「飲食店の事業計画書の書き方を…
2023.04.03|新規開業ノウハウ
店舗のコンセプトを設計する方法!コンセプト事例や実現させるポイント
本記事で、店舗のコンセプトを設計する方法を解説します。店舗のコンセプト事例や実現させるポイントもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
店舗にコンセプトが必要な理由
そもそもなぜ店舗にコンセプトが必要なのでしょうか?店舗経営と事業計画書、競合店との差別化に関する理由をご紹介します。コンセプト設計を始める前の基本事項としてご確認ください。
店舗経営の基本方針となるため
店舗にコンセプトが必要な理由として、まず店舗経営の基本方針となる点が挙げられます。店舗経営の基本方針であるコンセプトに基づくことで、商品・サービスの開発や内装のデザインにおいて一貫性のある意思決定を行えるからです。
例えば従業員の明るい接客を魅力とする飲食店に、静かで暗い内装をデザインしてしまうと、顧客に違和感を与えてしまう恐れがあります。そこで一貫したコンセプトに基づいてサービスや内装を決めることで、顧客に店舗の魅力や独自性を伝えましょう。
なお店舗経営のポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
事業計画書に活用できるため
次に事業計画書に活用できる点も、店舗にコンセプトが必要な理由です。店舗のコンセプトに基づいて事業計画を立案すれば、一貫した事業方針に沿って明確な事業目標を示せるからです。
事業計画書は、特に融資や補助金などを申請するために必要な書類です。事業の方針や目標などが曖昧だと、申請が通らない恐れがあります。店舗経営の将来性を評価してもらうために、店舗のコンセプトを活用して共感してもらえる事業計画書を作成しましょう。
なお事業計画書をまとめる目的を解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
競合店との差別化を図るため
そして競合店との差別化を図る点も、店舗にコンセプトが必要な理由です。競合店にはない商品・サービスの独自性(魅力や付加価値など)を提供することで、差別化を図ることができます。
独自性のないありふれたコンセプトの店舗を開業してしまうと、コンセプトの似ている競合店との価格競争に巻き込まれてしまう恐れがあります。次に独自性のある店舗のコンセプトを設計する方法をご紹介しますので、参考にしてください。
店舗のコンセプトを設計する流れと方法
店舗にコンセプトが必要な理由を踏まえて、コンセプトを設計する流れと方法を確認しましょう。市場調査からターゲティング・ポジショニング、言語化、コンセプトシート、キャッチフレーズまでの流れに沿って、具体的に方法をご紹介します。
市場調査と競合分析
店舗のコンセプトを設計するために、まず市場調査と競合分析をしましょう。市場調査をすることで、顧客のニーズや競合のコンセプトなどに関する情報を入手可能です。市場調査の目的を明確にして、調査するエリアや情報を絞りましょう。
出店エリア内を調査したら、競合店のコンセプトを分析しましょう。消費者ニーズに応えるために、競合が提供している商品・サービスの付加価値や内装のデザインを分析することがポイントです。
ターゲティングとポジショニング
次に市場調査と競合分析を踏まえて、ターゲティングとポジショニングを行ってください。ターゲティングは、市場調査した情報と自店舗の強みを踏まえて、ターゲットとする顧客層を絞る方法です。例えばエステサロンのターゲットを決める際に、若年層と高齢層の求めるサービスは異なります。
そして競合分析を踏まえて市場における立ち位置を明確にする方法が、ポジショニングです。例えば若年層向けのエステサロンといっても、痩身ダイエットや美容脱毛、リラクゼーションなどのメニューがあります。開業エリア内で競合店との差別化を図れるポジションを選びましょう。
5W2Hによるコンセプトの言語化
さらに自店舗のターゲットとポジションを決めたら、5W2Hによるコンセプトの言語化が可能です。今回はおにぎり販売店を例として、下表にコンセプトを言語化しました。
5W2H | 意味 | 役割 | 具体例 |
Why | なぜ | 目的 | 栄養のある食事を提供するために |
What | 何を | 商品・サービス | 国産の食材で作るおにぎりやみそ汁を |
Where | どこで | 立地・物件 | 駅の地下街で |
When | いつ | 営業時間 | 8:00~16:00に |
Whom | 誰に | ターゲット層 | 旅行客や通勤客へ |
How | どうやって | 営業形態 | テイクアウトとイートインにより |
How much | いくらで | 販売価格 | 1個200円で販売する |
5W2Hによりコンセプトを言語化する際は、各項目の整合性を確認しましょう。整合性を図ることで、事業内容と顧客のニーズが一致したコンセプトを設計できます。
コンセプトシートにまとめる
また5W2Hによるコンセプトの言語化と同じく、コンセプトシートにまとめる方法もあります。先ほどと同じく、おにぎり販売店のコンセプトを下記のシートにまとめました。
ターゲット (旅行客通勤客) | 立地・物件 (駅の地下街) | プロモーション (SNSやブログビラ配り) |
主な商品・サービス (おにぎり味噌汁からあげ) | コンセプト (手作りの食事を気軽に楽しんでもらえる販売店) | 価格・支払方法 (1個200円から現金とキャッシュレス決済) |
どのように (テイクアウトイートイン) | 目的 (栄養のある食事を提供する) | 営業時間 (8:00~16:00) |
上記のように、事業内容や商品・サービスの特徴、ターゲットなどに関する情報をまとめます。市場調査と競合分析の客観的なデータに基づいて、コンセプトシートを記載しましょう。
キャッチフレーズを考案する
なお設計した店舗のコンセプトを消費者へ端的に伝えるために、キャッチフレーズを考案しましょう。Webサイトやチラシなどに記載すれば、店舗のブランディングや宣伝広告などの効果を期待できるからです。
例えばおにぎり販売店のキャッチフレーズとして、「温かい家庭の味」「手軽で安い」などが想定されます。ターゲットとする顧客層のニーズや自店舗の強みを踏まえて、端的に分かりやすい表現を入れましょう。
なおキャッチフレーズと合わせて店舗のロゴをデザインできます。店舗ロゴをデザインするポイントを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗のコンセプト事例
店舗のコンセプトを設計する流れと方法を押さえたところで、店舗のコンセプト事例を調査しましょう。理想的な店舗のコンセプトを設計するヒントを得られるからです。飲食店やサロン、物販店、ジムなどのコンセプトをご紹介します。
大正ロマンの和菓子屋のコンセプト
「栗歩-KURIHO-」様は、最高級和栗を使用した和栗モンブランを販売する和菓子屋です。大正ロマンをコンセプトに、 浅草店の内装がデザインされました。ノスタルジックな雰囲気を演出できるように、梁や柱のような装飾が壁に施されたり、赤色の什器や照明が選択されたりしています。
またテイクアウトの注文が多いため、フロアのスペースを確保できるように、イスのないスタンドの机が多く配置されています。顧客の動線を踏まえた店舗デザインです。
地域に根差すカフェのコンセプト
引用:Starbucks Stories Japan「『STARBUCKS Store Design』店舗に込めたデザイナーの思い。」
「スターバックス」様は、「日常に溶け込み、人や地域の思いをつなぐ」をコンセプトとして地域に根差すカフェをデザインされています。地域の特性(観光地や書店、公園など)に寄り添って、各店舗のレイアウトや内装材、配色、什器などがデザインに落とし込まれています。
またスターバックスを訪れる顧客の過ごし方や店舗で働く従業員の働きやすさも踏まえて、店舗がデザインされています。次の記事に、全24店舗の施工事例が紹介されています。
美を追求する脱毛サロンのコンセプト
「美肌脱毛vilien(ビリアン)池袋」様は、「美を追求するすべてのひとへ、最善のご提案を。」をコンセプトとする脱毛サロンです。美の専門家として清潔感や信頼感を感じてもらえるように、店舗の内装は白を基調としてデザインされています。
また店舗周辺にさまざまなテイストの看板が並んでいますが、店舗の上質なイメージをアピールできるように、余白を多く取り入れて外装がデザインされました。開業エリア内の市場調査と競合分析がされています。
植物や雑貨を販売する物販店のコンセプト
「IN NATURALの小田原店」様は、植物とファッション・雑貨を販売する物販店です。植物を扱う店舗として、ナチュラルとオーセンティック(本格的)をコンセプトにデザインされました。
ナチュラルな空間を表現できるように、店舗の内装に古材が施工されています。またアンティークさも感じさせるように、グレイッシュカラー(彩度が落ち着いている色味)でまとめられています。
施術とトレーニング環境を提供するジムのコンセプト
「メディカル・フィット24」様は、「施術施設と24時間トレーニングジムの融合」をコンセプトとするコンディショニング特化型ハイブリットジムです。コンセプトを体現できるように、施術とトレーニングに必要な設備や什器が配置されています。
また気軽に入店してもらえるように、エントランスに「曲面の壁や什器」がデザインされています。そしてコストを抑えつつスタイリッシュな空間となるように、天井や柱が打ちっぱなしコンクリートの状態で仕上げられ、シンプルに配色されています。
店舗のコンセプトを実現させるポイント
理想的な店舗のコンセプトを設計できても、実現させられなければ競合との差別化を図りながら、集客や売上を伸ばせません。そこで事業計画書や店舗デザイン、接客方法、経営評価の観点から、店舗のコンセプトを実現させるポイントをご紹介します。
事業計画書に反映させる
店舗のコンセプトを実現させるポイントとして、まず設計したコンセプトを事業計画書に反映させましょう。事業計画書に店舗のコンセプトを反映させることで、一貫した品質の商品・サービスを提供しやすくなるからです。
そこで事業計画書にコンセプトを反映させるために、なるべく具体的に店舗の業種・業態や商品・サービスの魅力などを記載しましょう。コンセプトを含めた
提供するメニューやサービスまでを具体的に説明し、コンセプトを明確にしましょう。コンセプトからぶらさずに方針をまとめれば、納得感のある事業計画書が作成できます。店舗全般に活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗デザインで表現する
次に店舗デザインで表現する点も、店舗のコンセプトを実現させるポイントです。「顧客が入店して、商品・サービスを購入して、退店するまで」に、一貫したコンセプトを感じてもらえるように、店舗の内装をデザインしましょう。店舗のおしゃれな内装デザインを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
また店舗の外観からもコンセプトを感じてもらえるように、デザインを検討しましょう。通行人やドライバーからの注目を集めるデザインや店内の様子を紹介するデザインなどが必要です。店舗におしゃれな外観をデザインするコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
接客方法に活かす
さらに接客方法に活かす点も、店舗のコンセプトを実現させるポイントです。賑やかな居酒屋とリラックスムードのサロンでは、従業員に求められる動作のスピードや表情が異なります。
そこで従業員の挨拶や言葉遣いなどを接客マニュアルやクレーム対応マニュアルなどをまとめて、店舗のコンセプトを説明しながら社員研修を行いましょう。店舗全般に活用できるクレーム対応マニュアルを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
定期的に店舗経営を評価・改善する
なお店舗のコンセプトを実現させるポイントとして、定期的に店舗経営を評価・改善する点も忘れてはなりません。コンセプトを実現させるまでには時間がかかりますので、定期的に達成度を評価しながら改善していきましょう。
またコンセプト設計段階の消費者ニーズや競合店の経営状況は固定されておらず、市場動向に合わせて変化します。自店舗の強みや独自性を大事にしながらも、市場の変化を敏感に捉えて、柔軟な対応も必要です。
設計した店舗のコンセプトを実現させよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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