2022.12.10  2022.12.08|店舗運営ノウハウ

店舗賃貸契約の連帯保証人とは?保証会社の利用料・審査・メリット・デメリット

店舗賃貸契約の連帯保証人とは?保証会社の利用料・審査・メリット・デメリット

本記事で、店舗賃貸契約の連帯保証人について解説します。連帯保証人がいないときに利用できる保証会社の利用料や審査、メリット・デメリットなどもご紹介します。

「連帯保証人がいないけど店舗物件を借りられる?」「保証会社の審査内容を知りたい!」とお悩みではありませんか?店舗の開業や移転、リニューアルなどを検討している方はぜひご覧ください。

店舗賃貸契約の連帯保証人とは?

店舗賃貸契約の連帯保証人とは?

店舗物件の賃貸借契約における連帯保証人とは、賃借人に代わって義務(賃料支払いや退去時の原状回復など)を果たす人です。基本的に店舗物件を賃借するためには連帯保証人を立てる必要がありますので、基本事項をご確認ください。

連帯保証人が義務を負う範囲

連帯保証人が義務を負う範囲は、店舗物件の借主とほぼ同等です。例えば借主が賃料を滞納する場合には、連帯保証人が代わりに賃料を支払う義務を負います。賃料以外にも、退去時の原状回復工事などの義務もあります。

ただし必ずしも借主と同じ額を支払う訳ではありません。2020年4月の民法改正により、「極度額」(支払わなければならない上限)の設定が定められたからです。今後の判例によって極度額の基準が作られますが、賃料2年分を極度額とする事例があります。

参考:法務省「パンフレット(保証)

連帯保証人の条件

連帯保証人の条件として、経済力がある点と借主と生計を共にしていない点が挙げられます。連帯保証人は誰でもなれる訳ではなく、審査があります。借主の債務を代わりに返済できる能力がなければ、連帯保証人として不十分だからです。

経済力がある点については、代わりに賃料を支払えるだけの安定した収入があると審査に通りやすいです。賃料が高ければ、審査のハードルが高くなります(求められる収入も高くなります)。

また生計を共にしていない点について、同居する配偶者は連帯保証人として認められません。夫婦が異なる職場で働いているとしても、互いの病気や怪我などに影響を受けるからです。

連帯保証人がいないときの対処法

条件に当てはまる連帯保証人がいない時の対処法として、不動産屋に相談する方法や保証金の積み増し、サブリース物件、保証会社を利用する方法などがあります。まずは不動産屋に、連帯保証人なしで契約できる物件を探してもらいましょう。

また貸主と交渉して保証金を積み増しすることで、連帯保証人を立てずに契約してもらえる場合があります。さらにサブリース物件(「貸主から物件を賃借した借主」が他者に転貸する物件)なら、保証人を立てる必要がありません。

上記の方法で希望条件に合う物件が見つからなければ、保証会社を利用しましょう。

店舗賃貸契約に利用できる保証会社

店舗賃貸契約に利用できる保証会社

店舗物件の賃貸借契約に連帯保証人を立てられない場合には、保証会社の利用が一般的です。最初から保証会社利用を契約条件とする貸主もいます。店舗物件の賃貸借契約に利用できる保証会社の特徴や利用方法を確認しましょう。

保証会社とは?

店舗賃貸借契約に利用できる保証会社とは、物件の借主から保証委託料を受け取ることで代わりに弁済を行う会社です。例えば借主が家賃を滞納した場合に、保証会社が立て替えます。あくまで立て替えですので、保証会社への返済が必要です。

保証会社の種類

保証会社は、以下の3種類(信販系と協会系、独立系)に大別されます。保証会社ごとに利用条件や審査方法が異なるので、特徴を理解したうえで選択してください。

種類概要特徴
信販系信販会社が運営している
(クレジットカード会社など)
利用するための審査が厳しい
協会系賃貸保証協会に加盟している協会のネットワークで審査を行う
独立系信販系や協会系と異なる独自審査を行う信販系や協会系より審査に通りやすい

ただし借主が自由に保証会社を選べない契約もあります。各借主が自由に保証会社を選ぶと、貸主側の対応が煩雑になるからです。保証会社を指定される契約では、不動産屋や貸主の説明に基づいて利用手続きをしましょう。

保証内容

店舗物件を賃貸借契約に対して保証会社から保証される内容は、下記のとおりです。

  • 賃料(管理費や共益費、更新料、駐車場料金などを含む)
  • 原状回復費用(借主が退去する際に物件を元の状態に戻す費用)
  • 違約金(予定よりも早期に退去する場合など)
  • 訴訟にかかる費用(督促に応じない借主に対して貸主が訴える場合など)
  • 残置物処理費用(強制的な立ち退き時など)

ただし保証の内容や条件が契約書に記載されますので、契約前にご確認ください。保証内容を理解していないと、思わぬ出費を招く恐れがあるので注意しましょう。

サービス利用料

保証会社のサービス利用料は、2種類(初回利用料と更新料)に分けられます。初回利用料の相場は賃料1ヶ月分(管理費等含む)の30%〜100%程度です。連帯保証人を付けると、初回利用料が下がります。連帯保証人を付けることで信頼度が上がるためです。

更新料の相場は、数万円もしくは賃料1ヶ月分(管理費等含む)の10%〜30%程度です。更新頻度は、保証会社によって1~2年程度です。初回利用料が高く更新料無料のプランもありますので、各保証会社の料金体系をご確認ください。

審査

保証会社による審査を通過しないと、店舗物件の賃貸借契約に対する保証を受けられません。審査の流れや基準、書類を把握しておきましょう

審査の流れ

保証会社による審査の流れは、以下の通りです。申し込みから契約までに数日〜数週間かかります。

  1. 申し込み
  2. 書類審査
  3. 契約手続き

まずは保証会社に審査を申し込み、審査書類を提出します。保証会社によって審査書類は異なります。

次に提出した書類を基に、審査が行われます。本人確認の電話連絡に出られなかったり、追加資料が必要になったりすると、審査期間が長引きます。保証会社からの連絡にすぐ対応しましょう。なお基本的に審査の内容や合否の理由については、明らかにされません。

そして審査を通過できれば、契約手続きを進めます。契約時に入金を求められますので、事前に支払い準備をしておきましょう。

審査の基準

保証会社による審査の基準は、主に借主の経済力(賃料の支払い能力や滞納リスク)と店舗物件の賃料です。支払い能力が低かったり、滞納リスクが高かったり、賃料が高かったりすると、保証会社が貸主に対して損失を埋めなくてはならなくなるからです。

そのため店舗物件の賃貸借契約に対する保証を申し込むと、借主の収入または開業資金が確認されます。また保証会社によって審査基準が異なり、信販系の保証会社にはクレジットカードや税金などの滞納歴を、協会系の保証会社には家賃の滞納歴を確認されます。

なお保証会社による審査は、店舗物件の入居審査とは異なります。入居審査では、不動産屋や貸主により、人柄や事業方針なども確認されます。保証審査だけではなく、入居審査にも通ると初めて店舗物件の賃貸借契約を結べる点にご注意ください。

審査される書類

審査される書類は保証会社によって異なりますが、基本的に身分証や印鑑証明などが必要です。使用できる身分証は運転免許証やパスポート、マイナンバーカード、健康保険証などです。

個人事業主か法人かによって、保証会社に審査される書類が異なります。個人事業主が求められる書類に加えて、法人には会社の謄本などが必要です。スムーズに審査が進むように、保証会社から提出を求められる書類を漏れなく準備しましょう。

他にも店舗経営の計画や実績などを確認できる書類(事業計画書や決算書、通帳の写しなど)を求められる場合もあります。店舗経営に活用できる事業計画書の書き方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗の賃貸契約で保証会社を利用するメリット

店舗の賃貸契約で保証会社を利用するメリット

保証会社の特徴と利用方法を把握できたら、店舗の賃貸契約で保証会社を利用するメリットを確認しましょう。メリットを理解したうえで、保証会社の利用をご検討ください。

賃借できる物件の選択肢が広がる

保証会社の利用には、まず賃借できる物件の選択肢が広がるメリットがあります。保証会社を利用することで、貸主に対して賃料滞納リスクの少なさをアピールできるからです。

連帯保証人を立てられなかったり、開業したばかりで信用力が弱かったりしても、保証会社の審査に通ることで貸主から信用を得やすくなります。店舗に対する信用力を強化するためにも、保証会社の利用を検討しましょう。

敷金・礼金の値引きを交渉しやすい

また敷金・礼金の値引き交渉をしやすい点も、保証会社を利用するメリットです。敷金・礼金は、賃料滞納リスクに備えて貸主により設定される金銭です。保証会社を利用することで賃料滞納リスクが下がるため、敷金・礼金を値引きしてもらいやすくなります。

敷金・礼金の値引きにより借主だけがメリットを得るわけではなく、貸主も入居者を募集しやすくなります。初期費用を抑えたいなら、不動産屋や貸主に相談してみましょう。

連帯保証人とのトラブルを回避できる

さらに保証会社を利用することで、連帯保証人とのトラブルを回避できます。保証会社を利用すれば、身近な人に迷惑をかけるリスクがなく、保証会社とのやり取りに集約できます

連帯保証人を立てる場合には、店舗物件に対して連帯保証人が極度額まで債務を負います。賃料の滞納や退去時のトラブルが発生すると、連帯保証人との信頼関係が壊れる恐れがあります。

店舗の賃貸契約で保証会社を利用するデメリット

店舗の賃貸契約で保証会社を利用するデメリット

保証会社の利用にメリットがある一方で、デメリットも存在します。メリットを生かすために、店舗の賃貸借契約で保証会社を利用するデメリットを対策しておきましょう。

滞納した費用の返金が必要になる

保証会社に店舗物件の賃貸借契約を保証してもらっても、滞納した費用の返金が必要になります。連帯保証人は代わりに債務を負いますが、保証会社は立て替えを行うのみです。建て替えたあとには、保証会社から督促状が届きます。

滞納した費用を保証会社に返金できないと、信用に傷がついて次の物件を借りる審査に通らなくなったり、保証会社との訴訟に発展したりする恐れがあります。「代わりに払ってくれるから大丈夫」と思わずに、計画的な資金繰りを行いましょう。

サービス利用料がかかる

またサービス利用料がかかる点も、保証会社を利用するデメリットです。店舗物件を借りるために必要な料金ですが、賃貸借契約中に途中解約できません

もちろん賃料を払えなくなった場合に立て替えてもらえますが、黒字経営を続けている間はサービスの恩恵を受けることがありません。また連帯保証人を立てられるのに保証会社の利用を義務付けられると、不要なサービス料を支払うことになります。

連帯保証人が必要な場合がある

さらに保証会社を利用するにもかかわらず、連帯保証人が必要な場合があります。保証会社に対して連帯保証人が必要な場合だけではなく、店舗物件の貸主から連帯保証人と保証会社を求められる場合もあります。

例えば賃料が高い物件の場合(滞納リスクが高い場合)に、保証会社から連帯保証人を求められます。また法人として店舗物件を借りる場合に、保証会社の利用だけではなく連帯保証人(店舗経営者)を求められます。

保証会社や貸主によって審査基準や契約条件は異なりますので、契約前に契約の内容や条件を確認しましょう。

内容や条件を理解して保証会社を利用しよう!

連帯保証人が立てられない場合には、保証会社を利用することで店舗物件の賃貸借契約が可能です。保証の内容や契約の条件、メリット・デメリットなどを理解したうえで、保証会社を利用しましょう。

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監修者

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