2023.01.27  2023.02.03|店舗デザイン

介護施設の内装デザイン!種類別に必要な設備や施工事例・工事費用

介護施設の内装デザイン!種類別に必要な設備や施工事例・工事費用

本記事で、介護施設の内装デザインをご紹介します。介護施設の種類別に必要な設備や施工事例、工事費用などもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

介護施設の種類別に必要な内装や設備

介護施設の種類別に必要な内装や設備

介護施設の種類は多岐にわたります。まず介護施設の種類別に必要な内装や設備を解説します。特徴などをご確認のうえ、内装デザインに活かしてください。

分譲型シニアマンション

分譲型シニアマンションは、高齢者が生活しやすいように設計されたマンションです。居住スペースは夫婦2人が過ごせるように、2LDKの間取りで35~100㎡程度の広さが目安です。

内装にはバリアフリーがデザインされていたり、大浴場などのシニア層が楽しめる共用設備が充実していたりします。介護施設ではなく分譲マンション物件であるため、設備基準は設定されていません。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、「サ高住」と呼ばれる賃貸住宅型の介護施設です。一般的な住宅のように、内装には居室や浴室、キッチン、洗面設備、トイレなどが完備されています。施設によっては、キッチンと浴室が共用の場合もあります。

なお設備基準が設けられており、居住部分の床面積が25㎡以上とされています。ただし緩和基準を設けた自治体もあるので、事前に確認してください。

参考:大阪府「サービス付き高齢者向け住宅の登録基準」

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは「特養」と呼ばれ、自宅での生活が困難な高齢者に対して介護サービスを提供する入居型の介護施設です。

内装の設備基準として、1人あたり10.65㎡以上の床面積が確保された居室が求められます。他にも複数名で利用できる浴室やリビング、トイレ、食堂、機能訓練室などが設置されます。

参考:e-Gov法令検索「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」第11条2項

介護老人保健施設

介護老人保健施設は「老健」と呼ばれ、自宅での生活が難しい方や要介護認定を受けた方が、病院を退院した直後に一時的に入所する介護施設です。

内装の設備基準として、1人当たり8㎡以上の床面積が必要です。他にも療養室や診察室、機能訓練室、レクリエーションルーム、トイレ、洗面所などのスペースを設置する必要があります。

参考:e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第3条

介護医療院

介護医療院は、2023年度末で廃止される介護医療型医療施設の代わりになる施設です。要介護の高齢者を対象に、長期療養のための医療ケアや日常的な介護ケアを提供します。

内装の設備基準として、1人当たり8㎡以上の床面積がある療養室や機能訓練室、浴室、レクリエーションルームなどが必要です。加えて医療ケアのためのX線装置を備えた処置室や臨床検査施設がある点も特徴です。

参考:e-Gov法令検索「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第5条

ケアハウス

ケアハウスは、自立が困難で身寄りがない高齢者が入居できる介護施設(軽費老人ホーム)です。個室形態の施設ですが、家具などで間仕切りをして2人部屋とする施設もあります。

内装の設備基準として、入居者1人につきミニキッチンやトイレなどが設置された21.6㎡以上の個室が必要です。また浴室や食堂、談話室などの共用スペースも求められます。

参考:e-Gov法令検索「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」第10条3項

グループホーム

グループホームは、認知症の高齢者を対象とする介護施設です。認知症に関して専門的な知識を持つ従業員の援助を受けながら、少人数の認知症高齢者が共同生活を送ります。

施設の内装には生活単位であるユニットごとに、食堂やキッチン、共同リビング、洗面設備、トイレ、浴室などが必要です。また居室は1人1室が原則であり、床面積7.43㎡以上が基準となります。

参考:厚生労働省「社会福祉住居施設の設備基準」7ページ

有料老人ホーム

有料老人ホームは、介護付きや住宅型、健康型の分類がある高齢者のための居住施設です。入居希望者の要望に応じて介護施設の種類を選ぶことができます。居室は個室が原則であり、内装は1人当たり13㎡以上の床面積が必要です。

参考:厚生労働省「社会福祉住居施設の設備基準」7ページ

浴室やトイレ、洗面台などを居室内に設けるか、共用設備として設置するかは施設によって異なります。

デイサービス

デイサービス(通所介護)では、利用者が日中に介護施設に通い、日帰りで介護サービスを受けます。内装の施設基準として、利用者1人当たり3㎡以上の広さの食堂及び機能訓練室が必要です。静養室、相談室及び事務室も設置しなければなりません。

参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第95条

他にトイレや厨房、浴室なども必要に応じて設置してください。

介護施設の内装をデザインするポイント

介護施設の内装をデザインするポイント

介護施設の種類別に必要な内装と設備を踏まえたうえで、内装をデザインするポイントをご紹介します。利用者に快適な介護サービスを提供できるように、また法的な要件を満たせるように内装をデザインしましょう。

設備基準を遵守する

まず設備基準を遵守してください。社会福祉住居施設の設備基準として、居室が原則個室であり、床面積が1人あたり7.43㎡以上と定められています。

参考:厚生労働省「社会福祉住居施設の設備基準」(3ページと7ページ)

ただし介護施設の種類によって、居室の床面積や定員などは異なります。介護施設の内装をデザインする際は、法令違反にならないように該当する基準を漏れなく確認しましょう。

施設のコンセプトに基づく

次に介護施設のコンセプトに基づく点も、内装をデザインするポイントです。集客を伸ばせるように、利用者が快適に介護サービスを受けられて家族が安心できる内装をデザインしなければいけません。

例えば「質の高い介護サービス」がコンセプトの施設なら、設備や什器のグレードに気を配ることが必要です。安全面やプライバシー面に配慮する施設なら、採光を意識しつつ窓や出入り口などのデザインを検討する必要があります。

なお介護施設のデザインにも活用できるドアのデザインについて解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

ユニバーサルデザインを取り入れる

また介護施設の内装には、ユニバーサルデザインを取り入れましょう。ユニバーサルデザインとは年齢や性別などに関わらず、できるだけ多くの人が使いやすいように配慮されたデザインです。

例えば車いす利用者を想定して床の段差をなくしたり、足腰の弱い方のために転倒しにくい塩化ビニル系の床材を選んだりするデザインが挙げられます。また通路や階段などの幅を広くして、手すりを設けるデザインも必要です。

サービス利用者の介護度を意識する

さらにサービス利用者の介護度を意識するように配慮が必要です。介護度が高い高齢者を受け入れる際は、居室にトイレや洗面台、介護用ベッドなどが必要となります。

特に浴室のデザインに注意が必要です。浴槽を入りやすい深さ(40㎝程度)にしたり、出入り口に手すりを設置したりしましょう。浴室用車いす(シャワーキャリー)の設置も検討してください。

おしゃれさを取り入れる

加えて介護施設の内装に、おしゃれさを取り入れることも検討してください。デザイン性の高い介護施設を期待する利用者や家族が想定されるからです。

例えばカフェのような食堂や高級旅館を思わせる浴室など、従来の介護施設のイメージを払拭するデザインを取り入れましょう。より多くの利用者を集めるために、機能性とおしゃれさを両立できる内装デザインが必要です。

コミュニケーションスペースをレイアウトする

そしてコミュニケーションスペースをレイアウトする点も、介護施設の内装をデザインするポイントです。従業員とサービス利用者同士の交流ができる貴重な場所になるからです。ただし利用者のプライバシーを損なわないように注意してください。

そこでコミュニケーションスペースと居室エリアを一定程度離してレイアウトしましょう。コミュニケーションスペースに可動型パーテーションを設置すれば、1人で過ごせる空間も提供できます。

日光や自然を取り入れる

介護施設の内装には、日光や自然を取り入れてください。利用者にできるだけストレスを感じさせず、心身共に健康に過ごしてもらうためです。気分が明るくなるような内装をデザインしましょう。

例えば利用者のプライバシーに配慮しつつ大きな窓を設置したり、一定間隔で観葉植物を配置したりします。他にも利用者が景色を眺めながら散歩できるスペースのレイアウトも可能です。

介護施設の内装施工事例

内装デザインポイントを踏まえたうえで、介護施設の内装施工事例をご紹介します。事例ごとに内装デザインポイントが活かされている点を解説します。

スポーツジムのようなデイサービス

スポーツジムのようなデイサービス

引用:株式会社ヴァン・アッシュ「リハビリ特化型デイサービス ともにReha」

「ともにReha」様は、神奈川県藤沢市にあるリハビリ特化型デイサービスを提供する介護施設です。利用者がさまざまなリハビリメニューをこなせるように運動器具が設置されており、スポーツジムのような内装がデザインされています

また木目調の床や大きな窓が施工されて、温かく明るい空間が演出されています。トイレは手すりが設置された広々とした空間で、車いす利用者や歩行の不安な利用者へ配慮されています。

温かい家のような特別養護老人ホーム

温かい家のような特別養護老人ホーム

引用:社会福祉法人まんてん「らんまん鶴見」

「らんまん鶴見」様は、大阪市鶴見区にある特別養護老人ホームです。温かい家のような内装がデザインされています。エントランスには、住宅の玄関をイメージさせる瓦の庇(ひさし)が施工されています。

また居室とは別に、フロアの中央に共同生活室がレイアウトされています。大きな窓や照明が配置されており、居室に閉じこもりきりにならず、入居者同士でコミュニケーションを図ることができます。

明るく家庭的なサービス付き高齢者向け住宅

明るく家庭的なサービス付き高齢者向け住宅

引用:メゾン悠遊「ひとり暮らしでも、夫婦ふたりでも安心・快適な住まい」

「メゾン悠遊」様は、神戸市北区にあるサービス付き高齢者向け住宅の介護施設です。食堂には白色の壁紙や明るい照明、大きめの窓が施工され、明るく家庭的な雰囲気の内装がデザインされています。2階や3階には、入居者同士で会話を楽しめる談話室がレイアウトされています。

居室には洗面台や収納、呼び出しボタンなどが配置されており、入居者の利便性が考慮されています。トイレは広めにレイアウトされており、引き戸のため車いすで利用しやすい空間です。

採光を意識したケアハウス

採光を意識したケアハウス

引用:社会福祉法人榛永会「ケア施設内写真」

「ケアハウスぶどう苑」様は、群馬県北群馬郡にあるケアハウスの介護施設です。各フロアに大きな窓が施工されており、採光が意識されています。共有スペースの食堂には間隔を空けてダイニングテーブルが配置されており、入居者同士でゆったりと食事できます。

また大浴場と個室内の浴室がレイアウトされており、介護度に応じてサービスを提供できるようデザインされています。浴室には椅子や手すりが配置され、入居者が無理なく利用できるように配慮されています。

和洋のデザインを取り入れたグループホーム

和洋のデザインを取り入れたグループホーム

引用:株式会社明慶「グループホームじんぐう」

「グループホームじんぐう」様は、奈良県奈良市にあるグループホームの介護施設です。内装に和洋のデザインが取り入れられており、和室も洋室もレイアウトされています。各居室は独立しており、プライバシーが確保されています。

また入居者が集まるダイニングスペースには太陽光を取り入れる大きな窓がデザインされており、季節ごとの草花を眺めることができ、四季の移ろいを感じながら生活できます。食事を摂りながら入居者同士で会話を楽しめます。

参照:株式会社明慶「グループホームじんぐう」

介護施設の内装工事費用

介護施設の内装工事費用

予算内に理想的な介護施設の内装をデザインするために、内装工事費用を確認しましょう。無駄な経費を抑えるために、工事費用を節約するポイントもご紹介します。

費用の相場

介護施設の内装工事費用の相場は、スケルトン物件なら坪単価15万〜20万円程度です。40坪程度の介護施設であれば、600万〜800万円程度かかります。

ただし介護施設のサービスや規模などによって、費用相場は変化します。またデイサービスのように入浴設備を設けない施設の工事費用は安くなります。設備や内装材のグレードによっても費用が上下する点にもご注意ください。

費用の内訳

介護施設工事費用の内訳には、一般的に次のような内装や設備のデザイン費と施工費が含まれます。ただし介護施設のサービスによって、必要な設備や内装が異なります。

  • 間仕切りと建具
  • 壁・床・天井
  • キッチン・食堂
  • 洗面・トイレ・浴室
  • 機能訓練室
  • 造作家具(収納やカウンターなど)

また利用者に必要な備品や什器(椅子や机、平行棒、テレビなど)の予算を確保する必要もあります。介護施設にも活用できる什器を選ぶポイントを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装工事費用を節約するポイント

内装工事費用を節約するポイントとして、まず居抜き物件を利用しましょう。居抜き物件についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

また内装材のグレードを検討することも、費用削減につながります。介護サービス利用者の安全性や快適性を重視したうえで、費用をかける箇所と抑える箇所を区別しましょう。

加えて介護施設の開業費用を調達するために、補助金・助成金を活用できます。開業エリアを管轄する自治体の担当窓口に相談しましょう。介護施設にも活用できる補助金・助成金の情報をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

サービス利用者に満足される介護施設の内装をデザインしよう!

介護施設の開業準備についても紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

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監修者

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