2017.03.31 2020.08.05|新規開業ノウハウ
飲食店開業資金の適正価格は?内装工事に対する適正投資額の算出方法まとめ
店舗を開業するにあたり、多くの方が頭を悩ませるのは「お金」についてではないでしょうか?世の中にはスタイリッシュな店舗やゴージャスな店舗など幅広いデザインのお店が存在します。
お店を作り上げるには「工事」が必要です。その「工事」を行うには「お金」が必要です。「使う木材は全て無垢材!」、「○○のブランドの家具を使いたい」などお金を使おうと思えばいくらでも使えるのが店舗工事です。
大金を投資する決断をする前に一度考えてみてください。開業後の資金繰りに困らないためにも、内装工事に対する「適正投資額」を計算してみてはいかがでしょうか?
それでは内装工事に対する適正投資額の算出方法をご説明します。
なぜ必要?適正投資額を知ることの大切さ
新規で店舗を出店する際、数百万円から数千万円、中には億単位を投資している方もいます。
全て自己資金(貯金や系列店舗の売上)で賄えるのであれば問題は少ないですが、多くの方は、多少なりとも銀行からの融資を検討しているのではないでしょうか?
借り入れたお金は利子をつけて返済をしていかなくてはなりません。さらに店舗を運営していくには固定費(家賃、人件費、原料費)なども必要になってきます。
毎月の支払いに対する不安を少しでも和らげるために、初期投資の額は無理のない範囲で計画したいものです。
適正投資額の算出に必要な数字
続いては適正投資額を知るために必要な数字について説明していきます。
月間売上を予測する
月々の売上は店舗を運営していく中で、メインの収入源となってきます。この金額をどれだけ現実的な数値として試算できるかが大切です。
この数値の計算方法は物販店と飲食店で多少違いがあります。詳しい計算方法は後ほど詳しく説明します。
収益構造を整理する
この場合の収益構造とは「利益」のことです。利益を計算するためには「原価」と「維持管理費」の把握が必要となります。
原価はその業態で長く働いている方には把握しやすい数字かもしれません。
維持管理費には色々な物がありますが、例として「人件費」、「家賃」、「光熱費」や「消耗品購入代」が挙げられます。
この2つの項目が月々の収入の何%かを把握する事により利益の計算を行うことができます。
キャッシュフローとは?
キャッシュフローとは簡単に説明すると「現金の流れ」です。月々の収入から、支出を差し引いて手元にいくら残るかを表した数値です。
このキャッシュフローの金額からROI(リターン オン インベストメント)といった項目を求めることができます。ROIとは、投資した金額を何年掛けて回収するかのパーセンテージを示した数値です。
(例)
投資した金額を5年で回収したい=ROI 20%
投資した金額を3年で回収したい=ROI 33%
投資した金額を2年で回収したい=ROI 50%
このROIは、物件の契約年数も踏まえて考慮して決めましょう。
早く回収できると想定して高めのROIにして工事予算を組んでしまうと月々の返済が大変になってしまいます。
適正投資額の計算方法
それでは、上記で説明した数値を実際に計算して適正投資額を算出してみましょう。
物販店の適正投資額
(1)まずは月間の売上高を設定します。
「客単価×客数×営業日数=月間売上」
例:3,000円×50人×30日=4,500,000円
※客単価や客数は、立地条件や競合店の有無、店前の通行量などをもとに、現実的な数値を予測します。
(2)続いてキャッシュフローを算出します。
「月間売上×純利益(%)=月々のキャッシュフロー」
例:4,5000,000円×15%=675,000円/月
※純利益は、原価45%、維持管理費40%にて想定
(3)最後に年間のキャッシュフローを算出し、ROIを設定します。
「(月々のキャッシュフロー×12ヶ月)×ROI=適正投資額」
例:(675,000円×12ヶ月)×2年=16,200,000円
※商業施設などに出店した場合、2から3年での契約が多いため、例題はROIを2年で設定しています。
飲食店の適正投資額
(1)月の売上高を設定
「客単価×客席数×満席率×回転数×営業日数=月間売上」
例:3,000円×30席×70%×2回転×30日=3,780,000円
※例題はディナー営業のみの店舗を想定しています。
ランチ営業をする店舗の場合は、ランチとディナーで別々の月間売上を設定する方が、より正確に適正投資額を算出できます。
(2)キャッシュフローを算出
「月間売上×純利益(%)=月々のキャッシュフロー」
※ここは物販店と同じ計算になります。
例:3,780,000円×10%=378,000円/月
(3)年間キャッシュフローとROIの設定
「(月々のキャッシュフロー×12ヶ月)×ROI=適正投資額」
※ここも物販店と同じ計算になります。
例:(378,000円×12ヶ月)×3年=13,608,000円
※飲食店では不動産契約などの関係で、ROIを3年に設定する場合が多くみられます。
まとめ
ここでお伝えした計算方法で、内装工事に対する適正投資額が算出できます。この計算方法はデザイナーや設計士にとっても知っておくと良い内容です。
とにかくお金を出来るだけたくさん投資してもらうのではなく、営業していきやすい店舗作りの提案をすることも大切になってきます。
監修者
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IDEAL編集部
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