2022.08.02|店舗デザイン

モルタル造形とは?特徴やデザイン、施工方法、施工事例をご紹介!

モルタル造形とは?特徴やデザイン、施工方法、施工事例をご紹介!

「店舗の内装デザインで見聞きするモルタル造形とは何?」「モルタル造形の施工方法を知りたい!」とお悩みではありませんか?モルタル造形はデザイン性が高く、店舗の内装に取り入れやすい施工方法です。

そこで本記事では、モルタル造形の特徴や表現できるデザインを解説します。モルタル造形の施工方法や施工事例もご紹介しますので、店舗の内装デザインをご検討中の方はぜひご覧ください。

モルタル造形とは?

モルタル造形とは?

モルタル造形とは、建物の壁や塀などに塗ったモルタルに彫刻・エイジング塗装によって木や石やレンガなどの形を施す技術です。モルタルとは、セメントに砂を加えて水で練り合わせた内装材です。塀や門柱、レンガ、塗壁、木などにモルタル造形が可能です。

エイジング塗装とは、新しい素材に経年劣化したような風合いを醸し出す技法で、アンティークな質感を再現できます。例えばヨーロッパの古い街並みの崩れた塗り壁や石積みの壁面などは、エイジング塗装によって施工されている場合があります。

なお店舗内装の打ちっぱなしコンクリートについて下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

モルタル造形の特徴

モルタル造形の特徴

モルタル造形には、デザイン性の豊かさを始めとする特徴があります。モルタル造形の特徴を生かしてデザインできるように、代表的な特徴をご紹介します。

さまざまなデザインを表現できる

まずモルタル造形なら、さまざまなデザインを表現できます。掘り出したり付け足したりして成形するため、大きさや色、欠けの具合、錆びなどを自由にデザインできます。例えばヨーロッパの古城や童話の世界の雰囲気などは、モルタル造形ならではのデザインといえます。

一方でモルタル以外の素材を成形しようとすると、素材の性質からデザインに限界が生じます。例えば実物のレンガを今にも崩れそうに成形しようとすると、強度がなくなる危険性があります。耐久性の問題から建築基準法に違反するケースもあります。
参考:国土交通省「建築物の既設の塀(ブロック塀や組積造の塀)の安全点検について」(P3)

他の素材と組み合わせられる

次にモルタル造形は他の素材との組み合わせられますので、質感や形状、雰囲気などのパターンを増やせます。例えば発泡スチロールで下地を形成したうえにモルタル造形を施すことで、他の素材では難しい複雑な形状を表現できます。

他にも組み合わせる木材の色によって、作り出されるモルタル造形の色が変化します。無塗装の天然木材と組み合わせると無機質な雰囲気をほどよく抑えられ、焦げ茶色の木材と組み合わせるとモダンな雰囲気の演出が可能です。

施工費用を抑えられる

さらにモルタル造形は、施工費用を抑えられます。なぜならモルタルの主な材料が比較的コストのかからないセメントや砂だからです。また既存の下地(外壁や擬木など)を用いることができるため、材料費と工賃を抑えられます。

一方で天然素材(天然石や岩など)からオブジェを造ろうとすると、モルタル造形よりも材料費がかかります。また大きな石材を搬入する機材が必要になると、運搬費もかかってしまいます。

手入れしやすい

さらにモルタル造形には、手入れしやすいという特徴があります。モルタル造形はアンティークな風合いを再現する工法であり、あえて少し汚れたように塗装するためです。自然に汚れが付き始めるとさらに馴染んできますので、基本的に日々のお手入れは不要です。

しかしモルタル造形は、紫外線や風雨などへの対候性が低いです。屋外にある外壁や門扉などに施す場合は、1〜3年を目処に保護膜となるクリア塗装を再塗布すると長持ちします。

重量がある

なおモルタル造形に重量がある点にご注意ください。天井へ施工する場合にはモルタルを厚くできないため、デザインの自由度が制限されます。

また一般的にモルタルの厚みを10mm〜15mm程度にしますが、20mm以上の厚みを必要とするデザインもあります。モルタルの厚みを厚くする際は、塗りつけるモルタルの重量に耐えられる下地作りが求められます。

さらにモルタルを塗る重量が多いと剥がれ落ちる危険性があります。3〜4回に分けて薄く塗り重ねることが、安全に施工するポイントです。

モルタル造形で表現できるデザイン

モルタル造形の特徴を生かすことで、さまざまなデザインを実現することが可能です。店舗の内装や外装にモルタル造形を取り入れられるように、代表的なデザインをいくつかご紹介します。

レンガ風のデザイン

レンガ風のデザイン

モルタル造形はレンガ風のデザインを自由に表現でき、飲食店や販売店などに積極的に採用されています。さまざまなテイストがあり、例えば目地の通った綺麗なレンガや改修を重ねて年季の入ったレンガ、空虚感を感じさせるレンガなどが挙げられます。

なお実際のレンガの積み方には、代表的なものにイギリス積みとフランス積みがあります。モルタル造形ではレンガの積み方を再現するデザインも可能です。レンガの大きさや形、色までこだわることができます。

木材風のデザイン

木材風のデザイン

またモルタル造形なら、木材風のデザインを再現することも可能です。造園のステップや階段、店舗のフローリングや天井、看板などに対して木材風のデザインを施せます。

モルタル造形の自由度を生かして、例えば年季の入った樹木や製材した綺麗な木目、大きな樹木の樹皮などを再現することが可能です。樹木の形や味わいを細部までこだわることができます。モルタル造形では、仕上げたデザインを変化させることなく長持ちさせやすいです。

本物の木材を使用する場合には、素材(不燃材の使用など)やデザイン(施工できる場所など)に制限がかかります。また木材の経年変化によって、腐食や浸食などが発生する場合もあります。

石積み風のデザイン

石積み風のデザイン

さらに石積み風のデザインも、モルタル造形で表現できます。内外装の壁面をはじめ暖炉や玄関ポーチなどにも用いられて、お城の石積のようなデザインを表現するため役立ちます。

他にも材料の厚み次第で重厚なものから大理石のような高級感のあるデザインまで、自由に造り上げることが可能です。古くなった壁やブロック塀を壊して作り直さなくても芸術的な風合いに生まれ変わらせることができます。

しかし積み方や割り方のセンスが完成度に大きく影響する為、モルタル造形のなかでは比較的表現が難しいデザインです。

竹材風のデザイン

竹材風のデザイン

最後に、竹材風のデザインをご紹介します。モルタル造形によって施工可能で、型を引くことで竹模様を仕上げることができます本物の竹とは異なり、経年劣化によって傷みが生じにくく、手入れに手間がかかりません

ただし建築基準法により、屋根や外壁などの外装には不燃材を用いることが定められています。本物の竹を外装の下地に利用する場合には、法令に違反しないかを確認してください。

参考:国土交通省「建築基準法制度概要集」(P20)

モルタル造形の施工方法

モルタル造形の施工方法

モルタル造形で表現できるデザインを確認したところで、モルタル造形の施工方法を解説します。通常の塗装や左官の施工方法とは異なりますので、各工程のポイントを押さえましょう。

モルタル造形に適した下地を選ぶ

まずはモルタル造形に適した下地を選びます。下地には、モルタルの重量に耐えうる素材を選んでください。一般的に以下のような素材が適しています。

  • セメントブロック
  • モルタル仕上げの部分
  • ラス下地
  • コンクリート
  • モルタルを塗るためのパネル(ラスカットなど)

モルタル造形に適した下地は、造形する箇所の素材によって異なります。また下地用のモルタルならどれもいいわけではありません。施工箇所に適した素材が分からないときには、施工業者にご相談ください。

下地用のモルタルを塗装する

次に、下地用のモルタルを塗装します。モルタル造形において、下地用のモルタルを塗装することは、例外なく必要な工程です。なぜなら塗りつけるモルタルの重量に耐えうる下地が必要になるからです。

下地用のモルタルを塗装する際は、メッシュやくし引き柄が使用されます。モルタル造形は、重量があるうえに一部が極端に薄くなるケースがあります。メッシュやくし引き柄は、モルタル造形工程のミスを減らすために使用されます。

モルタルで造形する

下地用のモルタルが十分に乾いたところで、いよいよモルタルで造形します。塗り付けたモルタルが固まる前に、本物感を演出するカービング(ナイフで削ったりブラシで叩いたりする作業)を行います。

なおデザインによっては、固まりだしてから削る作業も行われます。発想と技術によって、オリジナルのモルタル造形を完成させられるのです。

ベース塗装で耐久性を上げる

最後はベース塗装を行います。ベース塗装は、下地用の塗装と同じく大事な工程です。モルタル造形の耐久性に大きく影響するからです。ベース塗装をおろそかにするとモルタルがひび割れたり、ひび割れから雨漏りしたり、雨漏りによって下地からモルタルが剥がれたりする危険性が増します。

ひび割れなどの劣化対策として、耐候性のあるコーティングを施します。シーラーと呼ばれる塗料を塗ることで、モルタル造形の下地まで塗料が入り込み、内部まで固められます。

モルタルを使用した店舗内装の施工事例

モルタル造形のデザインや施工方法を踏まえて、施工事例を確認しましょう。理想に近い施工事例を探しておくと、内装業者にデザインを依頼する際に役立ちます。IDEALの施工した事例をいくつかご紹介します。

職人の手仕事で造形された壁やエントランス

職人の手仕事で造形された壁やエントランス

「PLUS ME」様は、理想のカラダづくりを多角的にサポートする完全プライベートのパーソナルジムです。麻布の一等地に佇む地下2階の異空間を魅力的に魅せるため、「シンプルかつ本物の素材」にこだわって内装が仕上げられました。

壁やエントランスに天然素材(タイル・モルタル・革など)が使用されて、職人技により味わいのある経年劣化が再現されています。特にエントランスには、左官職人が試行錯誤することで工業製品では出せない経年劣化が再現されています。

なおシンプルでありながらインパクトを与える空間を演出できるように、光源を見せない間接照明が施工されています。

大人の女性をイメージさせるレンガ調の壁

大人の女性をイメージさせるレンガ調の壁

「美圧ヨガbesta(ベスタ) 恵比寿スタジオ」様は、ヨガと血流制限トレーニングを融合させた女性専用美圧ヨガスタジオです。ターゲットである大人の女性に相応しい内装空間を表現できるように、明るい木目やモルタル、ゴールドの内装材が掛け合わされてデザインされています。

例えば清潔感を感じさせるホワイトのモルタルで、レンガ調の壁が造形されています。また照明やロゴには豪華さを出せるようにゴールドが配色されています。さらに天井や什器には、温もりを感じられるように木目が使用されています。

なおエントランスには、美しい身体のラインをイメージさせるように曲線が取り入れられています。

モルタル調の素材による壁と床

モルタル調の素材による壁と床

「personal gym NONVARBAL byMF」様は、桜木町駅付近に店舗を構える女性向けのプライベートジムです。言葉に表せない居心地の良さを感じてもらえる特別な空間を提供できるように、内装がデザインされました。

洗練されたクリーンな印象を表現できるように、壁や床はモルタル調の素材で仕上げられています。ただしスタイリッシュさだけではなくナチュラルさも感じてもらえるように、棚や洗面台などの什器に木目が取り入れられています。

外装塗装の違いを紹介する壁

外装塗装の違いを紹介する壁

「株式会社幸和」様は、外装塗装工事を専門として、住宅・ビル・マンションなどの塗装を100%自社施工により提供されている会社です。塗装工程や外装構造などを顧客に感じてもらえるように、外装塗装専門ショールームがデザインされました。

アイキャッチとなる壁面には、モルタル・ベニヤ・鉄板などの素材の違いを感じてもらえるように、外装塗装見本が施工されています。また屋根の構造を紹介する什器も造作されています。商談スペースにはソファー席が設置されており、顧客が体感しながら相談できるショールームとして仕上げられています。

特徴を活かしてモルタル造形を取り入れよう!

特徴を活かしてモルタル造形を取り入れよう!

モルタル造形の特徴やデザインをご理解のうえで、店舗の内装や外装に取り入れてください。コンセプトや業種・業態に応じて他の内装材と組み合わせながら、理想的な店舗をデザインしましょう。

IDEALは、モルタル造形を含む店舗内外装のデザイン・工事はもちろん、コンセプト設計から物件探し、資金調達、集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。

店舗の開業や移転・リニューアルなどをご検討中の際には、ぜひご相談ください。

キーワード :

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。

> IDEALの編集者ポリシー

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

店舗作り、集客の
無料見積もり・相談をする