2020.12.17|新規開業ノウハウ
クリニックの内装設備【診療科目ごとの必要設備+ユニークさで差別化】
「クリニックの内装設備って何が必要なの?」
という疑問にお答えする記事です。
結論から言いますと、クリニックの内装設備は
・必要最低限の構造図がある
・診療科目ごとに必要な設備が違う
という点を頭に入れておけば、意外とスムーズに設計できます。
クリニックの内装は、法律によって決められたルールがあり、ルールに従って内装設備を整えていくのを前提に進みます。
ただ、ルールに沿って内装を作っていくだけですと、他のクリニックと差別化されなくなります。
差別化されなければ「あっちのクリニックの方が良い」と利用されずに…なんてことも。
そこで当記事では、クリニックの基本的な内装設備の在り方と、差別化するためのテクニックをお伝えしていきます。
目次
クリニック内装の基本的な考え方
これから求められるクリニックは『寄添ってくれるクリニック』です。
したがって、クリニック内装の基本は『患者のための空間』であること。
患者が常に"圧迫感”や”緊張感”を感じられるような空間は『患者のため』にはなりませんね。
クリニックの内装は『患者とのコミュニケーションを取りやすい空間』でなければなりません。
クリニックの科目に合わせた内装をイメージしよう
クリニックの内装は、診療科目のイメージに合わせることが基本です。
例えば、
・小児科でしたら、子どもたちが怖がらないような待合室や診察室
・内科でしたら、ユニセックスかつ、ユニバーサルデザインを意識した待合室や診察室
など、診療科目のイメージに合わせるというのは『その科を受診する患者に寄り添ったような内装をイメージする』ということに繋がります。
その上で、お客様の「こんなクリニックにしたい」という"コンセプト"を表すよう内装設計していきましょう。
クリニックに必要な内装設備と『構造設備等の基準』を把握しよう
クリニックに必要な内装設備をお伝えする前に『構造設備等の基準』についてお伝えします。
簡単に説明しますと「クリニックを開業するなら、最低限こういう構造にしないといけませんよ」というルールです。
クリニックの内装は、コンセプトのこだわりを見せる以前に『構造設備等の基準』をクリアしなければなりません。
詳しいことは、各保健所のWebサイトにて確認できます。
参考までに東京都での基準を載せておきます。
診療所の構造設備(規:医療法施行規則):東京都福祉保健局より
当記事では「ここはちゃんと設置してね」という部分のみを以下の通りお伝えします。
・待合室
・診察室
・処置室
以上の設備、構造を盛り込むことを踏まえた上で「診療科目ごとに、必要な設備をさらに追加していくんだな」というイメージです。
それぞれの設備、構造の概要についてお伝えしていきますね。
必要な内装設備①待合室
待合室で配慮するべき点は以下の通りです。
・手洗い場や手指消毒コーナーを設ける
・窓を設置する(窓がある部屋を待合室にする)
・感染者用の出入り口、感染者用の待合室を確保する
・待合用のイス間隔を広くすること(仕切りを設置するのもアリ)
・座る向きを考えた配置にする(向かい合わせにならないように、など)
待合室は、診察室と分けるような構造にするのが望ましいとされています。
なぜなら、患者のプライバシーを守るためだからです。
必要な内装設備②診察室
診察室で配慮するべき点は以下の通りです。
・待合室と分けられていること
・診察室が他の部屋(診察室)への通り場所となる構造でないこと
・1つの部屋で複数の診療科目を担当するのは避けるべき(1部屋1科目が基本)
診察室は、待合室と分けられていることはもちろん、他の診察室とも区別されていることが求められています。
必要な内装設備③処置室
処置室で配慮するべき点は以下の通りです。
・処置室は診察室と分けていることが望ましい
・診察室と兼用する時は、カーテンを設置して見えないようにする
また、処置室は水道、給湯設備がある方が望ましいとされています。
普通のクリニックよりも"ユニークさ"で差別化できる
クリニックの内装は、ユニークな印象を与えられるように作ると他のクリニックと差別化されます。
患者が安心できるクリニックの最低条件は”清潔感を感じられるかどうか”です。
清潔感を考慮した上で、お客様のコンセプトを表現しましょう。
”コンセプトを表現する”ということは、独自のユニークさを演出できるということにも繋がります。
患者に緊張感を与えず、不安を和らげる雰囲気を創り上げるよう心得ましょう。
ここでは、
・内科
・歯科
・小児科
・整形外科
を例に、基本的な構造、内装の在り方と、どのようにしてユニークさを演出するか、をお伝えしますね。
診療科目:内科の場合
内科の場合は、健康診断で利用する人もいます。
病気の患者、健康診断の利用者、両パターンに配慮した内装にしていくことを意識しましょう。
[基本的な構造の考え方]
・自動ドアにする
・車椅子でも移動しやすい動線
・駐車場を設けた広々した場所
・手すりやスロープを設置する
・車椅子でも出入りしやすい大きめの出入り口
・待合室でも中待合室でも圧迫感を感じないような広さ
・なるべく段差のない造り(ユニバーサルデザイン、バリアフリー)
・診察室と処置室の距離をなるべく近くする(回転率を良くするため)
[ユニークさの演出方法]
・絵画やアート作品が装飾されている
・検査後、待合室とは別に『身体を休める部屋』を設ける
・ベンチシートや長椅子ではなく、座り心地の良いソファにする
など。
診療科目:歯科の場合
歯科の場合は、歯の治療を受ける時の”音”や”キーンとした痛み”に無意識的に恐怖を抱いています。
その恐怖心を少しでも取り除けるような内装、構造にしていくことを心得ましょう。
[基本的な構造の考え方]
・各診療室ごとに水道、消毒設備が必須
・受付と待合室の奥に診療室エリアを設ける
・イス型の診察台、大型の治療機器などの設備が必要
・2~3人の患者が同時に診療室エリアに入れるようにする
・各診療室は扉かパーテーションで区切られるようにする
・仰向けで診療を行うため、患者が眩しくないような工夫が必要
[ユニークさの演出方法]
・BGMを取り入れる
・完全個室型の診察室にする
・歯科らしくない内装デザインにする(カフェを連想させるようなデザイン)
など。
診療科目:小児科の場合
小児科の場合は、お子さん自身に安心してもらうのと同時に、親にも安心感を与えられるよう配慮しましょう。
[基本的な構造の考え方]
・赤ちゃん用のベッドを設置
・おむつ替えができるような設備
・開放感を感じられるような造り
・泣き声などに配慮した防音設備
・受付や柱は、角のない曲線にする
・おもちゃや絵本、DVD鑑賞ができるような設備
・出入り口、トイレなど、段差を少なくして転落を防ぐ
・子どもに届かない位置に、タッチパネル式の自動ドア
・ベビーカーが置ける、あるいは移動しやすい動線作り
・『おたふく』や『水疱瘡』など院内感染を防ぐよう、診察室と待合室を隔離する
[ユニークさの演出方法]
・明るい雰囲気が感じられるような内装
・”幼稚園”や”保育園”をイメージさせるような装飾
など。
診療科目:整形外科の場合
整形外科の場合は、内科とほぼ変わらない造りになることが多いです。
違いは、処置室の広さと医療機器の多さから、電源配線の数や位置を他の科目よりも配慮する必要があります。
[基本的な構造]
・なるべく段差の無い環境
・車の乗り降りがしやすいような広さを確保
・車椅子でも出入りがしやすい大きめの出入り口(自動ドア化)
・リハビリ室用に、着替え施設や貴重品ロッカーなどを設ける
・MRI、X線、C型アームX線TV装置などの特殊検査、処置室を設ける
[ユニークさの演出方法]
・温かみのある配色にする(暖色系など)
・無機質な印象を与えないようなデザインにする
など。
クリニックの内装設備は科目ごとに変わる
クリニックを開業したいお客様へ、内装、構造の設備や、他のクリニックと差別化するアイデアをお伝えしてきました。
クリニックの内装は”患者が身構えてしまうような内装”にするのは避けましょう。
これからのクリニックは『いかに患者に寄り添えるか』が求められます。
「クリニックの内装についてはわかった。だが上手く設計できるか不安だ」
そのように感じられるのであれば、ぜひIdealにご相談ください。
少しでもお客様の不安を減らすことができるかもしれません。
クリニックの開業に強いIdealであれば、
・必要な手続き
・内装デザインの設計、施工
・広告やWebサイト作成
を代行することが可能だからです。
お客様が目指すクリニックが出来上がるよう、悩みや疑問点を一つ一つ丁寧に対応致します。
まずは一度、ご相談してみて下さい。
監修者
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IDEAL編集部
日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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