2022.05.28  2022.05.25|店舗運営ノウハウ

食品衛生責任者資格の取り方と有効期限!養成講習会や営業許可申請も

食品衛生責任者資格の取り方と有効期限!養成講習会や営業許可申請も

「食品衛生責任者の資格を取得したほうがよいのか?」とお悩みではありませんか?飲食店の営業許可を申請するために、食品衛生責任者の設置が法的に不可欠です。開業前は何かと忙しいので、計画的に準備を進める必要があります。 

そこで今回は食品衛生責任者の資格の取り方と有効期限について解説していきます。養成講習会受講や営業許可申請の方法についても紹介しますので、飲食店開業を検討されている経営者・責任者の方は、ぜひ参考にしてください。

食品衛生責任者とは?

食品衛生責任者とは?

そもそも食品衛生責任者とは「食品の製造・販売を行う営業施設において食品衛生管理業務を統括する役職」です。「食品衛生管理業務」には、調理設備の衛生的な保管や従業員に対する衛生指導などが含まれます。

食品衛生責任者の資格を取得した人を設置することが、飲食店やパン屋などの店舗に対して法的に義務づけられています。食品衛生責任者を設置する基準については、後ほどご紹介します。

参考:e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」別表第17

店舗において食品衛生責任者を設置するときには、食品衛生や調理設備などを常に管理できる人に資格を取得させなくてはなりません。経営者が常に店舗で働かない場合には、店長などの従業員に資格を取得させるようにしましょう。

食品衛生責任者の役割と設置

食品衛生責任者の役割と設置

食品の製造・販売をする店舗に対して、必ず設置が求められる食品衛生責任者。役割や混同されやすい食品衛生管理者との違いはあるのでしょうか?食品衛生責任者の役割と設置基準を詳しく確認しましょう。

食品衛生責任者の役割

食品衛生責任者の役割は、店舗内で製造・販売する食品の衛生管理業務の管理です。具体的な役割として、以下の2点が法的に定められています。

  • 都道府県の講習会を定期的に受講して、食品衛生の最新情報を把握すること
  • 経営者と協議しながら衛生管理計画を作成して従業員を指導すること

参考:e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」第66条の2、別表第17

食品衛生責任者の有資格者による厳しい管理が、必要不可欠です。食中毒や異物混入などの事故を発生させてしまうと、店舗の信頼が損なわれるだけではなく、顧客の生命に関わる危険性があるからです。

食品衛生管理者の資格との違い

食品衛生管理者の資格は、食品衛生責任者の資格と混同されやすいです。両者の違いは、資格を認定する機関と扱う食品です。「食品衛生責任者」の資格は都道府県によって認定されますが、「食品衛生管理者」は厚生労働省によって認定されます。

食品衛生管理者の資格も食品衛生法に定められており、特定の食品(ハムやマーガリンなど)を加工または製造する施設に対して配置が義務づけられています。食品衛生管理者の資格を取得した場合には、食品衛生責任者の資格取得が免除されます。

参考:e-Gov法令検索「食品衛生法」第48条「食品衛生法施行令」第13条

一方で食品衛生責任者の資格は、食品の販売や製造を営む全ての施設に取得が義務づけられています。したがって飲食店やパン屋などを開業するためには、食品衛生管理者ではなく食品衛生責任者の資格を取得することになります。

食品衛生責任者の設置基準

食品衛生責任者の設置基準は、都道府県・政令指定都市ごとに示されています。例えば京都市食品衛生協会の公式Webサイト上で、設置が必要な32業種が掲載されています。

  • 飲食店営業
  • 食肉や魚介類の製造・販売業
  • 菓子やパン、アイスクリームなどの製造業
  • 味噌や醤油、漬物などの製造業
  • 食品の小分け業 など

参考:一般社団法人京都市食品衛生協会「食品衛生責任者とは? 」 

食品営業にはさまざまな業種が該当しており、法改正によって業種が変更されることがあります。店舗を開業する前に該当する業種を確認して、食品衛生責任者の資格取得の準備を始めましょう。

食品衛生責任者の資格を取得する方法

食品衛生責任者の資格を取得する方法

開業する店舗に食品衛生責任者を設置する必要があると分かったら、資格を取得する方法を早めに把握しておきましょう。養成講習会の受講と受講免除の条件をご紹介しますので、どちらに該当するかをご確認ください。

食品衛生責任者養成講習会の受講

食品衛生責任者の資格を取得するためには、基本的に養成講習会の受講が必要です。「集合形式の講習会」と「eラーニング形式の講習会」が開催されており、いずれかを受講することにより食品衛生責任者の資格(修了証)を取得できます。

集合形式の講習会は各食品衛生協会が設けた会場で開催され、多数の参加者が講義を受けます。eラーニング形式の講習会はオンライン上で開催されるので、インターネット環境とパソコンさえあれば場所を選ばずに受講可能です。

参考:一般社団法人京都市食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会 実施要項」

なお集合形式とeラーニング形式の申込方法は異なりますので、後ほどご紹介します。

食品関連資格保持による講習免除 

例外として、食品関連資格を保持することで上記の養成講習会受講が免除されます。例えば東京都では、次の資格が挙げられています。

  1. 調理師
  2. 製菓衛生士
  3. 栄養士
  4. 船舶料理士
  5. と畜場法に規定する衛生管理責任者
  6. と畜場法に規定する作業衛生責任者
  7. 食鳥処理衛生管理者
  8. 食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす者

参考:東京都福祉保健局「食品衛生責任者 」

養成講習会が受講免除される条件が異なる場合があるため、必ず店舗を開業するエリアを管轄する自治体のWebサイトを確認してください。免除対象になるかどうか不安なら、保健所や食品衛生協会に直接問い合わせることが必要です。

食品衛生責任者養成講習会の受講方法

食品衛生責任者養成講習会の受講方法

食品衛生責任者養成講習会の受講が必要だと分かったら、具体的な受講方法を把握しておきましょう。初めて受講する場合には、どのように準備したらよいか不安ですよね。講習会の日程は限られていますので、スムーズに受講できるようにしましょう。

受講申し込み

各都道府県ごとに、自治体や食品衛生協会などの公式Webサイトから受講を申し込めます。協会や保健所に申込用紙が置いてある場合には、窓口から申し込めます。申し込みを完了すると、受講票が届きます。

なお受付は申込順とされているため、定員に達すると希望する日時や場所で受講できない可能性があります。早めに申し込むことはもちろん、受講可能な日時・会場をいくつか記入しておくようにしましょう。

講習会に参加する

受講票と記載された物を持参して、会場へ向かいましょう。例えば東京都の食品衛生責任者養成講習会では、講習内容が次の3つに分かれています

  • 食品衛生法(2時間):食品衛生法の全体像と自主的な衛生管理
  • 公衆衛生学(1時間):環境衛生と労働衛生などに
  • 食品衛生学(3時間):主要な食中毒や健康被害、食品事故と原因

講習会は午前から始まり、昼食休憩を挟んで夕方に終了しますので、1日で資格を取得できます。

参考:東京都福祉保健局「食品衛生責任者」

修了試験に合格する

講習会によっては、最後に修了試験が設けらている場合があります。修了試験に合格すると、受講修了証(食品衛生責任者手帳)が交付されます。修了書こそが、食品衛生責任者の資格を証明してくれます。

試験といっても、講義内容をメモしておけば合格可能なレベルです。ただし重要なポイントだけをかいつまんで講義されますので、資格取得後にも必要に応じて講義内容を復習するようにしましょう。

食品営業許可の申請と更新

食品営業許可の申請と更新

食品衛生責任者の資格を取得ても、食品営業許可の申請・更新をしないと営業許可が下りません。食品営業許可証の設置に関して細かい指定があるので、事前に確認するようにしてください。

食品営業許可の申請

食品営業施設を開業する際には食品営業許可の申請が必要です。例えば奈良県では、食品衛生責任者養成講習会の修了証を含む以下の書類提出が求められます。

  • 食品衛生責任者養成講習会の修了証
  • 営業許可申請書
  • 施設の平面図
  • 施設付近の地図
  • 水質検査結果
  • 登記事項証明書
  • 申請手数料
  • 印 鑑(法人による申請の場合

参照:奈良県「飲食店営業を始められる方へ」

必要書類と申請手数料を保健所へ提出すると同時に、施設の検査日を予約することになります。検査日に保健所担当者が店舗を訪れて、設備や器具の基準に基づいて立ち入り検査を受けます。問題がないと判断されれば、晴れて「食品営業許可証」が発行されます。

検査に合格できない場合には、不備に応じて施設の修正工事や器具の購入が必要になります。店舗のデザイン段階で内装業者とよく打ち合わせすることはもちろん、内装工事を行う前に保健所に図面を確認してもらいましょう。

食品営業許可証の設置

食品営業許可証が発行されたら店舗や事務所内にプレート(食品衛生責任者の氏名)を掲示するように、各自治体の条例で定められています。許可証やプレートの設置方法について、管轄する自治体の公式Webサイトで情報を確認しましょう。

なお養成講習会の受講が免除された場合でも、食品衛生責任者の氏名を掲示するプレートを作製する必要があります。

実務講習の定期受講

食品営業許可証を一度取得しても、手続きは終わりません。食品衛生法施行規則により、食品衛生責任者が定期的に実務講習を受講する努力義務が定められています。実務講習の目的は、衛生管理等の最新の知見を習得し食品衛生の普及啓発を図るためで。

講習会の時間は2時間程度で内容は自治体により異なりますが、大まかな内容は下記のとおりです。

  • 食品衛生の動向・最新の知見
  • 食品衛生法と関係法規
  • 食中毒の予防対策

自治体ごとに定められた営業許可の有効期間に則り、実務講習を受講する必要があります。保健所又は食品衛生協会から通知が届いたら必ず受講して、食品の安全性確保に係る知識の習得に努めましょう。

参考:厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」

食品衛生責任者に関してよくある質問

食品衛生責任者に関してよくある質問

食品衛生責任者と食品営業許可の仕組みを解説しましたが、初めて資格を取得する際にはまだまだ不明点がありますよね。今回の記事の最後に、食品衛生責任者に関してよくある質問と答えをご紹介します。

複数の施設で兼任できる?

いいえ。基本的に複数の施設において食品衛生責任者を兼任できません

一部の例外として、同じ建物内で店舗が隣接している場合や衛生上支障がないと認められる小規模施設などにおいて、兼任が認められる場合があります。各自治体の判断になりますので、保健所に相談してください。

プレートの掲示方法は?

食品衛生責任者の氏名を記載したプレートの提示方法は、自治体ごとに定められています

例えば札幌市では、営業施設内の外来者から見やすい場所にプレート(縦23cm以上、横5cm以上)を掲示しなくてはなりません。衛生協会に依頼すれば、有料で作製可能です。

参照:札幌市「食品衛生責任者」

修了証を紛失したらどうする?

修了証を紛失したら、再発行の手続きが必要です。各自治体の公式Webサイトで必要書類を確認しましょう。

例えば熊本県では再発行手数料1000円が必要です。窓口で申請できない場合には、発送手数料1000円を支払うことで郵送してもらえます。

参考:熊本県食品衛生協会「Q.食品衛生責任者修了証書の再発行について」

資格を取得した都道府県以外でも使える?

はい。1997年以降に発行された食品衛生責任者の資格は、全国で使えます。食品衛生責任者養成講習会が1997年から全国的に標準化されたからです。

1996年以前に取得された資格に対する各自治体の対応は異なりますので、管轄する保健所に問い合わせてください。

参照:京都福祉保健局「食品衛生責任者」

修了証に有効期限はある?

いいえ。修了証に有効期限はありません。一度取得すれば使用し続けることができますので、食品営業を始める場合には、早めに取得しましょう。ただし店舗において食品衛生責任者を変更する場合は更新手続きが必要です。

また店舗の「営業許可証」には有効期限がありますので、ご注意ください。定期的な更新に伴い実務講習の受講が必要になります。

法令を遵守して食品衛生責任者の資格を取得しよう!

法令を遵守して食品衛生責任者の資格を取得しよう!

自治体ごとの違いもありますが、食品衛生責任者養成講習会の申請方法や講義内容は標準化されています。開業する食品営業施設において「食の安全」を守るという役割を理解したうえで、法令を遵守しながら食品衛生責任者の選任と設置を進めましょう。

なお食品開業に必要な資格について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

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監修者

IDEAL編集部

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