2020.09.30 2022.05.19|店舗デザイン
バー内装デザインのコツや費用を解説!歴史や施工事例もご紹介します
「バーの内装をどのようにデザインしたらいい」「内装工事にいくらかかるの」とお悩みではありませんか?理想的なバーの内装をデザインするためには、歴史や種類を踏まえてコンセプトを設計する必要があります。
そこで本記事ではバーの歴史と種類、コンセプト設計を解説していきます。内装デザインのコツや費用、施工事例もご紹介しますので、バーの開業や改装工事をご検討中の方はぜひご覧ください。
目次
バーの歴史
バーの歴史を知ることで、存在価値を理解するヒントが見つかります。まずはバーの誕生と日本への普及についてご紹介します。
バーは酒樽と丸太から誕生した?
バーが誕生したのはアメリカだといわれており、イギリスではパブと呼ばれています。次のとおりにバーは横木(横に倒した丸太)と酒樽から生まれたという説があります。
当時、酔っ払いにより持ち主の許可なく酒樽からお酒が盗まれ、飲みつくされることがありました。勝手にお酒を飲まれることを阻止するために、横木で酒樽を守ったことがバーの由来です。横木と酒樽の形がバーカウンターとカウンターバックのボトル棚の原型です。
バー誕生の秘話には諸説ありますが、「お酒を提供するバーが元々はお酒を守るための横木だった」とは面白いですよね。お酒が食事と一緒に楽しむために人々に受け入れられると、お酒を提供するお店が増えていき、お酒専門のバーが増えたわけです。
日本では横浜でバーが誕生した?
日本のバーは、次のように誕生し普及してきました。
- 1860年:日本で初めてのバーが「ヨコハマ・ホテル」にオープン(ただし外国人向け)
- 1911年:日本人向けのバー「カフェ・ブランタン」がオープン(ただしメインメニューは洋食)
- 1922年:東京賓館「メイン・バー」にバーテンダーが誕生
- 1949年:酒類販売自由化(バー元年)
- 1970年:カラオケバーやスナックバーなどの進化
- 1980年:カクテルブームとカフェ・バー誕生
- 1990年~現在:お酒メインの本格バーやショットバーが増加
上記の流れの中でお酒と空間を楽しむ価値と心が満たされる効果が人々に根付き、バーの存在価値はニーズの変化に応じながら現代まで生き残ってきました。あらゆる種類や業態のバーが営業されている現代においては、集客と売上を伸ばすためによりニッチなニーズに応えることが必要です。
バーの種類
バーの歴史に触れたところで、もう少しバーについて理解を深めましょう。主なバーの種類は次のとおりです。
オーセンティックバー
オーセンティックバー(Authentic Bar)という言葉をあまり聞き慣れないかもしれませんが、「バー」と聞いてイメージするスタイルです。大人の雰囲気の漂う空間に重厚なバーカウンターが施工され、バーテンダーがカクテルを振います。
オーセンティックとは「本物の」という意味で、大人な雰囲気のバーやお酒と空間を楽しめるバー、本物のバーを開きたいなら、オーセンティックバーかショットバースタイルが適しています。
オーセンティックバーは格式や正統派スタイルを大切にしているため街中で独立したり、一流ホテルで営業したりします。オーセンティックバーとして、次の店舗が挙げられます。
ショットバー
ショットバーは「ワンショット」の意味合いでお酒を一杯から注文できるスタイルを提供しています。大人の雰囲気だけではなく気軽さを提供するバーや短い滞在時間でも楽しめるバー、初心者も歓迎するバーに適しています。
一杯飲んだら支払う『キャッシュオンデリバリー』を設けて差別化すると、より独自性のあるバーを経営できます。次のようなバーがショットバーに当てはまります。
ダイニングバー
ダイニングバーは名前のとおりにお酒と食事を提供するスタイルです。カジュアルな雰囲気のバーや若い人でも馴染みやすいバー、女子会や二次会などの小パーティーを楽しめるバーに適しています。
ただし食事を提供するために、厨房が必要です。内装デザイン段階で厨房スペースと食事を提供する導線などを検討してください。次のようなバーが参考になりますよ。
ミュージックバー
ミュージックバーはお酒と音楽を楽しめるバーですので、BGMの流れる空間でお酒を提供するバーや経営者の好きな音楽を流すバーを実現できます。音響機器の定期点検やレコードの豊富な在庫、設置スペースが必要ですので、内装デザイン段階で注意しましょう。
ミュージックバーといってもジャズ・ピアノの生演奏や昭和レトロ歌謡のレコード、最新ヒットソングなどの音楽や曲を選択できます。好みのマッチングする顧客にリピーターへとなってもらえるように、次のようにミュージックバーごとに差別化を図っています。
スタンディングバー
スタンディングバーとは、立ってお酒を楽しめるバーです。低価格と気軽さが好まれますので、安い料金で提供するバーやとにかく気軽さを重視するバー、顧客同士の出会いも大切にするバーのスタイルです。
椅子がない分だけ費用やスペースが浮くので、デザインにこだわることができます。費用を抑えるポイントはテーブルの高さと数ですので、立ち飲みするのに違和感のないテーブルを設置しましょう。ただし多くしすぎると、店内全体に圧迫感を感じさせるのでご注意ください。
人は座っているよりも立っているほうが、他者との距離間が近くなり会話が弾みます。低価格で楽しめて顧客同士が仲良くなれるきっかけを提供したいのであれば、スタンディングバーがぴったりです。次のバーを参考にしてください。
アミューズメントバー
アミューズメントバーは、お酒と遊びを提供するバーのスタイルです。仲間同士で明るい雰囲気でお酒を楽しめるバーや共通の話題やゲームを一緒に楽しめるバーに当てはまります。具体的なアミューズメントとして、ダーツやビリヤード、大きなモニターでスポーツ観戦などが挙げれれます。
最近では占いやマジック、お化け屋敷、プラネタリウムなどを楽しめる個性的なバーもあります。ニッチなターゲットに絞ったユニークなコンセプトほど、内装デザインも独自性を出しやすくなります。
なお内装デザインの注意点は、アミューズメントのスペースを確保することです。アミューズメント設備を配置する場所や数、座席とのバランスなどに配慮してください。シンプルなバーよりも店舗の面積が必要になりますので、次のバーの内装を参考にしてください。
バー内装デザインに不可欠なコンセプト設計
バーの種類を念頭に置きながら、明確なコンセプトとターゲットに基づくと、バーの内装を具体的にデザインできます。次のように5W2Hに当てはめると、コンセプトを設計しやすくなります。
- Whyーなぜバーを開業するのか
- Whatー何を売るのか
- Whoー誰に提供するのか
- Whenーいつバーを営業するのか
- Whereーどこでバーを開業するのか
- Howーどのように営業するのか
- How muchーいくらでお酒を提供するのか
それでは5W2Hに当てはめて、3つのコンセプトを設計してみましょう。
働き世代が仕事帰りに静かに飲めるバー
まずは5W2Hに当てはめてみましょう。
- Whyー仕事の疲れを癒せるバーを開きたいから
- Whatー割安なお酒と軽食を
- Whoー20代後半から30代の社会人男女へ
- Whenー残業を終えた20時~22時頃に
- Whereー東京駅八重洲口付近で
- Howーリラックスできる内装を施工して
- How muchー1杯700円と1皿700円から提供する
上記のコンセプトにマッチするバーのスタイルは、オーセンティックバーやミュージックバー、ショットバーです。内装デザインに次の点を取り入れてください。
- 暗めの間接照明
- ラグジュアリーな壁紙や外壁
- BGMは物静かなジャズや水音
- 木の温もりを感じられる自然素材の床や壁
- 長時間座れるローテーブルとイス
休日の学生が仲間たちとリフレッシュできるバー
同じように、5W2Hに当てはめてみましょう。
- Whyー楽しく盛り上がれるバーを開きたいから
- Whatー割安なお酒と食事を
- Whoー20代の学生や社会人の男女へ
- Whenー週末の18時~19時ごろに
- Whereー渋谷や六本木、原宿で
- Howー話し声も気にならないような明るい空間をデザインして
- How muchー1杯500円、1皿500円から提供する
上記のコンセプトにマッチするバーのスタイルは、アミューズメントバーやスタンディングバー、ミュージックバー、ダイニングバーです。内装デザインに取り入れたい点は、下記のとおりです。
- カジュアルな内装
- JazzやDJ、POPSのBGM
- 明るすぎない間接照明またはネオンカラー
- ダーツやテレビを設けてお酒以外も楽しめる空間
高齢層がレトロ音楽を楽しめるバー
最後も5W2Hに当てはめてみましょう。
- Whyー同じ趣味の人と知り合えるバーを開きたいから
- Whatー好きな音楽とこだわりのお酒を
- Whoー50代後半から70代の男女へ
- Whenー週末14~19時に
- Whereー池袋や上野で
- Howーふらっと寄れて気軽に過ごせる内装を施工して
- How muchー1杯800円,1皿1000円から提供する
上記のコンセプトにおすすめするバーのスタイルはオーセンティックバーやスタンディングバー、ミュージックバー、ショットバーです。次の点を内装デザインに取り入れてください。
- ビンテージ風な内装
- 明るすぎない間接照明
- 70年代~80年代の曲をBGMにする
- オールディな空間を演出できるアンティークな家具
バーのコンセプト設計における注意点
バーのコンセプト設計があいまいだと、統一感のある内装を具体的にデザインできません。次に挙げる点に注意することで、スムーズに内装デザインを進めましょう。
バーの種類をたくさん組み合わせない
バーの種類をたくさん組み合わせると、ターゲットとコンセプトが不明瞭なバーをデザインしてしまいます。例えばオーセンティックバーをアピールしたいのに、アミューズメントバーのようなカジュアルな雰囲気にしてはいけません。
またミュージックバーと宣伝したいのに、音楽の少ないショットバーは不適切です。バーの種類を1つに絞り、コンセプトに合わせた空間を提供しましょう。
経営者のこだわりと顧客のニーズを調和させる
経営者のこだわりと顧客のニーズを調和させることで、集客と売上を安定させることができます。決して経営者の趣味に走り過ぎてはいけません。リピーターを獲得できるようにオリジナリティを出しつつ、ニーズに応える工夫をしてください。
例えば正統派のバースタイルを重要視しすぎて、シャンデリアやテーブル、椅子も格式の高いものばかりに統一すると、確かに重厚感や高級感を与えます。しかし「お高そうなバーだな」と感じさせてしまうと、今後来店するのをためらう顧客も出てきます。
バー内装デザインのコツ
明確なコンセプトに基づいてターゲットとする顧客層を意識しながら、バーの内装をデザインすることが重要です。今からご紹介するコツを押さえることで、おしゃれで実用的なバーの内装をデザインしましょう。
バーカウンターの高さを検討する
バーカウンターの高さを検討して、デザインしてください。顧客にとって居心地のよいバーカウンターを施工することで、リピーター獲得率の上昇に貢献できます。カウンターには3種類(ハイカウンターとミドルカウンター、ローカウンター)あります。
カウンター | メリット | デメリット |
ハイカウンター | 顧客と同じ目線になる | 長時間の飲食に向かない |
ミドルカウンター | 飲食に適している | 適した高さのイスが少ない |
ローカウンター | 座り心地がよい | 顧客を見下ろす位置になる |
メリット・デメリットを考慮し、自店舗のコンセプトとターゲットに適した高さのカウンターを選びましょう。下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
バックバーのデザインと機能を意識する
デザイン性と機能性を重視してバックバーをデザインしましょう。照明や材質にこだわることで、店舗の個性を演出できます。雑然とした印象にならないように、ボトルの並べ方を工夫する点も重要です。
ただしデザインを重視しすぎて、ボトルが取りづらくならないようにしましょう。バックバーが使いづらいとお酒の提供に時間がかかり、顧客にとっても従業員にとってもストレスとなるからです。
照明の明るさと色を工夫する
バーにおいて照明が店内の雰囲気を左右します。コンセプトに合わせて照明の明るさと色を工夫しましょう。通路を暗めにしてバックバーを明るくするように照らせば、内装の目立たせたい部分を強調することが可能です。
また温かくリラックスできる内装をデザインするなら、明るすぎない暖色系の照明が適しています。ラグジュアリーで開放的な内装をデザインするなら、ゴールドに輝く照明を取り入れましょう。
バー内装工事の費用
理想のバーの内装デザインにこだわりたいですが、予算を超えてしまうと集客や採用などの開業費用が不足する恐れがあります。費用の相場と内訳を把握することで、予算内にバーの内装工事を依頼しましょう。
費用の相場
内装工事費用は、物件の規模や立地、種類(スケルトンか居抜き)などによって大きく異なります。バー内装工事費用の相場として、スケルトン物件なら坪単価30万〜60万円程度、居抜き物件なら15万〜30万円程度です。内装の素材にこだわって高級志向のバーをデザインするなら坪単価50万~100万円になることもあります。
居抜き物件を賃貸契約すると、造作譲渡料を支払うことで前借主が施工した設備や什器などを利用できるため、スケルトン物件よりも設備工事費を節約できます。ただし設備・什器の状態やテイストがよくなければ、改装や交換の工事費用がかかる危険性があります。
費用の内訳
バー内装工事費用の内訳として、10坪の居抜き物件とスケルトン物件にかかる費用を試算して一覧表にまとめました。
バー内装工事費用の内訳 | 10坪の居抜き物件 | 10坪のスケルトン物件 |
造作工事費 (壁・天井・床など) | 20万-50万円程度 | 50万-100万円程度 |
厨房設備工事費 (ガスレンジ・業務用冷蔵庫・シンクなど) | 30万-100万円程度 (造作譲渡料) | 50万-200万円程度 |
造作家具工事費 (カウンターやソファなど) | 10万-30万円程度 (造作譲渡料) | 30万-60万円程度 |
建具工事費 (ドアや窓など) | 10万-30万円程度 (造作譲渡料) | 30万-50万円程度 |
設備工事費 (空調・電気・ガス・水道・消防など) | 30万-60万円程度 | 50万-200万円程度 |
合計 | 100万-270万円程度 | 210万-610万円程度 |
※バーの規模やコンセプト、立地などによって各費用は変動
居抜き物件でもスケルトン物件でも、合計に対して造作工事費と厨房設備工事費が占める割合が大きいです。費用を抑えるためには設備・什器の中古品やレンタル品を利用したり、自社で調達したりすることを検討しましょう。
バー内装デザインの施工事例
バー市場を調査してコンセプトを設計するために、また内装業者に内装のデザインと工事を依頼する前に、バー内装デザインの施工事例を集めましょう。IDEALの施工事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
青い光に包まれたバー
「BAR RIZE-8」様の内装は黒を基調に内装をデザインされており、青の照明がスタイリッシュです。シンプルなデザインでありながら、照明によって非日常的な空間が演出されています。
バックバーにも青い照明を取り入れて統一感を出しながら、こだわりのお酒が入ったボトルが引き立っています。手元のグラスが美しく見えるように、カウンターテーブルにも照明が入っています。
非日常を演出した大人のバー
「RED BAR」様の内装においては扉やカウンターを黒色にすることで、壁紙に取り入れた店舗カラーの赤色がより引き立っています。壁面に飾る写真にもこだわり、スタイリッシュさと重厚感が演出されています。
色味だけでなくインテリアにまでこだわることで、内装空間がトータルデザインされています。おしゃれさや非日常感を演出するために参考にしたい内装デザインです。
RED BAR
「RED BAR」という店名の通り、壁面を赤色にし、腰回りを黒色にする事でメリハリをつけました。壁面には、艶っぽさ・大人の色気のある写真コーディネートし、スタイリッシュで重厚感のある空…
可愛らしい雰囲気のバー
「BAR miio」様の内装はバーの敷居の高さを払拭できるようにポップにデザインされており、ピンクや赤のアクセントカラーによって可愛らしさが表現されています。色の効果を利用して、店舗のコンセプトが表現されている事例です。
また他の事例と比較すると、ゴールドやシルバーなどのラグジュアリー感の出る色ではなく、モノクロの配色によりカジュアル感が出ています。
BAR miio
「入りずらい、敷居が高い。」そんなイメージのBARではなく誰でもフラット気軽に立ち寄れる店内。 全体のカラーをモノクロでまとめ、アクセントカラーに赤やピンクを使用しPOPで可愛らしい…
厨房の臨場感を感じるバー
「Clandestino Italian Bar」様の内装はカウンターから店舗奥の厨房が見えるようにデザインされており、臨場感が演出されています。イタリアンバーのように食材や料理にこだわるバーに参考となる事例です。
また床やテーブルに木材を使用することで、カジュアルさや温かみが出ています。ターゲットに合わせて、厨房の見せ方や内装に使う素材がよく検討されています。
パーティーもできるスポーツバー
「RACH HAMBURG FACTORY」様の内装にはカウンターだけでなくテーブル席やソファ席が設置され、パーティーもできるようにデザインされています。スポーツ観戦イベントに合わせてレイアウトを変更できるため便利です。
またスポーツ観戦で盛り上がれるように、照明を明るくしてあります。落ち着いた雰囲気で過ごすなら暗めにして、顧客同士で楽しむなら明るめにと照明の明るさにも配慮してデザインしましょう。
コツを押さえてコンセプトに合った理想のバーをデザインしよう
お酒とプラスアルファを楽しむ店舗がバーです。明確なコンセプトとターゲットを設定して、コツを押さえて内装をデザインしましょう。工事費用の内訳を正確に計算して、予算を超えないように抑えることも重要です。
IDEALはバーを始めとする店舗のコンセプト設計から物件探し、内装デザイン・工事、Web集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。
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監修者
-
IDEAL編集部
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