2021.06.25 2021.08.04|店舗運営ノウハウ
【事業再構築補助金】緊急事態宣言特別枠のメリット、デメリットについて
「事業再構築補助金の緊急事態宣言特別枠ってなんですか?」
「通常枠なのか特別枠なのか、どの枠で申請したら良いのか分かりません」
というお客様への記事です。
この記事の内容↓
・通常枠と緊急事態宣言特別枠の違い
・緊急事態宣言特別枠の概要
これまでお店の開業、運営に多く携わってきたIDEAL(の中の人)が、どこよりも分かりやすく、見やすくお伝えしますね。
まず、冒頭の質問にお答えしましょう。
事業再構築補助金の特別枠とは、コロナ禍での緊急事態宣言において、売上が減ってしまった事業が申請できる枠です。
以下の点において、通常枠よりも優遇性があるとされています↓
・審査が早い
・補助金額が大きい
・緊急性がある場合に適している
ですが、通常枠よりも「審査基準が低い」というわけではありませんよ。
また「どの枠で選んだらいいのか分からない」という方は、
・それぞれの枠の概要を知る
・枠ごとの条件をよく確認する
・枠の概要、条件を知った上で「自己負担額がどうなるのか」を知る
といったステップを踏むことでクリアになります。
今回は、それらの手順を含めて、通常枠と特別枠について解説していきますね。
お客様には、当記事を通して『緊急事態宣言特別枠について、きちんと理解している人』となっていただきます。
※当記事は、2021年6月時点の内容です。
今後、申請方法や応募条件が変更される場合があるので『 公募要領』をよくご確認くださいね。
[現時点での情報]
◇2次公募の予定:5月26 日〜7月2日18:00まで申請受付
今すぐ公募する場合はこちらのページをチェック↓
事業再構築補助金 申請ページ
※補助金に関連する当ページの情報について※
当ページの記載事項に基づいてすべてを判断せず、必ず『公募要領』を確認してくださいね。
当ページの見解に従い不採択となった場合でも、当方は責任を負いかねます。
当ページの情報や見解は、予告なしに変更することがございますのであらかじめご了承ください。
目次
事業再構築補助金はいつから?
事業再構築補助金が始まったのは、2021年3月です。
1回目の公募が3月26日〜5月7日で行われ、審査結果が通知されるのは6月中旬ごろを予定しています。
補助金が交付されるのは、予定では7月ごろとなっています。
また、2021年6月現時点では、2次公募の申請受付が5月26日〜7月2日18:00まで。
2次公募以降の動きとしては、次のように予定されています↓
審査結果通知、採択結果公表:2021年8月下旬~9月上旬ごろ
補助金交付申請開始:2021年9月~10月ごろ
1次公募の結果は、6月中旬ごろに分かります。
そのため、万が一1次公募で選ばれなかったとしても、2次公募への申し込みに間に合うスケジュールになっています。
ですが、期間が短くなっているため、準備に時間を要することがないよう注意が必要です。
事業再構築補助金は、申請の対象と申請枠を理解しよう
事業再構築補助金に『申請できる対象』と『申請枠』を理解しておきましょう。
改めてお伝えしますが、大前提として
・コロナの影響があった
・前年度よりも売上が減った
・事業計画書をきちんと作成できる
など、細かい条件をクリアしていなければ申請できません。
その上で、対象となる事業と申請枠は、次のとおりに分けられます↓
・中小企業の通常枠と卒業枠
・中堅企業の通常枠とV字回復枠
それぞれ分かりやすく解説していきましょう。
事業再構築補助金の対象と申請枠①中小企業の通常枠と卒業枠
コロナ禍において『売上が減ってしまった中小企業』であれば、事業再構築補助金を申請できます。
中小企業とは以下を指します↓
[製造業その他]
資本金:3億円以下
従業員数:300人以下
[卸売業]
資本金:1億円以下
従業員:100人以下
[小売業]
資本金:5千万円以下
従業員:50人以下
[サービス業]
資本金:5千万円以下
従業員:100人以下
中小企業の定義:中小企業庁より引用
中小企業は、業種別に「資本金または出資の総額」と「従業員の数」によって定められています。
その上で『通常枠』と『卒業枠』に、枠が決められているのです。
◇通常枠とは
通常枠は、一般的な中小企業が申請する枠です。
事業再構築補助金の申請をする事業者の多くは、この『通常枠』で申請することになるでしょう。
通常枠で補助金を受けた場合、補助金額は100万円〜6,000万円になります。
補助率は、中小企業者等では2/3と定められています。
◇卒業枠とは
卒業枠は、事業再構築補助金を利用して、中小企業から中堅企業となる予定の企業または事業主を指します。
要件としては次のとおりに定めれています↓
事業計画の期間内(事業再構築補助金を利用して、事業を拡大していく間)に
1:組織再編
2:新規設備投資
3:グローバル展開
のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
(経済産業省:事業再構築補助金のリーフレットより引用)
1〜3の具体的な定義は、まだ明確になっていません。
ですが、下記のように予想されています↓
1:組織再編=大幅な会社としての体制見直しなど
2:新規設備投資=新事業に関わる大規模な設備投資(大型設備の設置など)
3:グローバル展開=海外への販路拡大、事業拡大のための設備投資や事務所設置などへの投資
卒業枠で申請した場合、補助金額は6,000万円~1億円となります。
補助率は2/3と定めれており、事業再構築補助金の中でも優遇されていると言えます。
注意点としては、400社のみが対象、という点。
補助金額も大きいことから、申請する企業も少なくないでしょう。
したがって競争率UPと早期修了が見込まれますね。
早めのアクションが望ましいでしょう。
事業再構築補助金の対象と申請枠②中堅企業の通常枠とグローバルV字回復枠
条件さえクリアできれば、中堅企業も事業再構築補助金に申請できます。
中堅企業の定義は、実はハッキリ決められているわけではありません。
ですが、経済産業省では、次のように説明しています↓
中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社
事業再構築補助金の概要より引用
中堅企業で申請する場合には『通常枠』と『グローバルV字回復枠』に分けられます。
◇通常枠とは
中小企業に当てはまらず、かつ資本金が10億円未満の企業や事業主の場合は、通常枠で申請することになります。
通常枠で申請した場合の補助金額は100万円〜8000万円。
補助率は1/2(補助金額が4000万円を超えたら補助率は1/3となる)
◇グローバルV字回復枠とは
グローバルV字回復枠とは、以下の条件をクリアする場合に申請できる枠です↓
1: 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同じ3か月の合計売上高と比べて、15%以上減少していること
2:補助事業終了後、3〜5年で付加価値額または従業員1人当たりの付加価値額の年率5.0%以上増加
達成を見込む事業計画を作ること
3:グローバル展開を果たす事業であること
さらに注意点なのは、100社限定、とされている点です。
(各年度で設定されている限定数なのか、それとも複数年度にわたってのものなのかは不明)
グローバルV字回復枠で申請した場合の補助金額は、8000万〜1億となります。
補助率は1/2と定められています。
通常枠とは異なる”緊急事態宣言特別枠”とは
事業再構築補助金には『緊急事態宣言特別枠』という枠があります。
『緊急事態宣言特別枠』とは、令和3年の緊急事態宣言により、深刻なダメージを受けた中小企業や事業主に対する特別枠です。
補助金額や補助率が、通常枠、卒業枠よりも優遇されています。
緊急事態宣言特別枠は「コロナの影響がある事業であれば誰でももらえる」というわけではありません。
通常枠同様に、クリアするべき条件が厳しく設けられているのだと心得ましょう。
以下、従業員別の補助金額と補助率です↓
[補助額]
従業員数5人以下:100 万円 ~ 500 万円
従業員数6~20 人:100 万円 ~ 1,000 万円
従業員数21人以上:100万円 ~ 1,500万円
[補助率]
中小企業: 3/4
中堅企業 :2/3
通常枠の申請条件を満たした上で、緊急事態宣言による
・移動自粛
・不要不急の外出
・飲食店の時短営業
などにより、売上が減ってしまった事業主への救済枠になります。
令和3年1〜6月のいずれかの月の売上高が、前年または前々年の同月比で、30%以上減少している事業者が対象です。
緊急事態宣言特別枠について①いつから申請可能か
2021年6月現時点では、申請受付は5月26日〜7月2日18:00までとなっています。
緊急事態宣言特別枠の申請受付期間は、通常枠、卒業枠と同じです。
緊急事態宣言特別枠で申請した場合、通常枠や卒業枠よりも迅速に審査されるとのこと。
たとえば、緊急事態宣言特別枠で審査が通らなかったとしても、その後、通常枠へスライド審査されます。
その際は、審査において一定の加点措置を取られることも。
そのため、特にコロナの影響を受けた飲食店こそ『緊急事態宣言特別枠』への申請が必須とも言えるのですよ。
緊急事態宣言特別枠について②申請するための条件
緊急事態宣言特別枠で申請するときの条件は、次のとおりです↓
1:通常枠の申請要件を満たしていること
→事業再構築指針にある5つの分野に該当すること
→申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同じ3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
→事業計画書を、認定経営革新等支援機関と作成すること
→補助事業終了後3~5 年で、付加価値額が年率平均3%以上増加、または従業員1人当たりの付加価値額が年率平均3%以上増加するよう事業計画を作ること
2:令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること
3:緊急事態宣言特別枠に申請する必要書類を準備すること
→緊急事態宣言の影響を受けたことの宣誓書
→売上高減少に係る証明書類
緊急事態宣言特別枠について③緊急事態宣言枠と通常枠の両方を申請することはできない?
結論、できません。
たとえば、緊急事態宣言特別枠の条件をクリアし、かつ通常枠の条件もクリアしてる場合でも、同時に申請できません。
同じように、卒業枠やグローバルV字回復枠の条件にクリアしたとしても、緊急事態宣言特別枠との同時申請は不可です。
かならず”いずれか1つの枠”を選ぶことになります。
「どの枠で申請したらいいのかいまいち分からない」
そんな方のために、ヒントをお伝えします。
考え方としては『通常枠の方が自己負担額が低くなるのか』あるいは『特別枠の方がお得なのか』といった視点を持ちましょう。
たとえば、従業員5名の飲食店が、8,550,000円の経費が必要な事業拡大計画をするとします↓
[通常枠で申請した場合]
自己負担額:2,850,000円
補助額:5,700,000円(8,550,000円×補助率2/3)
[特別枠で申請した場合]
自己負担額:3,550,000円
補助額:5,000,000円
(8550,000円×補助率3/4=6,412,500円≦500万円 *最大補助金=500万円まで)
このケースですと、従業員が5人以下なので、特別枠の補助金額が最大500万円までになりますよね。
ということは、通常枠の方が、自己負担額が低くなる=お得ということになります。
このように、実際に計算してみると分かりやすいですよ。
どの枠でも条件をクリアしているなら『よりお得になる枠』を、選ぶのが賢いのかもしれません。
まとめ:事業再構築補助金の枠は今の結果的に得するのかを見て申請枠を考えよう
「事業再構築補助金って、どの枠で申請したらいいのか分かりません」というお客様へ、
・中小企業の通常枠と卒業枠
・中堅企業の通常枠とグローバルV字回復枠
・緊急事態宣言特別枠
についてお伝えしてきました。
各枠の条件をクリアしたと分かれば、次に悩むのは「どの枠で申請するか」です。
繰り返しますが、結果的に『自分たちが負担する額が少なくなる枠』を申請した方が良いでしょう。
人によっては、緊急事態宣言特別枠の方が「優遇性があるな」と感じるかもしれません。
ですが、最終的に自己負担額が大きくなってしまうこともあります。
もし負担額が大きくなってしまった場合、損した気分になってしまうかもしれませんね。
定められている条件だけを見て「クリアしているから、こっちに申請しよう」と、すぐに決めるのは避けましょう。
そうではなく「最終的にどのくらい自分たちが負担するのか」までを見極めていく。
その方が、賢く活用できていると言えます。
※補助金に関連する当ページの情報について※
当ページの記載事項に基づいてすべてを判断せず、必ず『公募要領』を確認してくださいね。
当ページの見解に従い不採択となった場合でも、当方は責任を負いかねます。
当ページの情報や見解は、予告なしに変更することがございますのであらかじめご了承ください。
監修者
-
IDEAL編集部
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