2017.12.06  2020.09.09|店舗デザイン

和風な店舗デザインには欠かせない、雰囲気を演出する日本古来の装飾品

和風な店舗デザインには欠かせない、雰囲気を演出する日本古来の装飾品

和風な店舗をデザインするときに、提灯や暖簾などの装飾品は和風な雰囲気を演出する上で大きな要素となります。

提灯や暖簾などの歴史はとても深く、雰囲気を演出するだけでなく、様々な意味を持つ物として古くから利用されてきました。

現在では何気なく雰囲気演出の為に使用されている暖簾や提灯ですが、使用される目的や、色や形が持つ意味などを理解することにより、

一味違ったメッセージ性を持った店舗デザインをすることができます。今回は代表的な日本古来からある装飾品をご紹介します。

提灯(ちょうちん)

提灯の歴史はとても深く、室町時代から広く使用されていたと言われています。 葬列で提灯をぶら下げて歩いている絵巻物なども見つかっており、

仏具としても使用されていたとも考えられています。現在でもお盆などに提灯を下げる家もあるのではないでしょうか。

当時は高級品としての扱いだった提灯も、江戸時代あたりになると大量生産が可能となり、一般家庭にも普及していくこととなりました。

この頃の提灯は、現代で言うところの照明器具やお店の看板として活用されていました。

現在の居酒屋の提灯というと「赤提灯」を思い浮かべる人も多いと思います。

しかし、江戸時代の飲食店では「白提灯」が使用されており、大衆向けの飲み屋が、他店よりもより一層目立たせる為に、赤提灯を使用し始めたとも言われています。

その時代から、敷居の高い高級店などのお店では「白提灯」、一般大衆向けの居酒屋などでは「赤提灯」が多く使われていたという説があります。

しかし、現代ではチェーン店の居酒屋でも白提灯を提げているお店もあるので、色で高級感を区別しているとは一概には言えないでしょう。

また、2005年頃から「緑提灯」というものも出てきました。これは北海道から始まった地産地消を促進する活動に賛同しているお店が提げている物です。

この活動は日本の食品自給率を上げる効果もあり、お客様にも食品の産地や仕入先が明確になる為、食べ物に対する安心感も与える効果があります。

暖簾(のれん)

暖簾は和風装飾品の中でも比較的容易に取り入れることの出来き、幅広い場所で活用されています。その歴史は平安時代からと言われており、

当時の民家の軒先に暖簾が掛かっている絵巻物なども見つかっています。当時の暖簾は、風除けや日除け、人目を避けるなどの目的として利用されており、柄などもなく無地の物が主流でした。

江戸時代に入った頃から、商業目的でも使用され始め、広告媒体や看板として使用されていました。開店する時は暖簾を吊るし、閉店時には暖簾をしまうことから、「営業中」を知らせるサインにもなっています。

現代のお店では、店舗のイメージにあった色の提灯を使っていたりしますが、昔は業種によって使用する色に意味があったと言われています。

紺・藍色

藍染と呼ばれる染色方法で製作され、藍の香りが虫除けに効果的と言われていた為、酒造業や呉服屋などの軒先に吊るされていました。

柿色・赤茶色

江戸時代頃の吉原エリアで使用されていたと言われています。その中でも高級料亭と位置づけされるお店にだけ使用が許されていました。

白色

砂糖を連想できることから、菓子屋や甘味処などで使用されていました。また、「砂糖=貴重な物」という発想から、薬屋でも白い暖簾が使用されていました。

文字の色による違い

現代の技術を使えば様々な色を表現できますが、当時はその種類も少なく、赤・黒・白抜きの3種類でした。赤でも文字を書くと「赤字」を連想することとなり、お店などでは避けられていました。反対に黒い文字は「黒字」を連想することとなり縁起が良いとされ好まれていました。

杉玉(すぎたま)

酒屋さんや酒蔵などで茶色い玉が軒先に提げられているのを見たことはありますか?最近では和風の居酒屋などにも装飾品として使われていることも増えてきました。

この玉は「杉玉(すぎたま)」と呼ばれており、杉の穂先を集めて形作られた物です。これはただの装飾品ではなく、しっかりとした意味合いを思っています。

杉玉を作ったばかりの頃は、穂先も新鮮で、緑色をしており、これを吊るすタイミングは新酒が出来たときです。これが時間が経つにつれ枯れ始め、そのお酒の熟成の進み具合を伝えています。

近年では、元々茶色い状態になった杉玉を吊るすこともあり、雰囲気演出の為の装飾品としての意味合いも強くなってきています。

簾(すだれ)

和風建築では良く見かける簾ですが、その発祥は中国と言われており、中国から日本に伝わってきた物とされています。開放的だった古代の家を雨風や邪気から守る為に簾は使用されていました。

その他にも、外部からの進入を拒む心理的な意味合いや、「神と人」、「身分の高い者と庶民」を分け隔てる為の意味合いもあると言われています。

まとめ

これらのように、普段当たり前に見かける馴染み深い装飾品ですが、ただ雰囲気を演出するだけでなく、それぞれに意味を持っています。

古民家をリノベーションしてお店作りをする際など、これらの装飾品がより一層雰囲気を演出してくれるでしょう。

そんな時にただの装飾品として利用するだけでなく、その物に隠された意味なども踏まえて活用することによってワンランク上の空間演出が出来るでしょう。

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監修者

IDEAL編集部

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