2017.08.29 2020.08.04|店舗運営ノウハウ
ネット・ゼロ・エネルギーを取り入れた環境に優しいオフィスとは?
現在、世界中で環境のことが話題になりますが、環境保護のコンセプトを取り入れたオフィスがアメリカのサンフランシスコにあります。
DPRという建設会社のオフィスで、DPRは操業して27年になる会社ですが、現在のオフィスは2014年に改築したばかりです。
しかも新しいというだけではなく、このオフィスは、同年に、ENRというエンジニアリングの機関が授ける「ベスト・プロジェクト賞」を受賞した名誉あるオフィスなのです。
エネルギー節約の新しい考え方
DPRのオフィスが「ベスト・プロジェクト」賞を獲得したのは、「ネット・ゼロ・エネルギー(NZE)」と言われるコンセプトをサンフランシスコで初めて取り入れた、環境に優しいオフィスデザインを生み出したことが高く評価されたためです。
「ネット・ゼロ・エネルギー」のコンセプトは日本でも2012年に経済産業省から以下のように定義され、一般に奨励されています。
「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる(こと)」
つまり、ネット・ゼロ・エネルギーとは、電力やガスなどのエネルギーをゼロに近い量まで抑えながら、その一方で太陽熱などを利用して新たなエネルギーを生み出すことを意味しています。
大事なのは消費するエネルギーが、新しく生み出すエネルギーより少ないことで、それによって全体として消費するエネルギー量を少なくしていこうという考え方です。
DPRのオフィスの第一印象
ではサンフランシスコのDPRではどのような工夫をして消費エネルギーを押さえているのでしょうか。
DPRのオフィスは、サンフランシスコのトレジャーアイランドを望む桟橋のすぐ近くにあります。外から見るとごく普通のオフィスに見えますが、一歩中に入ると普通ではない雰囲気が伝わってきます。
とにかくスペースがいっぱい!一見ホテルのロビーを思わせるような趣です。これって本当にオフィス?と戸惑っていると、案内してくれた知人がデザインの特徴を一つ一つ説明してくれました。
オフィスの顔「リビング・ウォール」
まず、DPRのオフィスの中でもっとも人目を惹くのが植物の壁です。「リビングウォール」と呼ばれ、シダやツタなどの生きた植物を衝立に埋めたり這わせたりして作った壁で、オフィス内の3か所に設置されています。
リビングウォールは美しくアレンジされていますから、もちろんオフィス内の飾りの役目も果たしますが、一番大切な役割は、オフィス内に吐き出される二酸化炭素を吸収し、代わりに酸素を吐き出してくれることです。
このリビングウォールによってオフィスの空気は新鮮に保たれるのです。
工夫の詰まった屋根
DPRのオフィスには普通の建物にある平らな天井はなく、屋根裏が直接天井になっています。改築前は普通の屋根でしたが、今回のプロジェクトにおいて屋根にたくさんの工夫を施しました。
まず、屋根の上にはソーラーパネルを敷きました。一つには太陽熱を集め温水器として使用しオフィス内で使うお湯を供給します。もう一つの使い方は、集めた太陽熱を電力に変え、オフィス内で電力を必要とする箇所に供給することです。
この屋根の2か所に天窓がはめられていますが、天窓には特別のコーティングがしてあり、室内にちょうど良い強さの光が外から差し込むように、
自然の光をコントロールできるようになっていますから、オフィス内の照明の電力量は最低限に抑えられています。
そして、屋根裏の数か所に大きなファンが取り付けられ、オフィス内の空気を循環し、熱量が効果的に使われるよう工夫されています。
従業員の精神面も考慮に入れたデザイン
上述のように、DPRのオフィスは環境保護を強く意識したコンセプトに基づいてデザインされていますが、それだけでなく、オフィスで働く従業員が快適な環境でクリエイティブな仕事ができるよう気を配っています。
例えばオフィス内に設けられたジムや多目的のルーム。多目的のルームは、ノートパソコンを持っていけばそこで仕事をすることもできるようになっています。
リサイクル材で作ったワインバー
そして、驚いたのが美しい木材で作られたワインバー。
ワインバーはアルコール類を楽しむために作られたものですが、このワインバーに使われているのが地元のサンフランシスコで古い建物を解体するときに出された木材「レッドウッド」をリサイクルしたものです。
更に驚いたのは、このオフィスにはワインなどのアルコール類が常備されていて、仕事中でも飲むことが許されていることです。
もちろん飲み過ぎれば仕事に影響を与え、良い成果が上げられなくなるのは当たり前のことですから、飲酒量は従業員の「常識」を信頼して、各人の判断に任せているそうです。
まとめ
環境保護のコンセプトである「ネット・ゼロ・エネルギー(NZE)」を取り入れたサンフランシスコにあるDPRのオフィス。エンジニアリングの技術と店舗デザインがうまく調和し素晴らしいオフィス環境を造り出しています。
エネルギー消費量の低減が叫ばれている今、店舗デザインの新しい方向を示しているように思われます。
監修者
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IDEAL編集部
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