2025.11.28 2025.11.27|お知らせ
居抜き物件の内装費用はいくら?出店前に知るべき6つのチェックポイント
目次
物件選びから内装工事まで、出店時には見落とせない費用の判断基準があります。特に居抜き物件を活用する場合、初期費用が抑えられる一方で、見えにくいコストが発生することも。この記事では、内装費用の実態や注意点を6つの視点から解説し、後悔のない出店判断をサポートします。
居抜き物件の特徴と内装費用の考え方

居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備がそのまま残っている物件を指します。新たに出店を検討する際、この状態をうまく活用できれば、初期費用を大幅に抑えられる可能性があります。ただし、見た目には使えそうに見える設備や造作であっても、実際にそのまま活用できるかどうかは別問題です。まずは、居抜き物件ならではの特性を理解したうえで、内装費用の考え方を整理していくことが重要です。
スケルトン物件との違い
スケルトン物件とは、天井や床・壁などがコンクリート剥き出しの状態に戻された物件を意味します。設計の自由度が高く、理想通りの内装設計をゼロから組み立てることができる反面、すべてを新たに施工する必要があるため、費用も工期もかかる傾向にあります。
一方、居抜き物件の場合は、すでに内装の一部や設備が整っていることが多く、必要な部分だけを修正・補強することで対応できるケースもあります。これにより、予算を抑えた出店が実現しやすくなる点が魅力です。ただし、自由度はある程度制限されるため、活用可能な範囲を事前に見極めておくことが不可欠です。
工事範囲が費用に与える影響
内装費用は、工事範囲によって大きく変動します。例えば、既存の壁や床を残したまま使う場合と、それらを一度解体・撤去してから新たに造作を加える場合では、必要な工程が異なります。当然ながら、工事が増えれば人件費や材料費も比例して増加します。
特に注意が必要なのは、居抜き物件であっても、使用できる範囲が限られているケースです。水まわりや空調設備などは表面的には問題がなくても、基礎部分の劣化や規格の違いなどから、想定以上の修繕が必要になることがあります。このような背景から、居抜き物件だからといって工事が少なく済むとは限らないことを念頭に置く必要があります。
見えにくいコスト項目の存在
居抜き物件にかかる費用には、表に出にくい項目がいくつか存在します。例えば、原状回復工事が求められる内容や、前テナントが契約していた設備の残置処分費用などです。契約時にはその範囲を明確にしないまま進むこともあり、入居後に思わぬ出費が発生するケースも見受けられます。
また、既存設備の移設・撤去に伴う二次工事が必要になると、初期の見積もりに反映されていない追加費用が発生する場合があります。こうした見えにくいコストは、内装工事の総額に大きく影響するため、初期段階でどれだけ丁寧に確認・整理できるかが重要な判断ポイントになります。
なぜ費用が大きく変動するのか?要因を整理
居抜き物件の内装費用が一律ではない最大の理由は、物件ごとの前提条件が大きく異なるためです。設備の有無、状態、業態との適合性など、さまざまな要因が絡み合い、工事内容とコストを左右します。これらの要因を把握していないと、初期の見積もりと実際の工事費用にギャップが生じる可能性があります。
業種ごとの設備要件
出店する業種によって、求められる設備の種類やグレードは大きく異なります。たとえば飲食業では、厨房設備や換気、排水システムなどが重要になりますが、物販やサービス業では内装のデザイン性や什器配置が重視されます。居抜き物件に元々備わっている設備が、予定している業種に対応していない場合には、交換・撤去・増設といった追加工事が必要となります。
業態が似ているからといって、設備がそのまま使えるとは限りません。衛生基準や消防法の要件、電気容量の違いなど、細かい部分で条件が合わないケースもあるため、専門家による事前確認が欠かせません。
既存設備の使い回し可否
居抜き物件の最大のメリットは、既存設備を活用することで初期投資を抑えられる点にあります。しかし、設備の使用年数や動作状況、施工の仕方によっては、再利用が難しい場合も少なくありません。さらに、機能は問題なくても、デザインの方向性と合わなければ、内装全体の印象に影響を及ぼすこともあります。
また、前テナントが独自に取り付けた設備が、法的な基準を満たしていないケースも存在します。その場合は、法令対応のために追加の調整工事が必要となり、当初の予算を超える要因となります。
物件の状態と施工制約
物件そのものの構造や立地条件も、費用変動の大きな要素です。例えば、建物の築年数が古い場合、電気や配管といったインフラの更新が必要になる可能性があります。また、テナントスペースの形状や天井高によっては、機材の搬入が困難になることもあります。
さらに、商業ビルなどの集合施設内にある物件では、工事可能な時間帯や音・振動の制限など、施設側の管理ルールにより施工内容が制限されるケースもあります。これらの条件をクリアするための対応工事が発生すれば、その分の費用も見込む必要があります。
コストを左右する「物件選び」の落とし穴

内装費用を抑えるために居抜き物件を選ぶという判断は、合理的な選択肢の一つです。しかし、物件選定の段階で重要な確認を怠ると、かえって想定以上の費用が発生することがあります。とくに初めて出店を検討する場合には、見落としやすい注意点が多いため、慎重な見極めが必要です。
譲渡対象の確認と見極め
居抜き物件では、前のテナントが残していった設備や什器、内装造作などが「譲渡対象」として設定されていることがあります。ただし、その範囲は物件ごとに異なり、すべてが引き継げるわけではありません。契約時に譲渡される内容が不明瞭なまま進めると、後になって追加で設備を購入する必要が出てくる可能性もあります。
譲渡対象に含まれる設備の動作確認をせずに契約を進めてしまうケースも見受けられますが、それはリスクの高い判断です。稼働状態の把握だけでなく、耐用年数やメンテナンス履歴の確認まで行うことで、実際に活用できる設備かどうかを判断する材料になります。
施工前の状態把握の重要性
物件の状態は、現地での確認を通じて把握することが基本です。図面や写真だけでは分からない経年劣化や構造的な癖があるため、事前に現地調査を実施することが不可欠です。特に、目に見える範囲の美観に惑わされて判断すると、後で隠れた損傷や不具合が見つかるケースもあります。
また、床下・天井裏・壁内といった見えにくい箇所の状況が、配管や配線工事に影響を及ぼすことがあります。設備が設置されているからといって、それが現在の用途に適合しているとは限らないため、詳細な確認が必要です。
契約前に注意すべき内装条件
物件の契約時には、内装に関する条件が貸主から提示される場合があります。原状回復義務の範囲や、改装可能な工事内容の制限などは、必ず事前に確認しておくべきポイントです。自由に手を加えられると思っていた部分に制限があれば、計画そのものの見直しが必要になることもあります。
さらに、過去に独自の改修が施されていた場合、その内容に法令違反が含まれている可能性もあります。こうした状態を引き継ぐことによって、あとから行政の指導が入るケースもあるため、契約前の調査と確認が将来的なトラブルを回避するうえで極めて重要です。
居抜き活用で抑えられる費用と注意点
居抜き物件の最大の利点は、すでに設置されている設備や内装を活用することで、初期費用を抑えられる可能性がある点にあります。ただし、設備の状態や適合性、隠れたリスクを正しく見極めなければ、思わぬ出費が発生することもあります。費用面だけに着目せず、活用とリスクをセットで捉える視点が必要です。
残置物を有効活用するケース
前テナントが残した設備や什器が使用可能な状態であれば、それらを再利用することで調達コストの削減が期待できます。厨房機器や空調、照明、カウンターなどがその対象になりますが、使用の可否は性能面だけでなく、店舗のコンセプトやオペレーションとの相性にも左右されます。
設備の見た目がきれいでも、内部機構に不具合があるケースや、基準に適合していないケースもあるため、第三者による状態確認を取り入れることで判断の精度を高めることができます。
追加工事につながるリスク
残された設備や内装が現状で使えない場合、それらを撤去する費用や工数が新たに発生することがあります。特に、什器が床や壁に固定されている場合や、前の店舗仕様に合わせたレイアウトが特殊な場合は、解体工事の手間が増えやすくなります。
また、古い設備や規格が現在の安全基準や消防法に適合していないと判断された場合、強制的に改修が必要となる可能性もあります。このような事態に備え、居抜き物件であっても余裕のある工事予算を確保しておくことが賢明です。
現場調査を怠らないことの意味
費用を抑えるためには、現場の状況を正しく理解することが出発点となります。設備の再利用を前提にした計画を立てる場合は、現場確認をもとに機能性・安全性・整備状況を確認し、使用の可否を客観的に判断する必要があります。
加えて、解体や補修が必要になる可能性がある箇所についても、事前に把握しておくことで、施工時の想定外の出費を防ぎやすくなります。現場をよく知らないまま契約や工事に進むことは、費用面でのリスクだけでなく、スケジュール全体の見直しにもつながるため注意が必要です。
内装会社の選定と見積もりで見るべきポイント
居抜き物件の特性を活かして適切に内装工事を進めるには、施工を依頼する内装会社の選定が大きな鍵を握ります。費用を抑えることだけにとらわれず、技術力・提案力・対応力など複数の観点から判断することが重要です。また、見積もりの精度や提示の仕方も、会社の信頼性を見極めるうえで有効な材料になります。
相見積もりの意義と注意点
複数の会社から見積もりを取り比較することで、適正価格の把握につながります。提示された金額が高いか安いかという視点だけでなく、内訳の構成や項目の抜け漏れなども確認することが必要です。同じ条件で依頼しても、会社によって含める内容や想定が異なるため、比較を行う際には条件の整合性を保つよう意識しましょう。
また、金額の差が大きい場合には、なぜ差が出ているのかを確認する姿勢が欠かせません。施工範囲が狭く見積もられていたり、仮設工事や諸経費が省略されていたりすることもあるため、単純な数字だけで判断しないことが大切です。
内訳の精度とヒアリング力
信頼できる内装会社は、ヒアリングの過程で現場の状況や事業計画を丁寧に把握し、それに基づいた現実的な見積もりを提示します。ヒアリングが不十分な場合、必要な工事が反映されていないまま進行し、後から追加費用が発生するリスクが高まります。
見積もりにおいては、「一式」や「概算」といった表現が多用されていないかも確認が必要です。工事項目ごとの内容や数量が明記されていれば、工事の範囲やコスト配分を明確に把握できます。こうした透明性のある見積もりは、計画全体の進行においても信頼性を高める要素となります。
過去の施工実績の見方
実績の確認は、その会社がどのような工事に対応できるかを見極めるための重要な判断材料です。特に、同じような業種や業態の店舗を手がけた経験があるかを確認することで、業種特有の仕様や法令対応について理解があるかどうかが見えてきます。
また、見栄えの良い写真だけでなく、施工にかかった期間や施主とのやり取りの内容なども含めて説明があるかどうかを見ることで、単なるデザイン力だけでなく、施工体制やコミュニケーション力も評価できます。実績の量だけでなく、その質や対応範囲の広さまで含めて総合的に判断する視点が求められます。
費用トラブルを防ぐための実務的チェックリスト
居抜き物件を活用した出店では、限られた予算の中でどれだけ効果的に工事を進められるかが鍵となります。しかし、計画段階での確認不足が原因で、思わぬ追加費用や工期の遅延が発生することも少なくありません。こうしたトラブルを回避するためには、事前にチェックすべき実務的なポイントを押さえておく必要があります。
スケジュールと工期のすり合わせ
施工開始から開業日までのスケジュール管理は、全体予算にも直結する要素です。内装会社との間で工期や中間検査のタイミング、備品搬入のスケジュールを明確にしておかなければ、工程が重複したり後ろ倒しになったりすることで、人件費や仮設費用などが余分にかかることがあります。
また、工事に必要な申請や手配が事前に進められていないと、着工そのものが遅れる可能性もあるため、業者任せにせず自らも進捗管理に関与する姿勢が求められます。
契約内容に含まれるべき明細
契約書類には、費用に関する詳細な内訳が明記されていることが不可欠です。内装工事は「一式見積もり」で処理されがちですが、こうした表記では具体的な作業範囲や金額が不明確になりやすく、後からトラブルの火種となります。
電気・給排水・仕上げ工事といった主要工種ごとの費用が明確に示されているか、追加工事の取り扱い条件が記載されているかを事前に確認することで、想定外の費用発生を抑えることができます。
引き渡し後の対応体制の確認
工事完了後にも、設備の不具合や仕上げの不備といった問題が発生することはあります。その際の対応体制が曖昧なままだと、修繕対応が遅れたり、別途費用がかかったりする場合があります。
アフター対応の範囲や期間、連絡方法などが契約段階で明文化されているかを確認しておくことで、万一の際にも迅速な対応を受けやすくなります。特に開業直後はトラブル対応に追われたくない時期であるため、事前の備えが運営の安定にもつながります。
まとめ|出店前に確認すべき6つの視点とは
居抜き物件の内装計画を成功させるためには、見た目や価格だけにとらわれず、複数の視点から事前に確認を重ねることが欠かせません。費用を抑えるという目的があったとしても、過程を省略してしまうと、後になって想定外の支出やトラブルが発生する可能性があります。
物件の選定では、残置物や設備の状態を把握し、実際に活用できるものとそうでないものを冷静に見極めることが求められます。内装費用を左右する要素は、表面上の条件だけでは判断できないことも多く、構造面・法令面・管理面の制約なども含めて検討する必要があります。
また、内装会社の選定や見積もりの内容にも細心の注意を払い、契約前にすべての項目を整理しておくことで、費用面での齟齬を防ぐことができます。特に工期の遅延や追加工事による負担を抑えるためには、スケジュール調整や進行管理の段階から綿密に計画しておくことが重要です。
出店に向けた一連のプロセスにおいて、費用という側面はあくまで一つの指標であり、全体のバランスを見ながら冷静な判断を重ねることが、結果として無駄のない投資につながります。
監修者
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IDEAL編集部
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