2024.08.19 2024.07.13|店舗運営ノウハウ
店舗経営における経費削減方法とは?固定費と変動費の違いや項目(勘定科目)
本記事で、店舗経営における経費削減方法を解説します。また固定費と変動費の違いや経費の項目(勘定科目)もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
店舗経営の経費に関する基本情報
店舗経営の経費削減を検討する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、経費削減を進めやすいからです。それでは店舗経営の経費を削減する目的やメリットデメリット、種類(固定費と変動費)、業種ごとの目安をご紹介します。
削減する目的
まず店舗経営の経費を削減する目的は、利益率の向上です。店舗の売上から経費を引いた金額が、利益です。したがって経費を削減できるほど、店舗経営の利益率を向上させられます。
ただし店舗経営に必要な経費を削減してしまうと、集客や売上を減らすリスクが高まります。集客と売上を伸ばせなければ、いくら経費を削減しても利益は増えません。店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)については、後ほどご紹介します。
削減するメリット・デメリット
次に店舗経営の経費を削減するメリットは、業務効率のアップや内部留保の増加などです。無駄な経費の削減には、業務効率のアップが求められます。削減した経費の分だけ内部留保が増加すれば、新規事業の立ち上げやキャンペーン・イベントの開催などが可能です。
しかし業務負担の増加や品質の低下などのリスクは、店舗の経費を削減するデメリットです。人件費や仕入高などの経費を削減して、従業員の業務負担が増加したり、商品・サービスの品質が低下したりすると、集客と売上の低下を招くリスクがあります。
種類(固定費と変動費)
続いて店舗経営の経費の種類には、固定費と変動費があります。固定費は、店舗の集客や売上にかかわらず支出される経費です。地代家賃や租税公課、正規雇用者の賃金給与、減価償却費、通信費などがありますので、後ほどご紹介します。
変動費は、店舗の集客や売上によって支出額が変動する経費です。仕入高や非正規雇用者の賃金給与、消耗品費、水道光熱費、広告宣伝費などがありますので、後ほどご紹介します。
業種ごとの目安
そして店舗経営の経費における業種ごとの目安を確認しましょう。
- サービス業 :売上の5割前後
- 飲食業 :売上の6割前後
- 小売業 :売上の8割前後
- 医療・福祉業:売上の7割前後
参照元:
MD NEXT「第105回小売業のコスト管理の基本「分配率」を知っていますか?」
ただし同じ業種・業態の店舗でも、立地や規模、従業員数、商品・サービスの価格帯などによって客単価や売上が異なるため、必要な経費も変わります。飲食店に必要な平均売上の目安をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)
基本情報だけではなく、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目の地代家賃と租税公課、給料賃金、専従者給与、仕入高、消耗品費、減価償却費、水道光熱費、通信費、荷造運賃、旅費交通費、広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、外注工賃、修繕費、福利厚生費、利子割引料、雑費)も確認しましょう
地代家賃
まず地代家賃が、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)として挙げられます。土地を借りる際に支払う地代と建物を借りる際に支払う家賃が含まれます。設備・機器・什器などを借りる際に支払う賃借料とは異なります。
租税公課
次に租税公課も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。国や地方自治体に治める税金や公的機関に収める会費や罰金などが含まれます。例えば事業税や固定資産税、自動車税、不動産取得税、商工会議所・商店会などの会費などです。
給料賃金
それから給料賃金も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。労働の対価と手当、社会保険料の事業主負担分などが含まれます。給料賃金を製造の原価に含める際には、原価に含めない人件費(給与)と区別しなければなりません。
専従者給与
続いて専従者給与も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。事業主の下で働く家族に支払われる給与であるため、経費として認められません。ただし一定条件を満たすことで、経費として認められます。
参照元:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
仕入高
また仕入高も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。製造・販売する商品やサービスの仕入れにかかる費用で、商品や材料の費用や運送料、関税などが含まれます。計上する時期(発送や受取、検収)にご注意ください。
消耗品費
さらに消耗品費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。使用するごとに消耗する物品の購入に支払う経費で、コピー用紙や文房具、電池、ガソリンなどが含まれます。後ほどご紹介する雑費とは、異なります。
減価償却費
加えて減価償却費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。減価償却とは、長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理です。減価償却と耐用年数についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
水道光熱費
そして水道光熱費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。水道や電気、ガス、灯油などの使用料です。自宅の一部を店舗として営業している場合には、事業に用いた分の水道光熱費だけを経費として計上できます。
通信費
次に通信費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。店舗経営に用いた通信手段(電話やインターネット、郵便、ケーブルテレビ、有線放送など)の利用料です。電話やテレビなどの本体代金は含まれません。
荷造運賃
それから荷造運賃も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。商品の荷造と発送にかかる経費で、梱包材や宅配便、荷物保管などの料金が含まれます。請求書やカタログの発送費用は荷造運賃ではなく、通信費に該当します。
旅費交通費
続いて旅費交通費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。従業員の出張にかかる交通費や宿泊代金などが含まれます。旅費規程が定められている場合には、出張中の手当や食事代も旅費交通費への計上が可能です。
広告宣伝費
また広告宣伝費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。商品・サービスの広告や宣伝のために支出される経費で、パンフレットやチラシ、看板、LP、バナーなどが含まれます。ノベルティグッズの制作費や展示会の出展費などは、販売促進費です。
接待交際費
さらに接待交際費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。株主や取引先との会食やお中元・お歳暮、旅行などの料金が含まれます。ただし雇用する従業員を対象とする支払いは、接待交際費ではなく福利厚生費です。
損害保険料
加えて損害保険料勘定も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。店舗物件の火災保険料や地震保険料などが含まれます。ただし自宅の一部を店舗として営業している場合には、事業に用いた分だけを経費として計上できます。
外注工賃
そして外注工賃も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。自社以外の会社や個人事業主に業務を依頼するための費用で、内装デザイン料や設備・機器・什器工事費などが含まれます。
修繕費
それから修繕費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。有形固定資産の修繕のために支払う費用で、社用車や店内のエアコンなどの修理が含まれます。ただし修理代金の金額や支払い時期によっては、固定資産に該当します。
福利厚生費
続いて福利厚生費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。福利厚生とは給料賃金以外に雇用する従業員に提供する費用やサービスで、社員旅行や結婚祝いなどが含まれます。社会保険や労働保険の事業者負担金は、法定福利費です。
利子割引料
さらに利子割引料も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。ローンの利子や手形の割引などが含まれます。例えば店舗物件建築費用のローンを返済する際には、元本ではなく、利子の金額だけを計上できます。
雑費
そして雑費も、店舗経営に必要な経費の項目(勘定科目)です。他の経費に区分できない費用が該当します。例えば事業用クレジットカードの年会費や廃棄物処理費、銀行の振込手数料などです。
店舗経営における経費削減方法
勘定科目を踏まえたうえで、店舗経営における経費削減方法を検討しましょう。6点(業務縮小・アウトソーシング、DXの推進、在庫処分、節税対策、電気・ガス・水道料金プランの見直し、仕入先の変更)をご紹介します。
業務縮小・アウトソーシング
まず業務縮小・アウトソーシングが、店舗経営における経費削減方法として挙げられます。店舗の従業員に対応させていた業務を縮小したり、アウトソーシングしたりすることで、人件費や設備・機器・什器の購入・メンテナンス費などの削減が可能です。
ただし業務の縮小により売上を下げたり、アウトソーシングによりノウハウを蓄積できなかったりするリスクがあります。自社で対応すべき業務と縮小・アウトソーシングする業務を整理しましょう。
DXの推進
次にDXの推進も、店舗経営における経費削減方法です。DX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)により業務効率化が進めば、無駄な経費を削減できます。
参照元:日経クロステック Active「DXの目的は「コスト削減」、6割以上の企業が回答 – データは語る」
店舗DXの方法には、オンライン予約システムやデジタルサイネージ、セルフオーダーシステム、キャッシュレス決済システム、店舗営業分析システムなどがあります。店舗DXを進める流れとポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
在庫処分
それから在庫処分も、店舗経営における経費削減方法です。在庫処分により、売れ残りのリスクを減らし、管理コストを削減できます。店舗全体の売上目標や商品・サービスごとの販売数に基づいて、過剰な在庫を処分しましょう。
在庫を処分してスペースが生まれれば、他の用途に有効活用できます。店舗に収納スペースやバックヤードをレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
節税対策
続いて節税対策も、店舗経営における経費削減方法です。店舗の支払う税金(個人事業主の所得税や法人税、消費税、固定資産税など)を減らせる分だけ、売上に占める利益率が増加します。
店舗の節税対策には、所得税・法人税の青色申告や小規模企業共済、設備投資、メニュー開発などがあります。税金を減らせても、他の経費が増加する場合があるため、自店舗に適した節税対策方法を選びましょう。
参照元:
電気・ガス・水道料金プランの見直し
また電気・ガス・水道料金プランの見直しも、店舗経営における経費削減方法です。自店舗の使用量に適した電気・ガス・水道料金プランに見直すことで、水道光熱費を削減できます。
水道光熱費の削減は省エネにも役立つため、地球温暖化防止やエネルギー安定供給、経済効率性などに貢献できます。店舗の省エネ対策の方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
仕入先の変更
そして仕入先の変更も、店舗経営における経費削減方法です。仕入先を変更して、現在よりも安く原材料や製品を仕入れることができれば、仕入高を減らせます。複数の仕入先を比較しましょう。
仕入先を比較する際には、品質と品揃え、ブランド力、卸売価格、供給の安定性、業界の専門性、サポート体制などがポイントです。店舗経営の仕入先を選ぶ際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗経営の経費削減事例
店舗経営に適した経費削減方法を選択できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(アウトソーシングとセルフオーダー、在庫処分、節税対策、電気料金プランの見直し)をご紹介します。
労務のアウトソーシングサービス
まず「スマート労務」は、労務のアウトソーシングサービスです。労務をアウトソーシングすることで、担当者の人件費や教育コスト、コミュニケーションコストなどの削減を期待できます。
労務は業種・業態に関わらず、従業員を雇用する店舗に必要な業務です。スマート労務により店舗に適した連絡や労務管理のクラウドシステムを選定してもらい、社労士にアウトソーシングできます。
参照元:
PR TIMES「労務DXを促進!社労士業務とクラウドシステムをセットにしたアウトソーシングサービス『スマート労務』を提供開始|あかつき社会保険労務士法人」
セルフオーダーシステムによるDX推進
次に「IGREKセルフオーダー」は、DXを推進するセルフオーダーシステムです。飲食店に特化したテーブルオーダーシステムで、メニューのレイアウトや説明文、写真、文字サイズなどを調整できます。
「関西うどん こんぴら」では、人件費削減が課題でした。そこでIGREKセルフオーダーの導入により人件費を削減し、固定費の12%削減につながりました。導入の決め手は、既存のPOSシステムとの連携でした。
参照元:
IGREK「【超短期間導入】たった9営業日で導入したセルフオーダーシステムが固定費を12%削減 | 関西うどん こんぴら様」
PR TIMES「【超短期間導入】たった9営業日で導入したセルフオーダーシステムが固定費を12%削減|株式会社イグレック」
利益を生み出す在庫処分サービス
それから「株式会社shoichi」は、利益を生み出す在庫処分サービスを提供しています。主に取り扱う商品は、アパレルやブランド品、電化製品、雑貨、食品などです。店舗に適した在庫処分の方法(現金問屋や倉庫保管、セール、廃棄など)を検討してくれます。
さらに株式会社shoichiは、自社で運営しているオンラインショップでの小売りや提携オンラインショップとのコラボレーションなども提案しています。小ロット数から対応しているサービスです。
参照元:
ドリームゲート「不良在庫が『売れる商品』に化ける!年商10億をたたき出す在庫処分サービス『shoichi(ショーイチ)』」
中小企業投資促進税制による節税対策
続いて「中小企業投資促進税制」は、対象設備(機械装置や工具、ソフトウェアなど)の取得や製作などに対して、特別償却または税額控除を適用できる制度で、節税対策になります。
条件を満たす中小企業や個人事業主などが対象で、小売業や飲食サービス業などの店舗にも適用されます。中小企業投資促進税制の適用期限は、2024年度末です(2024年7月時点の情報)。
電気料金プランのシミュレーションサービス
そして「みんな電力」は、電気料金プランのシミュレーションサービスを提供しています。低圧(従量電灯・動力)の法人プランが対象です。地域や契約種別、電気容量、使用量などを入力すると、電気代を試算できます。
同様のサービスは、個人と法人に向けて、さまざまな電気会社から提供されています。店舗の開業エリアに電気を供給している会社を調査して、電気料金プランをシミュレーションしましょう。
参照元:
みんな電力「低圧(従量電灯・動力)法人プラン料金シミュレーション」
TEPCO「料金見直し前後における電気料金シミュレーション(簡易試算)」
店舗経営に適した経費削減方法を選択しよう!
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監修者
-
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