2025.03.20 2025.01.31|店舗運営ノウハウ
飲食店にテレビを設置するメリット・デメリットとは?注意点や事例も紹介

本記事で、飲食店にテレビを設置するメリット・デメリットを解説します。また飲食店のテレビ設置に関する注意点や事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
飲食店のテレビ設置に関する基本情報

飲食店のテレビ設置を検討する前に、基本情報(著作権の制限や料金、録画番組・動画配信サービス・DVDの上映、パブリックビューイングのライセンス)を確認しましょう。基本情報を確認することで、検討しやすくなるからです。
著作権の制限
まず飲食店のテレビ設置は、著作権の制限を受けます。飲食店に家庭用テレビを設置して顧客から料金を徴収せずに、リアルタイムで放送されている番組を流すことは、著作権法によって合法です。
ただし飲食店が大型モニターを設置してパブリックビューイングを行ったり、複製を禁止されている市販のDVDを上映したりする行為は違法です。許諾や専用ソフトが必要になりますので、後ほどご紹介します。
料金
次に飲食店のテレビ設置料金は、1台数千~数万円程度(テレビ本体とアンテナ設置)です。ただしテレビの種類やサイズ、台数、設置場所などによって、テレビ設置料金は変動します。
例えば商業ビルに入居する飲食店の階数が高いほど、テレビの運搬や設置のコストは高くなります。またテレビにインターネットやWi-Fiを接続する場合などには、オプション料金が必要です。
録画番組・動画配信サービス・DVDなどの上映
それから飲食店で録画番組・動画配信サービス・DVDなどを上映する際には、許諾や専用プラン・ソフトが必要です。録画したテレビ番組を非営利目的で使用する際には、放送事業者から許諾を得なければなりません。
参照元:
動画配信サービスを流す場合にはビジネスライセンスを契約し、市販のDVDを上映する場合には業務用ソフトを購入しなければなりません。法令を遵守したうえで、飲食店にテレビを設置しましょう。
参照元:
株式会社アイ・ステーション「『DAZN for BUSINESS』」
パブリックビューイングのライセンス
そして飲食店に家庭用テレビを設置してパブリックビューイングを開催する場合には、放送事業者からのライセンス取得は不要です。つまりライセンス料を支払わなくても、リアルタイムで放送される番組を流せます。
ただし大型のスクリーンやモニターを設置してパブリックビューイングを開催する場合には、ライセンス料を支払わなければなりません。開催前に、当該番組を放送する事業者に相談しましょう。
参照元:
飲食店にテレビを設置するメリット・デメリット

基本情報だけではなく、飲食店にテレビを設置するメリット(集客効果と顧客満足度の向上、賑やかな雰囲気の演出)・デメリット(回転率の低下と騒音による快適性の低下、コストの増加)も確認しましょう。
メリット①集客効果
まず集客効果が、飲食店にテレビを設置するメリットとして挙げられます。家庭用テレビでリアルタイムの番組やビジネスライセンスを取得した動画配信サービスの番組などを再生すれば、番組を視聴したい顧客の来店を獲得できるからです。
そこで家庭用テレビの設置されたダイニングフロアの画像や動画をSNSに投稿して、集客効果を高めましょう。ただし大型モニター・スクリーンによるパブリックビューイングには、放送事業者からのライセンス取得が必要です。
メリット②顧客満足度の向上
次に顧客満足度の向上も、飲食店にテレビを設置するメリットです。来店した顧客が注文を待つ間に、リアルタイムで放送されているテレビ番組や動画配信サービスの番組、業務用DVDなどを視聴できます。
飲食店の主なサービスは飲食物の提供ですが、テレビ設置によっても顧客満足度の向上を期待できます。自店舗のターゲットとする顧客層や営業の時間帯などに応じて、番組やDVDのジャンルを検討しましょう。
メリット③賑やかな雰囲気の演出
それから賑やかな雰囲気の演出も、飲食店にテレビを設置するメリットです。スポーツバーや居酒屋、大衆食堂などの飲食店にテレビを設置して、バラエティ番組やスポーツ中継などを流せば賑やかな雰囲気を演出できます。
ダイニングフロアに程よい音量でテレビ番組が再生されていることで、顧客同士の会話が弾んだり、他グループの会話を気にせずに済んだりします。自店舗のコンセプトに合わせて、番組のジャンルや音量の大きさなどを変更しましょう。
デメリット①回転率の低下
しかし回転率の低下は、飲食店にテレビを設置するデメリットです。来店した顧客がテレビ番組に夢中になるほど注文から食事、会計までの時間が長くなるため、回転率が低下してしまいます。
したがって目標とする自店舗の回転率を定めたうえで、テレビの設置を検討しましょう。テイクアウト・デリバリーのメニューを待つ顧客の満足度を高めるために、ダイニングフロアではなく、受取カウンターだけにテレビを設置する方法もあります。
デメリット②騒音による快適性の低下
また騒音による快適性の低下も、飲食店にテレビを設置するデメリットです。テレビ番組の音量や視聴する顧客同士の会話などが大きくなりすぎると、騒音による快適性の低下を招いてしまいます。
そこで自店舗のターゲットする顧客層のニーズや目指す雰囲気、メニューなどに応じて、テレビの有無や設置場所、番組のジャンルなどを検討しましょう。時間帯に応じて、テレビをオン・オフする方法もあります。
デメリット③コストの増加
そしてコストの増加も、飲食店にテレビを設置するデメリットです。設置前にはテレビ・インターネット通信機器の本体と工事費用が必要で、設置後には動画配信サービスの月額利用料やDVDソフトの費用などがかかります。
したがって開業資金の内訳を計算したうえでテレビの設置を検討し、売上目標の設定や運転資金の計算も行いましょう。テレビ設置後には、集客効果や顧客満足度の客観的な評価(費用対効果の検証)も重要です。
飲食店のテレビ設置に関する注意点

メリットを引き出してデメリットを対策するために、飲食店のテレビ設置に関する注意点(法令の遵守と業態・コンセプト、設置の場所・台数、モニター・デジタルサイネージの種類・サイズ、再生・配信するコンテンツ、メンテナンス)をご紹介します。
法令の遵守
まず法令の遵守が、飲食店のテレビ設置に関する注意点として挙げられます。放送事業者や動画配信サービス事業者の著作権を侵害しないように、法令を遵守したうえで飲食店にテレビを設置しましょう。
ただしリアルタイムのテレビ番組や動画配信サービスの番組を流すのではなく、スポーツ中継の応援イベントやeスポーツのイベントなどを開催する場合には風営法の規制を受けます。風営法における風俗営業等の種類について、次の記事も併せてご覧ください。
業態・コンセプト
次に業態・コンセプトも、飲食店のテレビ設置に関する注意点です。テレビ設置が適している飲食店の業態には、スポーツバーや居酒屋、大衆食堂、ラーメン屋、ピザ屋などがあります。
しかし同じ飲食店業態であっても、自店舗のコンセプトによってはテレビ設置が合わない場合もあります。店舗経営の基本方針となりますので、明確なコンセプトを設計しましょう。店舗のコンセプトを設計する流れと方法について、次の記事も併せてご覧ください。
設置の場所・台数
それから設置の場所・台数も、飲食店のテレビ設置に関する注意点です。顧客の動線(来店から注文、飲食、会計、退店まで)と従業員の動線(接客や調理など)を踏まえて、適した場所にテレビを設置しましょう。
ダイニングフロアの座席数に応じて、必要な台数のテレビを設置します。ただし台数が増えるほど、より多くのコストが必要です。また自店舗の構造や間取りによっては、設置したテレビの台数分だけNHKの受信料を徴収されます。
参照元:NHK「「事業所割引」について」
モニター・デジタルサイネージの種類・サイズ
続いてモニター・デジタルサイネージの種類・サイズも、飲食店のテレビ設置に関する注意点です。著作権によって飲食店に家庭用テレビの設置が認められていますが、ダイニングフロアの広さに応じてモニターの種類やサイズを検討しましょう。
動画配信サービスのビジネスライセンスを契約する場合には、デジタルサイネージにパソコンを接続して番組を再生する方法もあります。飲食店に導入できるデジタルサイネージの種類と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
再生・配信するコンテンツ
さらに再生・配信するコンテンツも、飲食店のテレビ設置に関する注意点です。自店舗のコンセプトや顧客のニーズ、営業の時間帯などに応じて、再生するテレビ番組の動画配信番組のジャンルを選びましょう。
例えばスポーツバーによって、特化しているスポーツの種類(サッカーや野球、バスケットボールなど)が異なります。またキャンペーン・イベントに合わせたコンテンツを再生・配信すれば、集客効果のアップにつながります。
メンテナンス
そしてメンテナンスも、飲食店のテレビ設置に関する注意点です。テレビ本体や通信設備・機器、電気配線などが破損・劣化してしまうと使用できなくなりますので、定期的なメンテナンスを計画しましょう。
テレビ以外にも、安全管理や業務効率のために飲食店の外観や内装材、設備・機器・什器などにメンテナンスが必要です。店舗メンテナンスの重点箇所と方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店のテレビ設置事例
注意点に気をつけて飲食店にテレビを設置できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点(カフェバーとスポーツバー、カフェ、居酒屋、食堂)を取り上げて、各事例の特徴をご紹介します。
スポーツ観戦できるカフェバー

まず「RACH HAMBURG FACTORY」は、スポーツ観戦できるカフェバーです。顧客に飲食しながらスポーツ中継を楽しんでもらえるように、ダイニングフロアにテレビやスクリーンが設置されています。
明るく温かな雰囲気の内装空間がデザインされた飲食店のテレビ設置事例です。貸切イベントに対応できるように、ダイニングフロアには可動式の什器(テーブルやチェア、ソファなど)が配置されています。
動画配信サービスを活用しているスポーツバー
次に「BeeRUSH 錦店」は、動画配信サービスを活用しているスポーツバーです。DAZNやAmazonプライム、Abema、Leminoなどのビジネスライセンスを取得しており、さまざまなスポーツ中継(サッカー・野球・ラグビー・バスケ・格闘技など)が再生されています。
スポーツ中継の見逃し配信や好きなスポーツのリクエストに対応している飲食店のテレビ設置事例です。テレビ以外にも、ダーツやビリヤード、室内ゴルフなどのスペースが施行されています。
シアタールームのあるカフェ

それから「Hailey’s 5 Cafe」は、シアタールームのあるカフェです。シアタールームは個室で、テレビを再生できるパソコンとブルーレイが設置されています。白を基調とした内装空間に、フラットのクッションフロアが配置されています。
シアタールーム以外にも、カラオケルームやアルコールバーなども施工されています。時間料金で漫画やインターネット、映画などを楽しめる飲食店のテレビ設置事例です。
参照元:ウォーカープラス「18歳未満入場不可『大人カフェ』が池袋にオープン」
顧客がモニターをジャックできる居酒屋
続いて「河村食堂」は、顧客がモニターをジャックできる居酒屋です。ダイニングフロアにUSENのサービスに接続したテレビ30台が設置されており、好きなアーティストのミュージックビデオをリクエストできます。
モニターがジャックされていない間には、リアルタイムのテレビ番組が流れています。20坪の店舗物件で、午後から深夜まで営業している飲食店のテレビ設置事例です。
参照元:OSAKA STYLE「枚方にエンタメ居酒屋『河村食堂』 30台のテレビモニター設置」
地上波テレビ番組を流している食堂

そして「定食のまる大 多摩センター店」は、地上波テレビ番組を流している食堂です。ダイニングフロアに数台のテレビが設置されており、顧客の多いランチタイムに利用されています。
白を基調としたダイニングフロアには木目の内装材や什器が配置されており、清潔さや温かさを感じさせます。96席を配置できるほど広い飲食店のテレビ設置事例です。
参照元:多摩ポン「定食のまる大 多摩センター店の店内を見てきた!おひとり様席が3倍増で11/29(金)リニューアル」
飲食店のテレビ設置を検討しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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