2020.07.28  2022.04.25|店舗デザイン

店舗デザインとは?歴史や費用、会社選びまでご紹介

店舗デザインとは?歴史や費用、会社選びまでご紹介

店舗の開業や改装を検討していると、「店舗デザインは必要なの?」「どんな効果があるの?」と疑問に思いますよね。しかし店舗デザインは、開店後の集客や売上に大きな影響をもたらします。

そこで本記事では店舗デザインの意味や歴史、効果や流れを解説します。加えて店舗デザインの費用相場や依頼できる業者の種類・選び方までご紹介しますので、店舗デザインをご検討中の経営者・担当者の方はぜひご覧ください。

店舗デザインとは?

店舗デザインとは?

そもそも「店舗デザイン」とは、狭義には店舗の外装や内装のレイアウトやサイズ等を図面に表しながら、使用する素材や配色までを細かく決定していく作業です。「店舗設計」も店舗デザインと同じ意味をもちます。

しかし広義には、マーケティングの視点がプラスされて考えられます。店舗のコンセプトを設計して集客方法やブランディング戦略も立案しながら、店舗経営全体を計画していく作業が、「店舗をデザインする」と表現されるわけです。

集客と売上に大きく影響しますので、コンセプトを実現できる店舗をデザインすることは重要な開業前の準備になります。

店舗デザインの歴史

店舗デザインの歴史

店舗デザインは西洋で確立された「デザイン」という概念から進化して生まれ、デザイン性に加えて生産性も重視されます。生産性が重視されるようになった理由や日本で定着した経緯について詳しく紹介していきます。

ヨーロッパで生まれた店舗デザイン

デザインの歴史は、19世紀後半のイギリスで始まりました。産業革命下の機械化により製品の質より量が求められた頃に、中世芸術への回帰を目指す「アーツ・アンド・クラフツ運動」が展開されました。運動を主導したデザイナーのウィリアム・モリスは室内装飾に取り組み、店舗デザインの原型となる空間デザインの考えを生み出しました。

「アーツ・アンド・クラフツ運動」の拡大により、デザインの重要性は世界中に浸透しました。1919年にはドイツのワイマールで「バウハウス」という美術学校が設立され、中世の職人的技術と大量生産を融合させた現代デザインの基礎が作られました。

「すべての造形活動の最終目標は建築である」というバウハウスの思想は、現在も世界中の建築デザインに影響を与えています。

日本における店舗デザイン

日本で店舗デザインが定着した時期は、1960年代後半です。「世界のデザインを日本国内で広めた第一世代」である剣持勇や渡辺力らインテリアデザイナーたちが、日本インテリアデザイナー協会を立ち上げて県庁や美術館などを手掛けました。西洋のデザインを元のままに取り入れるのではなく、日本の伝統を大切にした独自のデザインが模索されました。

高度成長期においては、多くの店舗がデザインありきで作られました。例えば浮いているように見える本棚やスタッキングチェアなど、現在もよく見る家具や室内装飾は高度成長期に登場しました。

バウハウスの思想を基にした生産性とデザイン性を重視した店舗デザインは、現代の日本でも浸透しています。

店舗デザインの効果

店舗デザインの効果

店舗デザインの目的や歴史を把握できましたら、具体的にどのような効果を見込めるのでしょうか?単に見た目がおしゃれな店舗をデザインしても、十分な効果を見込めません。明確なコンセプトに基づいて店舗をデザインする効果をご紹介します。

集客力の向上

独自性のある店舗をデザインすることで、集客力が向上します。SNSが浸透した現代では、顧客が店舗内で撮影した写真や動画をSNSに投稿することは珍しくありません。商品だけでなく外観や内装、家具等も印象を左右する重要な要素ですので、顧客が思わず行きたくなる店舗をデザインしましょう

また店舗デザインによって顧客の滞在時間をコントロールして、回転率を調整することができます。例えば販売店における顧客の動線を工夫して、出入口から会計までの距離を長くして多くの商品が顧客の目に入るように陳列することで、顧客の滞在時間を延ばしながら購買意欲を刺激する方法があります。

反対にファーストフードやラーメンの飲食店においては、顧客の滞在時間を短くして回転率を上げることで売上を増やす方法もあります。集客力を向上させるためには、市場調査を踏まえてターゲットとする顧客層やコンセプトをよく検討してから店舗をデザインしましょう。

顧客満足度の向上

店舗の居心地も、店舗デザインにおける重要なポイントです。顧客の来店目的やニーズを把握したうえで店舗デザインすれば、顧客満足度を向上させることができます。

例えばヘアカットやエステなどのサロンにおいては「サービスを受ける様子がはっきり見えない店舗デザイン」が顧客から好まれますので、プライバシーに配慮した「すりガラス」「パーテーション」などを取り入れると効果的です。また飲食店では少人数にも大人数にも対応できるフレキシブルな店舗デザインに対するニーズが高いです。

他にも色彩の与える心理効果や什器のサイズなども考慮すると、顧客満足度向上に効果的です。例えば寒色系の空間は食欲を減退させるため飲食店には向かなかったり、カウンターテーブルと椅子の高さが合わないと居心地が悪く感じたりします。

ブランド力の向上

商品やサービスのコンセプトに合う店舗をデザインできれば、ブランド力の向上にもつながります。独自性ある商品・サービスと調和する内装・外装をデザインすることで、ブランド価値を高めることができます。

ブランドとは「ある店舗の提供する商品・サービスのもつ付加価値」であり、「ブランド力」とは商品・サービスが付加価値を通して顧客を引き付ける力です。

ブランド力を向上させる(ブランディングする)ためには競合店との明確な差別化が必要で、一貫したコンセプトに基づいて商品・サービスを顧客に提供し続けましょう。「落ち着いて食事するならあの店に行こう」と顧客に思い浮かべてもらえれば、固定客の集客に成功します。

店舗デザインの流れ

店舗デザインの流れ

根拠のない思い付きでターゲットやコンセプトを決めていては、集客や顧客満足度、ブランド力の効果を期待できません。市場のニーズや競合店を踏まえて効果的な店舗をデザインする流れを確認していきましょう。

市場調査

市場調査をすることにより、顧客のニーズや競合店の経営状況などを把握できます。競合から差別化を図る独自性のあるコンセプトを設計するためには、STP分析が有効です。市場調査は、自店舗の強み(ポジション)を明確にするために重要な作業です。

店舗のコンセプト設計

市場調査を踏まえて店舗のターゲットやポジションを決めたら、コンセプトを設計します。ターゲットに必要とされる店舗をデザインするためにはコンセプトを明確な言葉に表して、従業員と共有したり、デザインを業者へ依頼したり、顧客へ宣伝したりする必要があるからです。商品・サービスの特徴や店舗の業態、価格なども決めておきましょう。

店舗の物件探し

店舗の集客にとって立地が重要ですので、コンセプトに合う立地にある店舗物件を探しましょう。店舗物件の種類(スケルトンか居抜き)や形態(リースか購入)などについて、予算や店舗デザインなどの観点から総合的に検討してください。

店舗デザイン会社の決定

店舗のデザインを依頼できる会社として、「デザインのみに対応する会社」や「ワンストップでデザインから施工までに対応できる会社」があります。後者に依頼すると費用や時間、労力を節約できてスムーズにやりとりできます。デザイン会社の種類と選び方を後ほど解説します。

店舗のデザイン図面作成と集客手段決定

店舗デザイン会社と開業する店舗のコンセプトや予算などを共有したうえで、外装や内装の具体的なデザインを図面として作成していきます。デザイナーと相談しながら理想的なデザインを作り上げましょう

マーケティング支援も依頼している場合には、集客方法や資金調達などについても相談することになります。

店舗工事の着工

デザインした図面に基づいて、店舗の外観や内装を工事していきます。店舗デザイン会社が施工管理する場合と別の業者へ工事を依頼する場合とで必要な対応が異なります。契約前に依頼できる作業内容を確認して、納得できる条件で契約しましょう

竣工と店舗の引き渡し

工事が終了したら保健所と依頼主が立ち会い、壁や扉などの設備に問題がないかを確認する「竣工検査」が行われます。検査に合格すると、店舗が引き渡されます。

引き渡し前にデザインした店舗が施工されているかを確認して、気になる点を業者と相談しましょう。引き渡し後の改修工事は有料となる場合があるので、注意してください。

店舗デザインの費用

店舗デザインの費用

市場調査や業者との相談を始めるためには、店舗デザインの費用が必要です。店舗デザイン費用は、大きくデザイン費と工事費に分類されます。依頼する業者によって費用は異なりますので、費用相場と内訳をご紹介します。

店舗デザインの費用相場

店舗デザイン費用(工事と施工管理の費用を除く)の計算方法は、業者の種類によって異なります。「店舗デザインのみを提供する業者」は坪単価を用いて店舗デザイン費用を計算することが多く、相場は坪単価3万〜10万円程度です。例えば10坪の店舗をデザインする費用は、30万〜100万円となります。

一方で「デザインから施工管理までを提供する業者」も坪単価を用いて計算できますが、「工事費全体の10〜15%程度」を店舗デザイン費用として計算することがあります。例えばスケルトン物件10坪の「店舗デザイン・工事費用」の相場は400万円〜1,200万円程度ですので、デザイン費用として40万-120万円程度が計上されます。

なお店舗デザイン費用は業者の種類だけではなく、業種や業態、立地などによっても大きく変動しますので注意してください。

店舗デザイン費用の内訳

店舗デザイン費用の内訳として、10坪の賃貸物件にかかる飲食店のデザイン費用を試算して表にまとめました。

店舗デザイン
費用の内訳
スケルトン物件
(10坪の賃貸物件)
居抜き物件
(10坪の賃貸物件)
外装と内装のデザイン費30万〜100万円程度20万〜70万円程度
外装工事費
(看板などの設置)
20万~30万円程度10万~20万円程度
内装工事費
(壁や水道などの施工)
300万〜1,200万円程度150万〜600万円程度
合計400万〜1,200万円200万~700万円程度

※上表の費用は一般的な相場から試算してありますので、店舗の立地や広さ、業態・業種などによって変動する点に注意してください。

店舗デザイン会社の種類

店舗デザイン会社の種類

店舗デザイン費用は依頼する会社によって異なると先ほど解説しましたが、依頼できる業務内容によって3種類に分類できます。各会社の特徴とメリット・デメリットを知ることで、適切な会社を選ぶことが可能です。

設計事務所

設計事務所に依頼できる主な業務は、店舗の外装や内装のデザインです。デザインに特化しているためデザイン性が高いのがメリットです。基本的には別の会社に工事を依頼することになるため、店舗デザイン費用が高くなります。予算に余裕がありデザインにこだわりたい場合に向いています。

しかしデザインだけではなく、施工管理までを提供する設計事務所も存在します。施工管理も提供している設計事務所に依頼すると第三者的な立場から施工をチェックしてもらえますので、工期の遅れなどのリスクを減らせるメリットがあります。

店舗工事専門業者

店舗工事専門業者は、店舗の内装工事に特化しています。工事だけではなく、デザインや集客方法の準備、資金調達なども支援している業者もあります。店舗開業までのスピードを重視する場合におすすめです。

デザインと工事を提供する店舗工事専門業者に依頼すれば、デザインから工事までのやりとりがスムーズに進み工期を短縮できる点がメリットになります。しかし職人を他の業者から調達する業者に依頼すると店舗工事費用が高くなる可能性がありますので、注意して業者を選びましょう。

工務店

工務店には現場で施工する職人が在籍しており、住宅や店舗などの工事を得意としています。工事だけではなく、デザインから依頼できる業者も存在します。店舗の特定個所の工事をする場合に向いています。

設計事務所と比較すると凝ったデザインを得意としませんが、現場での対応力や確かな技術力が強みです。ただしデザインを提供しない工務店に依頼すると店舗デザインに対する提案を期待できませんので、依頼できる内容を事前によく確認しましょう。

店舗デザイン会社の選び方

店舗デザイン会社の選び方

開業後に店舗デザインを大幅に変更することは難しいため、失敗したくありませんよね。店舗デザインを依頼できる会社(設計事務所・店舗工事専門業者・工務店)の中から信頼できる会社を選ぶ方法をご紹介します。

スキルや実績の豊富な会社を選ぶ

デザインしたい店舗の業種や業態に対応できるスキルや実績の豊富な会社を選びましょう。店舗デザイン会社には得意不得意があり、飲食店やサロンなどの業種に特化した会社もあれば、どの業種にも幅広く対応できる会社もあるからです。

店舗デザイン会社の多くはWebサイトを開設して、デザインや施工の事例を掲載しています。事例を参照しながら得意な業種や業態を把握したり、魅力的な店舗へ実際に出向いて確認したりすることで、依頼したい会社を絞りましょう。

デザインのテイストが自店舗に合う業者を選ぶ

業種・業態だけでなく、得意とするテイストも各社で異なります。シンプルなデザインを得意とする業者に派手なデザインを依頼しても、希望通りにはなりにくいでしょう。各店舗デザイン会社の事例を調査してデザインのおしゃれな店舗を探すだけではなく、自店舗のコンセプトに似ている店舗を探してみましょう。

候補となる会社を絞るために、デザインコンペを実施することができます。コンペフィー(コンペにかかる労力に対する料金)がかかることもありますが、デザインにこだわりたい場合には検討しましょう。

店舗デザイン・工事の費用を相見積りして比較する

店舗デザイン・工事の費用は、依頼内容やデザインなどによって前後します。デザインから工事までをワンストップで1社に依頼するか、デザインと施工を別々の業者に依頼するかによっても変わってきますので、各社から相見積もりを取って予算に照らし合わせて検討しましょう。

注意点として、相場に比べてデザイン・工事の費用が安すぎる会社や高すぎる会社へ依頼することを避けましょう。依頼内容や予算を踏まえて正確な見積もりを出せない会社を信頼できませんよね。

依頼できるサービス内容を検討する

店舗デザイン会社によって依頼できる内容は異なるので、候補となる会社のサービス内容を慎重に比較検討しましょう。サービス内容や料金体系を把握していないとあとから追加費用を請求されたり、別の会社へ相談する時間がかかったりする可能性があるからです。

店舗開業準備は忙しいので、費用も時間も労力も節約したい場合には、コンセプト設計から店舗デザイン、資金調達、集客までをワンストップソリューションとして提供している会社がおすすめです。

集客と売上を伸ばす理想的な店舗をデザインしよう!

集客と売上を伸ばす理想的な店舗をデザインしよう!

店舗デザインは集客力やブランド力、顧客満足度の向上に重要な役割を果たしますので、コンセプト設計から工事まで綿密に計画を立てることが大切です。店舗デザインの費用相場や依頼する会社の選び方を把握して、予算内に理想的な店舗をデザインしましょう。

IDEALは店舗のコンセプト設計から物件探し、デザイン、工事、資金調達、Web集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。

費用や時間、老職の節約につながりますので、店舗の開業や移転、改装などをご検討の際にはぜひお問い合わせください。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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