2023.08.09  2023.08.23|新規開業ノウハウ

学習塾を開業する流れとポイント!開業の実態や資格・スキル・届出・許可・資金

学習塾を開業する流れとポイント!開業の実態や資格・スキル・届出・許可・資金

本記事で、学習塾を開業する流れとポイントを解説します。学習塾開業の実態や資格・スキル・届出・許可・資金もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

学習塾開業の実態とは?

学習塾開業の実態とは?

学習塾の開業準備を始める前に、実態を調査しましょう。実態を踏まえることで、学習塾の経営方針や開業準備の内容などを検討できるからです。そこで学習塾の市場規模と業態、経営者の年収についてご紹介します。

市場規模

まず学習塾の市場規模は、2010年代から緩やかな増加傾向にありました。学齢期の人口は年々減少傾向にありますが、子ども一人当たりの学習費が増加しているからです。

参照元:販促の大学「【業界研究】学習塾業界のトレンド情報~2023年調査版~」

ただし2020年には新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、受講生徒に基づいた「学習塾指数」が大幅に減少(2019年と比較して約16%の減少)しました。2020年6月までは減少傾向にあったものの、7月からは回復傾向に転じています。

参照元:「経済産業省」学習塾の動向;少子化とコロナ禍の影響|その他の研究・分析レポート

コロナ禍に学習塾指数が減少した原因として、休校要請や不要不急の外出自粛などが挙げられます。学習塾には、分散通学習塾やリモート授業などが求められました。

参照:公益社団法人全国学習塾協会「学習塾の営業状況調査(令和2年3月3日時点)」

業態

次に学習塾の業態は、主に4点に分類されます。

  • 進学塾
  • 補習塾
  • 総合塾
  • 専門塾

参照:販促の大学「【業界研究】学習塾業界のトレンド情報~2023年調査版~」 

進学塾は、難関校などの入学試験に特化した学習塾です。入試までの日数を逆算したうえでカリキュラムが組まれ、個別指導や集団指導、オンライン授業などが提供されます。

補習塾は、授業の補習や定期テストの対策を提供する塾です。学校の成績や内申点を伸ばすことを目的として、個別指導や集団指導などが提供されます。

総合塾は、進学塾と補習塾の役割を兼ね備えた学習塾です。補習や定期テスト・受験対策などの目的に応じて、個別指導や集団指導などが提供されます。

専門塾は、専門分野に特化した学習塾です。特定の科目(英語や数学など)や学校(東大や医学部など)の授業、能力(そろばんや速読など)を専門的に指導します。

経営者の年収

そして学習塾経営者の年収は、500万円前後だと推測されます。利益500万円程度の中小企業においては、経営者の年収が500万円程度だからです。Web上に、学習塾経営者を対象とした調査結果は掲載されていませんでした(2023年7月時点)。

参照元:KODATO「【中小企業1,314社の平均年俸を開示】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い①」

また国税庁の民間給与実態統計調査によると、日本人の平均給与は450万円程度です。雇用者を含んだ金額ですが、新卒から経験年数を重ねるごとに給与所得者の年収は増加しています。

参照元:

国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(7ページ)

もちろん生徒数や従業員数によって、学習塾経営の利益は変動します。売上の安定している学習塾であれば、経営者の年収も確保されます。後ほど集客や採用のポイントをご紹介します。

学習塾を開業する流れとポイント

学習塾を開業する流れとポイント

学習塾開業の実態を把握したうえで、開業する流れとポイントも確認しましょう。コンセプト設計から開業資金、物件、内装と外装のデザイン・工事、資格・スキル、届出・許可、採用活動、集客活動までの流れに沿って、開業準備のポイントをご紹介します。

コンセプト設計と事業計画立案

まず学習塾を開業する流れは、コンセプト設計と事業計画立案の作業から開始されます。コンセプトを明確にすることで、一貫した事業方針で開業準備を進められるからです。学習塾にも活用できるコンセプトを設計する方法についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

そして設計したコンセプトに基づいて、学習塾の事業計画書をまとめます。事業計画書は、開業資金の調達や従業員研修などに必要な書類です。学習塾にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に事業計画書をまとめたうえで、学習塾の開業資金を調達しましょう。学習塾の開業準備に必要な資金額を計算する必要があります。自己資金だけで不足する場合には、以下の開業資金の調達方法を検討してください。

  • 出資
  • 借入
  • 融資
  • 補助金・助成金

以上の各調達方法には、申請条件や返済方法などに関するメリット・デメリットがあります。開業資金を調達するポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

物件探し

そして開業資金の調達と並行して、学習塾を開業する物件探しも始めましょう。ターゲットとする生徒層を集客できる立地を選び、希望条件(賃料や広さ、間取りなど)に合う物件の選定が必要です。

特にコンセプトを設計する前に実施した市場調査(学齢児童・生徒の数や競合塾の分析など)に基づいて、学習塾を開業する立地を選びましょう。学習塾にも活用できる物件の探し方について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装と外装のデザイン・工事

それから物件の売買または賃貸借の契約を結んだうえで、学習塾の内装と外装のデザイン・工事を計画しましょう。コンセプトに基づいて内装と外装をデザインすることで、学習塾の経営方針との統一感を保ちやすいです。

また予算内に内装と外装を工事するためには、無駄な経費を省くことが必要です。学習塾におしゃれな内装をデザインする方法や工事費用などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格・スキルの取得

さらに物件に関する準備だけではなく、学習塾の開業に必要な資格・スキルの取得も進めましょう。競合塾よりも集客や売上を伸ばすためには、専門的な資格・スキルを活かすことが大切です。学習塾経営に活用できる資格・スキルをご覧ください。

  • 教員免許
  • 実用英語技能検定
  • 実用数学技能検定
  • 日本漢字能力検定
  • 学習塾講師検定

以上の資格・スキルの取得方法や活用方法などについて、後ほど詳しくご紹介します。

届出・許可の申請

また資格やスキルの取得と併せて、学習塾開業に必要な届出・許可を申請しなくてはなりません。開業届または法人設立届や税務関係の書類などを提出する必要があります。届出・許可ごとに、提出の方法や期限が異なるため、ご注意ください。

そのため開業数か月前には、学習塾開業に必要な届出・許可を把握して、書類などを準備し始めましょう。具体的な届出・許可については、後ほどご紹介します。

従業員の採用活動

また学習塾開業の数か月前から、従業員の採用活動を行いましょう。採用活動には、労力と経費がかかります。時間と予算にゆとりのある採用計画立案が必要です。

採用活動の具体的な方法は、ハローワークや求人サイトへの求人情報掲載や転職エージェントへの相談などです。事前に採用条件(資格・スキルや職歴など)を洗い出しておくと、書類選考や面接をスムーズに進められます。

開業前の集客活動

なお採用活動と同じ時期に、学習塾開業前の集客活動を展開してください。開業してから順調に新規顧客を獲得できるように、開業前から知名度を高めなくてはならないからです。

それでは集客活動のポイントをご紹介します。

  • 目的・目標を明確にする
  • ターゲットに価値あるサービスを提供する
  • オンラインとオフラインで展開する

上記の集客のポイントや方法、事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

学習塾開業に必要な資格・スキルと届出・許可

学習塾開業に必要な資格・スキルと届出・許可

先ほど学習塾開業のポイントとして、資格・スキルと届出・許可を取り上げました。学習塾の業態によって必要な資格・スキルと届出・許可は異なりますので、詳しくご紹介します。計画的に準備を進めましょう。

資格・スキル

まず学習塾開業に対して、法的に求められる資格・スキルはありません。そこで学習塾開業に活用できる資格・スキルをご紹介します。資格・スキルを保持する従業員を雇用すれば、経営者自らが全ての資格・スキルを取得する必要はありません。

  • 教員免許
  • 実用英語技能検定
  • 実用数学技能検定
  • 日本漢字能力検定
  • 学習塾講師検定

教員免許は、学校の教職員になるために必要な資格です。教職課程を修了するか教員資格認定検定に合格すると取得できます。塾講師として学習指導を行うために役立ちます。

実用英語技能検定は、日本英語検定協会が主催する民間資格です。2級以上を取得すれば、学習塾講師としてアピールできます。

実用数学技能検定は、日本数学検定協会が主催する民間資格です。2級以上を取得すれば、学習塾講師としてアピールできます。

日本漢字能力検定は、日本漢字能力検定協会が主催する民間資格です。全ての常用漢字を読み書きできる2級以上であれば、学習塾講師としてアピールができます。

学習塾講師検定は、全国学習塾協会が主催する民間資格です。学習指導の方法や能力などを身につけた学習塾講師の育成を目的としています。

届出・許可

次に学習塾開業に対しては、法的に届出・許可が求められます。ただし個人事業主と法人によって、必要な届出・許可の書類や提出期限などが異なりますので、ご注意ください。

個人事業主として学習塾を開業する場合は、以下の書類の提出が必要です。

  • 個人事業の開廃業等届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書(税制上の優遇を受ける場合)
  • 消費税課税事業者選択届出書(課税事業者を選択する場合)
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用する場合)

参照元:国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」

一方で法人として学習塾を開業する場合は、以下の書類の提出が必要です。

  • 法人設立届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書(税制上の優遇を受ける場合)
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用する場合)
  • 消費税課税事業者選択届出書(課税事業者に該当する場合)

参照元:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」

学習塾の開業資金

学習塾の開業資金

学習塾の開業準備を滞りなく進めるためには、開業資金が必要です。そこで予算を立てる前に、開業資金の相場と内訳を確認しましょう。経費の無駄を省けるように、開業資金の節約法もご紹介します。

相場

まず学習塾開業資金の相場は、坪単価30万~50万円程度です。10坪の物件なら、300万~500万円程度かかります。ただし物件の立地や規模、従業員数、学習指導の内容などによって、開業資金は変動します。

なお学習塾のフランチャイズに加盟する場合には、加盟料や保証料が求めらえる場合があります(数十万~数百万円程度)。またオンライン授業を提供する場合には、通信設備(パソコンやマイクなど)の購入費用が必要です

内訳

次に学習塾開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、スケルトン物件(10坪で賃料月10万円)に学習塾を開業する費用の内訳を試算してあります。

開業資金の内訳各費用の目安費用の試算
(10坪で賃料月10万円の
スケルトン物件)
物件取得費
(敷金・礼金・前賃料など)
全体の10%程度
(賃料の数か月分)
30万~50万円程度
物件工事費
(内装や外装など)
全体の30%程度
(坪単価10万〜30万程度)
100万~300万円程度
設備・機器・什器費
(パソコンや照明器具、学習机など)
全体の30%程度90万~150万円程度
集客・採用費全体の10%30万~50万円程度
諸経費
(教材や備品など)
全体の10%30万~50万円程度
運転資金
(開業後の固定費)
全体の10%30万~50万円程度
合計100%坪単価
30万~50万円程度
300万~500万円程度

上表のとおり物件の工事や設備・機器・什器にかかる費用が、開業資金全体の半分以上を占めます。そのため開業資金を抑えるためには、工事や設備などの費用を抑えることが必要です。

節約法

学習塾開業資金の節約法をご紹介します。

  • 自宅の空き部屋を利用する
  • 居抜き物件を活用する
  • 中古やリースの設備・機器・什器を選ぶ

自宅の空き部屋を活用することで、学習塾の工事費や毎月の固定費(賃料や水道光熱費など)を節約できます。店舗兼住宅の種類や法規制についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

学習塾の居抜き物件を活用して、前借主の施工した内装や設備を引き継ぐことで、物件工事費を節約できます。ただし居抜き物件にはメリット・デメリットがありますので、次の記事も併せてご覧ください。

なお中古やリースの設備・機器・什器を選ぶことで、新品を購入するより費用を節約できます。パソコンやホワイトボード、学習机などを購入する前に、中古品やリース品を検討しましょう。

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監修者

IDEAL編集部

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