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2023.03.29 2023.03.31|新規開業ノウハウ
不動産屋を開業する流れ!開業のメリット・資金・資格・失敗を防ぐ方法
本記事で、不動産屋を開業する流れを解説します。不動産屋開業のメリットや開業資金、資格、失敗を防ぐ方法もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
不動産屋とは?開業するメリット・デメリット
不動産の開業準備を始める前に、まず不動産屋開業の基本情報を押さえておきましょう。不動産屋の事業内容はもちろん、開業するメリット・デメリットをご紹介します。メリットを活かし、デメリットを対策することで、不動産屋経営で利益を上げましょう。
不動産屋とは?
不動産屋とは、不動産(土地や建物など)を取引(売買や仲介など)する会社です。法令においては、宅地建物取引業として定められています。
不動産屋の主な業務内容は、不動産の開発や販売、仲介、管理、鑑定・評価などです。業務内容によって、下表のように分類されます。
種類 | 業務内容 |
不動産の開発会社(デベロッパー) | 用地確保から施工、販売など |
不動産の販売代理会社 | 分譲マンションや一戸建てなどの売買 |
不動産の仲介会社 | 売買や賃貸などの仲介 |
不動産の管理会社 | 物件と賃貸契約の管理など |
ただし業務内容を絞らず、幅広く扱う不動産屋もあります。例えば主に不動産の売買を扱い、所有する不動産を賃貸物件として提供することが可能です。
開業するメリット
不動産屋を開業するメリットは、開業資金があまりかからない点や客単価が高い点、借金が残りづらい点などです。例えば自宅を事務所にできるため、飲食店などに比べて物件取得費用がかかりません。
また不動産(土地や建物など)は単価が高いため、事業を軌道に乗せやすい点もメリットです。製造業のように在庫管理が必要ないため、閉業する際の損失が少なく済みます。
開業するデメリット
メリットだけではなく、不動産屋を開業するデメリットもあります。例えば不動産の売買や仲介にかかる金額が大きいため、資金の繰り越しが難しい点です。
また少子高齢化や人口減少などの影響から競争が激化する点も、不動産屋を開業するデメリットです。日本の人口は2010年年代から減少し続けており、超高齢化社会においては不動産屋を利用する人が減少すると想定されています。
参考:総務省統計局「総人口は 64 万4千人の減少」(1ページ)
したがって入念な資金計画と競合との差別化が必要です。後ほど不動産屋開業に失敗しないための注意点をご紹介します。
不動産屋を開業する流れ
開業のメリット・デメリットを踏まえて、不動産屋を開業する流れを確認しましょう。起業形態や業務内容、開業資金、事務所、資格・免許、開業届、宅地建物取引業保証協会への加入、集客に関する準備をご紹介します。
起業形態を選ぶ
不動産屋を開業する流れは、まず不動産会社の起業形態を選ぶことから始まります。個人経営(個人事業主)か法人経営(法人)のどちらかです。起業形態によって、開業にかかる時間や資金、支払う税率などが異なります。
個人経営のメリットは、開業の経費が少なく、最小限の手間で開業できる点です。しかし累進課税のため、事業が大きくなると法人経営よりも納税額が増える点がデメリットになります。
一方で法人経営のメリットは、税率が低い点や融資を受けやすい点などです。ただし個人経営を比較して、開業にかかる費用や時間が多くかかる点がデメリットになります。
業務内容を決める
次に不動産屋の業務内容を決めます。不動産の開発や売買、仲介、管理などがあります。賃貸や売買の仲介からスタートすると、元手が不要です。
賃貸仲介の業務は、賃貸物件の紹介や契約手続きなどです。1件成約するごとに得られる報酬は低いですが、ニーズが高いため安定した経営につながります。
一方の売買仲介の業務は、売買される不動産の紹介や契約手続きなどです。1件当たりの報酬が高いものの、賃貸仲介よりも成約までに時間がかかります。
開業資金を調達する
取り扱う業務内容に基づいて、不動産屋の開業資金を調達しましょう。自己資金だけで準備できない場合には、融資や補助金などを活用します。例えば下記の融資や補助金が該当します。
- 公的機関(日本政策金融公庫や地方自治体など)の融資
- 民間金融機関の融資
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業再構築補助金
不動産屋にも活用できる開業資金の調達方法について解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。後ほど開業資金の内訳や節約方法などを詳しくご紹介します。
事務所を構える
また不動産屋を開業する事務所を構えましょう。賃貸物件や店舗兼住宅、レンタルオフィスから選択可能です。賃貸物件を選ぶ前には、地域内の顧客ニーズや競合店などを調査する必要があります。
店舗兼住宅やレンタルオフィスを選ぶ場合には、以下の点を考慮してください。
- 事務所専用の出入口がある
- 住居スペースと事務所スペースが壁で仕切られている
- 接客用の机やイスを配置できる
なお不動産屋を開業する事務所の間取りと設備を詳しくまとめていますので、次の記事も併せてご覧ください。
宅地建物取引の資格と免許を取得する
そして不動産屋を開業するためには、宅地建物取引の資格・免許を取得する必要もあります。開業予定日までに取得できるように、ゆとりをもって準備を進めましょう。
宅地建物取引士は、従業員5人に対して1人以上必要です。宅建試験は毎年10月の第3金曜日に実施されており、開業予定日から逆算して資格を取得する必要があります。
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」
また宅地建物取引業免許も必要です。免許取得の手続きは、以下のとおりです。
- 免許取得のために必要な書類を準備する
- 都道府県庁の書類審査を受ける
- 営業保証金の供託または保証協会への加入をする
参考:国土交通省「建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について」
保証協会への加入を検討する
宅地建物取引業免許を取得する際に、営業保証金の供託または保証協会への加入を検討してください。加入できる保証協会として、全宅(宅地建物取引業保証協会)や全日(全国不動産保証協会)などがあります。
保証協会へ加入するメリットとして、不動産屋経営に対する支援を受けられる点や営業保証金が免除される点などが挙げられます。ただし弁済業務保証金分担金を支払う必要がある点にご注意ください。
開業を届け出る
不動産屋の開業準備を進めたら、開業を届け出ます。個人事業主として開業する際は、税務署に「開業届」を提出します。同時に「青色申告承認申請書」も合わせて提出できます。
参考:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
法人として開業する場合は、宅地建物取引業免許を申請する前に法人を設立してください。法人設立には税務署や都道府県税事務所などへの届出も必要です。
集客活動を展開する
不動産屋を開業する前から、集客活動を展開しましょう。不動産屋の開業を認知してもらい、安定した売上と経営につなげるためです。例えば近隣にチラシを投函するポスティングや看板設置などのオフラインの集客方法があります。
またオンラインでの集客方法として、顧客が問い合わせしやすいWebサイトや不動産情報を発信するSNSアカウントなどがあります。不動産屋にも活用できる集客方法を解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
不動産屋の開業資金はいくら?
不動産屋の開業の流れを押さえても、安心できません。開業資金を調達できなければ、開業準備を進められないからです。そこで開業資金の目安と内訳だけではなく、開業後の経営を安定できるように節約方法も併せてご紹介します。
開業資金の目安
まず不動産屋の開業資金の目安は、起業形態(個人事業主か法人か)によって異なります。法人を設立して賃貸物件に事務所を構えるなら、300万~2,000万円程度の開業資金が必要です。
ただし個人事業主として店舗兼自宅に事務所を構える場合は、物件取得費が必要ない分だけ開業資金が少なく済みます。
開業資金の内訳
下表に、不動産屋の開業資金の内訳をまとめました。法人として賃貸物件に事務所を構える費用を試算してあります。
開業資金の内訳 | 各費用の目安 | 法人の賃貸事務所 |
事務所設立費 | 合計の30%程度 | 100万~500万円程度 |
営業保証金または保証協会加入金 | 合計の40%程度 | 100万~1000万円程度 |
宅地建物取引業免許の申請手数料 | 合計の5%程度 | 10万円程度 |
法人設立費 | 合計の10%程度 | 25万円程度 |
諸経費 | 合計の5%程度 | 20万~150万円程度 |
運転資金 (賃料や電気代などの固定費) | 合計の10%程度 (賃料6か月分程度) | 60万~200万円程度 |
合計 | 100% | 300万~2,000万円程度 |
上表が示すとおり、事務所設立費と営業保証金または保証協会加入金の割合が高いです。ただし営業保証金または保証協会加入金を削減することはできません。
事務所設立費
物件の取得費用や内装工事費、業務に必要な設備・機器什器(パソコンや机、イスなど)の購入費などを含めた費用です。物件の規模や種類(居抜きかスケルトン)によって差があり、内装にこだわる場合は1000万円以上かかることもあります。
営業保証金または保証協会加入金
営業保証金は、消費者保護の観点から宅建業法によって義務付けられています。不動産屋の本店に1000万円と支店ごとに500万円が必要になります。
しかし不動産屋の保証協会へ加入し、弁済業務保証金分担金(本店に60万円と支店ごとに30万円)を支払う場合は、営業保証金が免除されます。保証協会によって加入金が異なりますので、ご注意ください。
宅地建物取引業免許の申請手数料
都道府県知事免許か国土交通大臣免許かによって、申請手数料が異なります。国土交通大臣免許(申請料9万円)は、2都道府県以上に事務所を設置できます。
都道府県知事免許(申請料3万~4万円程度)は、1都道府県にのみ事務所を設置する場合に必要です。都道府県ごとに手数料が異なります。
法人設立費
資本金によって計算方法が異なりますが、一般的な株式会社の設立に25万円程度が必要です。個人事業主であれば必要ありませんが、法人を設立することで社会的な信用が高くなります。
参考:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
諸経費
車両購入費や行政書士や税理士への外部委託費が含まれます。所有する自家用車を利用する場合には、諸経費が低くなります。
運転資金
開業してから月々に支払う費用です。賃料や光熱水道費、通信費などを支払えるように、賃料6か月分程度を蓄えておきましょう。
開業資金の節約方法
不動産屋開業資金の内訳において、節約できる経費は事務所設立費です。事務所設立費の節約方法として、所有する自宅に事務所を構える方法があります。賃貸物件の取得費や内装工事費がかかりませんが、宅地建物取引業法が求める事務所の独立性や継続性の条件を満たす必要があります。
賃貸物件を借りる必要があるなら、居抜き物件を活用すれば内装工事費の節約につながります。居抜き物件のメリット・デメリットについて詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
不動産屋開業に失敗しないための注意点
不動産屋を無事に開業できても、売上を獲得できずに経営に失敗する恐れがあります。そこで集客と競合との差別化、資金繰りに関して、不動産屋開業に失敗しないための注意点をご紹介します。経営努力を続けて、安定した売上を獲得しましょう。
開業前から見込み顧客を集める
不動産屋の開業に失敗しないための注意点として、まず開業前から見込み顧客を集めましょう。開業当初は信頼や知名度がないために、集客しづらいからです。運転費用は毎月かかるため、不動産屋の経営を続けるためには売上を獲得しなくてはなりません。
したがって開業前から築いてきた人脈を使って顧客を紹介してもらったり、オンライン集客を活用したりしましょう。例えばWebサイトに掲載する物件情報に画像や動画を入れることで、各物件の魅力をアピールできます。また問い合わせしやすいサイト構造を設計することも大切です。
競合との差別化を図る
また競合との差別化を図る点も、不動産屋の開業に失敗しないための注意点です。Web上で不動産情報を得やすくなった昨今では、不動産屋としての独自性や強みがなければ成約に至らないからです。競合となる不動産屋の経営状況を分析して、競合店の強みを把握しておきましょう。
競合分析に基づいて、取り扱う物件やサービスなどに関して差別化を図れる点を探します。例えば物件流通サービスを利用して、最新の物件情報をいち早く顧客に提供することで、顧客の目に留まりやすくなります。他にもファイナンシャルプランナーなどの専門資格を取得すれば、顧客の幅広い相談に応じることができます。
適切に資金繰りを管理する
さらに適切に資金繰りを管理する点も、不動産屋開業を失敗しないための注意点です。開業資金を集めるだけでなく、開業後の経営が苦しくならないように、運転資金の確保まで確実に行いましょう。
適切な管理方法として、資金繰り表(一定期間の現金収入と現金支出を集計し、資金の動きを把握する表)を作成する方法があります。現在の資金の動きだけでなく、事業拡大後の従業員雇用なども含めて、長期的な視野で資金を管理してください。
なお自動計算できる資金管理システムがありますので、業務効率化のために導入を検討しましょう。
参考:ワークスアプリケーションズ「財務・資金管理システム HUE Treasury」
集客できる不動産屋を開業しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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