本記事で、店舗を開業する流れと…
2022.04.18 2023.07.10|新規開業ノウハウ
バー開業の流れと準備を解説!開業資金・内装工事・資格取得も紹介
「バーを開業したいけれど何から始めれば良いかわからない」とお悩みですか?バー開業までにさまざまな準備が必要であるうえに手続きが煩雑ですので、開業日までに計画的に進めることが必要です。
そこで本記事ではバー開業の流れと準備を解説します。バーの種類や物件探し、内装工事、開業資金の調達、資格取得、届出・許可も紹介しますので、バー開業を検討されている方はぜひご覧ください。
バーの種類と業態
そもそもどんな種類のバーを開業したいですか?バーとは「飲酒できるお店全般」を意味しますので、次のようにさまざまな種類があります。
- バーテンダーの作るお酒を楽しむオーセンティックバー
- ミュージックやスポーツ、マジック、ダーツなどの特化型バー
- お酒だけでなく食事も楽しめるダイニングバー
- お酒だけでなくコーヒーも楽しめるカフェバー
- 「ママ」との会話を楽しみながら飲食・飲酒できるスナックバー
また同じ「バー」と名乗る店舗でも、風営法上の業態が異なります。0-6時にお酒と軽食を提供するオーセンティックバーの業態は「深夜酒類提供飲食店営業」に、主食と接客を提供するスナックバーの業態は「接待飲食等営業 」に分類されています。
そこでバーの開業準備を始めるときに、まずは開業するバーの種類と業態を選んでおきましょう。
バー開業の流れと準備
開業するバーの種類や業態を選んだら、開業準備を始めます。しかし初めてバーを開業する場合には、どんな準備をどの順番にやればよいか迷ってしまいますよね。そこでバー開業の準備をご紹介しますので、大まかな流れを確認していきましょう。
ステップ1:コンセプト設計と事業計画書の策定
バー開業準備において一番重要なのは、コンセプト設計です。明確なコンセプトに基づくことで事業計画を立てやすくなり、開業するバーの準備をブレることなく進められるからです。
バーの業態・種類やターゲットとする顧客層などを含めたコンセプトを設計をしたら、事業計画書に落とし込んでいきましょう。融資を受ける際に提出する書類ですので、綿密に計画することがポイントです。
ステップ2:物件探しと内装工事
事業計画書をまとめたら物件を探して、ターゲットを集客できる立地にある物件を賃貸契約しましょう。事前の市場調査が重要で、夜間に営業するバーにおいては物件周辺の時間帯ごとの人流を確認しておきましょう。
賃貸した物件を内装工事するときには、「バーを始めとする飲食店の施工実績」がある業者を選ぶことがおすすめです。後ほど物件探しと内装工事のポイントや費用の節約方法などを詳しく紹介します。
ステップ3:開業資金の調達
自己資金だけで開業資金をまかなえない場合には、物件探しと並行して調達方法を検討します。店舗の規模や業態などにもよりますが、バー開業資金の相場は300万〜1000万円程度です。
開業資金調達方法として、金融機関からの融資や自治体からの助成金などがあります。後ほど開業資金の内訳や必要な自己資金の額、調達方法の種類について詳しく紹介します。
ステップ4:資格取得と届出・許可申請
バー開業に必要な資格は、「食品衛生責任者」「防火管理者」です。内装工事の進行中に計画的に取得しましょう。
また開業するバーの規模や業態に応じて、「防火管理者選任届出」「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」「飲食店営業許可」「接待飲食等営業許可」などの申請が必要です。後ほど申請条件や申請方法を解説します。
ステップ5:集客手段・仕入れ先・従業員の決定
開業2〜3ヶ月前から集客手段を決定して実行しましょう。開業後すぐに売上を伸ばすためには、開業前からの集客努力が必要だからです。バーの安定した売上はリピーターを獲得できるかにかかっていますので、開業後も集客努力を続けましょう。
また仕入れ先を確保するために、知り合いに業者を紹介してもらったり、業務用の酒販売業者に相談したりすることも必要です。さらに従業員を雇用する場合には、無料求人Webサイトや自社公式Webサイト・SNSなどを活用しましょう。
バーの物件探しと内装工事
バー開業の流れを押さえてから物件探しと内装工事を検討しても、選択肢が多くて迷う場合があります。費用面から慎重に検討する必要がありますので、物件探しと内装工事のポイントをご説明します。
物件探しのポイント
物件探しの一番のポイントは、ターゲットを集客できるエリアを選ぶことです。人の流れが多かったとしても、ターゲットとなる顧客層が出入りしなければ集客を見込めないからです。
次に選定したエリア内の競合店を調査したうえで、コンセプトに合う物件を契約しましょう。ターゲットの入店しづらい建物や前借主の評判が悪かった店舗を選ばないように気をつけながら、必要な内装設備を施工できる物件を選びましょう。
さらに物件の種類(「スケルトン」と「居抜き」)を検討しましょう。スケルトン物件は自由にレイアウトをデザインできる点がメリットですが、デメリットとして工事費用が高くなります。居抜き物件はレイアウトの自由度は低くなりますが、前借主の施工した設備を譲渡してもらえるメリットがあります。
内装工事のポイント
内装工事のポイントは、明確なコンセプトに基づいてデザインすることです。コンセプトに合わない内装を施工してしまうと、集客や売上を伸ばすことができないからです。曖昧なイメージのままに内装をデザインしてしまうと、工事後に「想像と違った」とトラブルになりかねません。
またこだわる部分を絞って内装工事することもポイントです。内装にこだわり始めると、費用がどんどん膨らんでしまう可能性があります。内装デザインを業者へ依頼する前に、こだわる部分と節約する部分を分けておきましょう。
特にバーの顔となるカウンターやトイレ、照明が店舗全体の印象を左右します。競合店の内装施工事例を参考にしながら、内装業者にこだわりを伝えるとスムーズに工事が進みます。
内装工事費用の節約方法
開業費用において内装工事費用が大きな割合を占めますので、次の節約方法3点を押さえておきましょう。
1つ目は、居抜き物件を契約する方法です。居抜き物件を契約すると、スケルトン物件よりも内装工事費用を抑えられます。「造作譲渡料」を支払うことで前借主の施工した設備を利用できる分だけ、新たに内装設備を施工する必要がなくなるからです。
2つ目は、こだわる部分以外の内装を節約する方法です。カウンターやトイレ、照明などはバーに重要だと解説しましたが、他の部分(壁や床、空調など)については仕上げ材のグレードを下げたり、自分で調達して施工したりできないかを検討しましょう。
3つ目は、内装のデザインから工事までを同じ業者に依頼する方法です。デザインから施工までをワンストップソリューションとして提供している業者に依頼すれば、中間マージンが発生しません。打ち合わせに要する時間も節約できますよ。
バー開業資金の調達方法
物件取得や内装工事を始めとする開業準備には費用がかかります。バー開業資金の相場は、500万〜1000万円程度です。バー開業資金の内訳と自己資金、調達方法を確認して、計画的に資金を調達していきましょう。
開業資金の内訳
開業資金は主に初期費用(開業前の準備費用)と運転資金(開業後の固定費や修繕費など)の2つに分けられます。初期費用に関しては、スケルトン物件か居抜き物件かによって大きく変わりますので、内訳と試算(賃料20万円10坪の物件にかかる初期費用)を下の表にまとめました。
初期費用の内訳 | 費用の相場 | スケルトン物件の初期費用(10坪・賃料20万円) | 居抜き物件の初期費用(10坪・賃料20万円) |
物件取得費 (敷金・礼金・賃料) | 賃料6月分程度 | 120万円程度 | 120万円程度 |
内装工事費 (デザインから施工管理・工賃) | 坪単価20-50万円程度 | 400万円程度 | 100万円程度 |
造作譲渡料 (バーカウンター・照明など) | 50-300万円程度 ※譲渡される造作の種類と量により変動 | なし | 100万円程度 |
他の費用 (採用費・集客費・消耗品費など) | 50-300万円程度 ※採用する従業員数や物件の坪数により変動 | 100万円程度 | 100万円程度 |
合計 | 300-1,000万円程度 | 620万円程度 | 420万円程度 |
バー運転資金の相場は月30万〜100万円程度で、規模や業態により変動します。主な内訳は賃料、水道光熱費、仕入れ費、人件費、集客費、ローン返済です。バーの主な収入源はリピーターからの売上になりますので、軌道に乗るまで6か月分程度の運転資金を蓄えておくとよいでしょう。
必要な自己資金の額
バー開業に必要な自己資金は、開業資金の3割以上です。日本政策金融公庫の調査では、開業資金の24%は自己資金でまかなわれていると報告されています。「自己資金0円でも開業できる」という見解もありますが、物件を取得していることを条件とする融資制度もあるので現実的ではありません。
開業資金3割以上の自己資金を蓄えることができれば、融資や助成金を申請して資金調達することも可能です。1/10以上の自己資金があれば申し込みできる融資制度もあります。資金調達方法を後ほど詳しく解説します。
調達方法の種類
開業資金調達方法の種類は、大きく分けて5つあります。
- 親族や知人からの借入
- 民間金融機関の融資制度
- 日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資
- クラウドファンディングの募集
- 国や地方自治体の補助金・助成金
民間金融機関の融資制度を希望するなら、地方銀行や信用金庫がおすすめです。メガバンクは大口契約がメインで、融資の難易度が高く時間がかかるからです。ただし比較的融資が受けやすいといっても、公的機関よりはハードルが高いです。
公的機関の制度融資として、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が有名です。国や地方自治体の補助金・助成金については募集期間が限られていますので、早めに確認しておくことも大切です。
なおバーを始めとする飲食店の開業資金調達方法について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
バー開業に必要な資格や届出・許可
開業資金の調達に苦労しますが、開業に必要な資格や届出・許可もたくさんあります。開業するバーの業態や規模によって必要となる資格や届出・許可が異なりますので、早めに確認して手続きを開始しましょう。
食品衛生責任者の資格
顧客が飲食できるバーには必ず1人以上の食品衛生責任者を配置しなければなりません。講習を受けることで資格を取得でき、費用は自治体によって異なりますが10,000円程度です。バーを開業する都道府県の食品衛生協会や保健所の出している情報を確認しましょう。
なお調理師や栄養士などの資格を持っている場合は、受講免除となります。保健所や食品衛生協会のWebサイト上で、免除対象の資格を確認できます。
参考:一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者資格とは」
防火管理者の資格
火災予防や火災が起きた際のリスクを最小限にするため、収容人数が30人以上の建物には防火管理者を1人選任する必要があります。食品衛生責任者と同様に講習を受けることで資格を取得でき、費用は3000円〜8000円程度です。
防火管理者の資格には、甲種と乙種の2種類があります。収容人数や延べ床面積によって種類が異なるので、バーを開業する都道府県の消防庁のWebサイト上で、どちらの取得が必要かを確認しておきましょう。
火を使用する設備等の設置届
バーの営業中に「火」を使う場合には、設備を工事する前までに消防署へ申請します。IHコンロを使用する場合は必要ありませんが、ガスコンロを設置するなら申請が必要です。
飲食店の営業許可
バーの内装図面ができたら、保健所に事前相談して営業許可の申請書類を作成します。店舗完成10日前までに保健所へ申請して、開業前に保健所の職員による立ち会い検査に合格すると、営業許可が下ります。
事前相談に図面を持っていく理由は、図面の問題点を内装工事前に修正するためです。立ち会検査後の修正工事を回避して、余分な支出を減らしましょう。
特定遊興飲食店営業許可
風営法に基づいて、「深夜0時〜午前6時」の間に「酒類」を提供して顧客に「遊興」させるバーにおいては、開業2ヶ月前までに警察署への「特定遊興飲食店営業許可」の申請が必要です。遊興がないバーを開業するなら、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」の申請が必要になります。
例えばスポーツ観戦中に顧客に応援を呼びかけると遊興にあたります。遊興の判断基準については、警察庁の公式Webサイトの情報を確認しましょう。
深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出
風営法に基づいて「深夜0時以降も酒類を提供する」バーを営業するなら、営業開始10日前までに警察署へ「深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出」を申請します。なお住宅地の近くや病院・学校の周辺などにバーを開業できないため、管轄の警察署で確認してください。
参考:愛知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出」
防火対象設備使用開始届
建物に入居して開業する際に、営業開始7日前までに消防署へ申請します。前借主が賃貸していた物件においても、借主が変わるタイミングで申請が必要となります。
防火管理者選任届出
防火上必要な業務を行う管理者を明確にするために、営業開始前までに消防署へ届け出ます。防火管理者の資格取得だけでなく、「防火管理者選任届出」まで必要ですので、注意しましょう。
参考:東京消防庁「防火・防災管理者選任(解任)届出について」
バー開業の流れを理解して計画的に準備しよう
バー開業準備はたくさんあるため、流れを把握して計画的に準備を進めることがポイントです。開業資金の相場を把握したうえでポイントを押さえれば、費用を節約することが可能です。事前に知識をつけて、スムーズに開業準備を進めましょう。
IDEALではバーを始めとする飲食店などの物件探しから内装工事、開業後の集客までをワンストップソリューションとして提供しております。
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監修者
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IDEAL編集部
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