2022.05.01  2022.06.28|新規開業ノウハウ

飲食店が申請できる補助金や助成金とは?申請条件やコロナ対応方法も

飲食店が申請できる補助金や助成金とは?申請条件やコロナ対応方法も

新型コロナウイルス感染拡大の影響から、「飲食店経営の苦労」が増えたと感じていませんか?しかし経済を安定させるために、国や地方自治体により補助金や助成金の制度が整備されてきています。

そこで今回は飲食店経営に活用できる国や地方自治体などの補助金や助成金をご紹介します。申請するときの注意点やコロナ禍への対応に活用する方法なども解説しますので、飲食店の開業や経営にぜひお役立てください。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金の違い

そもそも「補助金」と「助成金」の違いは、何でしょうか?共通点は国や地方自治体などから事業者に対して返済義務のない資金援助を行う点です。相違点は、資金を受給できる条件や受給額です。

補助金制度の目的は、国や地方自治体の政策目標を達成するために企業や個人事業主の取組を補助することです。申請条件を満たす事業主がコンペや先着の方式により審査されて、予算に応じた数の事業者に対して補助金が支給されます。助成金制度と比較すると募集期間が限られており、全ての事業主が受給できる制度ではありません。ただし補助する対象範囲や補助額が大きい傾向にあります。

助成金制度の目的も、国や地方自治体が事業者や労働者を支援することです。申請条件を満たす事業者を対象として予算の許す限り助成金が支給され、過去の経費も含めて申請できる場合もあります。補助金と比べると申請期間が長く、通年で申請可能である場合が多いです。しかし助成する対象範囲や受給額が小さい傾向にあります。

飲食店経営に活用できる国・地方自治体の補助金 

飲食店経営に活用できる国・地方自治体の補助金 

審査を受けるための準備が必要ですが、採択されれば大きな資金援助となる補助金。飲食店経営のために積極的に活用したいですよね。国からの補助金は全国を対象とする場合が多いですが、地方自治体からの補助金は対象者が限定されています。

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金(一般型)は全国商工会連合会により運用されており、「持続化補助金」と略されます。小規模事業者による持続的な経営をするための「販路開拓や生産性向上に必要な費用」が補助されます。

2022年の制度においては「通常枠」(補助率2/3、補助上限50万円)に加えて、「賃金引上げ」「 卒業」「 後継者支援」「 創業」「 インボイス」の特別枠が設けられ、補助上限額が100万円~200万円に引き上げられました。

対象となる小規模事業者とは、下記の条件に該当する法人か個人事業主、特定非営利活動法人です。

  • 商業・サービス業:業員数(常時)  5人以下
  • 宿泊業・娯楽業 :業員数(常時)  20人以下
  • 製造業その他  :業員数(常時)  20人以下

参考:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金(一般型)」

参考:全国商工会連合会「令和元年・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 <一般型> ガイドブック 」

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は中小企業庁により管轄されており、「ものづくり補助金」とも呼ばれます。中小企業や小規模事業者などが今後直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するための費用が補助されます。

2022年の10次締切分では、一般型の「通常枠」に加えて「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」が新設され、補助率や補助上限額が優遇されました。一般型の助成額は750〜1,250万円で、助成率は1/2(小規模事業者に対しては2/3)です。一般型に新設された枠に対しては、助成率が2/3です。

下記の条件を満たす3〜5年の事業計画を実行していると申請可能です。業種によって資本金と従業員数の上限が定められており、いずれかが基準以下であれば補助対象になります。

  • 付加価値額 が「年間3%」以上
  • 給与支給総額 が「年間1.5%」以上
  • 事業場内最低賃金が「地域別最低賃金+30円」以上

参考:ものづくり補助金総合サイト「公募要領について」

IT導入補助金

中小企業基盤整備機構が監督するIT導入補助金は、中小企業・小規模事業者によるITツール導入費用を補助します。2022年には通常枠(A・B類型)に加えて、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)が追加されました。

通常枠の補助率は1/2で、補助額には30万〜150万円未満(A型)と150万〜450万円以下(B型)があります。類型(A型かB型)は、ITツール導入で生産性の高まる業務プロセス数や賃上げなどの要件によって決定されます。

デジタル化基盤導入類型の補助額は5万円~350万円です。「会計」「受発注」「決済」「EC」の中から1つの機能に対して5万円~50万円以下が補助され、補助率は3/4以内です。2つの機能以上を搭載すると50万円超〜350万円が補助され、補助率は2/3以内となります。

参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT補助金2022」

参考:中小企業庁「IT導入補助金 A・B類型(通常型)、 C・D類型(低感染リスク型ビジネス枠)の違い」

受動喫煙防止対策支援補助金(東京都)

東京都福祉保健局の運用する受動喫煙防止対策支援補助金。東京都内の個人又は中小企業が経営する飲食店や宿泊施設に対して、「喫煙専用室」「指定たばこ(加熱式たばこ)専用喫煙室」を設置する費用が補助されます。

補助費用は1施設400万円が上限で、補助率は客席面積100㎡以下の場合は10分の9、100㎡以上の場合は3分の2となります。

参考:東京都福祉保健局「受動喫煙防止対策支援補助金について」

インバウンド対応力強化支援補助金(東京都)

インバウンド対応力強化支援補助金は、東京観光財団により運営されています。多言語対応や外国人旅行者の災害時受け入れ対応など、インバウンド対応力強化のための新規事業費用が補助されます。

補助対象は、東京都内で観光事業を行う企業(旅館やホテル、簡易宿泊所、飲食店、免税店等)です。補助額は上限300万円、補助対象経費の1/2以内です。

参考:東京都観光財団「インバウンド対応力強化支援補助金」

飲食店経営に活用できる国・地方自治体の助成金

飲食店経営に活用できる国・地方自治体の助成金

支給までに時間がかかりますが、要件を満たせば受給できる助成金制度も、飲食店経営のために活用したいですよね。飲食店経営に活用できる助成金を紹介しますので、申請対象と助成内容を確認していきましょう。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者(有期雇用の短時間労働者や派遣労働者など)のキャリアアップを促進するために、厚生労働省により運用されています。例えば「正社員化コース」では条件を満たすことで従業員1人当たり最大72万円を受給できます。

他にも「賃金規定等改定コース」「 賃金規定等共通化コース」「 賞与・退職金制度導入コース」「 選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「 短時間労働者労働時間延長コース」があり、コース毎に要件や助成額が異なります。「加算措置」の条件を満たすことで、助成額がアップします

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は従業員の職業訓練を計画的に実施したり、教育訓練休暇制度を適用したりする事業主に対して助成するために、厚生労働省により運用されています。

例えば「特定訓練コース」では厚生労働大臣認定のOJT付き訓練や若年者への訓練などを10時間以上実施した場合に、訓練経費や賃金の一部が助成されます。他にも専門的な知識・技能を習得するための20時間以上の訓練に対して助成される「一般訓練コース」などの8コースが用意されています。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」

受動喫煙防止対策助成金

受動喫煙防止対策助成金は厚生労働省により運用されており、労災適用認定を受けている中小事業主が喫煙専用室や指定たばこ専用喫煙室を設置・改修する費用に対して助成されます。地方自治体の労働局が窓口になって申請を受け付けています。

助成額は上限100万円で、喫煙室等の設置に係る費用のうち工費と設備費、備品費、機械装置費の2/3(飲食店以外は1/2)が助成されます。

参考:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」

業務改善助成金

業務改善助成金は中小企業・小規模事業者の生産性を向上させて最低賃金の引上げを図るために、厚生労働省により運用されています。地方自治体の労働局が窓口となって申請を受け付けています。

生産性向上のための機械設備投資やコンサルティング導入、教育訓練などにより、同一事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に助成されます。例えば時給を30円以上引き上げた場合は従業員数に応じて30万円から120万円が助成されます。

参考:厚生労働省「[2]業務改善助成金」

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)

東京都中小企業振興公社の運用する若手・女性リーダー応援プログラム助成事業。創業予定の個人事業主(女性または39歳以下の男性)を対象として、東京都内にある商店街の物件に開業する費用に対して助成を受けられます。

店舗の新装費用や改装費用、研修費用、店舗賃借料に対して助成されます。例えば店舗新装・改装を含む事業所整備費用は最大400万円まで、助成率は3/4以内です。

参考:東京都中小企業振興公社「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」

飲食店のコロナ禍対応を支援する補助金・助成金

飲食店のコロナ禍対応を支援する補助金・助成金

新型コロナウイルス感染拡大により、飲食店経営が一段と難しくなりました。しかし飲食店の雇用と事業を支援する補助金や助成金が運用されています。申請の条件や方法を確認しながら、ぜひ申請を検討しましょう。

雇用調整助成金

雇用調整助成金(雇調金)は厚生労働省によって運営されており、経済的な理由から事業縮小を行った事業者を支援します。受付窓口は、飲食店のある地域を管轄するハローワークです。

具体的には、雇用維持のために労使協定に基づき雇用調整(休業や勤務時間縮小など)を実施した場合に、休業手当の一部が助成されます。労働者をグループ企業へ出向させて雇用を維持した場合も、支給対象となります。

2022年4月時点においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響から事業縮小を行った場合に特例措置が適用されています。通常の助成率(中小企業に対して2/3、大企業に対して1/2)に対して、特例措置の助成率が最大10/10まで引き上げられており、一日当たりの上限額が最大15,000円となっています。

参考:厚生労働省「雇用調整助成金」

事業復活支援金

事業復活支援金は事業の継続や立て直しを支援しており、中小企業庁により運営されています。支援対象は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が大きく減少した中小法人や個人事業者です。

新型コロナウイルス感染拡大前後の売上高を比較して、減少率が一定割合を越えた場合に支援対象となります。支援される金額は個人事業主に対して最大50万円、法人に対して最大250万円です。

参考:中小企業庁「事業復活支援金」

事業再構築補助金

ウィズコロナ・ポストコロナの社会変革に対応するために、新分野展開や業態転換などの事業再構築を目指す中小企業を支援する事業再構築補助金。中小企業庁により運営されています。補助を受けられる主な条件は、次の2点です。

  1. コロナの影響で売上が減少している
  2. 指針に示された事業再構築(新分野展開や業態・業種転換など)を行う

「通常枠」以外に「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」があり、枠ごとに要件が定められています。特に【グリーン成長枠】では上記の条件1つ目が撤廃されて上限額が1.5億円とされたので、力強い支援体制です。

応募した企業の全てが補助を受給できるわけではありませんが、第1-2回目に申請された4万件の申請の内、1万7千件が採択されています。

参考:中小企業庁「事業再構築補助金」

参考:経済産業省「中小企業庁担当者に聞く「事業再構築補助金のポイント」

感染症対策サポート助成事業

新型コロナウイルス感染対策費用を助成する感染症対策サポート助成事業は、東京都中小企業振興公社により運営されています。助成対象は、都内の中小企業です。

助成内容として、「備品購入、内装・設備工事コース」(サーモカメラ購入やパーテーション設置など)と「消耗品購入コース」(消毒液やマスクなどの消耗品購入)があります。

  • 「備品購入、内装・設備工事コース」の助成限度額は200万円、助成率は2/3
  • 「消耗品購入コース」の助成限度額は10万円、助成率は最大4/5

参考:東京都中小企業振興公社「感染症対策サポート助成事業」

飲食店が補助金・助成金を申請するときの注意点

飲食店が補助金・助成金を申請するときの注意点

飲食店が活用できる補助金・助成金の申請条件や申請方法を大まかに把握できましたが、初めて申請するときには失敗しないか不安ですよね。特に補助金を申請するときには、審査に合格できるように注意しましょう。

緻密な事業計画を立てる

綿密な事業計画を立てることで助成金の書類確認や補助金の審査に通りやすくなりますので、以下のポイントを押さえましょう。ただし補助金や助成金に応じて押さえるポイントが異なる点に注意してください。

  • 独自性のある事業を生み出す
  • 収益の見込みを立てる
  • 全ての審査基準をクリアする
  • 企業理念や経営目標を反映させる
  • 事業課題や補助金・助成金の使い道を明確に示す
  • 市場調査(自社と競合、顧客の視点)を踏まえる
  • 社会的な意義を説明する

ポイントを押さえた事業計画を立てるためには、社労士や行政書士、税理士などの専門家や開業支援サービスなどに相談することが有効です。ノウハウを活かして計画立案を支援してもらえるだけではなく、資金調達や申請に関する注意点をアドバイスしてもらえるからです。また煩雑な申請書類の作成を代行してもらえば、手間暇や人件費を押さえられます。

申請の条件と期間を確認する

補助金・助成金ごとに申請の条件と期間が細かく定められているため、確認したうえで申請準備を開始する必要があります。必要な申請書類の準備が遅れると、申請に間に合わなくなります。

例えば補助金には補助対象となる事業期間が定められていますので、期間外に支出した経費は一般的に補助対象として認められません。 また事業終了期間が年度末より早めに設定されている補助金が多い点にも、注意しましょう。

審査期間と受給時期を把握する

補助金・助成金は、実際に受給できるまでに長い時間を要することが多いです。また同じ補助金・助成金であっても、審査期間や受給までに要する日数が申請状況や受付窓口の処理能力によって変動します。

実際に申請してからの審査期間と受給期間を把握したうえで、余裕のある資金計画に基づいて事業を営む必要があります。申請が通らなかったことを想定して、銀行の融資制度や自己資金の貯蓄などの資金調達方法も検討しておきましょう。

不正受給しないように申請条件を満たす

たとえ不正をするつもりがなくても申請書類のミスから疑われてしまうこともあるので、申請条件を満たして申請を行いましょう。不正が発覚した場合には助成金・補助金の返還だけでなく、違約加算金の支払いを求められる場合があります。

悪質な場合には不正内容と申請者の氏名を公表されて、刑事告訴される場合もあります。また不正受給を一度してしまうと、別の補助金・助成金を申請できなくなる可能性があります。

なお補助金を受給すると、費用対効果を報告しなければならない場合が多いです。たとえば東京都や中小企業庁の補助金では報告が義務化されています。

申請が通らないときの対応を想定する

補助金も助成金も確実に受給できるわけではないため、助成金・補助金だけに頼って事業を計画するのではなく、自己資金や金融機関の融資なども検討しておきましょう。店舗の開業を支援する業者に相談して、資金調達の支援を依頼することもできます。

助成金については一般的に要件を満たせば受給できますが、補助金については審査に合格する必要があります。また経営状況の変化により助成金や補助金の申請条件を満たせなくなる可能性もあります。

補助金や助成金を受給して飲食店経営を安定させよう!

補助金や助成金を受給して飲食店経営を安定させよう!

飲食店経営やコロナ対策に利用可能な補助金や助成金を受給するためには、申請条件を理解して綿密な事業計画を立てたうえで申請してください。コロナ禍においても集客と売上を伸ばして、飲食店経営を安定させましょう。

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監修者

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