2018.07.02 2020.08.12|新規開業ノウハウ
内装工事の減価償却は仕訳がポイント!構造や用途別の耐用年数
開業資金のうち、内装工事はたいていの場合、大きな割合を占めることになります。
飲食店の場合は、特に空調設備工事に多額の費用がかかるため、それ以外の部分でいかに節約できるかの工夫も必須といえるでしょう。
その節約の工夫として「減価償却」をどのように行うかが挙げられます。
減価償却の方法によっては、節税効果なども望めるため、内装工事に着手する際には事前に検討してきたいところです。
ここでは、内装工事の減価償却について、基本的な考え方からみていきましょう。
減価償却の基本をおさらい
「減価償却」というワードだけ聞けば「なんだか難しそうだ」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、そう複雑に考える必要はありません。
減価償却というのは「ある年度にかかった費用」を数年に分けて経費に計上していくことを指します。
この減価償却の計算方法には定額法と定率法があるのですが、個人事業主に定められた計算方法は定額法です。
たとえば、100万円で接客用の応接家具セット(接客業用)を購入したとしましょう。この100万円は、購入した年度に全額が経費として計上されるわけではありません。
購入金額と、その物品(設備等も含む)の「耐用年数」と「償却率」によって割り出された「減価償却費」として、一定の期間で配分して計上していくのです。(※1)
耐用年数は物品ごとに定められており、100万円の接客業用応接セットの場合なら5年とされています。(※2)
つまり、100万円という購入費用、5年の耐用年数、定められた償却率などを用いた計算式によって、1年あたりの減価償却費用を割り出すということです。(※1)
減価償却費用は、年度ごとの「支出」に計上されるため、帳簿の上では利益がその分減少したことになります。
つまり、減価償却を正しく行うことで、毎年、その金額分の節税効果が望めるのです。
※1.【個人事業主メモ】個人事業の減価償却費
※2.【国税庁】耐用年数(器具・備品※1)
内装工事費の耐用年数はどうなる?
減価償却をどれくらいの期間で配分するかは、原則的に「耐用年数」によって決定します。
定額法で減価償却費用を計算する際の計算式は「購入時の価格×償却率÷12×その年の使用月数」です。
先ほどの、接客用応接セットの減価償却費用を仮に1年20万円とすると、100万円÷20万円で、配分期間は5年ということになります。(※1)
内部造作の耐用年数は、物や設備の種類によって異なりますが、さらに物件が持ち家なのか賃貸なのかによってもその根本的な考え方が変わってくるのです。
賃貸物件に対する内装工事においては、造作1つ1つについての減価償却費用の計算は行いません。
内装工事による造作すべてをまとめて1つの資産とみなし、それによって耐用年数を見積もります。
細かな条件については、賃貸契約の内容や実情によって異なるため、契約時に確認しておくのが良いでしょう。(※3)
※1.【個人事業主メモ】個人事業の減価償却費
※3.【国税庁】他人の建物に対する造作の耐用年数
店舗を持っている場合
店舗が自分の所有物件である場合の減価償却の基本的な考え方をみていきましょう。
自己所有の物件に対して内装工事を施しても、それは原則として「建物の用途の変更」や「価値の増加」であるとみなされます。
つまりは、もともとの建物の「種類」に基づく耐用年数を利用して、毎年の減価償却費用が計上されるということです。
耐用年数を導き出すための建物の種類は、その物件の登記事項証明書(登記簿謄本)に記載してある「構造および用途」をみれば判明します。(※4)
※4.【飲食店応援ラボ】飲食店の内装工事、耐用年数と減価償却のポイント
賃貸借物件の場合
賃貸借物件に対する設備工事費用の減価償却の考え方は、お話しした通り、自己所有店舗に対するものとは異なります。
賃貸借物件への内装工事は「建物付属設備」への変更とみなされるため、償却期間も、その付属設備の耐用年数に基づいて配分されるのです。
また、契約更新のない賃貸借契約で、なおかつ有益費や買い取りの請求をすることができない場合は、契約によって定められた賃貸借期間を耐用年数とみなして計算することもできます。(※3)
※3.【国税庁】他人の建物に対する造作の耐用年数
会計処理に困った場合は専門家に相談しよう
内装工事費の会計処理の基本についてみてきましたが、これらはあくまで「基本的な考え方」です。
内装工事費の減価償却方法については、ケースに応じてベストな処理方法が異なる可能性も十分に考えられます。
そもそも、工事のうちのどの部分をどう分類して減価償却すべきかの判断も、専門家でないと難しいといえるのではないでしょうか。
そのため、内装工事費の減価償却について少しでも迷いがある場合は、税理士などの専門家への相談がおすすめです。
監修者
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IDEAL編集部
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