2021.05.07  2022.04.06|内装工事

消防法と建築基準法の内装制限とは?対象建築物・罰則・緩和策を解説

消防法と建築基準法の内装制限とは?対象建築物・罰則・緩和策を解説

「内装制限とは?」「どんな建築物が対象になる?」などとお悩みではないでしょうか。法律で定められている内装制限の規定は複雑で分かりづらいですが、火災から人命を守るために重要なものですので理解しておく必要があります。

そこで本記事では内装制限の法規定、法で定められている理由、対象となる建築物について解説します。罰則や緩和策についてもご紹介しますので、開業を検討している経営者や責任者の方はぜひご覧ください。

内装制限の法規定

内装制限の法規定

そもそも内装制限とは、何でしょうか?消防法と建築基準法という2つの法律によって定められていますので、まず内容を確認して大枠をつかみましょう。

消防法における内装制限

消防法には火災予防や消火活動に必要な内装制限について定められています。具体的には、以下のような内容です。

  • 火災予防と消火活動のしやすさを重視した建築構造
  • 警報設備の設置
  • 火災の煙を排除する設備の設置
  • 消火栓の設置
  • 絨毯やカーテンなどの指定(燃えにくい素材や防火・防炎の機能)

参考:福岡市消防局「第9 内装制限」

内装制限の対象となる建築物は建築物の耐火性と規模の観点から決まりますので、後ほど詳しく解説します。

建築基準法における内装制限

建築基準法には、火災初期の避難経路確保に必要な内装制限について定められています。消防法に定められた内装制限と違って、建築物自体に関する制限になります。

「政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない」

引用:e-gov法令検索「昭和二十五年法律第二百一号建築基準法」

つまり壁と天井には燃えにくい素材を使用する必要があるのです。火は下から上に燃え広がるため、床面から1.2m以上の高さの璧部分が対象となり、床は対象となりません。

また燃えにくい素材が「防火材料」として定められています。加熱されてから発火するまでの時間によって、防火材料は次の3つに分類されています。

防火材料の種類発火までの時間
不燃材料20分コンクリート、レンガ、漆喰など
準不燃材料10分厚さが15mm以上の木毛セメント板
難燃材料5分厚さが5.5mm以上の難燃合板
参考:国土交通省「建設省告示」第1400号第1401号第1402号

発火するまでの間に、「有害な煙やガスが発生しないこと」「変形したり溶けたり損傷を生じないこと」も防火材料の条件です。

内装制限が法律で定められている理由

内装制限が法律で定められている理由

内装制限の法規定を確認したとおりに、火災が起きたときを想定して内装制限が定められています。2つの法律が内装制限を定める目的をさらに詳しく確認していきましょう。

消防法の内装制限を定める目的

消防法で内装制限を定める目的は、火災予防と初期消火のためです。また人命救助や本格消火を効率的に行うためでもあります。

店舗の具体的な火災予防策として、インテリア(じゅうたんや壁紙など)に耐火性のある素材を選ぶ方法や警報設備・消火栓を適切に設置する方法があります。特に消火栓の設置は義務とされています。

消防法で定められた基準に則った火災予防を対策しておけば、人命救助や本格消火をしやすくなります。内装制限を守って、万が一の事態に備えましょう。

建築基準法の内装制限を定める目的

建築基準法で内装制限を定める目的は、火災初期における安全避難です。耐火性のある防火材料を使うことで、火災初期の急な火の広がりを防ぎながら避難するための時間を稼ぐことが可能になります。防火材料について、「どんな規模の建築物」に「どの防火材料を使うか」が細かく定められていますので、のちほど詳しくご紹介します。

対象となる建築物は建築物の種類や床面積、階数によって定められており、基本的には大きな建築物の内装は制限されます。多くの人が集まるところは、火災対策をしておかないと多くの犠牲者を生むからです。店舗においては従業員だけでなく顧客を火災のリスクから守る必要がありますので、少し複雑ですが理解しておきましょう。

内装制限の対象建築物

内装制限の対象建築物

全ての建築物が、内装制限の対象になるわけではありません。用途や規模によって対象となる建築物が4つ(特殊建築物・大規模建築物・火気使用室・無窓居室)に分類されており、使うべき防火材料が細かく定められています。

特殊建築物

特殊建築物とは人が多く集まる建築物のことです。特殊建築物の内装制限について下の表にまとめました。

特殊建築物の
種類
耐火建築物の
床面積
準耐火建築物の
床面積

他の建築物の
床面積
居室の
内装制限
通路・階段の
内装制限
1.劇場、映画館、
演芸場、観覧場、
公会堂、 集会場
客席
400m²以上
客席
100m²以上
客席100m²以上難燃材料準不燃材料
2.病院、診療所、
ホテル、旅館、
民宿、共同住宅、
こども園など
3階以上の
部分 300m²以上
2階部分
300m²以上 
(病院、診療所は、
2階 に患者収容施設が
ある場合に限る)
200m²以上難燃材料準不燃材料
3.百貨店、展示場、
マーケット、キャバレー、
カフェ、バー、
飲食店、公衆浴場など
3階以上の
部分 1000m²以上
2階部分
500m²以上
200m²以上難燃材料準不燃材料
4.自動車車庫、
自動車修理工場、
映画スタジオ、
テレビスタジオなど
全て対象全て対象全て対象準不燃材料準不燃材料
5.地下または
地下工作物内に
上記1~3の居室を
有するもの
全て対象全て対象全て対象準不燃材料準不燃材料
参考:建築基準法施工令128-129条日本塗装協会「内装制限一覧表」 

建築物の構造(耐火・準耐火・その他)によって、内装制限の対象となる床面積が変わってきます。ただし建築物の構造(耐火・準耐火・その他)によって、内装制限の対象となる床面積が変わってきます

耐火建築物とは、梁や躯体などの構造部分に耐火性能のある素材を使っている建築物で、最大3時間火災による倒壊を防げます。準耐火建築物は、最大1時間倒壊を防げます。

耐火性の高い建築物であれば、床面積が広くても内装制限が比較的緩和されます。しかし耐火性の低い建築物は床面積が狭くても内装制限がかかります。

大規模建築物

文字通り大規模な建築物のことです。具体的には以下の床面積の建築物が内装制限の対象となります。

  • 3階建て以上で、延べ面積500㎡超え
  • 2階建てで、延べ面積1000㎡超え
  • 1階建てで、延べ面積が3000㎡超え

参考:建築基準法施工令128-129条

上記の条件に当てはまる場合、居室には難燃材料を、通路・階段には準不燃材料を使わなければなりません(ただし学校は内装制限の対象外)。階数が1階以上かつ床面積が500㎡を超える建物の中に店舗をオープンする場合は、注意が必要です。

参考:日本塗装協会「内装制限一覧表」 

火気使用室

火を使用する建築物は火災リスクが高いため、内装制限の対象となります。飲食店やカフェなどの厨房のある店舗や浴室のある建物も対象となります。対象となる火気使用室では、準不燃材料を使わなくてはなりません。

店舗の場合は火気使用室があれば全て対象となりますが、建築物の主要構造部が耐火構造であれば対象外です。IHコンロを使う場合も対象外となります。

参考:建築基準法施工令128-129条

無窓居室

無窓居室(むそうきょしつ)とは、建築基準法の基準を満たす窓がない居室のことです。窓があっても、基準を満たしていなければ無窓居室となります。無窓居室には以下の4種類があります。

  1. 採光無窓
  2. 換気無窓
  3. 排煙無窓
  4. 避難無窓

内装制限の対象となるのは「排煙無窓」です。窓が建築基準法における排煙の基準を満たしていなければ、内装制限の対象になります。排煙の基準は以下の3点です。

  1. 天井の高さが6m以下
  2. 居室の面積が50㎡超え
  3. 窓の面積の合計が床面積の1/50未満

排煙無窓の場合は壁と天井に準不燃材料を使わなければなりません。

参考:建築基準法施工令128条

内装制限の違反に対する罰則

内装制限の違反に対する罰則

内装制限に違反してしまった場合どうなるのでしょうか?内装制限は法律で定められていますので、違反すると罰則が科せられます。罰則の内容と対象者について詳しくみていきましょう。

罰則の内容

内装制限の基準を満たしていない店舗において経営を続けていくと「懲役3年以下または罰金300万円以下」が科せられます。法人の場合は「1億円以下の罰金」です。

参考:建築基準法第98条

以前は30万円の罰金でしたが、平成19年に罰則が強化されました。悪質な建築基準法違反は公表されますので、信頼を失わないためにも内装制限を守りましょう。

罰則の対象者

違反した建築物だと知りながら店舗の経営をしていくと、店舗を開業した経営者も処分の対象になることがありますので注意しましょう。例えば内装制限に違反する設計をした場合には設計者が、違反を知りながらも施工を依頼した場合には依頼者である経営者までもが、罰則の対象となります。

内装業者が内装制限に違反して、業務停止や営業許可取消しの行政処分を受けたケースもあります。違反が発覚した場合には是正することになりますが、信頼できる内装業者または建築士に相談してデザインしてもらいましょう。

内装制限の対象建築物の判定方法 

内装制限の対象建築物の判定方法 

内装制限を守る重要性をお伝えしましたが、初めて店舗を開業する「物件が内装制限の対象となるか」を判断するのが難しいでしょう。そこで内装制限の対象建築物の判定方法をご紹介します。

特殊建築物の場合

上で紹介した一覧表を見ながら、店舗を開業する物件が特殊建築物に該当するかどうかを確認してください。特殊建築物に当てはまっている場合は延べ床面積を確認して、基準よりも広ければ内装制限の対象です。

したがって特殊建築物であっても、延べ床面積が基準以下であれば対象とはなりません。

参考:日本塗装協会「内装制限一覧表」 

特殊建築物でない場合

特殊建築物ではない物件においては、大規模建築物か火気使用室、無窓居室に当てはまるかどうかを確認します。大規模建築物と無窓居室については、上の表に条件が具体的に示されています。

店舗の火気使用室については、火を使う場所全てが対象になると考えてください。一般住宅の火気使用室については令和2年にコンロ以外の部分での制限が条件付きで緩和されましたが、店舗の火気使用室には当てはまりません。

内装制限の緩和策5つ

内装制限の緩和策5つ

内装制限は必ず守らなくてはならない法規制ですが、緩和策があります。例えば「お店のコンセプトを表現するために木材を使いたい」という場合には、制限緩和を検討してみましょう。2022年3月現在では、以下の緩和策が有効です。

天井の高さを6m以上にする

無窓居室の天井を6m以上にすることで制限の対象外となります。天井が高いと煙が降下するまで時間がかかりますので、火災初期の安全な避難にも繋がります。

参考:福岡市消防局「第9 内装制限」

スプリンクラーを設置する

スプリンクラー及び排煙設備を設置した部分には内装制限が適用されません。ただし排煙設備は、建築基準法施工令126条の3の規定を満たす必要があります。

参照:建築基準法施行令126条の3

天井を準不燃材料で仕上げる

居室の天井を準不燃材料で仕上げると壁に木材を使用してもよいことになっています。木材を使用する場合は、難燃材料と組み合わせることが条件です。ただし難燃材料と組み合わせた場合には、木材の厚さによって条件がありますので注意してください。

参考:福岡市消防局「第9 内装制限」

ダイニングキッチンには垂れ壁を設置する

火気使用室と客室が一体となっている場合には、通常は居室全体が制限の対象となります。しかし規定の位置に不燃材料で作られた垂れ壁(天井から吊るされたような形をした壁)を設置すると、内装制限の緩和対象となります。

参考:福岡市消防局「第9 内装制限」

梁や柱の面積を床面積の1/10以内にする

梁が見えている天井はおしゃれですが、たくさんの梁が見えていると内装制限がかかります。梁や柱の面積を床面積の1/10以内にしましょう。

参考:福岡市消防局「第9 内装制限」

内装制限を守ったうえで理想的な店舗をデザインしよう

内装制限を守ったうえで理想的な店舗をデザインしよう

内装制限の対象となる建築物においては、内装に使う材料に制限があります。防火や消火などのために必要ですし、違反すると罰則を受けることになります。消防法と建築基準法の規定は少し複雑ですので、内装デザインの専門家に相談しましょう。

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