2022.05.25|新規開業ノウハウ

店舗物件の探し方を解説!賃貸のコツや内覧の注意点なども紹介

店舗物件の探し方を解説!賃貸のコツや内覧の注意点なども紹介

「店舗物件をどのように選んだらいいの?」「探し方のコツや注意点を知りたい!」などとお困りではありませんか?店舗を開業してからの集客と売上に大きく影響しますので、店舗経営において物件選びは重要です。

そこで今回は、店舗物件の探し方と探すときのコツを解説していきます。店舗を開業・移転する際に知識を活用できるように、店舗物件を選ぶときの注意点や内覧時・申込前の確認事項もご紹介します。

店舗経営において物件選びが重要な理由

店舗経営において物件選びが重要な理由

店舗物件選びを始める前に、まず店舗経営において物件選びが重要な理由を確認しましょう。やみくもに探しても、開業までの大事な時間とお金を失う危険性があるからです。物件選びの重要性を理解することで、効率的に進めることができます。

店舗のコンセプトを実現させる手段だから

販売商品・サービスを通して提供する付加価値や魅力、ブランド価値などを言語化したコンセプト。経営する店舗のコンセプトを実現させる手段となるので、店舗物件選びは重要です。明確なコンセプトに基づいて店舗の内装をデザインすることで、販売する商品・サービスの魅力を引き立てることができます

例えばスケルトン物件は建物の躯体だけの状態ですので、コンセプトに基づいて内装を自由にデザインできます。ただし壁や天井などの内装から空調や照明などの設備まで施工する必要がありますので、時間も費用もかかります。

一方で居抜き物件には前借主が施工した造作が残っているので、造作譲渡料を支払うことで内装工事費を抑えることができます。しかし施工した造作を生かしながら内装をデザインする必要があります。コンセプトとの整合性を保てない場合には、造作を撤去や改修する時間と費用がかかります。

賃料が運転資金の中で大きな割合を占めるから

次に店舗物件の賃料が人件費や材料費などと同様に運転資金の中で大きな割合を占めますので、店舗物件選びが重要です。立地や床面積、種類(居抜きかスケルトンか)などの条件によって変動しますが、月間売上の10%程度に収める必要があります

店舗物件の賃料を調べるときには、候補エリアの賃料相場と坪単価を確認することを覚えておいてください。賃料相場と坪単価を基準として、店舗を開業するエリアや物件を比較することができます。

立地と物件が集客に大きく影響するから

最後に店舗を開業する立地と物件が集客に大きく影響するので、店舗物件選びは重要です。例えば商店街や繁華街なら人通りが多いことが予想されますが、ターゲットとする顧客層が出入りしていなければ集客できません。

ただし集客を見込める立地は賃料相場が高い傾向にあるので、利益率が下がる危険性があります。入居してから値下げ交渉することは難しいので、物件選びの段階から客単価や販売価格を検討して物件取得費を予算化しておきましょう。

店舗物件の探し方 

店舗物件の探し方 

店舗物件選びが重要な理由を念頭に置いたうえで、実際に店舗物件の探し方を時系列に沿ってご紹介します。物件選びから契約まで2~3か月ほどかかることがありますので、計画的に準備を始めましょう。

開業する店舗のコンセプトを設計する

一貫した経営方針に基づいて店舗物件選びを進めるために、まずは開業する店舗のコンセプトを設計してください。市場調査を踏まえてターゲットを絞り、市場におけるポジションを明確にすれば、コンセプトとして言語化しやすくなります。

なお店舗物件探しに必要な「市場調査」について、後ほど詳しく解説していきます。また店舗のコンセプト設計のポイントについて下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

店舗物件の希望条件を整理する

設計した店舗のコンセプトに基づいて、店舗物件の希望条件を整理しましょう。物件の基本条件である「立地と種類、広さ、賃料」に希望条件の例を入れてみます。

  • 立地:JR東日本大宮駅から徒歩10分以内
  • 種類:スケルトン物件
  • 広さ:30坪以上
  • 賃料:30万円以内

上記に加えて、駐車場の有無や営業できる時間帯、周辺環境なども整理しておくと、候補となる物件を絞りやすくなります。ただし全ての条件を満たす物件が見当たらない可能性がありますので、希望条件に優先順位を付けておいてください。

店舗物件の取得費用を調達しておく

希望条件を整理している間に、店舗物件の取得費用を調達しておかなくてはなりません。取得費用の相場は賃料6~12ヵ月分程度で、内訳は次のとおりです。

  • 敷金 :賃料1~3ヵ月分程度
  • 礼金 :賃料1~3カ月分程度
  • 保証金:賃料3~6ヵ月分程度
  • 仲介料:家賃1~3カ月分程度

なお居抜き物件を選んで旧借主から造作(内装や設備など)を譲り受ける場合には、造作譲渡料を支払う必要があります。

具体的な物件をWeb検索して内覧を予約する

整理した希望条件に基づいて、具体的な物件をWeb検索しましょう。アパート賃貸物件サイトと同様に、店舗物件を扱うWebサイトがありますので、後ほど詳しく解説します。

Webサイト上で内覧したい店舗物件を見つけたら、予約を申し込める場合が多いです。不動産業者から登録したEメールアドレスへ連絡が来たら、内覧予約日時が確定します。

店舗物件の賃貸契約を申し込む

内覧して店舗を開業したい物件を決めたら、賃貸契約を申し込むことになります。印鑑証明書や住民票(個人事業主として開業する場合)、法人の謄本(法人として開業する場合)などを必要書類として不動産業者から求められますので、期日までに準備しましょう。

必要書類を提出すると1週間程度で物件貸主による審査が行われて、審査に受かると契約手続きへ移ることができます。

店舗物件探しのコツ 

店舗物件探しのコツ 

店舗物件探しの大まかな流れを把握したところで、店舗物件探しのコツもいくつかご紹介します。店舗のコンセプトにマッチする理想的な物件と出会うために、無駄を省いて効率的に探したいですよね。

市場調査を踏まえて出店エリアを絞る

店舗のターゲットを効果的に集客するために、市場調査を踏まえて出店エリアを絞りましょう。市場を調査するときには、次の項目に注目してください。

  • 生活や仕事のために出入りする顧客層
  • 時間帯による交通量の変化や交通の利便性
  • 競合店の数や集客状況
  • 業界の流行や普遍的なニーズ
  • 店舗物件賃料の相場

上記の項目を調べるためには実際に足を運ぶだけではなく、口コミや評判などをWeb検索することでも有益な情報を得られることがあります。

店舗物件情報のWebサイトを利用する

店舗物件情報のWebサイトを利用することで、空き物件の情報を効率的に集めることができます。Webサイトといっても種類がさまざまで、店舗兼住宅を集めたサイトや店舗物件専門サイト、居抜き物件専門サイトなどがあります。

情報源を多くもつほうがよいので、なるべく複数のWebサイトにアクセスして希望条件に合う物件を見つけましょう。多くのWebサイトに新着物件を知らせてくれる機能が設置されていますので、会員登録すると便利ですよ。

出店予定エリアの不動産会社に相談する

出店予定エリアの不動産会社に相談するのも、店舗物件探しのコツです。なぜなら全ての物件情報がWeb上に公開されているわけではなく、地域に根ざした不動産会社に所有されている「未公開情報」があるからです。

店舗のコンセプト設計や事業計画、資金調達が万全であれば、希望条件と併せて不動産会社に伝えることで、適した物件を紹介してもらえる可能性があります。紹介してもらえる物件がなくても、相談しておくことで情報が入り次第知らせてくれます。

友人や知人などから紹介してもらう

思わぬきっかけで店舗物件所有者を「友人や知人などから紹介してもらう」ことも想定できます。開業準備段階から友人や知人などに連絡して、開業予定日や店舗物件の希望条件などを伝えておきましょう

またSNSアカウントを運営しているなら、店舗経営に関わるユーザー同士で物件や経営全般の情報を共有することができます。開業してからのWeb集客を考えるうえでも、SNSやスマホアプリなどの利用を検討しましょう。

自治体や商工会議所に相談する

自治体や商工会議所に相談することでも、店舗物件の情報を得ることができます。自治体や商工会議所の役割として、地域の活性化を図るために空き店舗が目立つ商店街に店舗を誘致しているからです。

例えば店舗の賃料や改修を補助する制度を運営している自治体があります。出店予定エリアについてWeb検索したり、自治体や商工会議所に問い合わせたりして、活用できる情報を集めましょう。

参考:東京都むさし府中商工会議所「令和4年度空き店舗等対策家賃補助事業」

内装工事業者に相談する

実績豊富な内装工事業者に相談すると、店舗物件探しの段階から支援してくれる場合があります。店舗物件の内覧へ内装工事業者に同行してもらえたら、内装デザインの観点から物件を調査してもらえて心強いです。

また店舗物件の賃貸契約前から内装工事業者に相談を開始することで、内装デザインと工事をスムーズに進めることができます。契約前に工事の見積もりを取ったり、改修の必要な箇所を確認したりしてもらえれば、店舗物件を探しやすいです。

店舗物件を選ぶときの注意点 

店舗物件を選ぶときの注意点 

店舗物件探しのコツだけではなく、店舗物件を選ぶときの注意点も押さえてください。店舗物件に制約が設けられていると、希望する業種・業態の店舗を開業できない場合があるからです。5点に分けて解説していきます。

居住用物件を店舗として利用できない点

まずは基本的に居住用物件を店舗として利用できない点にご注意ください。特にマンションなどの集合住宅においては他の入居者に安全管理上の不安を与えないように、不特定多数の顧客が出入りする店舗の開業は認められません

中には店舗の事務所として入居できる居住用物件もあります。ただし利用目的が居住のみと管理規約に定められている場合には、事務所としても利用できません。

用途地域によって開業できない点

次に都市計画法で定められた用途地域によって店舗を開業できない点にもご注意ください。用途地域とは、計画的な都市の発展のために利用目的に従って区切られたエリアです。待ちの景観や利便性が損なわれないように、建築物の用途に一定の制限が設けられています

住居を建築できる住居専用地域や住居地域には、基本的に店舗を開業できません。しかし床面積や業種によって、開業できる地域もあります。出店エリアを絞る段階で用途市域をWeb検索したり、自治体の窓口に問い合わせたりしてください。

参考:国土交通省「みらいに向けた まちづくりのために」

契約条件により業態が制限される点

さらなる注意点として、契約条件により業態が制限される点を忘れてはなりません。賃貸契約後の思わぬトラブルを回避してスムーズに開業準備を進めるために、不動産仲介業者を通じて経営する店舗の業種や業態について物件所有者と情報を共有しておきましょう

例えば雑居ビルに焼肉店を開業すると煙やにおいが発生しますので、同じビル内の他店舗への影響を考慮して入居が認められない可能性があります。また物件所有者からの契約条件として、内装や看板のデザインが制約されることもあります。

さらに物件内において給排水設備を施工できる場所が制限されたり、2階以上に入居するときに設置する設備・備品の総重量が制限されたりします。

契約条件により賃貸時期が制限される点

他にも、契約条件により賃貸時期が制限される点に気を付けてください。一般的に店舗物件は普通借家契約により賃貸されますが、定期借家契約で貸し出しされる場合もあります。契約条件を正しく理解して同意したうえで、契約手続きを進めるようにしましょう。

定期借家契約においては、普通借家契約と比較すると賃料が安い傾向にありますが、設定された期間に退去しなければなりませんので、営業が軌道に乗ってきたところで移転や撤退を余儀なくされることになります。また契約条件によっては、途中解約する場合に「残りの期間の賃料を違約金として支払う義務」が定められています。

アスベスト調査と耐震診断調査が実施されている点

店舗物件の賃貸契約を結ぶ前に、不動産会社から「重要事項説明」としてアスベスト調査と耐震診断調査について説明されます。アスベスト調査については、全ての物件について説明されます。ただし調査が行われていないからといって、不動産会社に調査義務があるわけではありません。

また耐震診断調査については、いわゆる旧耐震基準で建てられた物件のみ診断の有無が説明されます。1983年5月31日までに登記された建物が対象となりますので、賃貸契約を申し込む前に店舗物件の築年数を確認しておきましょう。

参考:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令について(アスベスト調査、耐震診断に係る情報についての重要事項説明への追加)」

内覧時や申込前の確認事項

内覧時や申込前の確認事項

店舗物件の賃貸契約を締結してから公開しないように、内覧時や申込前の確認事項をご紹介します。店舗物件へ実際に足を運んだうえで、市場調査段階よりもさらに踏み込んで物件の状態や周辺エリアなどについて分析することが必要です。

店舗物件の周辺環境

店舗物件の周辺環境をチェックする理由は、店舗のターゲットを集客できる可能性を見極めるためです。店舗周辺にオフィスビルが立ち並んでいれば昼間にビジネスパーソンが出入りしていますし、住宅が多いならば週末にファミリー層が生活しています。

また競合店の場所と業態を詳しく観察してください。例えば商店街に和食屋を開業する場合に周辺に洋食や中華の飲食店が営業していても構いませんが、和食を扱う飲食店が営業しているなら再検討が必要です。

店舗物件周辺の交通量・通行量

集客に大きく影響しますので、店舗物件周辺の交通量や通行量も確認してください。自動車や自転車、歩行者の属性や数はもちろん、店舗周辺が終着点であるのか通過点であるのかを観察してください。

また交通量・通行量の時間帯による変化も把握しておくと、店舗の営業時間を検討する材料になります。例えばアパレルショップを開業するとしても、学生や働き世代と高齢層とでは来店時間が異なります。

店舗物件の内装と外装の状態

店舗物件の内装と外装の状態確認を後回しにすると、思わぬ設備に修繕が必要になったり、必要な什器を施工できなかったりする危険性があります。

居抜き物件とスケルトン物件によってチェックポイントは変わりますが、基本的に店舗物件の階数、水回りや電源の位置、施工されている設備や、「人目につく看板を出せるのか」「内装の雨漏りや痛みはないか」などを確認してください。

旧店舗の経営状態や評判

旧店舗の経営状態や評判を調べることで、開業する店舗の経営に対する影響をある程度は予想可能です。人気店舗が拡大移転した場合と経営不振から退去した場合とでは、消費者は空き店舗に対して異なるイメージを抱きます。

特に経営不振から退去された店舗物件なら、立地や周辺環境などについて集客しづらい条件があるのかもしれません。全店舗の評判をWeb検索したり、周辺の住人や店舗にインタビューしたりすることで判断材料を集めてください。

駐車場や駐輪場の有無

駅やバス停から店舗へのアクセスと併せて、店舗物件と周辺環境について駐車場と駐輪場の有無を確認してください。電車移動が主な移動手段となるエリアであれば重要度は下がりますが、交通の便が悪いエリアであれば駐車場や駐輪場の有無が集客に大きく影響するからです。

単に有無を確認するだけではなく、想定する顧客の回転率に対して「必要な駐車場と駐輪場のスペース」を確保できるのかを計算しましょう。不十分であるなら、運転資金を計算しながら月極駐車場の契約かコインパーキングの案内を検討しなくてはなりません。

居抜き物件で譲渡される造作

居抜き物件を賃貸するなら、旧借主から譲渡してもらう設備や什器などの造作について状態や数、譲渡料を確認しましょう。確認が不十分だと、内装デザインの段階で設備や什器の不備が発覚する危険性があります。

譲渡される造作を把握すれば、不足する設備や什器の購入計画を立てることができます。ただし集客力の高い人気物件の賃料や造作譲渡料は高い傾向にありますので、物件取得費と設備購入費を予算内に収められるかを計算してください。

集客を見込める店舗物件を効率的に選ぼう!

集客を見込める店舗物件を効率的に選ぼう!

店舗のコンセプトに基づいてコツを押さえることで、集客を見込める店舗物件を効率的に選びましょう。ミスマッチを防ぐためには、注意点と確認事項をチェックしながら店舗物件の候補を絞ることが重要です。

IDEALでは店舗の物件探しはもちろん、内装デザインや工事、資金調達、Web集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。

店舗の開業や移転、改装などをご検討中の際には、ぜひIDEALへご相談ください。

キーワード :

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。

> IDEALの編集者ポリシー

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

店舗作り、集客の
無料見積もり・相談をする