2022.01.28 2023.05.29|店舗デザイン
居抜き物件とは?メリット・デメリット・立地選び・注意点をご紹介
内装設備や備品を残したまま売却・賃貸される居抜き物件。
所有するオーナーや借りるテナントにとって、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?また居抜き物件を賃借すると、スケルトン物件と比べてどれくらいお得なのでしょうか?
そこで本記事で居抜き物件のメリット・デメリットや具体例、テナントが居抜き物件を探すときの注意点、立地選びのコツについて解説します。
目次
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、物件内の造作(部材や設備)や備品(家具や調度品)などを残したまま売却・賃貸される物件です。
部材とは建物内部を構成する材料であり、天井や床、扉などを含みます。設備とは建物内部に取り付けられた器具や装置であり、水道や電気配線、ガス管、空調、厨房などです。
居抜きとは居(人の存在)を抜いた状態であり、人が居ない状態を意味します。したがって営業していた店舗から人だけが居なくなった物件が、居抜き物件です。
なお居抜き物件と対になる物件が、スケルトン物件です。スケルトンとは建物構造の骨組み(躯体)のことで、スケルトン物件には建物内部の造作や備品は一切ありません。
居抜き物件の注意点
テナントとして居抜き物件を探したり契約したりする際に、下記の4点に注意しましょう。
テナント情報の精度
居抜き物件を探すときには、まず物件情報の精度を確かめましょう。
居抜き物件の募集開始は、入居日の6か月前くらいから行われます。なぜなら旧テナントが退店するために、6か月ほど前の通知が解約条件とされていることが多いからです。
したがって新テナントは、募集されている居抜き物件の入居可能日を確認しなくてはなりません。今すぐ入居できる居抜き物件を探すことは難しく、開店時期を主体的に決定できない可能性があります。
現テナントに対する世間のイメージ
次に募集されている居抜き物件について、旧テナントのお店に対する世間のイメージを見極めましょう。
営業不振のため旧テナントが退店する場合には、新テナントが同業種のお店を開くと負のイメージを負う危険性があります。
ただし旧テナントと異なる業種のお店を開店するなら、目新しさから注目を浴びることがあります。
未解約物件の新規契約条件
さらに居抜き物件の契約を検討する際に、旧テナントの契約条件から変更される点がないかを確認しましょう。
現テナントが解約通知を出した時点では、現在の契約条件が募集要項に示されています。しかし次の契約の際に、物件のオーナーが賃料値上げや解約期間変更などを希望することがあります。
なお解約条件として原状回復(造作譲渡された設備・備品を撤去すること)が求められるかどうかも、契約前に必ず確認しましょう。
造作や備品の状態
最後に居抜き物件を契約する前に、譲渡や賃貸される造作や備品の状態をよく確認しましょう。
内装設備や備品は経年劣化すると、破損や故障をします。例えば厨房設備を造作譲渡してもらい飲食店を開いた場合に、水道設備から水漏れが発生すると修繕費を支払わなくてはなりません。
空調設備や電気配線などについても状態を見極めて、譲渡契約を結ぶことが必要です。
居抜き物件のメリット・デメリット
居抜き物件でお店を開くことについて、居抜き物件オーナーと新旧テナントにとってのメリットとデメリットを解説します。
メリット
テナントに居抜き物件を賃貸するオーナーにとって、メリットは2点あります。1点は、設備や備品を備え付けることで所有する物件の価値が向上することです。もう1点は、開店と退店のしやすさをアピールすることで空室リスクを低減できることです。
退店する旧テナントにとっても、2点のメリットがあります。1点は、所有している設備や備品などを新テナントに売却して利益を得られることです。もう1点は、スケルトン物件を賃借する場合に求められる原状回復の費用・時間を削減できることです。
開店する新テナントにとっても、メリットが2点あります。1点は、スケルトン物件を賃借する場合に求められる内装工事や備品などの費用・時間を削減できることです。もう1点は、旧テナントと同業種のお店を開くことで最初からある程度の認知度を獲得できることです。
デメリット
オーナーにとって居抜き物件を所有するデメリットは、造作や備品を賃貸する場合に管理が必要なことです。そこでテナントの過失により故障した場合には、テナントが修繕費を負担するといった条件を契約内容に盛り込む必要があります。
旧テナントにとって居抜き物件を解約するデメリットは、賃借している造作や備品を退店後に財産として持ち出せないことです。したがって業績が好調で広い店舗へ移る場合には、設備や備品の購入・設置工事の費用と時間がかかります。
新テナントが居抜き物件を賃借するデメリットは、賃借・譲渡契約する内装や備品がお店に最適とは言えず変更が難しいことです。もし開店後に賃借している設備・備品の変更が必要になれば、オーナーから許可を取った上で購入や改修の費用を支払わなくてはなりません。
居抜き物件による開業にかかる費用
居抜き物件にかかる開業費用の計算例として、飲食店を取り上げます。15坪で賃料30万円のスケルトン物件で飲食店を開く場合に、開店費用が1000万円かかると仮定します。居抜き物件で同じお店を開く場合の開店費用と合わせて、下の表にまとめました。
初期費用 | スケルトン物件 | 居抜き物件 |
保証金・敷金(賃料10か月分) | 300万円 | 300万円 |
礼金(賃料3か月分) | 90万円 | 90万円 |
仲介手数料(賃料1か月分) | 30万円 | 30万円 |
信用保証費用(賃料1か月分) | 30万円 | 30万円 |
内装・設備費 | 450万円 | 0万円 |
外装費 | 100万円 | 30万円 |
造作譲渡料 | 0円 | 100万円 |
合計 | 1000万円 | 580万円 |
上の表が示す通り、居抜き物件の開店費用は580万円となり、スケルトン物件よりコストを420万円削減できます。なぜなら造作譲渡をしてもらうことで内装設備費を抑えることができ、旧テナントの外装を引き継ぐことで外装費も削減できるからです。
立地選びのコツ
どんなお店を開くとしても、業績を上げるためには立地選びが重要です。そこで立地選びのコツとして、下記の5点をご紹介します。
ターゲットやコンセプトに合致したエリア
まずお店のコンセプトとターゲットに合致したエリアを選びましょう。
繁華街は毎日終日に亘って集客が見込めるため、賃料が一番高いエリアです。
ビジネス街は平日のランチタイムにビジネスマンの集客が見込めるため、賃料が比較的高いです。
住宅街は土日にファミリー層の固定客を獲得する必要がありますが、賃料が安いです。
学生街は客単価が低く平日に学生の集客を増やさなくてはなりませんが、賃料が安いです。
競合度合いが高くない立地
次に選んだエリア内から、競合度合いの高くない立地を選びましょう。
同業種が集まる立地であれば、多くの見込み客が訪れるため自店舗の知名度を高めることができます。しかしライバル店から顧客を獲得する営業努力が求められます。
交通の便がよい立地
また顧客にとって交通の便が良い立地を選びましょう。お店が駅やバス停から徒歩10分以内の位置にあったり、交通量の多い道路に面したりしていると、多くの見込み客に存在をアピールできます。
視認性の高い立地
さらに顧客にとって視認性の高い立地を選びましょう。お店が道路や歩道から見える位置にあり、間口の広い入り口が設けられていれば、お店が顧客の目に留まりやすいです。
賃料が売上の10%となる立地
最後に集めた候補地から、物件賃料が売上見込額の10%となる立地を選びましょう。
居抜き物件賃料が50万円であれば、毎月の売上が500万円必要です。造作譲渡費用も含めて、支払いが可能となる賃料を計算しましょう。
自店舗に最適な立地にある居抜き物件を契約しよう!
居抜き物件で開店すれば、開店費用の大幅な削減を見込めます。ただし集客や利益を上げるためには、契約条件と立地選びを慎重に行うことが必要です。メリット・デメリットをよく検討しましょう。
IDEALは居抜き物件探しから内装のデザイン・施工、集客までについてワンストップソリューションにて経営者の方をご支援しております。
店舗の開業や経営にお困りの際は、ぜひお問い合わせください。
監修者
-
IDEAL編集部
日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
> IDEALの編集者ポリシー
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。