「飲食店に必要な厨房設備を知り…
2023.09.13 2023.08.28|店舗デザイン
店舗の収納スペースやバックヤードとは?レイアウト・施工事例・工事費用も紹介
本記事で、店舗の収納スペースやバックヤードについて、レイアウトや施工事例、工事費用をご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗の収納スペースやバックヤードとは?
そもそも店舗の収納スペースやバックヤードとは、どんなスペースでしょうか?そこで店舗のレイアウトを検討する前に、基本情報(収納スペースやバックヤードの主な役割と必要な理由、違い、収納什器の種類)を確認しましょう。
主な役割
まず店舗の収納スペースやバックヤードの主な役割は、収納場所や休憩場所と作業場所などの提供です。収納スペースをレイアウトすれば、店内フロアに陳列できない在庫やサービスに使用される備品などを保管できます。
またバックヤードは、収納場所だけではなく、従業員の休憩場所や作業場所としても使用されます。休憩時間に店舗フロアから離れられると、従業員がリラックスしやすいです。そして勤務時間中に、顧客に見せたくない作業(商品の包装や経理など)もできます。
以上のように店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするメリットとして、顧客満足度を高めやすくなります。顧客の出入りする店内フロアから余分な物や作業を排除できるからです。
収納スペースとバックヤードの違い
次に店舗における収納スペースとバックヤードの違いは、広さです。収納スペースには在庫や備品などが保管できるだけの広さが必要です。休憩場所や作業場所として使用されないなら、ソファやデスクなどを配置するスペースは必要ありません。
一方でバックヤードには、収納場所だけではなく、休憩場所や作業場所も含まれます。またスーパーマーケットの商品包装場所や飲食店の厨房、クリニックの検査室なども含まれます。したがって収納スペースよりも広いスペースが必要です。
したがって店舗に必要な収納スペースとバックヤードの広さを計算しなくてはなりません。後ほど店内スペースとの比率や在庫量の計算についてご紹介します。
収納什器の種類
そして店舗の収納スペースとバックヤードで使用される収納什器の種類について、下表にまとめました。
収納什器の種類 | 特徴 |
棚・ラック | 空間の上下に商品や備品を収納できる サイズやデザインが豊富である |
個人用ロッカー | 従業員の更衣スペースに合う 鍵付きなら貴重品を保管できる |
ボックス・コンテナ | 商品や備品の種類ごとに整理しやすい サイズやデザインが豊富である |
引き出しユニット・キャビネット | サイズの小さい物品や書類に適している キャスター付きなら可動性がある |
耐火金庫 | 耐火性と防犯性がある 金銭や貴重品、機密情報を保管できる |
ショーケース・ディスプレイケース | 収納されている商品や備品が見える 店内陳列にも活用できる |
ハンガーラック | 商品の洋服や従業員の制服を保管できる キャスター付きなら可動性がある |
なお収納什器だけではなく、店舗で利用される什器の分類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイント
店舗の収納スペースやバックヤードの基本情報を把握したうえで、レイアウトするポイントも押さえておきましょう。7点(店内スペースとの比率と従業員数や在庫量、動線設計、通路の幅、収納什器の高さ、見せる収納と見せない収納、デッドスペース)を取り上げます。
店内スペースとの比率
まず店内のスペースとの比率が、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントとして挙げられます。店舗の業種・業態によって変動しますが、店内スペース70~80%:バックヤード20~30%程度の比率が適切です。
例えば売場面積800㎡未満の小売店においては、バックヤードに平均26%程度の面積がレイアウトされています。ただし売場面積が広くなるほど、在庫の商品や業務に使用される備品が多くなるため、バックヤードの面積も広くなる傾向にあります。
参照元:数字で見るスーパーマーケット「バックヤード面積・比率」
従業員数や在庫量の計算
次に従業員数や在庫量の計算も、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントです。従業員数や在庫量に応じて、必要な床面積や収納什器(個人用ロッカーや収納棚など)のサイズと数量が変わります。
例えば商品数が絞られ在庫量も多くないコンビニには、広いバックヤードは必要はありません。しかし幅広い商品を扱うドラッグストアなら、コンビニよりも従業員数や在庫数が多くなるため、広いバックヤードが必要です。
動線設計
また動線設計も、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントです。動線設計は、顧客の満足度や従業員の業務効率を左右します。動線設計を工夫して、集客と売上を伸ばしましょう。
例えば飲食店においては、在庫保管場所から厨房やダイニングホールの動線設計によって、調理や接客の効率だけではなく、顧客の滞在時間も左右されます。店舗の動線を設計する際の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
通路の幅
さらに通路の幅も、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントです。収納スペースやバックヤードを通行する従業員の人数や収納する商品や備品のサイズなどに応じて、通路の幅を計算しましょう。
例えば従業員1人がバックヤードで在庫整理するだけなら、1m前後の通路幅で足ります。ただし複数の従業員が行き交うバックヤードなら、2m前後の通路幅がないと接触や遅延などを招く恐れがあります。
収納什器の高さ
そして収納棚の高さも、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントです。収納什器の高さの目安をご紹介します。
- 出し入れしやすい高さ:身長の50%前後
- 手の届く高さ:身長の120%まで
従業員が使いやすい収納什器の高さを計算して、業務効率化につなげましょう。また物品の落下や従業員の転落などの事故を防ぐために、高すぎる位置に収納棚を設置しないように注意が必要です。
見せる収納と見せない収納の使い分け
それから見せる収納と見せない収納の使い分けも、店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントです。店舗のイメージを損なわない備品や消耗品であれば、見せる収納に整理することで、内装デザインの一部として活用できます。
例えばバーにおいて、カウンター内の壁にお酒のボトルを並べることで、おしゃれな内装空間を演出できます。一方で顧客に見せたくない物品(冷蔵庫やごみ箱など)については、カウンター下へ配置しましょう。
デッドスペースの活用
なお店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントとして、デッドスペースの活用も検討しましょう。デッドスペースを活用することで、面積が狭い店舗にも開放感やおしゃれさを引き出せます。
例えばサロンにおいて、施術台下に収納什器を配置したり、壁に収納棚を造作したりすれば、デッドスペースを活用できます。また小売店においては、収納棚の付いた陳列台に商品を陳列することで、収納と陳列が同時に可能です。
店舗の収納スペースやバックヤードの施工事例
店舗に理想的な収納スペースやバックヤードをレイアウトできるように、施工事例を調査しましょう。本記事ではIDEALの施工事例を取り上げて、各店舗の収納スペースやバックヤードのポイントをご紹介します。
ショールームを兼ね備えた収納スペース
「きものレンタルwargo 新宿駅前店」様は、着物や浴衣のレンタル専門店です。顧客が着物や浴衣を手に取って選びやすいように、ショールームを兼ね備えた収納スペースがレイアウトされています。
また店舗の内装には、着物や浴衣のデザインが引き立つように、清潔感のある白が配色。収納什器の配列に沿って、照明器具も列を成して施工されています。レンタル品の魅力を引き出すための内装デザインです。
パーテーションの役割を果たす収納スペース
「La Brianza」様は、イタリアで腕を磨いた日本人シェフがプロデュースするレストランです。カウンター席とテーブル席を区別するために、パーテーションの役割を果たす収納スペースがレイアウトされています。
収納スペースはワインセラーで、ワインボトルやグラスが保管されています。店内空間の開放感を保てるように、透過性のあるガラス素材です。商品の収納と空間のゾーニングを同時に叶える内装デザインです。
カウンター内の見せる収納と見せない収納
「ミズノトリ」様は、恵比寿で日本酒と和食のペアリングを提供する飲食店です。カウンター内には、見せる収納と見せない収納がレイアウト。見せる収納スペースには、メインメニューの日本酒が保存されています。
また見せない収納スペースはカウンター下にレイアウトされており、調理器具などが保管されています。カウンターが厨房を囲むように施工され、デッドスペースが活用された内装デザインです。
レンガ造りのバックヤード
「Fior Di Maso Tokyo」様は、選び抜かれたイタリア産チーズ・サラミなどの輸入・販売店です。レンガ造りのバックヤード収納スペースがレイアウトされ、輸入食材が保管されています。
また温かみのある店内空間には、ガラスのショーケースがレイアウトされ、商品の保管と陳列の役割を果たしています。顧客が商品を選びやすいように、配置や高さが計算された収納スペースのデザインです。
デッドスペースが活用されたバックヤード
「Cafe&Dining Ashley」様は、現役の女子大生がプロデュースした飲食店です。食品や什器などを収納するために、壁際や天井近くに収納什器がレイアウト。デッドスペースが活用されたバックヤードのデザインです。
厨房内の通路幅は広くありませんが、複数の従業員が作業できるように、二列型のレイアウトです。仕込みや調理の動線に基づいて、収納什器や厨房設備がレイアウトされています。
店舗の収納スペース・バックヤードの工事費用
予算内に工事費用を収めなくては、店舗にレイアウトした収納スペース・バックヤードを施工できません。そこで店舗の収納スペース・バックヤードの工事費用について、相場や費用、節約法をご紹介します。
相場
まず店舗の収納スペース・バックヤード工事費用の相場は、坪単価10万〜30万円程度です。例えば10坪のバックヤードには、100万~300万円程度かかります。ただし物件の規模や種類(居抜きかスケルトン)、収納スペース・バックヤードの用途や機能性(防音や耐火など)などによって、工事費用は変動します。
内訳
次に店舗の収納スペース・バックヤード工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、10坪のバックヤードを工事する費用を試算してあります。
工事費用の内訳 | 工事費用の目安 | 工事費用の試算 10坪のバックヤード |
デザイン | 全体の10%程度 | 10万~30万円程度 |
施工監理 | 全体の10%程度 | 10万~30万円程度 |
仮設工事 | 全体の10%程度 | 10万~30万円程度 |
内装工事 (天井や壁、床、建具・ 造作什器など) | 全体の40%程度 | 40万~120万円程度 |
設備工事 (電気・ガス・水道・ 空調・換気・照明など) | 全体の30%程度 | 30万~90万円程度 |
合計 | 100% 坪単価10万~30万円程度 | 100万~300万円 |
上表のとおり、店舗の収納スペース・バックヤード工事費用において、内装工事と設備工事の費用が大半を占めます。造作する什器やバックヤードの役割(休憩室や事務所など)などによって、必要な内装や設備が異なります。
節約法
そして店舗の収納スペース・バックヤード工事費用の節約法として、相見積もりと居抜き物件、中古・リースの収納什器などがあります。複数の業者から相見積もりを取ることで、工事の内容や費用を比較検討できますので、適正な価格で工事してくれる業者を選びましょう。
また居抜き物件を選ぶと、前借主が施工した内装や設備を引き継げるため、スケルトン物件よりも工事費用を節約できます。ただし居抜き物件にはメリット・デメリットがありますので、次の記事も併せてご覧ください。
そして中古・リースの収納什器を選ぶことで、新品購入よりも初期費用を節約できます。ただし劣化や故障のある物を選ぶと修繕費がかかり、事故の恐れがあります。状態の良い収納什器を選びましょう。
店舗に収納やバックヤードをレイアウトしよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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