2022.03.22  2022.03.23|内装工事

A工事・B工事・C工事の違いとは?工事対象や借主の注意点も解説!

A工事・B工事・C工事の違いとは?工事対象や借主の注意点も解説!

店舗の開業や改装、移転を検討しながら「A工事・B工事・C工事とは」「少しでも内装工事費用を抑えたい」とお悩みではないでしょうか?店舗の貸主や工事業者に任せきりでは、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。

そこで本記事でA工事・B工事・C工事の違いや対象、権限、費用負担、業者選定、原状回復義務について解説します。借主の注意点や工事費用節約ポイントも紹介しますので、経営者や担当者の方はぜひご覧ください。

賃貸する店舗物件に対する原状回復義務とは 

賃貸する店舗物件に対する原状回復義務とは 

賃貸契約における原状回復義務とは、「物件を賃貸する前の状態に戻してから退去しなければならない」という借主に対する賃貸契約の条件です。「賃借人の原状回復義務」は、民法に定められています。

参考:民法第621条

例えば飲食店経営者が賃貸した店舗物件に造作物(内装設備や什器など)を施工していた場合には、全て撤去してから退去しなければなりません。ただし貸主の了承を得て居抜き物件(造作物が施工された状態)として退去する場合は、借主の原状回復義務が免除されます。

原状回復義務を果たすための工事は、原状回復工事と呼ばれます。一部のWebサイト上で「現状回復工事」という言葉が使用されていますが、「今の状態に戻す工事」では意味が通じませんので間違いです。

A工事・B工事・C工事の違い

A工事・B工事・C工事の違い

物件を賃貸する場合には原状回復義務を把握する必要があり、借主である店舗経営者が独断であらゆる工事(内装工事や原状回復工事など)を業者へ依頼できるわけではありません。

民法に定められた原状回復義務を解釈すると、店舗を開業するために賃貸する物件の工事は3つ(A工事・B工事・C工事)に区分することができます。4観点からA工事・B工事・C工事を整理して、下の表にまとめました。

工事対象工事権限工事業者選定費用負担
A工事建物の躯体や共用部分貸主貸主貸主
B工事物件内にある内装設備
(建物全体に関わる部分)
貸主貸主借主
C工事物件内の内装設備
(借主が新たに施工する部分)
借主借主借主
※貸主とは物件を所有するオーナーを指しています。

それでは表を参照しながら、4観点を一つずつ解説していきます。

工事対象

A工事の対象は建物の躯体(くたい)や共用部分で、具体的には建物の外装や共用トイレ、屋上、エレベーター、ガス・水道・消防設備などです。

B工事の対象は借主が賃貸する物件内にある内装設備(建物全体に関わる部分)で、具体的には空調や防災、照明、分電盤、防水、排気、排水などの設備です。

C工事の対象は物件内の内装設備(借主が新たに施工する部分)で、具体例にはクロスや床、天井、造作家具(カウンターや壁面収納など)、電話・インターネット回線などが挙げられます。

工事権限

工事権限とは「工事の実施を承認する権利」です。工事対象の所有者に工事権限があり、一般的には建物本体や共用部分のA工事は貸主に、物件内のC工事は借主に権限が与えられます。

しかし物件内において建物全体に関わる問題がある場合には、借主が貸主にB工事の要望を出すことが可能です。

工事業者選定

基本的には、工事権限を有する側が工事業者を選定できます。したがって建物全体に関わらない物件内の内装工事(C工事)に関しては、借主が業者を選定できます。

ただし建物全体に関わる工事(A工事とB工事)に関しては、建物の所有者である貸主が業者を選定します。貸主は建物の管理が不十分で誰かをケガさせてしまうと損害賠償責任(土地工作物責任)を負うので、信頼できる業者を選定する必要があるからです。

費用負担

基本的には(A工事・C工事では)、工事権限を有する側が業者へ発注して費用を負担します。しかし借主の要望によるB工事では、貸主が選定した業者に対して借主が発注して費用を負担することになりますので、独断で業者に相談しないように注意が必要です。

A工事・B工事・C工事に関する借主の注意点

A工事・B工事・C工事に関する借主の注意点

A工事・B工事・C工事の区分を理解したら、思わぬトラブルを回避したり費用を節約したりするために、各工事に関する借主の注意点を押さえておきましょう。理想とする店舗を開業するためにも必要になる知識をご紹介していきます。

A工事

A工事は建物の資産価値を保つための工事です。建物の老朽化に対しては、建物の所有者である貸主が管理して安全性や資産価値を保つ必要があります。建物管理全般の不備は貸主の責任になりますので、貸主が業者を選定して費用を負担します。

基本的には貸主が権限を有する工事ですので、借主はあまり関わることがありません。しかしA工事の費用は借主の賃料もしくは管理費などによってまかなわれています。「借主も費用を負担している」という観点から、工事の内容や費用が適切かどうかを評価することが必要でしょう。

また借主の賃貸する物件内において躯体やガス、水道などに関わる設備に問題が生じたときには、早めに貸主に申告しましょう。貸主がA工事として業者へ依頼すれば、借主が費用を負担する必要がありません。

B工事

B工事は借主が貸主へ要望して行われる物件内の工事です。借主の賃貸する物件内であっても、建物全体に関わる設備の所有者は貸主です。借主に工事権限がないため、貸主に要望を出しましょう。

B工事の業者選定は貸主が行うため、費用が高くなる傾向にあります。工事の契約後に「思わぬ請求をされた」「不要な工事までされた」などのトラブルにならないように、契約前に見積もりを細部まで確認しましょう。

なお貸主がA工事と承認する場合には、費用を負担する必要がなくなります。業者へ依頼する前に、工事が必要な個所がA工事とB工事のどちらに該当するかについて貸主と相談して明確にすることが大切です。

C工事

B工事と比べると、C工事の発注について借主が業者と直接相談できるのでスムーズに進みやすいです。また借主がイメージする内装を施工できる業者を選べたり、内装工事費用を節約しやすかったりする点も特徴です。

したがって施工事例などを参考にしながら、自分のこだわりを実現してくれる業者を選びましょう。内装にこだわりすぎると費用がかさんでしまうので、予算内に収められるように複数の業者から見積もりをとって比べましょう。

ただしC工事として施工した内装設備に対しては、退去時に原状回復義務を求められます。入居時と異なる状態で退去すると、貸主から原状回復工事の費用負担を求められることになるので注意しましょう。

店舗物件における工事費用節約のポイント

店舗物件における工事費用節約のポイント

店舗の開業や移転のために、内装デザインや原状回復のために工事が必要です。しかし経営者として費用をなるべく安く抑えたいですよね?A工事・B工事・C工事の区分や注意点を踏まえて、費用節約ポイント3点をお伝えします。

B工事からA工事への変更を交渉する

B工事の費用負担は借主側ですが、A工事に変更できれば貸主が費用を負担することになります。貸主からすると「費用を負担する必要のないB工事のままにしたい」と考えるでしょう。

工事権限は物件所有者である貸主にありますので、A工事であると主張する根拠を持参したうえで貸主に変更を交渉してみましょう。たとえA工事に変更できない場合でも、貸主がB工事の費用を一部負担してくれる可能性があります。

B工事からC工事への変更を検討する

B工事の業者選定を貸主が行うため、費用が割高だと感じる場合があります。しかしB工事の一部をC工事に変更できれば、相見積もりを取って費用の安い業者を選定できます。

B工事の見積もりを確認するときには、「不要な内容やC工事に変更できる内容」をC工事を依頼する業者に確認してもらうとよいです。貸主の了承を得たうえでC工事の区分を増やしつつ、B工事を依頼する業者と交渉して費用を安くすることを検討しましょう。

早めにC工事の相見積もりを取る

C工事を依頼する業者を借主が選択できるので、相見積もりを取って安く施工できる業者を選べます。ただし開業まで時間がない場合に工事を依頼すると、費用が高くなる傾向があります。工期に余裕をもって、業者を選定しましょう。

なおC工事として依頼する内装工事においては、居抜き物件を契約することで費用を大幅に節約することが可能です。下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

工事区分を見極めて費用を節約しよう

工事区分を見極めて費用を節約しよう

A工事・B工事・C工事の区分を見極めることで工事内容に関するトラブルを回避することができ、費用を節約することもできます。なお内装工事の種類や費用について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

IDEALは工事区分のご相談はもちろん、内装デザインや資金調達、Web集客などをワンストップソリューションでお手伝いしております。

お客様に寄り添ったご提案を心がけておりますので、開業や改装、移転などをご検討の際はぜひお問い合わせください。

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監修者

IDEAL編集部

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