適した空調設備が異なります。

換気機器や空調機器以外にも、店舗に必要な設備・機器・什器があります。例えば飲食店に必要な厨房設備・機器・什器については、次の記事をご覧ください。

機械換気設備の種類と費用

機械換気設備の種類と費用

店舗に換気設備をデザインするポイントを押さえたうえで、機械換気設備の種類と費用をご紹介します。一般家庭でも需要があるので、機械換気設備の種類と費用は幅広いです。専門業者に見積もりを取って、ご相談ください。

標準型

標準型の機械換気設備は、四角い本体にファンが付いている換気設備です。「換気扇」と聞いて思い浮かべる一般住宅で主流の機械換気設備になります。一般住宅のキッチン程度の厨房や施術室であれば、バランスよく給換気してくれます。

標準型換気扇の費用相場(本体価格と工事費用)は、1台1万~3万円程度です。ただし飲食店の厨房やサロンの施術室の広さや数に応じて、必要な換気扇の数が異なるのでご注意ください。

パイプ型

パイプ型の機械換気設備は、天井や壁に埋め込まれたパイプで吸排気します。天井埋め込み型のダクトより小型で、トイレなどの狭い部屋に適しています。

パイプ型換気扇の費用相場は、1台1万5千~3万5千円程度です。対人センサーやタイマーなどの高機能タイプもありますが、本体価格が跳ね上がって費用相場は5万~10万円程度になります。

天井埋め込み型

天井埋め込み型の機械換気設備は、天井に埋め込まれた四角い換気扇です。店外に面していない部屋に設置可能で、店外へ抜けるダクトを通して換気します。オフィスや店舗などが密集している建物でよく利用されます。

天井埋め込み型換気扇の費用相場は、1台2万~5万円程度です。既存の天井埋め込み型の換気扇が施工されている場合は、取り外して新しい換気扇を埋め込む必要があり、工事費用が高くなります。またサイズの異なる換気扇を天井に埋め込む場合は、天井を改装する費用もかかります。

なお換気設備を含めて店舗に天井をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

レンジフード型

レンジフード型の換気設備は、厨房の調理用コンロの上に施工される換気扇です。油汚れや故障のために、定期的な掃除やメンテナンスが必要になります。

レンジフードの費用相場はプロペラファンであれば1台4万~6万円程度で、シロッコファンであれば1台5万~8万円程度です。高機能タイプなら1台10万円以上するレンジフードも販売されていいます。

空調設備の種類

空調設備の種類

機械換気設備と併用したい空調設備の種類をご紹介します。住宅と比べると、店舗には間仕切りが少なく、比較的広い空間です。そのため業務用空調設備が使用されます。特に火が使用される厨房には、ダイニングフロアよりも高い空調能力が必要です。

天井埋め込みカセット型

天井埋め込みカセット型の空調設備は給気口と排気口が一体となっていて、天井に埋め込まれます。設備本体と室外機を配管で接続するだけですから、省スペースで施工可能です。設備本体から最大4方向に給気できるため、店内全体の温度をバランスよく調整しやすいです。

ダクト型

ダクト型の空調設備は給気口と排気口が独立しており、自由にレイアウトできます。設備本体から給気口までがダクト管で接続されています。

スポット的ではありますが、1台で何箇所かを同時に冷やしたり暖めたりできます。厨房や施術室の特定の場所に給気口を設置すると、限定的に快適さを保てます。

露出型

露出型の空調設備は天井や壁、床に設置できます。内装に埋め込み必要がなく、設置が比較的簡単です。内装デザインとのバランスを考慮して、設置場所を検討しましょう。

なお店舗に空調設備をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

排水設備も重要

排水設備も重要

店舗の経費削減や快適な空間を実現するためには、換気と空調だけではなく排水設備も重要です。一般的に排水は、機械設備の力ではなく、一定の勾配をつけた排水管によって流されます。店舗の床の下を通る排水管は、大元の排水管に接続されています。

トイレやシンクなどの排水管が大元の排水管から遠い場合には、一定の勾配をつけるために床の高さが必要です。床工事の金額が増えて天井が低くなってしまいますので、ご注意ください。

店舗内に適した換気設備をデザインしよう!

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店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の際は、ぜひご相談ください。また下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。

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監修者

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