2024.08.05  2024.06.30|店舗運営ノウハウ

サーキュラーデザインの店舗とは?プロセス・ポイント・事例を紹介

サーキュラーデザインの店舗とは?プロセス・ポイント・事例を紹介

本記事で「サーキュラーデザインの店舗とは?」という疑問にお答えするために、サーキュラーデザインのプロセスやポイント・事例をご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

サーキュラーデザインとは?基本情報を紹介

サーキュラーデザインとは?基本情報を紹介

サーキュラーデザインとは、サーキュラーエコノミーを実現させる手段です。メリット・デメリット、エコデザイン・サステナブルデザインとの違い、『持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(書式)をご紹介します。

サーキュラーエコノミーを実現させる手段

サーキュラーデザインとは、サーキュラーエコノミーを実現させる手段です。サーキュラーエコノミーとは、資源の3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加えて、価値の最大化や消費の最小化、廃棄物の発生抑止を目指す循環型の経済活動です。

参照元:環境省「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」

そこでサーキュラーエコノミーを実現させる手段として、店舗の商品・サービスや建築などにサーキュラーエコノミーが求められています。サーキュラーデザインによるサーキュラーエコノミーを目指している店舗の事例については、後ほどご紹介します。

メリット・デメリット

次にサーキュラーデザインのメリットは、環境保護への貢献やブランディングなどが挙げられます。資源を循環させる経済活動により環境保護に貢献できれば、企業のブランディングが可能です。

しかし商品・サービス開発のコストや制限などは、サーキュラーデザインのデメリットです。従来よりも資源の循環や廃棄物の削減を増やす商品・サービスを開発するためにはコストがかかり、デザイン性や機能性に制限がかかります。

エコデザイン・サステナブルデザインとの違い

それからサーキュラーデザインとエコデザイン・サステナブルデザインとの違いは、自然環境に対するアプローチです。

  • サーキュラーデザイン:資源の循環率を高める商品・サービスのデザイン
  • エコデザイン    :環境負荷を低減させた商品・サービスのデザイン
  • サステナブルデザイン:持続可能性を向上させた商品・サービスのデザイン

サステナブルな店舗をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

『サーキュラーデザイン:持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』

そして『サーキュラーデザイン:持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』は、個人や企業、組織がサーキュラーデザインを取り入れるための手引書です。

  • 著者 :水野大二郎と津田和俊
  • 出版社:学芸出版社
  • 出版年:2022年
  • 内容 :サーキュラーデザイン理論に至る歴史的変遷、衣食住が抱える課題と取組み・認証・基準、実践例、実践の為のガイドとツール

参照元:学芸出版社「サーキュラーデザイン:持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス」

サーキュラーデザインの3原則とプロセス

サーキュラーデザインの3原則とプロセス

基本情報だけではなく、サーキュラーデザインに対する理解を深めるために、3原則(廃棄物・汚染物の排除と製品・材料の循環、自然の再生)とプロセス(理解・定義・創る・世に出す)も確認しましょう。

原則①廃棄物と汚染を排除する

まずサーキュラーデザインの原則①として、廃棄物と汚染を排除しましょう。従来的な経済(直線的な経済)においては、資源を採取して、商品・サービスのために消費したあとに、廃棄してきました。しかし地球上の有限な資源を使い果たしてしまいます

そこでサーキュラーエコノミを実現させるためには、サーキュラーデザインの商品・サービスを開発する際に、廃棄物と汚染の排除が必要です。具体的には、商品の包装材やサービス提供に伴う排水などを減らさなくてはなりません。

参照元:エレン・マッカーサー財団「循環型経済とは何か?」

原則②製品や材料を(最高の価値で)循環させる

次にサーキュラーデザインの原則①として、製品や材料を(最高の価値で)循環させてください。資源を製品として長期的に使用し続けて、使用できなくなった製品を資源として活用しなければなりません。

例えばスマートフォンを製造販売する際には、耐久性が高くて環境負荷の低い製品を開発します。木綿の衣服や木製の家具を使用できなくなった際には、他の製品の材料や土壌の肥料などとしての再利用が可能です。

参照元:エレン・マッカーサー財団「循環型経済とは何か?」

原則③自然を再生する

そしてサーキュラーデザインの原則③として、自然を再生させなければなりません。直線型の経済では、土壌や大気を汚染する方法が採用されており、有限の資源を使い果たしてしまうからです。

自然には、自ら再生するシステムが構築されています。そこで農業においては、合成肥料を使用しないで、炭素を吸収する土壌を保たなければなりません。海洋養殖業においても、自然に優しい方法が必要です。

参照元:エレン・マッカーサー財団「循環型経済とは何か?」

プロセス①Understand(理解する)

続いてサーキュラーデザインのプロセス①は、Understand(理解する)です。まずは従来型の経済(直線的な経済)の問題点や循環型の経済に必要なサーキュラーデザインについて理解しましょう。

商品の製造をしている企業においては、商品の販売からサービスへの転換を検討したり、商品を分解して再利用できる部品を分析したりしてください。また自然が自ら再生する方法を学べば、商品・サービスの製造や販売に活用できます。

参照元:エレン・マッカーサー財団「方法」

プロセス②Define(定義する)

それからサーキュラーデザインのプロセス②は、Define(定義する)です。直線的な経済から循環型の経済に転換するために、プロジェクトチームを立ち上げて、商品・サービスの課題を定義しましょう。

商品・サービスの製造や販売においては、循環型経済に活用できる資源の種類や調達先を探し、小さな取り組みから開始します。社会的な信頼を得るためには、顧客に対するメッセージの作成も重要です。

参照元:エレン・マッカーサー財団「方法」

プロセス③Make(作る)

さらにサーキュラーデザインのプロセス③は、Make(作る)です。定義した課題を解決するために適した資源を選択し、試作品を作りましょう。商品・サービスをリリースするまでに、試作品に対するフィードバックを分析して改良を重ねてください

試作品に対するフィードバックを分析する際には、サーキュラーデザインの3原則に基づいて、コンセプトの達成状況を評価します。コンセプトを実現させるためには、社外のサポーターやパートナーが重要です。

参照元:エレン・マッカーサー財団「方法」

プロセス④Release(世に出す)

なおサーキュラーデザインのプロセス④は、Release(世に出す)です。循環型の経済においては、リユースやリサイクルの方法を明確にしたうえで、商品・サービスを販売しましょう。

商品・サービスをリリースしてからも、商品・サービスの寿命を伸ばしたり、資源の循環率を高めたりするために、フィードバックの分析と改良が必要です。顧客からの信頼やパートナー・サポーターを獲得できるように、メッセージを発信してください。

参照元:エレン・マッカーサー財団「方法」

サーキュラーデザインのポイント

サーキュラーデザインのポイント

3原則とプロセスを踏まえたうえで、サーキュラーデザインのポイントを押さえましょう。6点(内部ループの設計と製品からサービスへの転換、製品の寿命、安全に循環できる資源の選択、デジタル化、モジュール化)をご紹介します。

内部ループの設計

まず内部ループの設計が、サーキュラーデザインのポイントとして挙げられます。資源を循環させる方法には、技術的なサイクル(リユースやリサイクルなど)と生物学的サイクル(堆肥化やなど)があります。

参照元:エレン・マッカーサー財団「製品や資材を循環させる」

そこで開発する商品・サービスに応じて、資源を循環させる方法を検討しましょう。店舗経営において商品・サービスを企画・開発するプロセスをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

商品からサービスへの転換

次に商品からサービスへの転換も、サーキュラーデザインのポイントです。商品からサービス(サブスクリプションやシェアリング、リース・レンタルなど)に転換することで、資源の無駄や自然環境への負荷を削減できます。

参照元:エレン・マッカーサー財団「デザインと循環型経済 – 深掘り」

例えば自動車のシェアリングサービスは、自動車の保有台数を減らして、二酸化炭素排出量の削減にもつながります。他にも音楽のサブスクリプションサービスやICT機器のリース・レンタルなどのサービスも可能です。

製品の寿命

それから製品の寿命も、サーキュラーデザインのポイントです。製品の寿命が長くなるほど、資源を有効に活用できます。部品の耐久性を高めたり、修理しやすい製品を開発したりしましょう。

参照元:エレン・マッカーサー財団「デザインと循環型経済 – 深掘り」

ただし物理的な耐久性はもちろん、情緒的な耐久性の向上も重要です。大量生産・大量消費の時代には、企業側があえてマイナーチェンジを繰り返して、新しい商品・サービスを促してきたからです。

安全に循環できる資源の選択

続いて安全に循環できる資源の選択も、サーキュラーデザインのポイントです。サーキュラーエコノミーを実現させるために、安全に循環できる資源を選択しましょう。例えば植物由来のバイオプラスチックは、二酸化炭素と水に分解できる資源です。

参照元:環境省「バイオプラスチックとは?」

また店舗経営においては、再生可能エネルギーの利用や省エネルギーの推進も重要です。店舗の省エネ対策の方法とポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

デジタル化

さらにデジタル化も、サーキュラーデザインのポイントです。アナログからデジタルへ移行することで、資源の無駄を減らせます。例えば連絡手段をファックスや手紙から電子メールに移行することで、紙の消費量を削減できます。

参照元:エレン・マッカーサー財団「デザインと循環型経済 – 深掘り」

店舗経営に活用できるデジタルシステムには、オンライン予約システムやデジタルサイネージなどがあります。店舗DXの方法と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

モジュール化

そしてモジュール化も、サーキュラーデザインのポイントです。モジュール化することで、製品の修理や交換がしやすくなり、資源の循環率が高まります

参照元:エレン・マッカーサー財団「デザインと循環型経済 – 深掘り」

例えばスマートフォンをモジュール化すれば、バッテリーやメモリーカードなどの部品ごとの修理や交換がしやすいです。故障したスマートフォンのリサイクルも重要です。

参照元:IDEAS FOR GOOD「サーキュラーエコノミーを実現する、環境に優しいエシカルスマホ『Fairphone3』」

サーキュラーデザイン店舗の参考事例

ポイントを押さえてサーキュラーデザインの店舗を開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点の特徴(古着のリペア・リメイクと循環型の商品販売、サーキュラーエコノミー賞、サーキュラーエコノミーの実現、循環型ビジネス)をご紹介します。

古着のリペアとリメイクを提供するアパレルショップ

古着のリペアとリメイクを提供するアパレルショップ

まず「RE.UNIQLO STUDIO」は、古着のリペアとリメイクを提供するアパレルショップです。愛着のある古着を持参した顧客に対して、リペア(穴や縫い目のほつれなど)やリメイク(刺繍やステッチなど)が提供されています。

「RE.UNIQLO STUDIO」は、日本国内や欧米に展開されています。リペアとリメイクだけではなく、古着のリユースやリサイクルにも対応しているサーキュラーデザイン店舗の参考店舗です。

参照元:

UNIQLO「RE.UNIQLO STUDIO | 服のチカラを、社会のチカラに。」 

 ELEMINIST「服の循環を目指すRE.UNIQLOの新しい挑戦 『UNIQLO古着プロジェクト』POP-UPストア登場」

循環型の商品販売を目指すショッピングセンター

循環型の商品販売を目指すショッピングセンター

次に「イトーヨーカドー」は、循環型の商品販売を目指すショッピングセンターです。羽毛布団やダウンジャケットを回収して、リサイクルグリーンダウンジャケットを製造・販売しています。

イトーヨーカドー以外にも、セブン&アイグループでは、ペットボトルのリサイクルや靴の下取り、自然環境に優しい商品開発・輸送手段、食品ロスの削減などに取り組んでいます。グループの各店舗でサーキュラーデザインを採用している事例です。

参照元:セブン&アイ・ホールディングス「セブン&アイグループが目指す循環型社会。【FRaU1月号掲載記事】 | サステナビリティ」

サーキュラーエコノミー賞を受賞したレストラン

サーキュラーエコノミー賞を受賞したレストラン

それから「ボッテガブルー」は、サーキュラーエコノミー賞を受賞したレストランです。仕入れにおいては有機野菜やフェアトレードなどを採用し、仕込み・調理においては再生可能エネルギーの使用や食品ロスの削減などを推進しています。

自店舗の取り組みだけではなく、提携している業者に対するサポートも重視しています。農業・外食産業への貢献が評価されているサステナブルデザイン店舗の参考事例です。

参照元:芦屋イタリアンBOTTEGA BLU.「ボッテガブルーについて」

サーキュラーエコノミーの実現を目指す商業エリア

サーキュラーエコノミーの実現を目指す商業エリア

続いて「De Ceuvel」は、サーキュラーエコノミーの実現を目指す商業エリアです。アムステルダムにある商業エリア全体に、太陽光発電施設やヒートポンプ、土壌汚染のモニタリングシステムなどが配備されています。

商業エリアでは、クリーンエネルギーを開発するオフィスや藻類からハンバーガーを製造する飲食店などが営業しています。循環型経済の成功事例となるべくサステナブルデザインを取り入れている参考事例です。

参照元:Circular Economy Hub「アムステルダムの官民一体型サーキュラーエコノミー実験区『De Ceuvel』」

循環型ビジネスを目指す家具販売店

循環型ビジネスを目指す家具販売店

そして「IKEA」は、循環型ビジネスを目指す家具販売店です。修理やリユース、リサイクルを念頭に置いて商品を開発し、再生可能な素材やリサイクル可能な素材を使用しています。

サーキュラーエコノミーの実現を目指して、ビジネスパートナーシップの構築も推進しているサーキュラーデザイン店舗の参考事例です。

参照元:IKEA「サーキュラービジネスの実現」

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監修者

IDEAL編集部

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