2023.06.26  2023.07.04|店舗運営ノウハウ

店舗のDXとは?店舗DXの流れ・ポイント・方法・費用・事例を紹介

店舗のDXとは?店舗DXの流れ・ポイント・方法・費用・事例を紹介

本記事で、店舗DXの流れとポイントを解説します。店舗DXの方法や費用、事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗のDXとは?

店舗のDXとは?

そもそも店舗のDXとは、どのような取り組みなのでしょうか?そこで店舗DXの定義と目的、ニーズ、メリット、デメリットについてご紹介します。基本情報を押さえたうえで、店舗DXの推進を検討しましょう。

定義と目的

まず店舗DXの定義は、「デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革」です。DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation=デジタル変革)の通称です。そして店舗DXの目的は、デジタル技術を活用して、店舗経営における業務効率化や生産性向上、競争力の強化などを図ることです。

また経済産業省の資料では、DXが「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

参照元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」(2ページ)

したがってDXの視点は「ビジネス環境」だけではなく、「顧客や社会のニーズ」に向けられています。顧客や社会のニーズに応えるためにビジネスモデルを変革することで、店舗のさらなる成長につなげましょう。なお店舗DXの方法は、2種類(実店舗とオンライン)に分かれますので、後ほどご紹介します。

ニーズ

次に店舗DXのニーズは、消費行動の変化と店舗経営の人手不足のために、年々高まっています。2021年の調査によると、BtoC ECサイトの市場規模は、2013年から2021年までに2倍近く増加しました。今度もECサイトのニーズが高まることが予想され、集客・売上増加のためにはECサイトの運営が必要です。

参照元:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」

また2022年の調査によると、人手不足を実感している企業が過半数を超えています。店舗DXで業務効率化や生産性向上を図ることで、人手不足の解消が必要です。

参照元:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022 年 10 月)」

メリット

また店舗DXのメリットは、サービスの品質や顧客満足度などの向上です。例えばオンライン予約システムやセルフレジなどを導入することで、利便性を高めながらヒューマンエラーを減らせます。そして予約や会計などの業務に充てていた時間を接客に回すことが可能です。

また在庫管理ツールや需要予測ツールなどで適切に発注を管理できると、販売の機会損失や商品の廃棄を減らせます。店舗にも当てはまるDXのメリットについて解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

参照元:IDEALオフィス「オフィスDXとは?オフィスDXのメリット・流れ・方法・事例をご紹介」

デメリット

ただし店舗DXのデメリットとして、導入効果を得るまでに時間がかかる点やデジタルシステム・ツールの導入費用がかかる点などが挙げられます。店舗DXの導入効果を得るまでには、従業員がデジタルシステム・ツールを使いこなす時間がかかります。

またデジタルシステム・ツールの導入には、初期費用や月額利用料などが必要です。導入前に、費用対効果を検討しなくてはなりません。具体的なシステム・ツールの費用について、後ほどご紹介します。

なお店舗DXを進めるうえでは、マーケティングを考慮しなくてはなりません。店舗マーケティングのメリット・デメリットについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗DXを進める流れとポイント

店舗DXを進める流れとポイント

基本情報だけではなく、店舗DXを進める流れとポイントも確認しましょう。ポイントを押さえたうえで、計画(目的と目標から方法、施策、効果測定まで)に沿って、スムーズに店舗DXを進めましょう。

推進計画を立てる

店舗DXを進める流れは、推進計画を立てる作業から開始されます。計画の立案から効果の測定までには時間を要し、コストがかかります。店舗の収益を踏まえて、DXの開始時期を決定しましょう。

またデジタルシステム・ツールの導入を定着させるポイントは、繁忙期の導入を避けることです。繁忙期に営業方法を変えてしまうと、従業員を混乱させる恐れがあります。店舗の年間予定を踏まえて、DXの開始時期を検討してください。

目的と目標を明確化する

次に店舗DXの推進計画を立てる際には、目的と目標を明確化させましょう。店舗経営の課題(人材不足や集客数など)を特定することで、店舗DXの目的が明確になります。目的を明確にすることで、デジタルシステム・ツールの導入効果を得やすいです。

そして店舗DXの目的に対して、具体的な目標を設定してください。目標を設定することで、費用対効果の測定が可能となります。例えば「集客数」を課題とするアパレルショップが、「ECサイトの開設」を目的としてDXを展開するなら、目標として「月間問い合わせ数1,000件」や「月間受注数100件」などを設定します。

適切な方法を選ぶ

それから店舗DXの目的を達成できるように、適切な方法を選びましょう。同じデジタルシステム・ツールでも、機能性や操作性、コストが異なります。予算内に運用できるシステムや従業員の使いやすいツールを選ぶ点が、ポイントです。

なお店舗DXの方法は、実店舗(キャッシュレス決済システムやセルフレジなど)とWeb上(オンライン予約システムやECサイトなど)に導入されます。後ほど具体的なデジタルシステム・ツールをご紹介します。

施策を展開する

続いて適切な方法を選んだら、店舗DXの施策を展開しましょう。店舗DXを成功させるポイントは、従業員への周知徹底です。DXの目的やシステム・ツールの操作方法などを事前に説明して、共通理解を得たうえで施策を展開しなければなりません。

また推進計画に基づいて、デジタルシステム・ツールを導入する業務範囲や時期を徐々に拡大する点も、店舗DXを進めるポイントです。業務範囲や時期を徐々に拡大させることで、少しずつ店舗営業を変革できます。従業員の意見も吸い上げながら、推進計画を立案しましょう。

費用対効果を測定する

店舗DXの施策を展開したら、費用対効果を測定してください。事前に設定した目標の達成度を数値化することが、店舗DXの効果を測定するポイントです。また従業員の体験談や今後の希望を聞き取り調査することも必要です。従業員の理解を得られなければ、店舗DXの継続が困難になります。

そして店舗DXに投資した費用に対して、獲得できた利益(業務効率化や人材不足の解消など)が上回れば、効果が高いと評価できます。店舗経営における投資回収の期間と計算についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗DXの方法と費用

店舗DXの方法と費用

店舗DXを進める流れとポイントを踏まえ、具体的な方法と費用を確認しましょう。店舗経営の課題解決に適切なデジタルシステム・ツールを選べるように、各システム・ツールの違いをご紹介します。

オンライン予約システム

まず店舗DXの方法として、オンライン予約システムがあります。顧客がオンラインで予約できるだけではなく、従業員が電話や対面で予約する必要がありません。したがって予約業務に費やしていた時間を別の業務に充てられます。

オンライン予約システムの月額利用料は、数万円程度です。ただしインターネット回線やパソコン・タブレット端末などの設置費用もかかります。例えば「STORES予約」のスタンダードコースを年間契約すると、月額利用料は26,378円です。また予約時に顧客がオンラインで決済すると、手数料(4.9% + 99円)がかかります(2023年6月時点)。

参照元:STORES予約「トップページ」

デジタルサイネージ

次にデジタルサイネージも、店舗DXの方法です。店名やメニューなどをデジタルディスプレイに表示できます。手軽に情報を変更できるため、用紙の印刷代や差し替える手間を削減可能です。

デジタルサイネージの月額利用料は、月数千円程度です。ただしデジタルディスプレイの本体やタブレット端末などの導入費用が、数万~数十万円程度かかります。またディスプレイのサイズや数量などによって、費用は変動します。「USEN」のPOPディスプレイの月額利用料は1,300円~、本体価格は40,000円~です(2023年6月時点)。

参照元:USEN「デジタルサイネージ」

なお飲食店の看板デザインのコツについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

セルフオーダーシステム

またセルフオーダーシステムも、店舗DXの方法です。主に飲食店の注文時に用いられ、顧客がタブレットやスマホでメニューを確認して、オーダーできます。保存された注文データを分析できるシステムもあります。

セルフオーダーシステムの月額利用料は、1台数千円程度です。ただし専用タブレット型を選ぶと、タブレットの本体価格(数万~数十万)もかかります。スマホ型を選ぶと専用端末の費用はかかりませんが、スマホを持参しない顧客に対応できません。

例えば「e-menu」のタブレット10台を導入する初期費用は135万円で、月額利用料がタブレット1台につき1280円かかります(2023年6月時点)。

参照元:e-menu「セルフオーダーシステム」

キャッシュレス決済システム

それからキャッシュレス決済システムも、店舗DXの方法です。クレジットカードや電子マネーなどによるキャッシュレス決済に対応できるため、顧客も従業員も現金を扱わなくて済みます。ただしシステムによって対応する決済方法が異なる点にご注意ください。

キャッシュレス決済システムの種類によって、専用機器の購入費用(数千~数万円程度)や月額利用料(月数千円)、決済手数料などがかかります。例えば「STORES 決済」には月額固定費と振込手数料はかかりませんが、決済手数料(決済額の1〜3%程)と専用機器の購入費用(19,800円)がかかります(2023年6月時点)。

参照元:STORES決済「トップページ」

店舗営業分析システム

そして店舗営業分析システムも、店舗DXの方法です。カメラやセンサーなどと連動して、顧客の来店数や動線などを分析できます。来店数の多い時間帯や曜日を特定できるため、従業員のシフト管理や集客活動などの改善に活用できます。

店舗営業システムの月額利用料は、数千から数万円程度です。ただしカメラセンサー、パソコンなどの導入費用もかかります。例えば「FollowUP」ベーシックプランの初期費用が0円で、月額利用料金が19,000円です(2023年6月時点)。

参照元:FollowUP「カメラやセンサーを使ったリアル店舗分析ツール」

店舗管理システム

なお店舗DXの方法として、店舗管理システムも挙げられます。従業員のシフト管理や連絡などに活用可能です。集計したデータを分析することで、店舗経営の課題が明確になります。

店舗管理システムの初期費用は数万~数十万円程度で、月額利用料は数千~数万円程度です。例えば「ガルフCSM」のガルフOneプランを選ぶと、初期費用50万円と月額利用料10万円がかかります(2023年6月時点)。

参照元:ガルフネットCSM「料金体系」

なお店舗DXを進めるうえでは、内装デザインの検討も必要です。次の記事も併せてご覧ください。

店舗DXの事例

予算内に店舗DXに適した方法を選べるように、参考となる事例を調査しましょう。店舗経営の課題解決に適したデジタルシステム・ツールを選定できるように、各事例を目的と方法、効果をご紹介します。

オンライン予約システムによる業務効率化

オンライン予約システムによる業務効率化

「セルフ肌ラボ」様は、脱毛機や美顔機をセルフで利用できる24時間営業のエステサロンです。業務効率化を図るために、オンライン予約システムが導入され、予約対応の業務と研修にかかる時間を削減できました。

また予約だけではなく、会員情報もシステム上で管理されるようになりました。オンライン上で顧客ごとのプランや予約上限数を管理できるため、従業員同士のスムーズな引き継ぎが可能です。

参照:STORES 予約「セルフ肌ラボ 」

デジタルサイネージによる食品衛生管理

デジタルサイネージによる食品衛生管理

「すし銚子丸」様は、回転寿司店です。食品衛生管理の課題を解決するために、デジタルサイネージを導入されました。メニューやお知らせを表示させることで、ホワイトボードや壁の汚れなどを掃除する手間がかからなくなりました

またチラシやポスターなどを印刷する費用も削減。各従業員の手書きによる文字の差がなくなったため、「メニューが読みやすくなった」と顧客から高評価を得ています。

参照元:USEN「寿司店|すし銚子丸」

セルフオーダーシステムによる客単価向上

セルフオーダーシステムによる客単価向上

「吉壱家 中華街店」様は、ラーメンや餃子を提供している飲食店です。客単価向上を目指して、セルフオーダーシステムが導入され、顧客の注文ごとに、販促ページが自動で表示されるように設定(ラーメンのトッピングなど)されています。

またラーメンのオーダー時にお好み選択ページが自動で表示させることで、従業員が麺の硬さやトッピングなどを確認する必要がなく、業務効率化も促されています。

参照:e-menu「吉壱家 中華街店」

キャッシュレス決済システムによる回転率向上

キャッシュレス決済システムによる回転率向上

「県庁食堂 ごはん屋」様は、滋賀県庁内にある飲食店です。回転率向上のために、キャッシュレス決済が導入され、食券器よりも早く料理を提供できるようになりました。お弁当や定食の価格が定額に設定されていることで、会計が短縮されています。

なお顧客も従業員も現金に触れる必要がないため、飲食店に求められる衛生さも保証されています。

参照:PayPay「県庁食堂 ごはん屋」

店舗営業分析システムによる来店数の可視化

店舗営業分析システムによる来店数の可視化

「株式会社コスメネクスト」様は、化粧品の小売専門店「@cosme store」を展開している会社です。来客数の可視化を目指し、店舗営業分析システムが導入されました。来客数だけではなく、購買率や平均滞在時間も可視化され、接客と販売の重要な時間帯が特例されました。

そして接客と販売の機会を損なわないように注意しながら、従業員の休憩時間や検品作業などの時間が適切に配分されています。

参照:FollowUP「事例:株式会社コスメネクスト」

店舗管理システムによるコスト削減

店舗管理システムによるコスト削減

「株式会社 ペッパーフードサービス」様は、全国に店舗を展開するレストランチェーンです。コスト削減を目指して、店舗管理システムの入れ替えが実施されました。店舗管理のコストを下げるだけではなく、チェーン店との円滑な意思疎通が可能となりました。

また店舗管理システムだけではなく、ICTヘルプデスクサービスや勤怠管理システムも導入したことで、店舗管理業務全体のコストも削減。店舗経営の実態に応じて、システムのカスタマイズに柔軟に対応してもらえました。

参照元:株式会社ガルフCSM「料金体系株式会社 ペッパーフードサービス 様」

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監修者

IDEAL編集部

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