2018.01.29  2020.08.05|店舗運営ノウハウ

【知っておきたい5つの指標】店舗の照明選びと業態別に適した照明演出

【知っておきたい5つの指標】店舗の照明選びと業態別に適した照明演出

明るい店内にして清潔感のある雰囲気にしたり、暗めな店内にしてムーディーな雰囲気を演出したりと、照明だけでお店の雰囲気は大きく変化します。

照明について考える際、明るさや色温度などに気をつけることは一般的になってきていますが、演色性なども考慮することにより、ワンステップ上の照明演出ができるようになります。

ここでは、明るさと色温度以外に知っておくべき内容についてご紹介します。

照明の違いを分ける5つの指標

1.光束(ルーメン/lm)

家庭用の電球を交換する際、明るい電球を選ぼうとすると、まず見るのは「ワット/w」かと思います。この単位は明るさを示す物では無く、あくまで消費電力を示す物です。

実際に消費電力の高い器具は明るい傾向にありますが、明るさを示す単位として記載されている物が「ルーメン/lm」です。これは「光の量」を示す物で、数値が高いほど明るいと言えます。

2.色温度(ケルビン/k)

照明を選ぶ際には、明るさ以外に馴染みのある見分け方として「照明の色」が思い浮かぶのではないでしょうか?

蛍光灯は白い色で、丸い電球は少しオレンジがかった物など、一般的な家庭用市販電球などには「昼白色」や「電球色」などと記載されている物です。

この色の違いを数値で示した物が「ケルビン/k」です。色温度の低い物は「2700k」前後の数値で、裸電球の温かいオレンジ色になります。反対にオフィスなどで使われている蛍光灯などは「5000k」程度で白くパキっとした光になります。

「ケルビン/k」は、空間の雰囲気を演出する際に大きな影響を与える指標の1つです。

3.演色性(Ra)

太陽の光が当たった時の状態にどれ程近い状態かを示す指標が「演色性」です。「Ra」は平均演色評価数と言われ、Ra100が自然光に一番近い状態の数値とされています。

この数値が低い照明器具を使用すると、スーパーマーケットなどでは食材が本来通りの色に見えずに新鮮度が低く見えてしまったり、アパレルショップなどでは実際に外で着てみたら色見の雰囲気が違ったなどの問題が起きてしまいます。

4.グレア

グレアに関しては、一般家庭ではほとんど気にされる事は無い指標ですが、店舗などでは演出効果を高める為に重要な要素となります。

グレアとは、光を照射している部分以外から見えている光源のことを言い、「周りの物を見えにくくしてしまうまぶしさ」と考えると良いでしょう。

照明の光源が視界に入ってしまうと不快感に繋がり、疲労感が増したり、リラックス感が低減してしまいます。

特に商業施設向けの照明器具などでは、ダウンライト(丸型の小さい埋込み型の器具)などでグレアを最大限カットするような工夫がされた器具なども作られています。

5.配光

角照明器具には、あらかじめ設定されている照射角度があり、この角度の違いによっても空間の見え方や雰囲気が大きく違ってきます。

「広角配光」と呼ばれる物では、光の照射角度が広い為、同じ明るさの器具でも光が柔らかく感じられ、全体をフワッと照らす雰囲気になります。

反対に、「狭角配光」の器具では、照明器具の向いている部分をビシッと照らすスポットライトのようなメリハリのある雰囲気を演出できます。

業態別モデルプラン

飲食店(大衆向け)

大衆向けの居酒屋では、全体的には明るく且つ色温度はそこまで高くない物が好まれます。

明るさだけに目を向けてしまい、蛍光灯のような色温度の高い物にしてしまうと、お酒がすすむような空間には向かなくなり、お客様の滞在時間も短くなってしまいます。

色温度が低めの器具を選定する事により、明るさは確保しつつ、温かみのある色温度にする事によって、リラックス感もプラスする事が出来るでしょう。

飲食店(バー・高級レストラン)

大衆向けのお店とは反対に、不便にならない程度に明るさを抑え、色温度も低い物にすると高級感を演出する1つの要素となります。

高級レストランの中では、料理の彩りにもこだわりが高い為、明るさや色温度だけでなく、演色性にも考慮すると良いでしょう。

また、高いリラックス感を出すために、極力グレアを抑え、不快な光源が目に入りにくい設計にするとより良い空間を演出出来るでしょう。

物販店(アパレル系)

アパレルなどの物販店では、いかに主役の商品をドラマチック且つ自然な状態に近く見せるかが大切になります。

店舗全体としての明るさ確保はもちろんのこと、季節の新商品などを展示するマネキンスペースなどは、スポットライトなどを使用して、他の部分とのメリハリを付けるのが良いでしょう。

商品そのものの自然な色見を見せるため、色温度と演色性を高く設定すると商品を魅力的に見せることができるでしょう。

まとめ

ここまででご紹介したように、照明を選ぶ際には「明るさ」だけでなく、様々な要素を検討する方が効果的です。「どういった業態」で「どのようなお客様」に「どのように感じてもらいたい」かを念頭に置き、照明計画を検討すると良いでしょう。

設計や照明プランのプロに依頼する際でも、どのような空間を作りたいかを明確に伝えることをおすすめします。また、床や壁、家具類などだけにとらわれず照明器具にも目を向けることによって、より良い空間作りが出来るでしょう。

物販店(食材系)

アパレル店と同様に商品が主役となるような演出を心がける必要があります。近年のLED照明の進歩により、生肉部門と鮮魚部門で演色性や色温度の違う照明器具を導入しているお店なども出てきています。

お肉にはお肉に、鮮魚には鮮魚に合った演色性や色温度があり、より一層魅力的な商品に見せるためには必要な工夫と言えるでしょう。

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監修者

IDEAL編集部

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