2025.03.31 2025.04.02|新規開業ノウハウ
居抜き物件を活用した店舗開業方法とは?

店舗を開業する際、初期費用や工事期間の長さが大きな課題となります。そこで注目されるのが「居抜き物件」の活用です。内装や設備がそのまま残っているため、コストを抑えながらスピーディーに開業できます。しかし、物件選びを誤ると追加費用が発生したり、経営に悪影響を及ぼすリスクもあります。本記事では、居抜き物件のメリット・デメリットを整理し、成功するための具体的なポイントを詳しく解説します。
居抜き物件とは?特徴と基本知識

居抜き物件の定義と一般的な特徴
居抜き物件とは、前の入居者が使用していた内装や設備がそのまま残されている状態で引き渡される物件のことを指します。特に、飲食店や美容室、小売店などの業種では、新規開業時の負担を軽減する手段として活用されることが多く、内装工事や設備投資にかかる費用を抑えながら、短期間で営業を開始できる点が大きな利点です。
一般的な居抜き物件には、厨房設備・カウンター・エアコン・照明・給排水設備などが含まれている場合がございます。ただし、すべての設備が問題なく使用できるわけではなく、老朽化や故障の可能性があるため、事前に詳細を確認することが重要です。また、契約内容によっては、一部の設備が撤去されることもあるため、契約締結前に確認を行うことが望まれます。
居抜き物件には大きく分けて「オフィシャル居抜き」と「アンオフィシャル居抜き」の2種類があります。オフィシャル居抜きは、貸主が公式に居抜き物件として募集を行うもので、設備の利用条件や撤去ルールが明確になっています。一方で、アンオフィシャル居抜きは、前の入居者が独自に後継者を探して契約を進めるケースを指し、貸主の意向によっては設備の利用が制限されることもあります。
店舗開業で居抜き物件を活用するメリットとリスク
初期費用削減と開業スピードの向上
居抜き物件の最大の魅力は、内装や設備が残された状態で引き渡されることによる 初期費用の削減 です。通常、新規開業には内装工事や設備投資に多額の費用がかかります。しかし、居抜き物件を活用すれば、これらのコストを抑えることができ、資金の一部を別の用途に充てることが可能です。
また、開業までのスピードが速いという点も大きな利点です。スケルトン物件の場合、設計から施工、設備の導入までに一定の期間を要しますが、居抜き物件ではすでに店舗の形が整っているため、大規模な工事が不要になるケースが多く、契約後すぐに営業の準備を進められます。そのため、短期間での出店を目指す場合には非常に適した選択肢となります。
既存の顧客基盤を活かせる可能性
居抜き物件の中には、前のテナントの顧客を引き継げる可能性があるものもあります。特に、同じ業種での営業を考えている場合、立地や店舗の知名度が活かされるため、開業当初から一定の集客が見込めることが期待できます。
例えば、飲食店の場合、前店舗が築いた常連客が新店舗にも足を運ぶことがあります。店舗の外観や内装が変わっても、同じエリア内の顧客に認知されているため、新規集客の手間を減らすことが可能です。美容室やサロンの場合も、前店舗で利用していた顧客が新たなオーナーのもとでもサービスを受けるケースがあります。
ただし、前のテナントと異なる業種で開業する場合は、このメリットが薄れることもあるため、物件選びの際には慎重な判断が求められます。
想定外の追加コストが発生するリスク
居抜き物件を利用する際には、思わぬ追加コストが発生するリスクも考慮する必要があります。特に、設備の老朽化や不具合がある場合、修理や交換が必要となり、結果として当初の予算を大幅に超えることもあります。
たとえば、厨房機器や空調設備が故障していた場合、新しいものを購入しなければならない可能性があります。また、電気・ガス・水道といったインフラ設備に問題があると、改修費用が発生することもあります。
このようなリスクを避けるためには、契約前に物件の状態を詳しく調査し、設備の稼働状況や修繕履歴を確認することが重要です。
前テナントの評判を引き継ぐリスク
居抜き物件の利用には、前のテナントの評判がそのまま新店舗に影響を及ぼす可能性もあります。前の店舗が良い評価を得ていた場合にはプラスに働くことがありますが、逆に、悪い評判が残っている場合には、新しい店舗の経営にマイナスの影響を及ぼすことがあります。
例えば、前店舗のサービスや商品に対する評価が低かった場合、その印象が残っている地域の顧客から敬遠されることもあります。特に、クレームやトラブルが多かった店舗の場合、同じ場所で営業を始めても、悪い印象を払拭するのに時間がかかることが考えられます。
こうしたリスクを避けるためには、物件の契約前に近隣の評判を調査し、前店舗の運営状況を把握しておくことが大切です。可能であれば、地域の住民や近隣店舗の経営者に話を聞き、過去の評判や顧客層について確認することをおすすめします。
店舗開業を成功するための居抜き物件の選び方

物件の立地とターゲット層の分析
居抜き物件を選ぶ際、最も重要な要素の一つが立地の選定です。どれほど内装や設備が整った物件であっても、立地が事業に適していなければ十分な集客が見込めません。そのため、物件の所在地がターゲットとする顧客層に合致しているかどうかを慎重に見極める必要があります。
例えば、飲食店の場合、周辺の人通りや交通アクセス、競合店の有無を確認することが重要です。オフィス街であればランチ需要が高くなる傾向があり、住宅地では家族連れの利用が多くなるため、ターゲット層に応じた業態選びが求められます。美容室やサロンの場合、ターゲットとする客層が利用しやすいエリアかどうかを事前に調査することが大切です。
また、周辺環境の変化も考慮しなければなりません。今後、大型商業施設の開業や道路の拡張計画などが予定されている場合、商圏が変化する可能性があります。こうした情報は自治体の都市計画資料などを参考にすることで把握できます。
設備や内装の状態をチェックするポイント
居抜き物件は、前の入居者が使用していた設備や内装をそのまま引き継ぐため、設備の劣化状況やメンテナンスの履歴をしっかり確認することが重要です。
特に、飲食店では厨房機器の動作確認が欠かせません。給排水設備や換気扇の不具合があると、営業開始後に想定外の修理費が発生する可能性があるため、契約前に細かくチェックする必要があります。美容室やサロンの場合も、シャンプー台や電気設備が適切に機能するかどうかを確認し、不具合があれば修理費用の見積もりを事前に取ることが推奨されます。
また、内装の状態や使い勝手もチェックすべきポイントです。居抜き物件の内装が自分の業態に適しているかどうかを見極め、必要に応じて改装を検討する必要があります。ただし、大幅な改装が必要になる場合、スケルトン物件を選ぶ方が結果的にコストを抑えられるケースもあるため、慎重な判断が求められます。
契約時に確認すべき条件と注意点
居抜き物件を契約する際は、契約内容を詳細に確認することが不可欠です。特に、以下のポイントについて十分に注意を払う必要があります。
設備の所有権と修繕義務
前の入居者が残していった設備の所有権が誰にあるのかを確認します。貸主が所有している場合は修理費用の負担が貸主になる可能性がありますが、前の入居者が所有している場合は、借主が修繕を行う必要があることが多いです。
原状回復義務の範囲
居抜き物件の契約では、退去時に原状回復義務が発生することが一般的です。しかし、どこまでの範囲で回復を求められるかによって、退去時の負担が大きく変わるため、事前に明確にしておくことが重要です。
前テナントとの引き継ぎ交渉
居抜き物件の契約には、前の入居者との交渉が関わることが少なくありません。場合によっては、前テナントが希望する譲渡料を支払う必要があるため、適正な金額であるかどうかを判断する必要があります。
賃貸条件の変更リスク
居抜き物件は、通常の賃貸物件と異なり、貸主の意向によって契約内容が変わる場合があります。例えば、前テナントが賃貸借契約を結んでいた条件と異なる条件で新たな契約を結ぶケースも考えられるため、契約内容を十分に精査し、納得した上で契約を締結することが重要です。
居抜き物件を選ぶ際には、物件の立地、設備の状態、契約内容の確認を慎重に行うことが、成功への鍵となります。
居抜き物件の活用事例
飲食店の成功事例とポイント
居抜き物件は、飲食店の開業において特に有効な選択肢とされています。すでに厨房設備やカウンター、テーブル・椅子などが整っているため、初期投資を抑えつつスムーズに営業を開始できる点が大きなメリットです。
例えば、前テナントが同業種であった場合、ガス・水道・電気の設備が飲食店仕様になっているため、大がかりな工事をせずに開業が可能です。また、地域に根付いた店舗であった場合、既存の顧客を引き継ぐことも期待できます。ただし、過去の店舗の評判を事前に調査し、悪評が残っていないか確認することが重要です。
また、飲食店の場合は、厨房設備の動作確認が欠かせません。コンロ・換気扇・冷蔵庫などの設備の状態を事前にチェックし、修理や交換が必要な場合は、開業前に対応しておく必要があります。契約前に修繕費用の見積もりを確認し、予算計画に組み込むことが望ましいでしょう。
美容室・サロンの成功事例とポイント
美容室やサロン業態も、居抜き物件を活用しやすい業種の一つです。特に、シャンプー台やセット面、ミラー、エアコンなどの設備が残されている場合、大幅な内装工事を行わずに開業できます。
前テナントと同じ業態であれば、水回りや電源の配置が最適化されているため、レイアウトの変更を最小限に抑えられるのが利点です。さらに、地域の顧客が店舗の存在を認知しているため、オープン当初から一定の集客が見込める可能性があります。
一方で、前店舗の評判が営業に影響を与える点には注意が必要です。特に、リピーターの多い業種であるため、前の店舗が顧客からの信頼を失っていた場合、新たなオーナーがそのイメージを払拭するためにマーケティング戦略を工夫する必要があります。
また、セット面やシャンプー台の老朽化が進んでいることもあるため、事前に動作確認を行い、必要に応じて修繕や交換の計画を立てることが求められます。
小売店での成功事例とポイント
小売店においても、居抜き物件の活用は効果的です。什器や棚、レジカウンターなどがそのまま使用できる場合、初期コストを抑えつつ短期間で開業することが可能です。特に、以前と同じジャンルの商品を扱う場合は、既存の内装やレイアウトを活かしてスムーズに運営を開始できます。
一方で、小売店の場合は、商品の陳列やレジ周りの導線が売上に影響を与えるため、前店舗のレイアウトをそのまま引き継ぐのではなく、必要に応じて変更することも検討するべきです。特に、ターゲットとする顧客層が前店舗と異なる場合は、店内のデザインや雰囲気を調整することが求められます。
さらに、前の店舗がどのような理由で撤退したのかを確認することも重要です。立地が悪い場合や、競合が多いエリアでは、同じ業種の店舗を開業しても同様の課題に直面する可能性があります。そのため、事前に周辺環境を調査し、商圏の特性を理解した上で物件を選定することが大切です。
居抜き物件での開業手順とスムーズな準備方法
物件の契約から開業までの流れ
居抜き物件を活用して開業する際には、スムーズな手続きを進めるために適切な流れを理解しておくことが重要です。契約から開業までの基本的なステップは以下の通りです。
物件の選定と事前調査
立地やターゲット層を分析し、開業する業種に適した物件を選びます。
物件の状態を確認し、残された設備が問題なく使用できるかチェックします。
契約の締結
契約条件を確認し、設備の所有権や修繕義務について明確にします。
必要に応じて前テナントと交渉を行い、設備の譲渡などについて合意を取ります。
店舗の準備
必要な改修工事を実施し、内装や設備の調整を行います。
保健所や消防署などの行政手続きを済ませ、営業許可を取得します。
開業準備とプロモーション
什器や備品を設置し、オープンに向けた最終調整を行います。
開業告知や宣伝活動を行い、集客の準備を整えます。
この流れを事前に把握し、計画的に進めることで、開業までの期間を短縮し、スムーズなスタートを切ることができます。
必要な手続きと書類の準備
居抜き物件で開業する際には、各種手続きを適切に進めることが求められます。特に、以下の手続きが必要になるケースが多いため、事前に準備を整えておくことが重要です。
賃貸契約の締結
物件のオーナーとの賃貸契約を結び、契約条件を明確にします。
設備の引き継ぎや原状回復義務についても確認し、契約書に明記します。
営業許可の取得
飲食店を開業する場合、保健所の営業許可が必要となります。
美容室や理容室の場合は、美容師法・理容師法に基づいた許可申請が求められます。
消防設備の確認と申請
消防法に基づき、防火設備や避難経路が適切であるかを確認し、必要な申請を行います。
税務関連の手続き
税務署へ開業届を提出し、適切な税務手続きを進めます。
従業員を雇用する場合は、労働保険や社会保険の手続きも必要となります。
これらの手続きを事前に把握し、スケジュールを立てて進めることで、開業準備をスムーズに進めることができます。
内装調整や改修を行う際のポイント
居抜き物件を活用する際には、既存の内装や設備を最大限に活かしながら、必要な部分だけを調整することがコスト削減につながります。改修を行う際のポイントは以下の通りです。
既存設備の活用
残された設備が十分に機能するかを確認し、使用可能なものは活用します。
劣化が進んでいる設備については、修理や交換の費用を事前に見積もります。
最小限の改修で運営に適した空間を作る
内装の大幅な変更はコストがかかるため、必要最低限の改修で済むように計画を立てます。
壁紙や照明の変更など、低コストで店舗の雰囲気を変えられる手法を検討します。
営業しながらの改修も視野に入れる
小規模な改修であれば、営業を開始した後に段階的に進めることも可能です。
一度に大規模な改装を行うよりも、運営しながら必要な箇所を調整することで負担を抑えられます。
このように、改修計画を慎重に立て、費用対効果を考慮しながら進めることで、居抜き物件のメリットを最大限に活かした店舗開業が実現できます。
まとめ
居抜き物件の活用は、初期費用を抑えつつスピーディーに開業できる手段として、多くの業種で採用されています。しかし、物件の状態や契約内容を十分に確認しなければ、想定外のコストや経営リスクが発生する可能性があります。適切な物件を選び、事前準備を怠らずに進めることが、成功への鍵となるでしょう。
監修者
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IDEAL編集部
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