2023.09.01  2023.09.11|店舗運営ノウハウ

食品衛生管理者資格の取得方法!食品衛生責任者との違いや活用できる業態

食品衛生管理者資格の取得方法!食品衛生責任者との違いや活用できる業態

本記事で、食品衛生管理者資格の取得方法を解説します。食品衛生責任者との違いや活用できる業態もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

食品衛生管理者の資格とは?

食品衛生管理者の資格とは?

食品の製造や加工を行う事業者に設置が求められる食品衛生管理者。混同されやすい食品衛生責任者との違いはあるのでしょうか?食品衛生管理者の目的やできること、要件、メリット・デメリットを確認しましょう。

目的

まず食品衛生管理者資格を取得する目的は、食品や添加物の製造・加工における衛生的な管理です。食品衛生法で定めた食品や添加物(調製粉乳や魚肉ハム、マーガリンなど)の製造・加工を行う営業者は、専任の食品衛生管理者を設置しなければなりません。

食品衛生管理者を設置する営業者は、15日以内に都道府県知事(保健所)に届け出る必要があります。食品衛生管理者資格の取り方については、後ほどご紹介します。

参照元:厚生労働省「食品衛生管理者」

できること(役割や仕事内容)

次に食品衛生管理者資格でできること(役割や仕事内容)は、食品製造・加工施設における食品衛生管理の徹底と従業員の健康管理です。食中毒防止のために、従業員に対する正しい知識の伝達も求められます。

調製粉乳や魚肉ハム、マーガリンなどの製造・加工においては、食品衛生管理の徹底が求められます。万が一にも食中毒が発生した場合には、食品衛生管理者による迅速な対応が必要です。

要件

また食品衛生管理者資格の要件は、食品衛生法によって定められています。

  • 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
  • 大学や専門学校で、医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を卒業した者
  • 都道府県知事の登録を受けた養成施設において所定の課程を終了した者
  • 高等学校の卒業又は同等以上の学力を認められ、食品や添加物の製造・加工の衛生管理業務に3年以上従事し、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者

参照元:厚生労働省「食品衛生管理者」

食品衛生責任者資格との違い

そして食品衛生管理者資格と食品衛生責任者資格との違いは、認定機関と対象となる食品です。食品衛生責任者資格は都道府県によって認定されますが、食品衛生管理者資格は厚生労働省によって認定されます。

また食品衛生管理者資格は食品衛生法に定められた特定の食品や添加物(調製粉乳や魚肉ハム、マーガリンなど)を対象としますが、食品衛生責任者資格は店舗や工場などで製造・販売される食品を対象とします。

食品衛生責任者の役割と設置についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

メリット・デメリット

なお食品衛生管理者資格のメリットとして、食品衛生法に定められた食品や添加物の製造・加工を行うことができるようになります。食品衛生法に定められた特定の食品や添加物を製造・加工するために必須となる国家資格です。

一方で資格を取得するコストや責任からくるストレスは、食品衛生管理者資格のデメリットです。食品衛生管理者として配置される従業員には、食中毒防止や食品衛生管理教育の重大な責任が伴います。

食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設

食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設

食品衛生管理者資格の基本情報を踏まえたうえで、食品衛生管理資格を活用できる食品営業施設も確認しましょう。本記事では、食品製造施設と給食施設、食品製造販売店、飲食店における食品衛生管理者資格の活用方法をご紹介します。

食品製造・加工施設

まず食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設として、食品製造・加工施設が挙げられます。食品製造・加工施設の仕事内容には、出荷する食品の製造・加工だけではなく、新商品の開発や改良なども含まれます。

特に食品衛生法に定められた特定の食品・添加物(調製粉乳や魚肉ハム、マーガリンなど)の製造・加工には、法的に食品衛生管理者による徹底した衛生管理と従業員教育が必須です。

ただし食品衛生法に定められた特定の食品・添加物以外の製造・加工においては、食品衛生管理者の設置は求められません。

食品製造販売店

次に食品製造販売店も、食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設です。製造販売する食品の種類(お菓子やお惣菜、パンなど)によっては、食品衛生管理者資格は求められません。

ただし食品製造販売店の開業には、食品衛生責任者の設置と食品営業許可が必要です。食品衛生管理者資格を所持する従業員を配置すれば、食品衛生責任者を兼務することができます。

参照元:奈良県「食品の製造・販売等をはじめられる方へ」

したがって食品衛生管理者資格を所持する従業員が、食品製造販売店の食品衛生管理や従業員教育を担うことができます。パン屋を開業する流れやリスクをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

給食施設

また給食施設も、食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設です。給食施設の開業には、HACCPに沿った衛生管理や届出・許可、食品衛生責任者の設置が求められます。つまり食品衛生管理者資格は、法的に必須ではありません。

参照元:徳島県「集団給食施設を設置・管理・調理従事されるみなさまへ」

しかし給食施設においても、食中毒対策が必要です。特に高齢者や乳幼児に食事を提供する給食施設においては、食品衛生管理を怠ると重大な被害を引き起こす恐れがあります。万が一にも食中毒事故を引き起こしてはなりません。

そこで食品衛生管理者資格を所持する従業員を配置することで、食品衛生責任者を兼務できます。

飲食店

そして飲食店も、食品衛生管理者資格を活用できる食品営業施設です。飲食店の営業許可には食品衛生責任者の設置は法的に必須ですが、食品衛生管理者の資格は求められません。

参照:奈良県「飲食店営業を始められる方へ」

しかし食品衛生管理者資格を所持する従業員を配置することで、食品衛生管理の徹底が可能です。食品衛生管理者は、食中毒の予防や乳製品・食肉・添加物の製造加工などに関する専門的な知識を有しています。

参照元:厚生労働省「食品衛生管理者及び食品衛生監視員の登録養成施設並びに食品衛生管理者の登録講習会の登録等について」

したがって食品衛生管理者資格を所持する従業員の在籍する飲食店においては、食品衛生責任者として配置することが有益です。飲食店開業の流れと準備をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

食品衛生管理者資格の取り方

食品衛生管理者資格の取り方

食品営業施設に食品衛生管理者を配置するなら、事前に資格の取り方を確認しましょう。医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の免許取得と食品衛生管理者養成施設、食品衛生管理者登録講習会による資格の取り方をご紹介します。

医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の免許取得

まず食品衛生管理者資格の取り方として、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師の免許取得が挙げられます。食品衛生法において、食品衛生管理者資格の要件が定められています。

参照元:公益社団法人日本食品衛生協会「食品衛生にかかわる資格」

また医師は医師国家試験に、歯科医師は歯科医師国家試験に、薬剤師は薬剤師国家試験に、獣医師は獣医師国家試験に合格しなければなりません。医師と歯科医師、薬剤師の免許は厚生労働省の、獣医師は農林水産省の管轄です。

そして学校教育法に基づく大学や専門学校において、医学や歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業することでも、食品衛生管理師資格を取得できます。

食品衛生管理者養成施設

次に食品衛生管理者養成施設も、食品衛生管理者資格の取り方です。基本的に4年制大学の学部に養成課程が設置されており、4年間のカリキュラムが編成されています。

参照元:厚生労働省「食品衛生管理者」

また食品衛生管理者養成施設の授業料は、4年間で数百万円になります。授業料に加えて、教材費や交通費なども必要です。各養成施設ごとに異なりますので、事前に確認しましょう。

なお食品衛生管理者養成施設で学ぶためには、入学試験に合格する必要があります。入学試験の条件や内容は、社会人や留学生、学生などによって異なりますので、事前に確認してください。

食品衛生管理者登録講習会

また食品衛生管理者登録講習会も、食品衛生管理者資格の取り方です。高等学校を卒業し、食品衛生管理者を設置しなければいけない施設で衛生管理業務に3年以上従事した者が、参加できます。

食品衛生管理者登録講習会は、都道府県知事の登録を受けて、食肉製品製造や添加物製造などの業種ごとに開催されます。数か月間のオンラインや数日間の対面の形式があり、参加費用は数十万円程度です。

参照元:

公益社団法人日本食品衛生協会「令和5年『食品衛生管理者の登録講習会』開催のご案内」

公益社団法人全国食肉学校「食品衛生管理者登録講習会の受講申込ご希望の方へ」

上記のWebページにて、食品衛生管理者登録講習会の各実施団体により、申込方法などの情報が発信されています。

参照元:公益社団法人「食品衛生にかかわる資格」

食品営業施設の開業に必要な資格・届出・許可

食品営業施設の開業に必要な資格・届出・許可

食品衛生管理者資格の取り方だけではなく、食品営業施設に必要な資格・届出・許可も押さえましょう。本記事では、食品衛生責任者資格と食品営業許可、菓子製造技能士、調理師、栄養士・管理栄養士、お酒に関する資格についてご紹介します。

食品衛生責任者の資格と食品営業許可

まず食品衛生責任者の資格と食品営業許可は、全ての食品営業施設の開業に必要です。食品衛生責任者とは、「食品の製造・販売を行う営業施設において食品衛生管理業務を統括する役職」です。

食品衛生責任者資格の取得方法は、養成講習会の受講または食品関連資格の取得です。養成講習会は各自治体ごとに対面やオンラインで開催されています。食品関連資格には、調理師や栄養士、衛生管理者などが含まれています。

また食品営業許可を取得するためには、設備や器具の基準に基づいた立入検査に合格しなければなりません。食品衛生責任者資格と食品営業許可についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

菓子製造技能士の資格

次に菓子製造技能士の資格は、菓子を製造する食品営業施設の開業に必要です。「技能検定」に合格すると与えられる国家資格です。「技能検定」とは、働く人の技能を一定の基準によって検定して国が証明する制度です。

菓子製造技能検定を受験するためには、一定の年数の実務経験が必要です。1級と2級の受験資格には、細かい違いがあります。各都道府県の職業能力開発協会を通じて、都道府県知事宛に手数料を納付します。

開催時期は変更される年もありますが、通例では年度後期に開催されています。試験の形式には、学科と実技があります。

参照元:日本菓子教育センター「菓子製造業の資格とスキルアップ」

調理師の免許

また調理師の免許は、調理された飲食物を提供する食品営業施設の開業に必要です。法的には飲食店の開業に必須ではありませんが、調理技術や食品に関する知識を得られます。菓子製造技能士と同様に、調理師免許も国家資格です。

調理師免許の取得方法には、学校と国家試験があります。専門学校や大学の調理師養成課程では、専門的な知識と技術について基礎から学べます。専門学校の養成課程は、最短1年間です。短期大学や大学の養成課程は2〜4年間です。

調理師国家試験の受験資格は、飲食店などでの2年以上の実務経験です。現場で働きながら知識と技術を習得できますが、自分自身で試験対策を進めなくてはなりません。

参照元:京都調理師専門学校「調理師(料理人)になるには」

栄養士・管理栄養士の資格

そして栄養士・管理栄養士の資格も、飲食店などの食品営業施設の開業に必要です。栄養士・管理栄養士は、栄養士法に定められた国家資格です。法的には飲食店開業に必須ではありませんが、食品衛生責任者を兼務できます。

参考:一般社団法人京都市食品衛生協会「食品衛生責任者とは? 」 

管理栄養士は厚生労働大臣に、栄養士は都道府県知事に管轄されています。管理栄養士施設や栄養士施設に入学し、所定の単位を取得して卒業すると、資格を取得できます。履修内容が多く、実習が伴うため、夜間や通信のコースはありません。また栄養士の実務経験を積むと、管理栄養士国家試験の受験資格を得られます。

参照元:日本栄養士会「管理栄養士・栄養士とは」

なお条件に当てはまる病院や介護施設、給食施設などに対しては、管理栄養士・栄養士の配置が義務づけられています。

参照元:公益社団法人日本栄養士会「管理栄養士・栄養士配置規定」

お酒に関する資格

さらにお酒に関する資格も、飲食店などの食品営業施設の開業に必要です。飲食店開業に必須ではありませんが、メニューや接客の質を上げるために、以下の資格を活用できます。

  • ソムリエ
  • ジャパンビアソムリエ
  • びあけん
  • ビアアドバイザー
  • ビアテイスター
  • 唎酒師
  • 日本酒検定
  • 焼酎唎酒師
  • カクテル検定

ただし飲食店の業態に応じて、活用できる資格が異なります。取り扱うお酒(ワインやビール、日本酒、カクテルなど)に当てはまる資格を選びましょう。

以上のお酒に関する資格だけではなく、調理やコーヒー製造、税務、財務、社会保険、労務管理に関する資格やスキルもまとめてありますので、次の記事も併せてください。

食品衛生管理者の資格取得を検討しよう!

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監修者

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