2022.12.28  2023.01.04|新規開業ノウハウ

居抜き物件のトラブル事例と対策10選!契約や内装・設備、廃棄物、近隣住民・店舗

居抜き物件のトラブル事例と対策10選!契約や内装・設備、廃棄物、近隣住民・店舗

本記事で、居抜き物件のトラブル事例と対策10選をご紹介します。居抜き物件の賃貸借契約や内装、設備、廃棄物処理、近隣住民・店舗に関するトラブルを未然に防ぎましょう。

「居抜き物件にどんなトラブルが起きる?」「トラブルを対策したい!」とお悩みではありませんか?店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

居抜き物件とは?

居抜き物件とは?

居抜き物件とは、旧借主が施工した設備や什器が残された状態の物件です。まずは居抜き物件の基本知識をご確認ください。

居抜き物件のメリットとデメリット

居抜き物件のメリットとデメリットは、下記のとおりです。

メリット

  • 開業費用を抑えながら旧店舗の知名度を引き継げる(物件の新借主)
  • 原状回復工事費を抑えて造作譲渡料を得られる(物件の旧借主)
  • 物件の価値が向上して入居者を集めやすい(物件の貸主)

デメリット

  • 内装デザインの自由度が低く旧店舗の悪評を引き継ぐ(物件の新借主)
  • 造作譲渡契約に手間がかかる(物件の旧借主)
  • 譲渡される造作物の管理が必要となる(物件の貸主)

上記のメリットやデメリットについて次の記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。

スケルトン物件との違い

居抜き物件とは反対に造作物が施工されていない躯体だけの状態の物件は、スケルトン物件と呼ばれます。居抜き物件とスケルトン物件の違いは、内装工事や造作譲渡、集客の費用や手間です。

  • 居抜き物件のほうが開業費用がかかりにくい
  • 居抜き物件のほうが内装工事の工期が短い
  • 居抜き物件のほうが内装デザインの自由度が低い
  • 居抜き物件のほうが造作物の管理に手間がかかる
  • 居抜き物件のほうが認知度を活かして集客しやすい

ただし居抜き物件でも内装や設備を大幅に改装すると、工事の費用や期間がかかりますのでご注意ください。次の記事で居抜き物件とスケルトン物件の違いを詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

居抜き物件のトラブル事例と対策:賃貸借や造作譲渡の契約

居抜き物件のトラブル事例と対策:賃貸借や造作譲渡の契約

まず居抜き物件の賃貸借契約では造作物が譲渡されますので、スケルトン物件にはないトラブルが発生する恐れがあります。賃貸借や造作譲渡の契約に関するトラブル事例を把握して、対策しておきましょう。

トラブル事例と対策①譲渡された内装・設備にリース品が含まれている

トラブル

例えば居抜き物件の賃貸借契約後に、旧借主から譲渡された内装・設備にリース品が含まれているトラブルがあります。新借主がリース料を引き継いで支払うことになり、運転資金を圧迫する恐れがあります。

リース品はリース会社の所有物ですので、造作譲渡料を支払っても自店舗の財産(所有物)にはなりません。特に中途解約できない契約契約条件に注意が必要です。

対策

リース品対策として、契約前に引き継ぐ内装・設備を明確にしておきましょう。「リース契約を引き継ぐか、清算してもらうか」を旧借主と交渉する必要があるからです。

また契約後のトラブルを避けるために、造作譲渡契約書で譲渡品の種類や数量、金額などを明確にしてください。譲渡物を一覧表にしておくと、契約内容を確認しやすいです。次の記事に居抜き物件の造作譲渡について詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

トラブル事例と対策②居抜き状態での退去を貸主から認められない

トラブル

また居抜き物件の賃貸借契約において、居抜き状態での退去を貸主から認められないトラブルがあります。物件の貸主が管理面の負担を望まないからです。居抜き物件を賃借しても、原状回復義務を求められる(退去時にスケルトン状態に戻さなければならない)場合があるのでご注意ください。

原状回復義務を求められると、原状回復工事をしてスケルトン状態に戻す必要があります。工事費用がかかるうえに、旧借主が付けた傷や汚れまで修繕を求められる恐れもあります。

対策

居抜きで退去したい場合は、賃貸借契約書で原状回復義務の範囲を決めておきましょう。特に旧借主の過失に対して費用負担が発生しないように、契約前に物件の状態をくまなくチェックすることも大切です。

店舗物件の原状回復義務について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

居抜き物件のトラブル事例と対策:内装や設備

居抜き物件のトラブル事例と対策:内装や設備

居抜き物件の賃貸借契約を済ませても、内装や設備のトラブルが起こりえます。内装や設備は店舗の営業に影響しますので、トラブルを事前に対策しましょう。

トラブル事例と対策③排水設備に詰まりが起こる

トラブル

まず居抜き物件では、排水設備に詰まりが起こるトラブルが起こりやすいです。特に飲食店では食材や残飯、調理油などが排水管に流れ込むからです。旧店舗が処理装置を付けずに営業していた場合には、詰まりの原因となります。

飲食店だけではなくサロンやクリニックなどで薬品を排水管に流し続けると、徐々に詰まりをひどくしていきます。

対策

契約前に排水管の詰まりをチェックして、高圧洗浄が必要かを確認しておきましょう。高圧洗浄で、排水管の詰まりを除去できます。洗浄が必要な場合には、旧借主に洗浄費用の負担を交渉してください。

業者に依頼して排水設備の詰まりを洗浄してもらう費用相場は、数万円程度です。洗浄作業しづらい物件には費用が上乗せされますが、10万円を超えることは稀です。

トラブル事例と対策④空調設備や調理設備が故障している

トラブル

また居抜き物件の造作譲渡契約後に、空調設備や調理設備が故障しているケースもあります。開業当初は問題なくても、すぐに老朽化して壊れてしまうケースもあります。特に古い居抜き物件には注意が必要です。

空調設備や調理設備が壊れていると、撤去費用や交換費用などがかかります。調理設備の総入れ替えには、数十万円単位の費用が必要です。

対策

対策として、造作譲渡契約前に空調設備や調理設備の動作確認をして、開業後に故障するリスクをチェックします。旧借主に「購入した日からの年数」「使用時の不具合」などを確認してください。

空調設備や調理設備の知識に不安がある場合は、専門業者に同行してもらうことで正確な動作確認が可能です。また動作確認した内容を書面に記録しておくと、故障時や修理時に有用な資料となります。

トラブル事例と対策⑤想定以上にリフォーム費用がかかる

トラブル

さらに旧店舗と異なる業種や業態の店舗を開業すると、想定以上にリフォーム費用がかかるトラブルが起こりやすいです。不要な設備を撤去したり、内装デザインを刷新したりする必要が生じるからです。

例えば同じ飲食業でも「軽食を提供するカフェ」から「主食を提供するレストラン」にリフォームすると、大幅に設備を変更しなくてはなりません。多額の設備工事費用がかかると、資金調達に影響が出ます。

対策

リフォーム費用を抑えるためには、譲渡される内装・設備やフロアレイアウトを活かせる物件を選んでください。希望する業種や業態が旧借主と同様であれば、リフォーム費用を抑えやすくなります。

例えばカフェを開業したいときは、「カフェの居抜き物件」を物件探しの条件としてください。また必要な設備の種類やフロアの広さなども確認して、自店舗のコンセプトを実現しやすい物件を見つけましょう。

居抜き物件のトラブル事例と対策:廃棄物処理

居抜き物件のトラブル事例と対策:廃棄物処理

内装や設備の造作譲渡においては、廃棄物処理に関するトラブルも起こりえます。廃棄物処理の費用や手間を負担しなくて済むように対策しておきましょう。

トラブル事例と対策⑥旧借主が廃棄物を放置して退去する

トラブル

例えば旧借主が廃棄物を放置して退去するトラブルがあります。「居抜き」の意味を勘違いし、廃棄物処理をしない借主が存在するからです。

残置された廃棄物から悪臭が発生し、貸主や新借主が対応に追われる恐れが想定されます。入居してから廃棄物の放置が発覚すると、新借主が処分費用を負担する事態が起きかねません。

対策

造作譲渡契約の前に、譲渡物だけでなく明け渡しの条件を明確に決めておきましょう。さらに条件に従わなかった場合の処置まで決めておくと、放置された廃棄物を円滑に処理できます。

具体的には「廃棄物を旧借主が処分する」「放置された廃棄物の処理費用を旧借主に請求する」などの条件を決めましょう。廃棄物だけでなく各部屋の掃除なども条件に入れておくと、入退去のトラブルを回避しやすくなります。

トラブル事例と対策⑦廃棄物の処理をめぐり貸主と揉める

トラブル

また旧借主が廃棄物を放置した場合に、廃棄物の処理をめぐり貸主と揉めるケースもあります。旧借主が廃棄物処理の条件を守らないと、貸主や新借主が対応する必要があるからです。

新借主と貸主が相談する際に互いの希望が合わないと、対応が進みません。また旧借主の対応が不誠実だったり、連絡がつかなくなったりすると、更なるトラブルの原因となります。

対策

貸主とのトラブルを回避するために、賃貸借契約書に廃棄物処理の費用負担を明記してください。先ほど解説した旧借主との造作譲渡契約とは別に、新借主と貸主の間で取り決めを行います。互いの妥協点を探りながら話し合いを重ねましょう。

具体的には費用負担の割合や処理業者の対応方法を決めてください。旧借主が放置した廃棄物だけではなく、自分が退去するときの廃棄物処理に関しても賃貸借契約書に定めることが理想的です。

トラブル事例と対策⑧譲渡契約していない内装・設備を残される

トラブル

さらに譲渡契約を交わしていない内装・設備を残されるトラブルもあります。特に自店舗に必要ない内装・設備は無駄にスペースを圧縮するので、店舗営業に悪影響を与えやすいです。

またリース契約が残っている設備を残されると、使わなくても費用が発生します。リース契約ではない設備であっても、撤去費用がかかります。

対策

譲渡契約していない内装や設備を残されないように、契約前に全ての内装・設備の必要性を判断して、引き取る内装・設備と処分してもらう内装・設備を整理しましょう。不要な内装や故障している設備を旧借主に撤去してもらう必要があります。

また必要な内装・設備であっても劣化や故障がある場合には、前借主に撤去してもらいましょう。修繕や交換の費用がかかるからです。

居抜き物件のトラブル事例と対策:近隣住民・店舗との関係

居抜き物件のトラブル事例と対策:近隣住民・店舗との関係

居抜き物件自体のトラブルだけではなく、近隣住民・店舗との関係からもトラブルが発生しえます。近隣トラブルから集客力が低下して売上に悪影響が出ないように、事前に対策しておきましょう。

トラブル事例と対策⑨店舗からの煙や音などに対してクレームが入る

トラブル

例えば店舗からの煙や音などに対してクレームが入るトラブルが想定されます。旧借主が抱えていた問題を引き継いでしまうパターンです。特に煙の発生する焼肉店やトレーニングの音が漏れるジムなどを開業する場合には、注意が必要です。

ただし居抜き物件の旧借主から「営業中にクレームを受けたことはない」と言われてしまうと、正しく実体を把握できません。

対策

クレーム対策として、開業前に近隣の住民や店舗に挨拶を兼ねてヒアリングを行いましょう。旧借主とのトラブルを確認したり、自店舗の業態を説明したりして、コミュニケーションを図ってください。

また町内会長や商店会長などの開業エリア関係者にも挨拶をしておきましょう。地域独自のルールや慣例などを把握することができます。

トラブル事例と対策⑩ゴミの出し方で揉める

トラブル

また近隣住民・店舗とゴミの出し方で揉めるトラブルもあります。ゴミ出しのルールを守らないと、トラブルに発展しやすいです。またテナントビルの一室に居抜き物件の貸主が住んでいる場合には、貸主とのトラブルも想定されます。

ゴミの出し方が不適切だと、悪臭の発生やカラスによる被害などが起こります。近隣の公衆衛生や快適な住環境に配慮してください。

対策

テナントビルや集合住宅の一角にある居抜き物件を賃借する際は、事前に管理規約を確認してください。管理規約とは、ビルやマンションに入居するためのルールです。

賃貸借契約の条件と同様に、ゴミの出し方を含めた管理規約を守って店舗を営業してください。管理規約のない居抜き物件なら、近隣住民・店舗に迷惑をかけないように貸主に相談しましょう。

居抜き物件のトラブルを対策して店舗を開業しよう!

居抜き物件のトラブルを対策して店舗を開業しよう!

居抜き物件に開業するメリットがある一方で、開業準備中や営業開始後にトラブルが起こりえます。集客と売上を伸ばして利益を獲得できるように、トラブルを対策して店舗を開業しましょう。

IDEALは店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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