2019.06.20  2022.04.14|新規開業ノウハウ

内装工事の耐用年数はどれくらい?減価償却の考え方や計算方法も

内装工事の耐用年数はどれくらい?減価償却の考え方や計算方法も

「確定申告で経費を計上したいけど、減価償却ってなに?」「内装工事の耐用年数はどのくらいなの?」とお悩みではないでしょうか。内装工事の耐用年数は用途や構造によって細かく定められていて複雑ですが、理解できれば節税につながります。

そこで本記事では、内装工事の耐用年数と減価償却の考え方や計算方法を解説していきます。店舗の内装工事費用や確定申告書類の作成について知りたい方はぜひご覧ください。

耐用年数とは?

耐用年数とは?

耐用年数とは、所得税法や法人税法に定められた減価償却の配分期間です。耐用年数を納税者側が勝手に決めてよいわけではありません。もし納税者が勝手に減価償却費を配分できることになれば、度を越した節税につながってしまうからです。

店舗内装の耐用年数は、建物の構造や用途によって変わります。例えば木造・合成樹脂造なら22年、木造・モルタル造なら19年、厚さ4mmを超える金属造なら31年などと規定されています。

参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」

参考:e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」

減価償却とは?

減価償却とは?

減価償却とは、長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理です。所得税法や法人税法によって減価償却の計算方法が定められています。

減価償却の考え方

店舗経営者は税金を少しでも減らすために確定申告で必要経費を計上しますが、1年間に支出した経費を一度に計上すればよいわけではありません。数十年という長期に亘って、少しずつ必要経費を計上していく必要があります。

例えば内装工事に1000万円の費用がかかった場合に、毎年50万円の必要経費を20年間に亘って確定申告で計上していきます。内装工事費用などの高額な経費を一定期間に亘って分配する会計処理が、減価償却です。

減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。定額法と定率法のどちらで算出するかは、経費によって異なります。減価償却費は「取得価格×償却率」で算出できます。

定額法による計算方法

定額法は必要経費を単純に耐用年数で割って減価償却費を算出します。内装工事費用が1000万円で耐用年数が10年だとすれば、毎年の減価償却費は100万円(1000万円÷10年)になります。個人事業主の経費は基本的に定額法で算出することが、所得税法に定められています。

参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」

定率法による計算方法

定率法は初年度の減価償却費を高くして一定の割合で減らしていく減価償却費の算出方法です。簡略化して説明すると、内装工事費用として600万円を支出したら、1年目に300万円を、2年目に200万円を、3年目に100万円を計上します。

内装工事の耐用年数はどれくらい?

内装工事の耐用年数はどれくらい?

内装工事の耐用年数は、分類(「建物」「建物附属設備」「器具・設備」)によって変わります。

  • 建物は「建物の躯体」と「建物と一体となっている内装(壁や床など)」
  • 建物附属設備は電気・水道・ガスなどの建物に施工される設備
  • 器具・設備は電気機器や家具などの備品

それでは分類ごとの耐用年数をみていきましょう。

建物の耐用年数 

建物の耐用年数は、用途や構造ごとに所得税法と法人税法に定められています。例として店舗と飲食店、病院の耐用年数を下の表にまとめました。

建物の用途鉄骨鉄筋造
鉄筋コンクリート造
木造合成樹脂造木骨モルタル造
店舗39年22年20年
飲食店木造部分3割超え:34年
木造部分3割以下:41年
20年19年
病院39年17年15年

参考: e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」

耐用年数は「実際どのくらい耐久性があるか」ということではなく、資産価値を表す指標です。したがって「耐用年数までは建物の修繕が不要」というわけではありません。

所有物件に内装工事をした場合、上の耐用年数が「建物」に適用されます。賃貸物件の場合は、賃借期間もしくは合理的に見積もった耐用年数が適用されますので、後ほど詳しく解説します。

建物附属設備の耐用年数

建物附属設備の耐用年数は、建物とは別に定められています。所有物件でも賃貸物件でも一律に同じ耐用年数が適用されますので、下の表を参考にしてください。

建物附属設備の分類設備名耐用年数
電気・照明設備蓄電池電源設備6年
電気・照明設備他の設備15年
給排水・衛生・
ガス設備
全て15年
昇降機設備エレベーター17年
昇降機設備エスカレーター15年
冷暖房
ボイラー設備
冷暖房設備
※冷凍機の出力が二十二キロワット以下
13年
冷暖房
ボイラー設備
他の設備15年
参考: e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」

ただし例外として建物が木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の場合は、建物附属設備も「建物」として計上します。

参考:国税庁「第2節 建物附属設備」

国税庁の確定申告コーナーも参考にしながら、内装工事の明細書を見て建物附属設備に該当する設備を確認しましょう。判断の難しい場合は税務署や税理士に相談してください。

参考:国税庁「よくある質問 耐用年数(建物/建物附属設備)」

器具・設備の耐用年数

店舗の営業に利用する備品・什器・家具などは、「器具及び備品」に該当します。確定申告の際に「器具及び備品」の費用を経費として計上することができます。器具・設備ごとに定められていますので、主な耐用年数を見ていきましょう。

器具・設備の分類器具・設備名条件耐用年数
家具・電気機器
ガス機器・家庭用品
陳列棚・ケース冷凍機付
または冷蔵機付
6年
家具・電気機器
ガス機器・家庭用品
陳列棚・ケース8年
家具・電気機器
ガス機器・家庭用品
室内装飾品金属製15年
家具・電気機器
ガス機器・家庭用品
室内装飾品8年
理容・美容機器全て5年
医療機器消毒殺菌用機器4年
娯楽・スポーツ器具
興行・演劇用具
スポーツ具3年
参考: e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」
参考:国税庁「耐用年数(器具・備品)(その1)」

耐用年数を買い替えの目安にすることが、減価償却による節税のポイントです。上のどの備品・設備に該当するのかを判断できない場合には、税務署や税理士などへ相談しましょう。

所有物件と賃借物件で変わる「造作の耐用年数」

同じ店舗を開業する場合でも、物件を所有しているか賃貸しているかによって「造作の耐用年数」の計算方法が変わります

まず所有物件に店舗を開業する場合には、造作には原則として建物本体の耐用年数を適用して減価償却を計算します。したがって内部構造が木造だとしても、建物本体がRC造ならRC造建物の耐用年数が適用されます。

一方で賃貸物件に店舗を開業する場合は、造作ごとの耐用年数を考慮した上でトータルの耐用年数を算出して、全ての造作に適用されます。減価償却費は、「合計費用÷年間減価償却費」の公式で算出できます。

例えば「内装工事費100万円で耐用年数10年」と「工事費80万円で耐用年数4年」の2つの造作の年間償却費は、10万円(100万円÷10年)と20万円(80万円÷4年)になります。上記公式に当てはめると、トータルの耐用年数は6年「(100万円+80万円)÷(10万円+20万円)」となります。

ただし「賃借期間が定められている」「賃借期間を更新できない」「造作費用や造作の買取請求をできない」という3つの条件を満たしている場合には、建物の賃借期間を耐用年数として減価償却を行うことが可能です。

法律に基づいて適切に減価償却費を計算しよう! 

法律に基づいて適切に減価償却費を計算しよう! 

耐用年数と減価償却についての知識があれば節税につながりますので、基本的な考え方を押さえておきましょう。ただし内装工事の処理は難しいので、判断できない場合には税理士などに相談することをおすすめします。

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監修者

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