2020.12.29 2022.03.10|店舗デザイン
スタバのコンセプトや内装デザインの特徴とは?魅力的な店舗も紹介!
「スタバはなぜ安定して集客できるのか」「スタバのようなおしゃれなカフェをデザインできない」とお悩みではありませんか?競合ぞろいのカフェ市場で安定した集客を得るためには、スタバのように独自のポジションを確立することが不可欠です。
そこで今回はスタバのコンセプトや内装デザインの特徴を解説していきます。国内外にある魅力的なスタバの内装・外装も紹介しているので、カフェの経営者や開業をご検討中の方はぜひご覧ください。
スタバのコンセプトと内装デザイン手法
スタバ(スターバックス)のコンセプトは「サードプレイス(Third place)」です。「家庭でも職場でもない第3の空間を提供する」という方針の基にカフェが経営されています。
それではコンセプトを実現するために、どのようにスタバは経営や内装デザインをしているのでしょうか?
スタバの経営手法
スタバ経営手法の特徴は、ほとんどの店舗を直営している点です。フランチャイズ展開をしておらず、一部の店舗をライセンス経営しています。一貫したコンセプトに基づいて商品・サービスの高い品質を保つことが目的でしょう。
スタバの内装デザイン手法
スタバ内装デザイン手法の特徴は、インハウスデザイナーと呼ばれるスタバ社員が内装をデザインしている点です。インハウスデザイナーはインテリアデザイナーや建築士の資格を所持しており、店舗デザインのスペシャリストです。
インハウスデザイナーはスタバのコンセプトに基づきながらも、出店する国の文化や顧客層のニーズも理解しながら店舗をデザインしています。だからこそどの国の顧客でも「スタバの雰囲気はおしゃれで居心地がいい」と魅力を感じるのでしょう。
参考:SELECK「スターバックスの「空気感」はこうして生まれる。VR活用による、店舗デザインの進化とは」
スタバ内装デザインの特徴
スタバのコンセプトや経営・内装デザインの手法を理解したら、内装デザインの具体的な特徴を知りたいですよね。スタバの内装デザインは「Third place」として来店客がくつろげるだけの空間ではありません。
そこでスタバの企業理念や収益を上げるための戦略が反映されたデザインの特徴6点を確認していきましょう。
気分の落ち着く「自然色」が取り入れられている
スタバの内装には、基本的に「白」「グレー」「茶」の3色が使われています。立地に応じて内装の明度・彩度は違いますが、どの店舗も色のベースを同じにすることでコンセプトの一貫性を保っています。
白色は顧客の気分を一新させてくれる効果があり、灰色は内装に上品さと洗練されたイメージを与えます。さらに心を落ち着かせる茶色が取り入られていることで、来店する顧客が居心地の良さを感じる空間を演出しています。
基本の3色に加えて、アクセントとして「赤」「黄」などの差し色が内装に入っています。赤色は元気を与えて、気分を高揚させる効果がありますので、くつろぎだけでなくエネルギーも感じさせます。
空間を柔らかい印象にする間接照明を施工している
スタバの内装には、間接照明が効果的に使われています。例えば天井の中央部を周囲より一段高くしている「折り上げ天井」の周りに間接照明を施工して、無機質になりがちな天井を柔らかい印象にしています。
また天井から吊り下げるペンダントライトを使用したり、壁の絵をダウンライトで照らしたりすることで、「雰囲気のおしゃれさ」を演出しています。
照明器具を施工するだけではなく、自然光を積極的に取り込むデザインも取り入れられています。窓を大きくしたり天井からの光を壁に反射させたりして、自然の柔らかい光を店内に注いでいます。
回転率アップのために天井を低くしている
スタバの内装において、天井が低くなっている部分があります。店内は「コーヒーやマフィンなどを提供する販売スペース」と「座席で飲食できるカフェスペース」に分かれていますが、カフェスペースの天井をあえて低くしている店舗が多いです。
天井を低くすることで、天井の高さによる心理効果(いわゆる「カテドラル効果」)を狙っていると考えられます。低い天井の座席に顧客が滞在すると短時間に満足できるため、滞在時間が全体的に短くなります。
また低い天井は、集中力を要する作業にも向いています。一人でスタバに来店して本を読んだり、パソコンで作業したりする顧客をよく見かけます。天井を低くすることで、周りに顧客がたくさんいても集中できる環境を提供しているのです。
羽目板風デザインで個性を出している
木目を基調にしたカフェの内装をよく見かけますが、スタバには羽目板風の内装デザインで個性を出している店舗があります。羽目板は天井や壁等の内装に貼る板で、連続して貼り合わせて施工されます。
天井の端から端まで長いスパンで羽目板風デザインが施されることで、空間に奥行きを感じます。天井だけでなくカウンターに使われていることもあり、木の温かみと親しみを感じられて居心地の良さにつながっています。
内装アートで店舗のストーリーを表現している
スタバの企業理念を反映したアートを制作・展示して、各店舗のストーリーを発信している点もスタバ内装の特徴です。スタバ内装アートは、企業理念に共鳴するアーティストたちとともに創り上げられています。
例えば沖縄北部本部町の店舗には、大きな魚のアートが飾られています。海岸に漂着したプラスチックごみを再利用して地域の人たちと創られた作品で、サスティナブルな社会へのメッセージを発信しています。
参考:スターバックス「沖縄県北部初出店!沖縄の砂浜に流れついたプラスチックで制作したアートや琉球松のテーブルを設置」
また芸術の都である京都の店舗では、約30名のアーティストによる80点余りのアート作品を展示。「アーティストたちの共同アトリエ」をコンセプトにして、若手アーティストたちに作品を発表する場を提供しています。
地域の歴史や特色を生かしている
スタバの内装が各店舗ごとに違う理由は、出店エリアに合わせた内装をデザインしているからです。日本には1000店舗以上ものスタバが出店されていますが、同じ内装の店舗は一つもありません。
スタバ内装デザインの基本コンセプトに基づきながらも、各店舗のデザインが工夫されています。出店する地域の歴史や住む人々のライフスタイルをよく観察しながら各店舗をデザインすること自体が、スタバ内装デザインのコンセプトだといえます。
スタバ外装デザインの特徴
スタバの内装デザインだけではなく、外装デザインにも注目しましょう。スタバの店舗は街中や郊外などのさまざまな場所にありますので、各店舗が周囲の環境に調和するようにデザインされています。
それではスタバ外装デザインの特徴を5点に整理して解説していきます。
テラス席で集客アップを図っている
スタバのほとんどの店舗に、テラス席があります。暖かい日に外を眺めながらテラス席でくつろげるのも、スタバの魅力の一つです。店舗の立地によっては、目の前に広がる景色を眺めながら癒しの時間を満喫できるでしょう。
またテラス席には集客効果があります。テラス席でくつろぐ顧客の姿が目に入ると、賑わう店舗の様子が分かった通行人たちは思わず立ち寄りたくなるでしょう。さらにコーヒーの良い香りが漂っていると、気軽に立ち寄りたくなりますよね。
黒色と木材を取り入れて親近感と高級感を両立させている
スタバの外観には「黒色」と「木材」の組み合わせがよく見られます。黒色の外観で高級感を出しながら、外壁の一部に木材を使うことで親近感も演出しており、絶妙なバランスでデザインされていると分かります。
黒一色の外観だと高級感が出ますが、少々重苦しく近寄りがたい雰囲気になってしまいます。一方で外観の全てに天然素材を使用すると、どこか野暮ったくなってしまいます。
全面タイルの外壁で重厚さと高級感を演出している
全面タイルの外壁も、スタバの外観でよく見かけます。タイルは重厚で高級感のある外観に仕上げるだけではなく、耐火・耐水・耐久の性能があります。
またタイルはデザインの幅が広くて、古いレンガ調やボーダー調などのさまざまな種類があります。スタバではレンガ調の外観を多く見かけます。
オーバーハングがモダンな印象を与えている
オーバーハングとは、上階部分が下階より張り出しているデザインです。狭い土地で使われることが多いデザインで、スタバの店舗にもよく見られます。
張り出している部分は「キャンティレバー(略称:キャンティ)」と呼ばれ、下にテラス席が設けられる場合が多いです。オーバーハングは外観に奥行きが出せるので、モダンな外観に仕上げることができます。
ロゴで「スタバ」の存在を示している
スタバの外観には同じデザインが一つもありませんが、誰もが「スタバの店舗だ」と認識できる理由は、ロゴが設置されているからです。スタバのロゴは、たびたび変更されてきました。
現在の緑のロゴには「スターバックス」の文字が入っていませんが、世界中の人がスタバだと認識できるほどの認知度があります。一見スタバに見えない店舗デザインでも、ロゴさえあれば「スタバ」であることが伝わります。
国内外にあるスタバの変わった店舗を紹介
スタバの内装や外観の特徴を押さえたら、実店舗のデザインにどのように反映されているかを知りたくなりますよね。国内外にあるスタバの中で魅力的なデザインや個性的なデザインを合計9点ご紹介していきます。
アート作品が歴史を伝えるスタバ
スターバックス鹿児島仙巌園店は世界文化遺産「仙巌園」に隣接しており、登録有形文化財を改装した厳粛な雰囲気の店舗です。内装に飾られたアート作品が、建物とスターバックスの歴史を伝えています。コーヒーを楽しみながら、桜島の絶景を眺めることができます。
旅の始まりを感じさせるスタバ
スターバックス道後温泉駅舎店は明治洋風の駅舎を丸ごと改装した個性的な店舗です。バリスタ越しに電車が行き交う様子を見ることができ、旅の始まりのワクワク感と緊張感を感じることができます。
羽目板風デザインのおしゃれなスタバ
スターバックス京都三条烏丸ビル店の内装は、開放感と木の温もりを感じるデザインです。天井に並ぶ木材のデザインが、ピアノや楽譜を連想させます。外観は入居しているビルに合わせて洗練された都会的なデザインです。
注目を集める木組み構造のスタバ
スターバックス太宰府天満宮表参道店の内装は「自然素材による伝統と現代の融合」というコンセプトに基づいてデザインされました。木組み構造が壁から天井まで広々と続いており、店外から見ても目に留まる高いデザイン性を誇っています。
ノスタルジックな雰囲気を感じるスタバ
スターバックス京都二寧坂ヤサカ茶屋店は大正時代の日本家屋を改装した店舗で、ノスタルジックな雰囲気の内装が特徴的です。自然素材や和紙からできたファブリックを多く取り入れています。
日本の文化と技術力を示すスタバ
スターバックスリザーブ® ロースタリー東京は、日本の文化と技術力への敬意をコンセプトにデザインされています。内装には、和紙を使った壁や折り紙天井、ティーカップウォールなどが施工されています。
参考:スターバックス「スターバックスリザーブ® ロースタリー東京」
面白い迷路のようなスタバ
スターバックス洄瀾門市店(台湾)は不要になった29のコンテナを積み上げた店舗で、日本人建築家によりデザインされました。コンテナが迷路のように組み込まれているため、座席に座ると個室のように感じます。
参考:星巴克「 洄瀾門市」
ヨーロッパの美術館のような内装のスタバ
スターバックスリザーブThe Bank店(オランダ)は銀行の金庫室を改装した店舗です。木の温もりを生かした内装が特徴的で、まるで美術館にいるように感じるおしゃれなスタバです。
参考:Starbucks「Starbucks Reserve The Bank」
豪華絢爛なアラビアンのスタバ
スターバックスIBN Batuta Mall店(UAE)の内装はモスクをイメージしてデザインされました。豪華絢爛なアラビアンのモザイク壁画が印象的です。
参考:Starbucks「Starbucks Gardens 1 IBN Batuta Mall Persia」
スタバのコンセプト設計とデザインを応用しよう!
「サードプレイス」というコンセプトに基づきながらも、地域性を踏まえてデザインしているため、スタバの店舗はどれも魅力的です。カフェはもちろん飲食店全般にとって、スタバの経営やデザインの手法が参考になるでしょう。
IDEALは飲食店を始めとする店舗のコンセプト設計から内装工事、資金調達、Web集客までをワンストップソリューションでご支援しております。
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監修者
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IDEAL編集部
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