2025.04.02|新規開業ノウハウ
カフェ開業に居抜き物件を活用!メリット・デメリットと選び方

目次
内装や設備がそのまま残された「居抜き物件」は、カフェの開業手段として近年注目を集めています。工事費用や時間の削減に加え、スピーディーなオープンが可能になる一方で、見落とすとリスクにつながる要素も存在します。この記事では、居抜き物件を活用してカフェを開業する際に押さえておくべき具体的な判断ポイントや、物件選定のコツをわかりやすく整理しました。開業後のギャップを防ぐためにも、実践的な知識を身につけておきましょう。
そもそも居抜き物件とは何か

スケルトン物件との違い
店舗物件を選定する際、「居抜き物件」や「スケルトン物件」という言葉に触れる機会は少なくありません。これらの違いを正確に理解することは、開業時の判断を下すうえで非常に重要です。
スケルトン物件とは、内装や設備がすべて撤去された状態の空間を指します。壁・床・天井がむき出しになっており、設計の自由度が高い反面、工事費用や設備導入の負担が大きくなる傾向があります。一方、居抜き物件は、前のテナントが使用していた設備や内装がそのまま残された状態で貸し出されるものです。厨房機器や空調設備などが利用可能なケースも多く、初期費用の削減が期待されます。
ただし、すべての設備が再利用できるとは限りません。老朽化や故障のリスクも考慮し、専門業者による点検を受けたうえで判断することが望ましいです。
どのような業態で多く活用されているか
居抜き物件は、飲食業を中心に幅広い業態で活用されています。そのなかでも、カフェ・バー・ラーメン店などは比較的コンパクトな設備構成で営業が可能なため、既存の内装や設備を流用しやすく、物件の選択肢も豊富です。
一方で、業種によっては設備面での制約が生じる場合もあります。たとえば、特殊な厨房機器や大規模な排気装置を必要とする業態では、既存の設備との適合性に注意を払う必要があります。こうした観点から、業態ごとの相性を見極めたうえで物件を選ぶことが重要です。
カフェにおける居抜きの位置づけ
カフェは、居抜き物件と特に相性の良い業態の一つとされています。軽飲食を提供していた物件であれば、厨房設備やカウンター、水回りなどが整っており、そのまま活用できる可能性が高いためです。また、内装の雰囲気が活かせるケースも多く、空間づくりにおけるコストと時間の負担を軽減することができます。
とはいえ、カフェは空間演出がブランドの印象を左右するため、既存の内装が自社のコンセプトと合致するかを慎重に検討する必要があります。単に設備の有無にとどまらず、自店舗としての個性を表現する余地が残されているかどうかを見極めることが求められます。
カフェ開業で居抜き物件を選ぶメリット
初期コストと時間の削減
カフェの開業にあたっては、物件取得費に加え、内装工事や厨房設備の設置など、多くの初期費用がかかります。居抜き物件を選択することで、前のテナントが使用していた設備や内装を活用できるため、これらのコストを抑える手段として注目されています。
加えて、開業までの時間を短縮できる点も大きな利点です。スケルトン物件では施工期間が長くなる傾向があり、賃料が発生しているにもかかわらず営業が開始できない状態が続くリスクがあります。居抜き物件であれば、必要最小限の改修工事でオープン可能なケースが多く、経営上の無駄を削減できます。
ただし、設備の老朽化や内部の不具合など、見た目では判断しにくい問題が潜んでいる場合もあります。こうしたリスクを回避するためには、契約前の段階で専門家による現地確認を実施することが望ましいといえます。
既存設備の活用による効率化
居抜き物件の大きな魅力の一つに、設備やレイアウトが既に整っている点が挙げられます。特にカフェの場合、カウンターや厨房、客席といった主要なエリアがすでに構築されていることが多く、開業準備の手間や時間を大幅に削減できます。
さらに、営業許可の取得や保健所との調整といった行政手続きにおいても、既存設備が基準を満たしている場合はスムーズに進められる可能性があります。開業準備に伴う煩雑な工程を少しでも軽減できることは、事業開始の早期化につながります。
動線設計もまた、居抜き物件の利点といえるでしょう。厨房からホール、配膳エリアまでの動線がある程度確保されていることで、オペレーションに無理が生じにくく、開業後の業務効率に寄与します。
立地や客層の引き継ぎによる集客メリット
居抜き物件は、すでに営業実績のある立地で展開されていたため、周辺住民や通行客に認知されているケースが多く見られます。このような物件を活用することで、開業初期から一定の来店が見込まれる可能性があり、集客面でも有利に働きます。
さらに、前店舗と同様の業態であれば、以前の顧客層を引き継げる可能性もあります。たとえば、以前もカフェが営業していた物件であれば、軽飲食を求めていた近隣の利用者が再訪する機会が見込まれます。
とはいえ、前テナントの印象が強く残っている場合は、内装の一部を変更したり、メニューやブランドコンセプトに明確な違いを打ち出したりする必要があります。既存のイメージをうまく活かしながらも、自店としての新しさや魅力を伝える工夫が求められます。
見落としがちなデメリットとリスク

設備老朽化や修繕コストの可能性
居抜き物件は既存の設備をそのまま利用できる点が魅力ではありますが、裏を返せば、設備の劣化や故障のリスクを含んでいるということでもあります。特に水回りや電気系統、空調設備などは、目視だけでは判断が難しく、実際に使用してみてから不具合が発覚するケースも考えられます。
このような状況に備えるには、事前の点検が欠かせません。物件を契約する前に、信頼できる業者とともに現地を確認し、メンテナンス履歴や設備の使用年数などを確認しておくことが望ましいです。確認を怠ることで、開業後に思わぬ修繕費用が発生し、予算を圧迫する可能性があります。
また、設備の状態だけでなく、備品の配置や動線にも注意が必要です。設備が整っていても、動作が不安定だったり、使い勝手が悪かったりすることで、実際の営業に支障をきたす可能性があります。導入コストが抑えられる反面、運用時の負担が増すようでは本末転倒となってしまいます。
内装が業態やコンセプトに合わないケース
居抜き物件では、前テナントの内装がそのまま残っている場合が多くあります。しかし、それが必ずしも新たに開業する店舗の業態やコンセプトと一致するとは限りません。たとえば、落ち着いた雰囲気を重視するカフェであるにもかかわらず、以前は活気のある飲食店だった場合、照明や配色、レイアウトが目的と大きく異なる可能性があります。
内装の改修には費用と時間がかかるため、想定していたよりも結果的にコストが増えるケースもあります。特に、営業許可に関わる厨房や水回りなどの変更が必要になると、改修の範囲が広がりやすくなります。居抜き物件の内装に魅力を感じて契約したとしても、最終的に全面的な改修が必要となる場合もあるため、十分な検討が求められます。
このようなギャップを避けるためには、物件の現況だけでなく、希望する店舗のイメージと照らし合わせて、どの程度の変更が必要かを事前に洗い出しておくことが有効です。業態が似ているからといって、必ずしも空間の用途や雰囲気がマッチするとは限らないため、注意が必要です。
契約内容や撤去条件の複雑さ
居抜き物件の契約では、通常の賃貸契約に加え、造作譲渡に関する取り決めが発生することがあります。造作譲渡とは、前のテナントが設置した設備や内装を現状のまま引き継ぐための契約ですが、その内容が不明確なまま締結されると、トラブルに発展するおそれがあります。
たとえば、設備の所有権が明確でなかった場合、貸主・前テナント・新たな借主の間で責任の所在が曖昧になり、契約後に追加の費用や工事を求められる事例もあります。また、契約満了時の「原状回復」の範囲についても事前に確認しておかないと、退去時に予想外の負担が発生する可能性があります。
こうしたリスクを回避するためには、契約書に記載された内容を細部まで確認することが重要です。可能であれば、宅建士や不動産に詳しい第三者に相談し、曖昧な表現がないかを確認しておくと安心です。契約段階での見落としは、後々の大きな損失につながる恐れがあるため、慎重な対応が求められます。
物件選定時に見るべきチェックポイント
電気・水道・排気などインフラの状態
居抜き物件を選定する際には、表面的な内装や設備に目が向きがちですが、店舗運営の基盤となるインフラ設備の状態も慎重に確認する必要があります。特に、電気容量や水圧、排気・換気の仕組みは、営業中の快適さや安全性に直結する重要な要素です。
たとえば、電気容量が足りない場合、業務用機器の稼働に支障をきたすおそれがあります。また、水圧が不十分であると、洗浄作業や調理工程に時間がかかり、オペレーションの効率が低下する可能性があります。さらに、排気設備の性能が不足していると、店内の空気環境が悪化し、顧客満足度にも影響を及ぼす懸念があるため、事前に状態を確認することが欠かせません。
こうしたインフラの状態は、内見だけでは判断が難しいこともあるため、専門業者の立ち会いのもとでチェックを行うことが望ましいです。事後的な工事が必要になった場合、当初の想定以上の費用や工期が発生する可能性があるため、契約前の見極めが非常に重要です。
厨房設備や客席導線の汎用性
カフェ運営においては、厨房設備の機能性とホール側の動線設計が店舗全体の運営効率に大きく影響します。居抜き物件では、これらがすでに一定の形で残っていることが多いため、どの程度そのまま活用できるかを見極めることが求められます。
厨房機器が稼働可能な状態で残されている場合でも、自店のメニューやオペレーションに適した構成であるとは限りません。必要な設備が不足していたり、配置が非効率であったりする場合には、改修工事を前提に検討する必要があります。また、動線に無理があると、スタッフの移動に時間がかかり、サービスの提供スピードにも影響が出てしまいます。
ホール側においても、客席の配置やレジカウンターの位置が自店のコンセプトに合っているかを確認しておくことが重要です。既存の配置を活かせる場合には工事費用を抑えることができますが、変更が必要な場合には、什器の入れ替えや壁の移設といった追加の手間が発生する可能性があります。
前テナントの営業実績や評判
居抜き物件の背景には、必ず前テナントの営業履歴が存在します。物件選定の際には、この履歴を把握し、なぜ前店舗が退去に至ったのかを知ることが参考になります。立地条件や物件のポテンシャルは高くても、経営面で問題があった場合には、それが引き継がれてしまう可能性も否定できません。
また、地域の住民や周辺店舗からの印象も大切な判断材料になります。たとえば、以前の店舗に対してネガティブなイメージが根付いていた場合、新規開業時にも影響を及ぼすことがあります。直接的な悪評でなくても、「入りづらい」「居心地が悪い」といった漠然とした印象があると、リピート率の低下につながる可能性もあるため注意が必要です。
可能であれば、物件の近隣に足を運び、実際の通行量や周囲の雰囲気を自分の目で確認することが効果的です。物件情報だけでは判断しきれない要素が見えてくることもあるため、多角的な視点からの検討が求められます。
まとめ
居抜き物件を活用したカフェ開業は、初期費用や工期の負担を軽減できる一方で、設備の状態や契約条件を見極める慎重さが求められる選択肢です。事前の確認と計画を丁寧に積み重ねることで、リスクを抑えつつ、自店舗に最適な形で開業へとつなげることが可能になります。
監修者
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IDEAL編集部
日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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