本記事で、店舗を開業する流れと…
2022.03.10 2022.03.11|新規開業ノウハウ
花屋開業の流れとは?必要な費用・資格・許可もご紹介します!
「花屋を開業するためにはどんな手続きが必要なのか」「どのような順番で開業準備を進めていけばいいのか」とお悩みではありませんか?花屋を開業するためには、コンセプト設計から資金調達、仕入れルート確保などのさまざまな準備が必要です。
そこで今回は花屋を開業するまでの流れを解説します。花屋経営のメリット・デメリットや開業に必要な資金・資格・許可についても紹介していますので、花屋経営者の方や開業責任者の方はぜひご覧ください。
目次
花屋経営の基本
花屋の開業準備を始めるためには、花屋経営の基本を理解することが必要です。経営形態はさまざまで、花束やフラワーアレンジメントを個人へ販売するだけでなく、法人と契約して安定した収入を得ることも可能です。
それでは花屋経営の特徴とメリット・デメリットを確認していきましょう。
花屋が提供する商品・サービスの特徴
花屋の提供する商品・サービスは、花束・フラワーアレンジメントの販売から苗・鉢花の販売、観葉植物のレンタル、冠婚葬祭のフラワーコーディネート、アレンジメント教室まで多岐にわたります。
販売から教室運営まで全てを経営する花屋もあれば、一部だけを提供する花屋もあります。共通する基本的な業務は、市場から仕入れた花を保存管理しながら販売することです。
一般的に生花は仕入れ値の2倍程度の値付けがされるため、単純に考えると利益率は50%と高い水準になります。しかし仕入れた分を全て売ることができるわけではありません。
鮮度が落ちて廃棄する分も出てくるため、廃棄を見込んで高い利益率が設定されています。生花販売専門店では、仕入れ量の30~40%を廃棄しても利益が出るように価格が設定されています。
花屋経営のメリット
花屋経営は開業のハードルが低いことに加え、戦略次第で高収入を得られることがメリットになります。なぜなら特別な資格なしに開業できて、決まった販売スタイルがないため自由な発想から事業の幅を広げられるからです。
例えば店舗を構えずネットショップのみで経営することも可能です。家賃や光熱費などがかからないため、経費を削減できます。ネットショップの場合は注文が入ってから仕入れることもできるため、花を余らせて廃棄する心配がありません。
また斎場やお寺、結婚式場などと契約して冠婚葬祭のフラワーコーディネートを毎月受注できれば、月収を100万円以上にすることも可能です。他にもリーズナブルな花を大量に仕入れて、「花=祝いごと」というイメージを払拭することで、学生や主婦などの普段は花を購入しない顧客層からの売上をアップさせることもできます。
さらに他業種と比べて、経営者の理想を店舗経営に反映しやすい点も花屋経営のメリットになります。仕入れる花や植物の種類、ディスプレイの見せ方などを工夫しながら、花屋を作り上げていくことができるからです。
花のアレンジ方法に経営者のセンスが反映されますので、スキルやセンスを存分に生かしながら店舗経営をしたい人にとって「やりがいのある仕事」になります。
花屋経営のデメリット
生花を販売する場合に「シーズンの移り変わりが早い点」「鮮度が落ちる前に売り切らなければならない点」がデメリットです。
花には季節ごとに「売れ時」があり、桃の花はひな祭りに、カーネーションは母の日に一番売れます。したがって毎月のイベントに合わせて花を仕入れて、シーズン中に売り切らなければなりません。
飲食店やアパレル販売店などでは繁忙期が数ヶ月間続くことがありますが、花屋の場合には長くてもイベントの前後2~3週間が繁忙期となることがほとんどです。短期間に一気に売上を伸ばさなければならない点が、花屋経営の難しさです。
また長持ちしない品種がほとんどです。冷蔵保存により多少長持ちはしますが、日にちが経つほど品質が劣化してしまいます。そのため花を仕入れてから鮮度がよい間に売らなければなりません。鮮度が落ちた花を廃棄するしかないため、仕入れ費が無駄になることが多くなります。
仕入れ量を調節することはもちろんですが、品質管理の難しい生花だけではなくドライフラワーやプリザーブドフラワーなどの長持ちする商品を仕入れる工夫も必要になります。
花屋開業までの流れ
花屋経営の基本を押さえたら、具体的な開業準備を計画しましょう。準備や手続きがたくさんあるため、開業1年前くらいから準備を開始することが必要です。
今回は花屋開業の流れを8ステップに分けて解説していきます。
開業する花屋のコンセプト設計と事業計画書策定
まずはターゲットにする顧客層や花屋の雰囲気、提供する商品・サービスの付加価値などを具体的な言葉(コンセプト)に表しましょう。
外観や内装などの見た目が集客に影響しますので、明確なコンセプトに基づいて花屋を経営することが重要です。設計したコンセプトを基にして、事業計画書を策定しましょう。
物件探しと内装工事
次に花屋のコンセプトを実現できる賃貸物件を探します。陽当たりがいいと花が枯れるスピードが早まるため、北向きの物件がおすすめです。物件を契約したら、内装工事をします。商品となる花が引き立つ照明や壁紙をデザインしましょう。
なお内装デザインについて下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
開業資金の調達
内装工事と同時期に、必要な経費を細かく計算して開業資金を調達します。自己資金が不足する場合には、金融機関からの融資や公的機関からの補助金・助成金などの申請を検討しましょう。各制度の申請条件を確認して、期限までに必要書類を準備することが必要です。
なお開業資金の調達方法について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
経営に役立つスキル・資格の取得
花屋を開業するために必須となるスキルや資格はありません。しかし花屋の経営に役立つスキルや資格の取得を検討しましょう。資格によって試験日が決まっているので、事前にスケジュールを確認しておきましょう。具体的な資格を後ほど解説します。
花屋開業に必須とされる届出・許可申請
花屋を個人事業として開業するなら、所得税法に基づいて税務署へ開業届(「個人事業の開業・廃業等届出書」)を提出する必要があります。提出する税務署は、原則として自宅の住所を管轄する税務署です。同一の市区町村内でも管轄する税務署が異なる場合があるので、国税庁のホームページを確認しましょう。
参考:所得税法第229条
開業届と併せて「青色申告承認申請書」を提出して諸条件を満たすことで、最大で65万円までの控除を受けることができます。青色申告をする年の3月15日までに、管轄の税務署に申請書を提出しましょう。
集客手段の決定
開業3カ月前には集客手段を決定して、集客を開始します。例えば花屋の開業を知らせる紙媒体のチラシを配ったり、SNSアカウントや公式Webサイトを開設したりしましょう。知名度を高めて集客を増やすために、オープン記念キャンペーンを計画してWeb上で宣伝することも有効です。
仕入れルートの確保
開業3カ月前には、花の仕入れルートを確保します。花の仕入れルートには直接仕入れと仲卸仕入れがあります。仕入れ先への登録が必要な場合があるので、事前に条件を確認しておきましょう。
従業員の採用と研修
遅くとも開業1か月前までに店舗工事を終えたら、花屋のサービスや規模に応じて従業員を採用しましょう。商品である花の知識や接客全般に関して、採用した従業員を開業日までに研修する必要があります。
花屋の開業資金
花屋開業の流れを把握して具体的な準備を始めるためには、元手となる資金が必要です。花屋の開業資金は、「開業前の準備に必要な初期費用」と「毎月の経営を支える運転資金」に分けられます。
それでは花屋に必要な経費を計算して調達するために、初期費用と運転資金の細かな内訳を確認していきましょう。
初期費用
花屋の初期費用はサービス内容や規模に応じて変動しますが、300~1000万円程度となります。今回はスケルトン物件(10坪で家賃10万円)に花屋を開業するための初期費用を試算しました。
初期費用の内訳 | 各経費の目安 (規模や業態より変動) | スケルトン物件の初期費用 (10坪家賃10万円) |
物件取得費 | 120万円(家賃20万×6ヶ月分) | 60万円(家賃10万×6ヶ月分) |
内装工事費 | 50~200万円程度 | 100万円 |
什器費 | 50~200万円程度 | 50万円 |
資材費 | 10~30万円程度 | 10万円 |
仕入れ費 | 10~50万円程度 | 30万円 |
広告宣伝費 | 5~30万円程度 | 10万円 |
車両購入費 | 100~300万円程度 | 140万円 |
合計 | 300~1000万円程度 | 400万円 |
初期費用の中で最も割合が大きいのが、内装工事費と車両購入費です。花屋の内装にこだわればこだわるほど費用が膨らんでしまうため、照明器具の取り替えや壁紙の張り替えなどを自分で施工すると初期費用を抑えられます。
配達や仕入れに必要な車両は、ワンボックスカーがおすすめです。乗用車は荷物を運ぶことに向いておらず、花を傷めてしまう可能性があるからです。中古車両を購入することで、費用を抑えることができます。
什器費は花を陳列する棚や作業台などの購入に必要で、花屋のイメージに大きく影響します。花の鮮度を保つためのフラワーキーパー(冷蔵庫)も必要ですので、イメージや予算に合うものを選びましょう。
資材費はフラワーアレンジメントや花束に必要なリボンやラッピングペーパー、セロハン、吸水スポンジなどの購入に必要です。花屋のセンスが出る部分ですので、専門業者のカタログから選ぶだけでなく、花屋向けの展示会に足を運ぶとよいでしょう。
運転資金
毎月の経営に必要な運転資金。経営が軌道に乗るまでは赤字が続くことが予想されますので、3ヶ月から半年ほどの運転資金を開業前に蓄えておきましょう。各経費の目安と試算(10坪家賃10万円の花屋、月間売上100万円)を下の表にまとめます。
運転資金の内訳 | 各経費の目安 | 運転資金の試算 (10坪家賃10万円の花屋) |
家賃 | 売上の10%以内 | 10万円 |
仕入れ費 | 売上の30%以内 | 30万円 |
資材費 | 売上の10%以内 | 5万円 |
人件費 | 売上の30%以内 | 20万円 |
広告宣伝費 | 売上の10%以内 | 5万円 |
合計 | 経費は売上の70%以内 (利益率が売上の30%以上) | 70万円 |
コンセプトや販売スタイルなどにより変動しますが、利益率を上げるためには花の仕入れ費と人件費を売上の30%以内に抑えましょう。正規雇用か非正規雇用かによって給与水準や社会保険料が変動するため、雇用形態と採用数を検討しましょう。
広告宣伝費は媒体によって金額が変動しますが、売上の10%以内に抑えましょう。宣伝方法には新聞の折り込みチラシやメールマガジンなどがあります。店舗のポップや名刺、リーフレットなどの制作費も広告宣伝費として計上されます。
花屋経営に役立つスキルや資格
花屋を開業するために、法的に必須とされる資格や免許などはありません。しかし集客を増やしたり、固定客を獲得したりするために、専門知識や経営ノウハウを学ぶ必要があります。
今回は花屋経営に役立つスキルや資格を3点に整理して解説します。
フラワーアレンジの資格
フラワーアレンジの資格には「NFDフラワーデザイナー」「フラワー装飾技能士」などがあります。
「NFDフラワーデザイナー」は日本フラワーデザイナー協会公認スクールに通って試験に合格することで取得できる資格で、1~3級まであります。試験のスケジュールが地域によって異なるので、事前に確認しましょう。
参考:公益社団法人日本フラワーデザイナー協会「フラワーデザイナー資格検定試験とは」
「フラワー装飾技能士」は都道府県職業能力開発協会の実施する試験に合格すると取得できる国家資格で、1~3級まであります。1~2級には受験資格が定められているので、確認が必要です。
資格を取得することでスキルが身につくことはもちろん、有資格者であることを顧客へ向けて」アピールできるでしょう。
色彩に関する資格
花屋の商品やサービスの質を上げるためには、色彩に関する資格を取得することも有効でしょう。
「色彩検定」は色彩検定協会が主催する資格試験で、文部科学省により後援されています。1級から3級までに分かれており、ユニバーサルデザインに特化したUC級があります。いずれも受験資格はなく、何級からでも受験できます。
参考:色彩検定協会トップページ
「カラーコーディネーター検定試験」は東京商工会議所が主催する資格試験で、スタンダードクラスとアドバンスクラスに分かれています。どちらのクラスも受験資格はありません。
上記のような資格を取得することで、顧客から花束のイメージのみを伝えられた場合でも色の作用を考慮しながら希望に沿う花束やフラワーアレンジメントを作ることができるでしょう。
販売や経営に役立つ資格
花屋を安定して経営するためには、販売や経営に役立つ資格を取得することが有効です。
「リテールマーケティング検定」は、以前まで「販売士」と呼ばれていた資格です。流通・小売業界の現場で働く人に向けた資格で、効率的に商品の仕入・販売・物流などを管理するための知識を学べます。3級から1級まであり、5年ごとの更新が必要です。
「日商簿記検定試験」は商業簿記や会計に関する資格で、初級~1級まであります。最近では優秀な経理ソフトを導入することが多いですが、簿記3級でも取得しておくと適切な会計処理をするときに役立てることができるでしょう。
上記のような資格を取得することで、仕入れや在庫管理などの無駄を省きながら利益率を上げていきましょう。
計画的に花屋開業準備を進めよう!
長きに渡り利益を上げ続ける花屋を経営するためには、開業前の入念な準備が必要です。物件探しや内装工事などに時間がかかるので、開業1年ほど前からスケジュールを立てましょう。
IDEALは花屋を始めとする店舗のコンセプト設計から内装デザイン、資金調達までについて、経営者・開業責任者の方をワンストップソリューションでお手伝いしています。
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監修者
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