2022.05.11  2022.09.24|店舗デザイン

半個室とは?需要のある業態・デザインのポイント・施工事例も紹介

半個室とは?需要のある業態・デザインのポイント・施工事例も紹介

「どのような店舗に半個室を施工したらよいか?」「完全個室との違いは何か?」とお悩みではありませんか?効果的に半個室をデザインすれば、顧客満足度が高まり集客や売上を伸ばすことにつながります。

そこで今回は半個室のメリット・デメリットを解説します。半個室の需要がある業態やデザインするポイント、施工事例も紹介しますので、店舗の開業や改装、移転などをご検討中の経営者や責任者の方はぜひご覧ください。

半個室とは?

半個室とは?
画像引用元:IDEALショップ施工事例「はり灸治療院クオーレ」

そもそも「半個室」とは、どのような部屋でしょうか?個室の種類は大きく「半個室」と「完全個室」の二つに分けられます。店舗デザインを始める前に、まず半個室の定義や完全個室との違いを確認していきましょう。

半個室とは

半個室とは、「一定のプライバシーが保たれつつも、壁や建具で完全に仕切られていない個人用スペース」です。個室は「個人用の部屋」ですが、飲食店やサロンにおいては「数名の顧客グループで利用できる部屋」が含まれます。

例えば飲食店のダイニングフロアにおいて「カーテン」でテーブルが仕切られているときに、仕切られたスペースが半個室となります。またサロンの施術室において「簡易パーテーション」で施術台が仕切られているときに、仕切られたスペースが半個室と呼ばれます。

完全個室との違い

半個室と完全個室との違いは「壁や建具の有無」であり、視認性や遮音性、通気性が異なります。半個室には簡易的な仕切りが設けられることで、隣のスペースからの視線と音、においをある程度軽減することが可能です。

一方で完全個室(壁や建具で仕切られた個人用またはグループ用の独立した部屋)には壁や扉が施工されていますので、半個室よりも視線や音、においなどを遮ることができます。また窓や扉を開閉して通気性を高めたり、ガラス素材の建具を施工して視認性を高めたりすることもできます。

したがって次に挙げるような顧客層をターゲットにする店舗には、半個室が適しています。視認性や遮音性、通気性を考慮して、半個室または完全個室を選択しましょう。

  • 取引先との接待を行うビジネスパーソン層
  • 小さな子どものいる家族層
  • 記念日を祝いたいカップル層
  • 周囲を気にせず大声で盛り上がりたい男女層
  • 施術内容を知られたくない顧客層
  • 飲食しながら加熱式タバコを楽しみたい顧客層

半個室のメリット

半個室のメリット

視認性や遮音性、通気性から考えると完全個室の方がよいと感じるかもしれません。しかし完全個室には、壁や建具を施工する手間と費用がかかります。そこで半個室のメリットを把握することで、完全個室と比較検討しましょう。

完全個室より導入コストが安い

完全個室より導入コストが安い理由は、「カーテンや簡易パーテーション」などを設置するだけだからです。仕切りを設置する費用は数や素材によって変動しますが、数万円から数十万円程度です。また同じフロアの半個室ごとに顧客がいますので、全体を見渡しやすく接客の手間があまりかかりません。

一方で完全個室には「壁や建具」を施工する費用が必要です。個室数や内装材によって変動しますが、数十万から数百万円ほどかかります。従業員が個室間を移動して接客しますので、半個室よりも従業員数を要する場合があります。

仕切りを柔軟に活用できる

半個室を設置するフロアでは、人数や状況に応じて仕切りを柔軟に活用できます。例えば半個室を提供する飲食店のフロアから可動式パーテーションを撤去すれば、団体客のためにパーティー会場を提供できます。簡易的な仕切りなら移動や撤去が容易ですので、自由にレイアウトを変更できます

幅広い客層に対応できる

半個室を設置すると視線の気にならないリラックススペースを提供できるので、幅広い客層に対応できます。大衆向けの飲食店はもちろん、プライベートサロンやプライバシーを確保したい販売店などにおいて、半個室に対するニーズがあります。

特別感を出せる

店舗の一部だけに半個室を設置したり、半個室ごとのデザインと場所を変えたりすることで、特別感を出せます。例えば同じ飲食店内にカップル向けと女子会向けの半個室をデザインすれば、特別な機会に使用できる場所を提供できます

客単価アップを期待できる

半個室を利用する顧客層はリラックスして過ごせる空間を求めている傾向にあるので、客単価アップを期待できます。半個室を希望する顧客のニーズを踏まえたうえで、コースやオプションのメニューをデザインしましょう。

感染症対策につながる

半個室としてフロアを仕切ることで、感染症対策につながります。視線や音だけではなく、簡易的な仕切りにより飛沫を防ぐことができるからです。また感染症対策に心がけている経営姿勢を示すことができます。

ただし同じフロアに半個室がありますので、フロア全体を十分に換気してください。

半個室のデメリット

半個室のデメリット

半個室にはメリットだけではなく、デメリットもあります。半個室のメリット・デメリットを把握したうえで、店舗内に設置する数や場所、大部屋・完全個室との割合などを検討しましょう。

広い物件が必要になる

半個室には簡易的な仕切りを設置する分だけ、大部屋にテーブル席を設置するよりもスペースを必要とします。同じ席数を確保するためには広い物件が必要になるので、家賃が高くなります。

コストを抑えるためには設置する席数を減らすか、フロアの一部のみに半個室を設置するかを検討しましょう。

顧客の回転率が低下する

リラックスしやすい半個室を提供することで客単価を上げやすい反面、滞在時間が長くなるため顧客の回転率が低下する傾向にあります。したがって回転率を上げて安い価格の商品・サービスを販売したい店舗には向いていません。

販売する商品・サービスの価格と回転率を計算したうえで、半個室の導入を検討しましょう。

コストが余分にかかる

ワンフロアに客席を配置する店舗に比べて、半個室にはカーテンや簡易パーテーションを設置するコストが余分にかかります。また席数を同じにするために広い物件を借りるなら、賃料が上がります。

半個室を設置するコストを回収するためには、販売価格や客単価、回転率を計算して利益を確保する必要があります。

丁寧な接客をしづらくなる

外から半個室の様子を確認しにくいため、丁寧な接客をしづらくなります。対策として、飲食店においては、半個室内に呼び鈴やセルフオーダーシステムの設置を検討しましょう。

サロンやクリニックにおいては、半個室内に専属の従業員を配置できれば、丁寧な接客が可能です。

半個室のニーズがある業種

半個室のニーズがある業種
画像引用元:IDEALショップ施工事例「うなぎ四代目菊川 ムスブ田町店

半個室のメリット・デメリットを踏まえたうえで、顧客からの半個室に対するニーズがある業種の例をいくつか紹介します。ただし同じ業種でも業態やターゲット、商品・サービスの価格などに応じて、半個室の設置を総合的に判断してください。

居酒屋

顧客が居酒屋に半個室を求める理由は、ある程度のプライバシーが確保されながらお酒を楽しみたいからです。会社の飲み会や友人同士の女子会などにおいて、周囲の声を気にせずに盛り上がりたい顧客に求められます。

しかし半個室のデメリットとして紹介したとおりに、客単価の低いメニューを提供する居酒屋においては、半個室により利益を確保できるかをよく検討してください。

カフェ

子連れのママ友会や友人同士のお茶会などを周囲の目を気にせずに開催するために、カフェの半個室に対してもニーズがあります。オープンカフェとは異なり、子どもの世話をしたり、赤ちゃんが泣いてしまったりしても、気兼ねなく利用できます。

最近ではテレワークをするビジネスパーソンからも、カフェの半個室に対するニーズがあります。フリーWIFIはもちろん、電源コンセントやUSBプラグ、座り心地良い椅子なども設置してリモートワーク環境を提供すれば、集客を期待できます。

美容室

プライバシー保護とリラクゼーションに対するニーズから、美容室の半個室は顧客に好まれます。他の顧客を気にしない状態ですと、顧客が髪型の悩みや要望を従業員に伝えやすくなります。

またカーテンやパーテーションを設置することで感染症対策すれば、顧客に衛生的な環境を提供しながら店舗の清潔さをアピールできます。半個室の内装をデザインするときには、清潔感のある色や素材を選びましょう。

ネイルサロン

ネイルサロンで非日常体験を味わいたい顧客にとって、半個室は効果的です。オープンスペースで施術を受けると他の顧客の様子が気になってしまいますが、半個室でゆったりと施術を受けると安らぎを感じやすくなります。

さらにネイルサロンの施術中には、従業員とプライベートな話題を楽しみたい顧客もいます。隣の席からの視線が遮られている半個室であれば、顧客が気兼ねなく会話することが可能です。

歯科医院

歯科医院に半個室のニーズがある理由は、顧客である患者がプライバシーや衛生管理に敏感だからです。治療中には「なるべく口の中の状態を他の患者には見られたくない」と感じますよね。

治療スペースを半個室にすれば、患者が気兼ねなく治療を受けられる空間を提供できます。また簡易的な仕切りを設置することで飛沫を防止できます。

店舗内に半個室をデザインするポイント

店舗内に半個室をデザインするポイント

半個室のニーズがある業種の店舗を開業することを決めたら、デザインするポイントを押さえましょう。目的や方針がなく半個室を設置してしまうと、集客や売上の効果を上げることができませんので、ご注意ください。

設計したコンセプトに基づく

経営方針や商品・サービスの付加価値などを言語化した店舗のコンセプト。設計したコンセプトに基づいて店舗内に半個室をデザインすることで、内装空間の一貫性を保てます

顧客が店舗を選ぶときには商品・サービスの質だけではなく、店舗の雰囲気や環境への配慮なども考慮します。半個室を設置することで、プライバシー保護の姿勢や清潔さを顧客へアピールしましょう。

商品・サービスを提供しやすくする

半個室を利用する顧客に対して商品・サービスを提供しやすくするために、動線設計や設備、備品などを検討しましょう。例えば飲食店の半個室を利用しやすくするためには、空調設備や呼び鈴、オーダーシステムなどの設置が効果的です。

また従業員が半個室内で接客するクリニックやサロンなどにおいても、顧客が入店してから施術を受けるまでの流れを踏まえて、収納棚やソファなどの設置を検討してください。

顧客満足度を高める設備を配置する

顧客のニーズを把握したうえで、満足度を高める設備を配置しましょう。例えば美容室において半個室内のカット台にタブレット端末とスタンドを設置すれば、ヘアカット中に動画配信や音楽を楽しむことができます。

また空調設備を設置することで、冷暖房や換気に配慮しましょう。半個室内は仕切られている分だけ通気性が下がるため、快適に過ごせる空間作りの工夫が求められます。業種ごとに必要な空調設備の数は異なりますので、商品・サービスの内容を踏まえて検討してください。

関係法規を遵守する

飲食店において深夜に酒類を提供する場合には「深夜酒類提供飲食店」の営業許可を申請する必要がありますが、次のように客室に対する要件が定められています。

  • 各客室の床面積が一室の床面積を9.5㎡以上とすること
  • 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」 

「見通しを妨げる設備」は高さ1メートル以上の物を指し、カーテンやパーテーションはもちろんインテリア、植物、照明器具なども含まれます。

またカフェやバーなどの飲食店において「5㎡以下の個室」を設置する場合には、接待飲食等営業の3号営業「区画席飲食店」に該当するので、営業許可申請が必要です。

参考:警視庁「風俗営業等業種一覧」

おしゃれな個室デザインの施工事例 

店舗内に半個室をデザインするポイントを押さえたら、店舗をデザインし始めましょう。IDEALのデザインしたおしゃれな個室の施工事例を紹介しますので、参考にしてください。

温もりと落ち着きを感じる鍼灸院の半個室

温もりと落ち着きを感じる鍼灸院の半個室

疲れ目・眼精疲労専門鍼灸院「はり灸治療院クオーレ」様。スマホやパソコンによる目の疲れをケアする施術を完全予約制で提供しています。子連れでも気兼ねなく来院できるように、キッズルームが設置されています。

半個室の施術スペースにコンセプトカラーのグリーンと清潔感のある白、木の温もりを感じる茶色が配色することで、患者に落ち着きを感じていただける空間をデザインしました。限られたフロア内にキッズルームと必要な数だけの施術スペースを確保できました。

清潔で洗練された美容クリニックの完全個室

清潔で洗練された美容クリニックの完全個室

医療レーザー脱毛専門「GLOWクリニック 渋谷院」。半個室よりも顧客のプライバシーを保護できるように、カウンセリングルームと施術室を完全個室にデザインしました。リラックスして施術を受けられる環境を提供しています。

また施術後にお化粧直しができるように、パウダールームも施工してあります。クリニックの内装をホワイトに統一することで、清潔感を出しました。真っ白な空間の中に間接照明をアクセントとして加えることで洗練された印象を表現できました。

ブラウンを基調とするトレーニングスタジオの半個室

ブラウンを基調とするトレーニングスタジオの半個室

札幌のコンディショニングスタジオ『SHIBUYA SANKAK』様は、筋力トレーニングに食事指導をかけ合わせたヘルスケアサービス事業を展開。顧客のニーズに応えるパーソナルトレーニングなどを提供されています。

他の顧客がいても安心して過ごしていただけるように、カーテンで仕切れる半個室を設置しました。またリラックスしてもらえるように、ブラウンを基調とする落ち着いた内装をデザインしました。

職人技にこだわったうなぎ屋の半個室

職人技にこだわったうなぎ屋の半個室

90年続く老舗うなぎ料理店「うなぎ四代目菊川」様の内装には、4-6名用の個室を施工しました。建具やパーテーションとダイニングテーブルのデザインを調和させて、壁を左官仕上げにすることで、高級感を演出しています。

また新鮮な状態で調理している様子を顧客に見てもらえるようにライブキッチンもデザイン。ライブキッチン前のカウンター席だけではなく、店内全体から料理人が調理をしている様子が分かります。

組子を使った和食店の完全個室

組子を使った和食店の完全個室

こだわりの和牛や新鮮野菜を提供されている「いぶり 有楽町店」様。完全プライベート感を味わっていただけるように、全室を完全個室としてデザインしました。各個室の入り口に日本伝統工芸の「組子」を施工することで、華やかな雰囲気を演出しています。

装飾のこだわりは個室内部にも見られます。左官壁や石壁によって華やかさとのコントラストを出すことで、かしこまりすぎない落ち着いた和モダンの雰囲気を表現しました。可動式間切りにより、2~50名用の個室を用意できます。

顧客を満足させる半個室をデザインしよう!

顧客を満足させる半個室をデザインしよう!

半個室のメリット・デメリットを理解して利益率を計算したうえで、顧客満足度を高められる半個室の導入を検討しましょう。またポイントを押さえた施工事例を参考にしながら、コンセプトに基づいて半個室をデザインしてください。

IDEALは半個室を初めとする店舗の内装デザイン・工事はもちろん、物件探しから資金調達、Web集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。

集客と売上を伸ばすために店舗の開業や改装、移転をご検討中の際には、IDEALへお気軽にご相談ください。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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