2020.11.30|新規開業ノウハウ
店舗開業、運営支援のための助成金や補助金を利用しよう【2020年度は2タイプ】

「お店を新しく開きたい。初めての開業だけど補助金や助成金ってもらえるのかな。内装費や物件取得費の軍資金にできるの?」 という疑問にお答えする記事です。
開業資金を集めるのが大変な中「そういえば、助成金や補助金を充てれば大丈夫か」と思いつくかもしれませんね。
結論、補助金と助成金は、初めてお店を開く場合でも、求められる条件をクリアすればもらえます。
が、開業する時に支払う『内装費』や『物件取得費』などには充てられません。
「え、どういうこと?」と感じますね。
その疑問を解決するために、当記事では、
・助成金と補助金が開業時の軍資金に使えない理由
・お店を開いてからもらえる助成金と補助金の概要と違い
・お店を開いた時のお金を一部支援してくれる助成金と補助金2タイプ
を、お伝えしていきます。
助成金や補助金は、返済義務がありません。とても魅力的です。
申請してすぐには受けとれませんが、開業した時に支払った金額の一部をカバーできます。
スムーズに申請できるよう「こんな助成金、補助金があるんだな…」と、今のうちに理解を深めていきましょう。
これからお店を開きたいお客様が損をしないよう、ボリュームを少しだけ大きくしてまとめてみました。(※2020年11月現在の情報です)
目次
- 補助金と助成金は開業資金には充てられない
- 助成金、補助金を受け取るには「運営しているか」が求められる
- 店舗開業、運営を支援するための助成金と補助金の違い
- 店舗開業、運営支援のための助成金と補助金の違い5つ
- 店舗開業、運営のための助成金の概要
- 店舗開業、運営のための補助金の概要
- 2020年度版:店舗開業、運営支援のための助成金・補助金2タイプ<11月時点の情報>
- 助成金、補助金タイプ1:お店の運営、設備投資への支援×10
- 助成金、補助金タイプ2:人材雇用、育成投資への支援×6
- 新型コロナウイルス関連の助成金、補助金は条件を要確認!
- 店舗開業のための助成金、補助金に関する最新情報の見つけ方
- 助成金、補助金を利用して資金に余裕を持とう
- 助成金・補助金の応募締切は要チェック!
- お店の運営を手助けしてくれるのが助成金と補助金です
補助金と助成金は開業資金には充てられない

繰り返しますが、助成金と補助金は開業資金として『内装工事費』や『物件取得費』に充てられません。
理由は、申請してすぐに支給されるわけではないからです。
助成金と補助金を受け取れるのは、申請してから約1年後になるケースがほとんど。
イメージとしては以下のような感じです。
[受け取れるまでのだいたい流れ]
①助成金、補助金の応募、申請をする
②審査が始まる
③審査が通る
④補助金、助成金を受け取る(←ここまで約1年かかる)
⑤受け取り後、事業報告を都度求められることがある
※制度によっては、審査を通過しても『新たに書類提出→その後支給金額決定』などの追加プロセスがあるケースも。
補助金や助成金は、お客様がお店をオープンする時にかかったお金(内装工事費や物件取得費、広告費など)の一部を、国や自治体が後に代わりに払ってくれる制度。
「これからも頑張ってね、応援するよ」と、支援するためのお金なのだと心得ましょう。
よって新たにお店を開く時は
・ご自身の貯金
・クラウドファウンディング
・銀行や自治体から借りる融資(借金)
などを利用して必要なお金を準備しましょう。
助成金、補助金を受け取るには「運営しているか」が求められる

助成金、補助金を受け取るための、おおまかな条件としては以下の通り。
[助成金や補助金を受け取るには]
・応募資格があること
・すでに開業していること
・事業として一定期間をすぎていること
・すでに人を雇っていてお店を運営していること
・まだお店をオープンしていない場合、この先指定の期間内での運営が確定していること
などの条件があります。
ですので『お店の運営が始まってから(あるいは決まっていれば)支給されるもの』だと心得ましょう。
店舗開業、運営を支援するための助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、お店の開業、運営を支援するためのもので、
・返済義務がない
・前払いは受けられない
が特徴です。
もう少し理解を深められるよう、
・助成金と補助金の違い
・助成金と補助金のおおまかな概要
についてお伝えしていきます。
店舗開業、運営支援のための助成金と補助金の違い5つ
助成金、補助金の違いは、
・財源
・管轄
・目的
・募集期間
・求められる条件
です。詳しくは以下の通り。
[助成金]
財源:雇用保険料
管轄:厚生労働省
目的:雇用の安定、職場環境改善
募集時期/期間:随時アリ。通年、半年など比較的長期間
求められる条件:事業を行っていること+雇用保険への加入
備考:支給額は一律なケースが多い。条件を満たせば、ほぼ満額受け取れる
[補助金]
財源:税金
管轄:経済産業省
目的:創業、開業支援、設備投資
募集時期/期間:随時アリ。1ヶ月以内などの短期間
求められる条件:事業を行っていること。厳しい審査にクリアすること
備考:支給額はお店の支出、利益による。提出書類が多く、審査が細かく厳しい
おおまかに、
✓助成金は、条件を満たせば受給することができる
✓補助金は、条件を満たして、細かい審査をクリアしなければ受給できない。
と、把握しておきましょう。
店舗開業、運営のための助成金の概要

助成金を簡単にまとめると以下の通りです。
◇いくらもらえる?
→助成金の種類による
助成金は支給される金額が一律で決まっていることが多い
申請した後、条件を満たしていると判断されれば支給される
例:受動喫煙防止対策助成金…最大200万
◇いつもらえる?
→支給は後払いが大多数
申請してから半年~1年ほどで支給される
◇いつ募集してる?
→随時募集されるケースが多い
半年または通年など比較的長めの期間で募集されていることが多い
◇どうやってもらえる?
→助成金の種類によって変わる
①ハローワークや労働局の窓口へ申請書類を提出する
②Web上で電子受付を利用する
例:厚生労働省のHPで必要書類をダウンロードし、最寄りの労働局やハローワークへ提出
厚生労働省 参考HP
例:『雇用調整助成金』の場合、厚生労働省のHPにて電子受付可能
厚生労働省 参考ページ
店舗開業、運営のための補助金の概要
補助金を簡単にまとめると以下の通りです。
◇いくらもらえる?
→補助金の支給額には、実際の支出に対する割合から算出される(ただし上限アリ)
例:創業補助金…上限200万円
小規模事業者持続化補助金…上限50万円
◇いつもらえる?
→支給は後払いが大多数
申請してから1年ほどで支給される
お店の売上、支出額から支給される金額を算出し、審査に時間がかかる
◇いつ募集してる?
→時期は定めていない。募集期間1か月以内であるケースが多い
追加募集が実施される場合がある。2次、3次募集されてないかを逐一チェックすること
◇どうやってもらえる?
→補助金の種類による
県や市町村が窓口になっているケースが多い
①応募機関へ電子メールにて申請書類を送る
②応募機関へ郵送で申請書類を送る
③Web上で電子受付を利用する
例:『地域創造的起業補助金』 は、申請書類を電子メールで送るか郵送
参考ページ
例:『喫煙専用室の設置等に対する補助金(東京都)』は、申請書類労働局へ郵送
参考ページ
2020年度版:店舗開業、運営支援のための助成金・補助金2タイプ<11月時点の情報>

ここで一旦おさらいです。
→助成金や補助金は、申請してもすぐには受け取れない(約1年後に受給可)
→助成金や補助金は、お店の開業時に、お客様が支払った金額の一部をカバーできる
でしたね。
そんな助成金と補助金は、おおまかに以下の2タイプに分けられます(2020年11月現在)
[お店を持つ人への助成金、補助金2タイプ]
タイプ1:お店の運営、設備投資を支援する助成金、補助金
タイプ2:人材雇用、人材育成への投資を支援する助成金、補助金
ご自身のお店を持ちたいお客様へ「どこのどんな助成金や補助金が受けられるのか」を見極められるよう、まとめてみました。
今回はあえて募集期間が終了しているものも含めて記載します。
なぜなら、後から募集を再開する場合があるからです。
「こんな制度もあったよね」と後から思い返せるよう、予備知識として把握しましょう。
助成金、補助金タイプ1:お店の運営、設備投資への支援×10

『お店の運営、設備投資を支援する助成金、補助金』は現時点で10制度あります。
①IT導入補助金
②事業継承補助金
③軽減税率対策補助金
④東京都創業助成事業
⑤地域創造的起業補助金
⑥受動喫煙防止対策補助金
⑦小規模事業者持続化補助金
⑧インバウンド対応力強化支援補助金
⑨若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
⑩ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
それぞれの制度を簡潔に紹介しますね。
[①IT導入補助金]
お店の売上アップ&業務効率化をサポートするための制度。
課題や顧客のニーズに合わせて、ITツール(ソフトウエアなど)を導入する際、経費を一部補助してくれる。
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[②事業継承補助金]
お店を引き継ぐ人がいないがために事業継続が困難になるお店をサポートするための制度。
『経営者を交代しなきゃな』となった時や『別途新しくお店を開きたいな』といったシチュエーションにかかる経費(新規出店、機材購入など)の一部を補助してくれる。
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[③軽減税率対策補助金]
軽減税率制度への対応が必要なお店をサポートするための制度。
申請種類はA、B、Cの3タイプ。
A:複数税率(10%、8%)に対応したレジ導入費用や既存レジの改修費用など
B:受注・発注システムの改修、入れ替えなど
C:請求書管理システムの改修など
イートイン/テイクアウトを行う飲食店は、ほぼAの『複数税率対応レジの導入等支援』にあたる。
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[④東京都創業助成事業]
都内でお店を持つ予定の人、または開業してから5年未満の経営者への運営サポート制度。
・人件費
・賃借料
・広告費
など、開業時に必要な経費の一部を助成してくれる。
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[⑤地域創造的起業補助金]
独自のアイディアや元々ある技術を活用して開業する人をサポートする制度。
・人件費
・設備費
・原材料費
・物件取得費
など、開業時にかかる費用の一部を補助してくれる。
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[⑥受動喫煙防止対策補助金]
たばこの煙対策をするお店への設備設置サポート制度。
・排煙設備
・たばこ専用ルーム
などの設置費用を補助してくれる。
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[⑦小規模事業者持続化補助金]
お店の販売ルート(商品やサービスを販売するための経路)拡大をサポートする制度。
・広告費
・改装費用
・新商品の開発費用
・ネット販売システム費用
などの一部を補助してくれる。
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[⑧インバウンド対応力強化支援補助金]
外国観光客へのサービス向上を高めるための必要経費をサポートする制度。
・多言語化
・トイレ洋式化
・無線LAN設置
・キャッシュレス決済機器の導入
などにかかった費用の一部を補助してくれる。
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[⑨若手・女性リーダー応援プログラム助成事業]
女性あるいは若手男性が、東京都内の商店街での新店舗オープンをサポートする制度。
・新装
・改装
・設備導入費用
などの一部を助成してくれる。
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[⑩ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金]
サービス開発や商品開発のための設備投資費用をサポートする制度。
・運搬費
・原材料費
・機械装置費
・技術導入費
・外注/委託費
・クラウド利用費
などの一部を補助してくれる。
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助成金、補助金タイプ2:人材雇用、育成投資への支援×6

『人材雇用、育成投資を支援する助成金、補助金』は、現時点で6制度です。
①両立支援等助成金
②キャリアアップ助成金
③トライアル雇用助成金
④時間外労働等改善助成金
⑤特定求職者雇用開発助成金
⑥人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
それぞれの制度を簡潔に紹介しますね。
[①両立支援等助成金]
スタッフの働きやすさ改善をサポートする制度。
子育てや介護のためにお仕事との両立が難しい人、あるいは子育てや介護が理由で離職した人の雇用や保育施設導入などにかかる費用の一部を助成してくれる。
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[②キャリアアップ助成金]
スタッフのキャリアアップをサポートしてくれる制度。
非正規雇用労働者(期間の定めがある契約社員、パート社員、派遣社員)の企業内での正社員登用、昇格、昇進にかかる費用の一部を助成してくれる。(全7コース)
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[③トライアル雇用助成金]
スタッフをお試しで雇用し、適正や能力を見極めた上で採用するのをサポートする制度。
ミスマッチによる離職を防ぐことを目的とし、トライアル雇用の際の人件費の一部を助成してくれる
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[④時間外労働等改善助成金]
スタッフの残業削減をサポートする制度。
・人材確保費
・業務改善のための外部コンサル費
・業務改善のためのシステム導入費
・就業規則の作成、変更にかかった費用
など、労働環境改善のためにかかった費用などの一部を助成してくれる。
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[⑤特定求職者雇用開発助成金]
障がい者や高年齢者といった就職が困難な人の雇用をサポートする制度。
全8コースあり、支給条件や支給額はコースによる。
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[⑥人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)]
離職率ダウンをサポートをする制度。
全3コースあり、飲食店の場合は『雇用管理制度助成コース』に該当する。
公式サイトはこちら
新型コロナウイルス関連の助成金、補助金は条件を要確認!

新型コロナウイルスの影響で「売上が下がってしまった」「社員やパートの雇用に影響が出てる」など、コロナ禍以前よりも経営状況が悪くなってしまったお店への支援制度もあります。
結論から言いますと「これから新しくお店を開くんだ」というお客様は、現時点では対象になりません。
なぜなら、新型コロナウイルス関連の助成金や補助金は、
・2019年以前から運営していること
・前の月よりも売上が下がっていること
・その原因が新型コロナウイルスの影響であること
が条件だからです。
[新型コロナウィルス関連助成金、補助金 例]
・持続化給付金公式ページ
・家賃支援給付金公式ページ
・雇用調整助成金(特例措置)公式ページ
・IT導入補助金(特別枠・C類型)公式ページ
・新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金公式ページ
・両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)新型コロナウイルス感染症対応特例公式ページ
・働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成)公式ページ
などが挙げられます。(2020年11月現在の情報です)
ただし、新型コロナウイルス関連の制度も内容が変わることがあります。
それぞれの公式サイトを都度確認、最新の情報を得るようにしましょう。
店舗開業のための助成金、補助金に関する最新情報の見つけ方

助成金や補助金の最新情報は以下を参考にしましょう。
・各市区町村の公式サイト
・各省庁の助成金、補助金情報ページ
・上記で紹介した、2タイプの助成金、補助金各公式サイト
それぞれの公式サイトを一つ一つ確認するのは大変ですよね。
一括で調べられる情報サイトでしたら以下をオススメします。
・J-Net21:公式サイトはこちら
・ミラサポ:公式サイトはこちら
・補助金ポータル:公式サイトはこちら
助成金、補助金を利用して資金に余裕を持とう

助成金と補助金は、お客様のお店運営を色々な面からサポートしてくれる制度です。
お店の経営とご自身の心に余裕が持てるよう、ぜひ利用していきましょう。
ただし助成金や補助金は、申請してすぐに受け取れるわけでは有りませんでしたね。
ですが「助成金があるんだった」「補助金がもらえるんだった」と、少しでもゆとりを持てるようになります。
条件が合うのであればぜひ、利用しましょう。
助成金・補助金の応募締切は要チェック!

助成金と補助金を応募する際は締め切りに注意して下さい。
申請が遅れたり、申請書類に不備があると、受け付けてもらえない可能性があるからです。
「もしかしたらもらえるかも!」と分かった時点で、すぐに条件と締切日を確認しましょう。
お店の運営を手助けしてくれるのが助成金と補助金です

お店を開きたいお客様へ、開業資金をカバーできる助成金と補助金についてお伝えしてきました。
この後、お客様自身がするべきことは2つです↓
①自分のお店がどんな助成金、補助金を受けられるのかを選別する
②選別した助成金と補助金の条件、応募締切、必要書類を調べておく
③応募が締め切っていたとしても再募集がないか都度チェックする
助成金、補助金の存在を知るということは『自分のお店が受けられるサポートはどんなものがあるのか』を知ることでもあります。
種類がたくさんあるので混乱するかもしれませんね。
ですが、情報まとめサイトなどを利用したり、同業者とコミュニケーションを取るなどして情報収集していくことを意識すればOK。
『わからなければ、調べる、確認する、聞く』これが大切です。
心身ともに余裕を持ってお店作りに取り組んで行きましょう。
「助成金や補助金についてはだいたい理解した。でも最新情報がないかを気にしすぎてお店作りがスムーズにできるだろうか…」
そのような疑問がさらに浮かぶのであれば、ぜひIdealにご相談ください。
Idealは「お店作りが不安だ…」というお客様の助けになります。
なぜなら「こんなに沢山のことを同時にできない」と感じるお客様の負担を減らせるかもしれないからです。
店舗作りに強いIdealであれば『必要な手続き、内装デザイン設計、施工』までを代行することが可能です。
お客様の理想とするお店が出来上がるよう、悩みや疑問点を一つ一つ丁寧に対応、解決させていただきます。
まずは一度、ご相談してみて下さい。

