2023.07.03 2023.06.22|店舗運営ノウハウ
厨房機器の耐用年数とは?購入・リース・メンテナンス・修理・交換・廃棄・リサイクル
本記事で、厨房機器の耐用年数について解説します。厨房機器の購入・リース・メンテナンス・修理・交換・廃棄・リサイクルについてもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
厨房機器の耐用年数とは?
厨房機器の耐用年数は、法的に8年と定められています。そこで厨房機器について、耐用年数の法的根拠や減価償却の目的と方法についてご紹介します。基本情報を押さえたうえで、買い替えるタイミングもご検討ください。
法的根拠
厨房機器の耐用年数が8年である法的根拠は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められています。飲食店で使用される厨房機器は「飲食店業用設備」に分類され、法定耐用年数が8年と明記されています。
しかし家庭用の厨房機器(冷蔵庫や調理台など)は「器具・備品」に分類され、耐用年数は6年です。また中古の厨房機器を購入した場合は、法定耐用年数から購入からの年数を差し引かなくてはなりません。下記の国税庁の公式サイトに、計算方法が掲載されています。
参照:国税庁「耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A」(中古資産の耐用年数を簡便法により算定している場合)
なお耐用年数は減価償却のために定められていますので、引き続き減価償却の目的と方法を確認しましょう。
減価償却の目的と方法
減価償却の目的は、長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理です。減価償却の方法は、所得税法や法人税法によって定められています。
参照元:
国税庁「No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法」
一般的な厨房機器は、購入した年だけではなく、翌年以降も使用されます。もし購入した年だけ計上してしまうと、翌年以降に経費を計上できず、実際の使用状況と税務処理に矛盾が生じます。
そこで厨房機器の購入やメンテナンスの費用を分割することで、毎年の経費として計上するわけです。そして厨房設備の費用を分割する年数の基準が、法定耐用年数です。厨房機器の耐用年数と費用により、減価償却の金額は変わります。
なお減価償却の計算方法を詳しく解説してありますので、次の記事も併せてご覧ください。
買い替えるタイミング
厨房機器を買い替えるタイミングは、耐用年数を過ぎたときです。ただし法定耐用年数を過ぎても、厨房機器を廃棄しなければならないわけではありません。
また新たな機能やサイズが必要になるときも、厨房機器を買い替えるタイミングです。厨房機器を買い替える際には、使用してきた厨房器具を売却して資金を得て、新たな厨房器具の購入に充てることが一般的です。ただし製造年月日が古すぎると、買い取ってもらえない場合があります。
そしてメーカーが修理やメンテナンスに対応できなくなるときも、厨房機器を買い替えるタイミングです。製造年月日が古すぎると、メーカーが部品を取り扱っておらず、厨房機器を修理できなくなるからです。耐用年数を過ぎると減価償却できないため、節税効果が薄れます。
他にも厨房器具に故障などの不具合が出たときや店舗の拡大・縮小を検討しているときも、厨房機器を買い替えるタイミングです。店舗の規模や業態に合う厨房器具を使用することで、経費やスペースの無駄を省くことができます。
なお厨房機器だけではなく、飲食店には什器も必要です。店舗におしゃれな什器を選ぶポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
厨房機器の購入やリース
厨房機器の耐用年数を把握したうえで、厨房機器を購入・リースするメリットとデメリットも確認しましょう。メリット・デメリットだけではなく、購入・リースした厨房機器をレイアウトするポイントもご紹介します。
購入するメリット
まず厨房機器を購入するメリットは、次のとおりです。
- 資産として所有できる
- 費用がリースより安い
- 一括購入すると値下げできる
資産として厨房機器を所有できると、使用しなくなったときに中古品として売却できます。また費用がリースより安く、一括購入すると値下げできる場合があるため、経費削減が可能です。
また飲食店に必要な厨房機器は、以下のとおりです。
- シンク
- ガスコンロ・ガステーブル
- 作業台
- 冷凍冷蔵庫
- 製氷機
- 食器棚
- 業種特有の厨房設備
業種特有の厨房設備には、ラーメン店の製麺機やカフェのコーヒーマシンなどが挙げられます。飲食店に必要な厨房機器の選び方や購入方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
購入するデメリット
ただし厨房機器を購入するデメリットも挙げられます。
- 一度にまとまった資金が必要になる
- 固定資産税が課せられる
厨房機器の購入には一度にまとまった資金が必要になり、店舗の規模やメニューによって異なりますが、新品の厨房機器一式には数百万~1千万円以上の資金が必要です。中古品で購入費用を抑えても、まとまった資金が必要になります。そして補助金や融資などを活用する場合には、手続きの手間や利息の支払いが必要です。
また資産評価額150万円以上の厨房機器には、固定資産税が課せられます。税務処理が必要になるため、税務処理の手間や税理士への相談費用などが必要です。費用対効果を踏まえて、厨房機器の購入を検討しましょう。
リースしてもらうメリット
一方で厨房機器をリースしてもらうメリットをご覧ください。
- 固定資産税が課されない
- 初期費用や処分費用を抑えられる
- 一定期間だけ使用できる
厨房機器をリースしても固定資産税が課されないため、税務処理の手間や税金を軽減できます。リースされる厨房機器の所有者は、あくまでリース業者です。
また毎月決められたリース料金を支払うため、初期費用を抑えられ、資金計画を立てやすいです。また不要になった厨房機器をリース業者へ返却できるため、処分費用がかかりません。
そして厨房機器をリースすることで、一定期間だけ使用できます。業者によって異なりますが、基本的な厨房器具(シンク・ガスコンロ・作業台・冷凍冷蔵庫と)から業種特有の厨房機器(製麺機・コーヒーマシンなど)までリース可能です。
リースしてもらうデメリット
しかし厨房機器をリースしてもらうデメリットもご確認ください。
- 途中解約できない
- 審査や連帯保証人が必要である
- 資産として所有できない
一般的な厨房機器のリース契約では、途中解約ができません。契約途中で閉店しても、残りの期間のリース料を支払う義務があります。短期間のリース契約もありますが、月々のリース料が高いです。
またリース契約には審査や連帯保証人が必要になり、書類の準備や保証人の手配をしなくてはなりません。リース会社によって条件は異なりますが、審査に通らないと希望する厨房機器をリースできないです。
そして資産として所有できないため、リース期間が終了した厨房機器を返却しなくてはなりません。再契約や買取は可能ですが、リース期間を含めると、最終的な費用は購入するよりも高くなります。
レイアウトするポイント
なお購入やリースをする前に、厨房機器をレイアウトするポイントを把握しておきましょう。
- 飲食店のコンセプトを設計する
- 食事を提供する方法を選ぶ
- 座席数を決める
- 厨房(キッチン)の種類を決める
- 電気・ガス・水道設備の位置を確認する
- 厨房(キッチン)内の動線を設計する
- 掃除のしやすさを意識する
- 設備・機器・什器を厳選する
- 収納スペースを確保する
飲食店に適した厨房機器を選ばないと、設置できなかったり、機能性を発揮できなかったりします。上記のポイントについて詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
厨房機器のメンテナンスや修理・交換
厨房機器を購入やリースする前に、メンテナンスや交換について確認しておくことも重要です。厨房機器は経年劣化するため、定期メンテナンスの頻度や流れ、交換する方法と費用相場、節約方法をご紹介します。
定期メンテナンスの頻度
まず厨房機器の定期メンテナンスの頻度は、月数回から年数回程度です。ただし厨房機器の種類や使用頻度などによって異なります。厨房機器を購入・リースする前に、各業者にご確認ください。
またセルフメンテナンスできる機器(作業台や冷凍冷蔵庫など)と業者対応が必要な機器(調理台や業務用オーブンなど)に分かれます。販売やリースの業者だけではなく、メンテナンス専門の業者も存在します。
なお業者に厨房機器のメンテナンスを依頼すると費用がかかりますが、不具合を見つけることでトラブルを未然に防ぐことが可能です。厨房機器の清潔さや安全性を保つために、定期的なメンテナンスの計画を立てましょう。
メンテナンスする方法
次に厨房機器をメンテナンスする方法をご確認ください。セルフメンテナンスできる厨房機器に対しては、取扱説明書の手順に従って進めなくてはなりません。部品を外して洗浄したり、汚れを拭き取ったりします。異常が見られる際には使用を停止して、修理業者に相談しましょう。
一方で業者対応が必要な厨房機器のメンテナンスについては、販売やリースの業者に相談しましょう。事前に定期メンテナンスを契約しておくと、やり忘れの防止が可能です。定期メンテナンスで異常が見られる際にも、修理や交換を手配します。
修理・交換する流れ
そして定期メンテナンスの際に故障や異常が見られる際には、厨房機器の修理・交換が必要です。業者に厨房機器の修理・交換を依頼する流れをご確認ください。
- 業者に問い合わせ
- 現場調査
- 見積もり
- 契約
業者に修理・交換を依頼することで、部品の交換や新しい厨房機器の設置と古い厨房機器の処分などに素早く対応してもらえます。ただし修理・交換後に厨房機器のサイズや機能性に問題を感じる場合もありますので、修理・交換後のアフターフォローが充実している業者を選びましょう。
なお自分で厨房機器を修理・交換する場合には、事前に取り扱い説明書をご確認ください。特別な資格や技能、部品などが必要になる厨房機器に対しては、無理に修理や交換を試みず、販売やリースの業者に相談しましょう。
費用相場と節約方法
厨房機器のメンテナンスの費用相場は、1時間数千円程度です。出張費と作業費だけではなく、メンテナンス内容に応じて部品代もかかります。メンテナンスの時間帯や厨房機器の種類によっても費用が変動しますので、各業者に問い合わせましょう。
また厨房機器の修理・交換の費用相場は、1台数千から数万円程度です。メンテナンスと同じく、修理・交換の内容に応じて、費用が変動します。現地調査と見積もりを踏まえて、修理・交換を依頼しましょう。
そして厨房機器のメンテナンスや修理・交換費用の節約方法もご確認ください。
- 厨房機器を厳選する
- 複数業者の見積もりを比較する
厨房機器を厳選することで、メンテナンスや修理・交換する台数を減らせます。複数のメニューに対応できる調理機器を導入したり、特別な調理機器の必要ないメニューを選んだりしましょう。
複数業者の見積もりを比較することで、適切なメンテナンスや修理・交換の内容と費用を選べます。業者によって月額プランや個別プランなどが提供されていますので、各業者の特徴を理解したうえで依頼しましょう。
なお厨房設備だけではなく、飲食店には換気設備も必要です。店舗内を換気する理由と方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
厨房機器の廃棄やリサイクル
メンテナンスや修理・交換ができない場合に、どのように厨房機器の廃棄やリサイクルを行えばよいのでしょうか?そこで廃棄する方法と費用、リサイクルに出す流れと費用削減をご紹介します。
廃棄する方法
まず厨房機器を廃棄する方法は、以下のとおりです。
- 粗大ごみとして回収してもらう
- 産業廃棄物として回収してもらう
家庭用として設計された厨房機器については、粗大ごみとして回収してもらうことで、廃棄できます。ただし回収できる物や費用が異なるため、各自治体のルールをご確認ください。
参照元:東京都環境局「ご家庭から出るごみ(粗大ごみ・廃家電など)の出し方についての注意」
業務用に設計された厨房機器は、産業廃棄物として回収してもらわなければなりません。産業廃棄物収集運搬業の許可を取っている業者に依頼する費用がかかります。
参照元:東京都環境局「産業廃棄物の種類」
廃棄する費用
次に下表に、厨房機器を廃棄する費用の相場をまとめました。
厨房機器の種類 | 廃棄の方法 | 廃棄費用の相場 |
家庭用ガスコンロ | 粗大ごみとして回収 | 1台数百円程度 |
家庭用食洗器や食器棚 | 粗大ごみとして回収 | 1台数千円程度 |
大型の厨房機器全般 | 産業廃棄物として回収 | トラック1台数万円程度 |
参照元:
上表のとおり、産業廃棄物の回収にかかる費用は、粗大ごみに比べて高いです。回収の条件は自治体や収集運搬業者によって異なるため、事前に問い合わせて確認しましょう。
リサイクルに出す流れ
また業者に依頼して厨房機器をリサイクルに出す流れもご確認ください。
- 複数の業者に問い合わせる
- 見積もりを出してもらう
- 厨房機器を買い取ってもらう
リサイクル業者に厨房機器を買い取ってもらうことで、現金化できます。複数の業者に問い合わせて、見積もりを出してもらうことで、買取条件の良い業者を選ぶことができます。
参照元:出張買取の買取いちばん「厨房機器・店舗用品の中古買取 愛知で厨房機器・店舗用品を売るなら」
リサイクルによる費用削減
そして厨房機器のリサイクルによる費用削減を検討しましょう。状態の良い厨房価格には、買取価格が付くからです。厨房機器をリサイクルに出すことで、新たに厨房機器を購入するための資金を獲得できます。
業務用作業台 | 買取業者へ持ち込み | 0円(数千円程度で買い取り) |
業務用冷凍冷蔵庫 | 買取業者へ持ち込み | 0円(数万円程度で買取) |
仮に買取価格が付かない厨房機器があっても、他の厨房機器に買取価格が付けば、相殺できます。出張見積もりサービスもありますので、リサイクル業者に相談しましょう。
参照元:名古屋のオフィス・店舗の不用品回収・買取ならお任せクリーン「不用品買取」
なおSDGsへの貢献が求められている現代では、サステナブルな店舗デザインが必要です。サステナブルな店舗をデザインするメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
厨房機器の耐用年数を把握しよう!
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監修者
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IDEAL編集部
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