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2023.06.02 2023.06.06|内装工事
店舗防水工事の流れと方法!目的・種類・費用・注意点・メンテナンス
本記事で、店舗防水工事の流れと方法を解説します。防水工事の目的や種類、工事の費用と注意点、工事後のメンテナンスもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗の防水工事とは?
そもそも店舗の防水工事とは、どういった目的から行われる工事なのでしょうか?そこで工事計画を検討できるように、店舗防水工事の必要性や防水材の種類、工事費用についてご紹介します。
目的
店舗防水工事の目的は、店舗の内装や外装の衛生状態を保つことです。店舗内の水を使用する場所では、カビや菌が繁殖しやすく、害虫が発生する恐れもあります。また水を大量に使用する店舗では、階下へ漏水するリスクもあります。
したがって自店舗の物件の衛生状態を維持し、周辺の住民や店舗などとのトラブルを回避するために、適切な防水工事を行う必要があります。腐食やサビ、悪臭の発生を防ぐこともできますので、店舗経営において防水工事は重要です。
防水材の種類
店舗防水工事に使用される防水材の種類は、次のとおりです。防水材によって、店舗内に防水層を施工できます。
- ウレタン樹脂
- FRP樹脂
- 塩ビシート樹脂
まずウレタン樹脂の施工は簡単で、既存のウレタン防水の上に塗り重ねられるため、改修しやすいです。本体価格は4,000〜6,000円/㎡程度と安いですが、10年以内にメンテナンスも必要です。
次にFRP樹脂は早く乾燥して、強度や耐久性が高いため、熱や薬品、荷重に強い特徴があります。本体価格は5,000〜7,000円/㎡程度とやや高めですが、耐用年数が10年前後です。
そして塩ビシート樹脂の防水シートは、接着材や機械で固定されます。乾燥時間が不要で、広範囲を一気に施工できるため、コストや工期を短縮可能です。本体価格は6,000〜8,000円/㎡程度と高めですが、耐久年数が15年前後あります。
工事費用
店舗防水工事費用は、1万~2万円/㎡程度(材料費込み)です。ただし施工する範囲や素材によって、工事費用は変動します。
下表に、店舗防水工事費用の内訳と相場をまとめましたので、ご確認ください。参考情報として、10㎡の範囲を工事する費用を試算してあります。
工事費用の内訳 | 割合 | 費用の相場(10㎡の範囲) |
材料費 | 40%程度4,000〜8,000円/㎡程度 | 4万~8万円程度 |
高圧洗浄 | 5%程度200~300円程度/㎡ | 2,000~3,000円程度 |
下地処理 | 5%程度200~300円程度/㎡ | 2,000~3,000円程度 |
改修用ドレン設置 | 10%程度 | 10,000~15,000円程度/箇所 |
脱気筒設置 | 10%程度 | 10,000~15,000円程度/箇所 |
発生材処分費 | 10%程度 | 10,000~15,000円程度/箇所 |
管理費 | 10%程度 | 10,000~30,000円程度 |
諸経費 | 10%程度 | 10,000~30,000円程度 |
合計 | 100%1万~2万円/㎡程度 | 10万~20万円程度 |
上表のとおり、店舗防水工事費用の4割を材料費が占めます。業者へ工事を依頼する際の注意点については、後ほどご紹介します。
店舗防水工事の流れと方法
店舗防水工事の基本情報を押さえたうえで、店舗防水工事する流れと方法も確認しましょう。店舗の設備や機器の取り外しから不要な内装材の撤去、防水材の施工、復旧作業、引き渡しまでの流れに沿って、店舗防水工事の方法をご紹介します。
ステップ①設備や機器が取り外される
店舗防水工事の流れは、まず設備や機器が取り外される作業から始まります。設備や機器を破損させないように、慎重に取り外さなくてはなりません。簡単に取り外しできない設備や機器には、解体工事が必要です。
設備や機器を取り外すコストを削減するためには、店舗開業前の内装工事において防水工事を依頼すると良いです。ただし防水層は経年劣化するため、開業後の定期的なメンテナンスも求められます。
なおスケルトン工事と解体工事の違いを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
ステップ②不要な内装材が撤去される
設備や機器を取り外したら、次に不要な内装材が撤去されます。解体工事を行った場合には、廃棄物(内装材)の処分も必要です。
解体された内装材は産業廃棄物に指定されるため、処理業者に依頼しなくてはなりません。廃棄物処理費用もかかるため、防水工事の予算に含めておきましょう。
ステップ③防水材が施工される
不要な内装材を撤去できたら、防水材が施工されます。新規工事では、下地処理の後に防水加工が実施されます。施工する防水材や範囲によって工事費用が変動しますので、見積もり段階で業者に相談しましょう。
防水加工された店舗のメンテナンスでは、防水材の種類が異なる場合や耐久年数を経過した場合には、古い防水加工を剝がす作業も必要です。ただし同じ防水材の種類が施工されていれば、状態に応じて重ね塗りできる場合もあります。
ステップ④復旧作業が行われる
防水材の施工が完了したら、復旧作業が行われます。復旧作業には、取り外した設備・機器の再搬入や解体した内装の改修などが含まれます。店舗営業中の防水工事では、左官工事や給排水工事が必要な場合もあります。
なお店舗開業後に防水工事を計画すると、休業期間が発生します。工事費用だけでなく、売上の損失が出るため、工期の検討が必要です。経営状況によっては、公的機関の補助金・助成金や金融機関からの融資を検討しましょう。
ステップ⑤点検後に引き渡しされる
復旧作業を終えると、点検後に引き渡しされます。現場に立ち合い、施工箇所に直接触れながら、防水加工の仕上がりを確認してください。不明な点があれば、引渡し前に業者と相談し、必要に応じて再工事を依頼しなければなりません。
なぜなら工業業者によっては、引き渡し後の再工事が有償対応になるからです。契約前に、保証期間などの条件を確認しておきましょう。工事後のメンテナンスについては、後ほどご紹介します。
店舗防水工事の注意点
計画的に工事の流れを進められるように、店舗防水工事に関する注意点を確認しましょう。工事業者の実績や相見積もり、物件の種類(スケルトンか居抜き)、防水保証書を取り上げて、店舗防水工事の注意点をご紹介します。
工事業者の実績を確認する
店舗防水工事の注意点として、工事業者の実績を確認しましょう。業者によって、防水工事の方法や技術力に違いがあるからです。各業者の公式サイトや口コミサイトなどを閲覧すると、施工事例や評判などを調べられます。
また防水工事の範囲は、外装や屋根、ベランダ、屋上などと広いです。また住宅を専門としており、店舗物件に対応できない業者もあります。店舗を開業する物件に対応できる業者を選びましょう。
なお防水工事だけではなく、内装のデザインや工事も計画する場合には、設計事務所や工務店、内装工事業者等に依頼できます。各業者の特徴をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
相見積もりを取る
次に相見積もりを取る点も、店舗の防水工事に関する注意点です。防水工事の相場を把握するためにも、複数の業者に見積もりを依頼し、工事の費用と内容を比較をしましょう。相場を把握すれば、防水工事の失敗を防ぐことができます。
相場よりも安すぎたり高すぎたりする見積もりを出す業者には、特にご注意ください。相場よりも安すぎる見積もりだと、手抜き工事のリスクがあります。一方で相場よりも高すぎる見積もりでは、割高の工賃や手数料を請求されている恐れがあります。
なお内装工事の種類や費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
スケルトン物件では店舗開業前に防水工事を行う
またスケルトン物件では店舗開業前に防水工事を行うように、注意しましょう。スケルトン物件は、内装や設備が施工されていない躯体だけの状態です。店舗開業前に防水加工を施すことで、開業後の漏水防止や衛生管理をしやすくなります。
また店舗開業後に防水工事を計画すると、休業期間が発生してしまいます。休業による売り上げ低下を防ぐためにも、店舗開業前の防水工事がおすすめです。スケルトン物件のメリット・デメリットもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
居抜き物件では防水工事の経過年数を確認する
そして居抜き物件では防水工事の経過年数を確認するように、ご注意ください。居抜き物件には、前借主や所有者によって施工された内装や設備が残されています。そのため防水材が施工されている居抜き物件もあります。
しかし防水材の耐用年数は10年前後であるため、居抜き物件では施工された防水材の性能が低下している恐れがあります。防水工事の経過年数を確認したうえで、メンテナンス検討しましょう。
なお居抜き物件には、内装工事費用節約などのメリットがあります。メリットだけではなく、デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防水保証書を受け取る
加えて防水保証書を受け取る点も、店舗の防水工事に関する注意点です。防水保証書は、工事業者や防水素材メーカーによって発行されます。防水工事後に漏水などのトラブルが発生した場合に、物件や顧客に対する損害賠償を保証してもらえます。
したがって防水工事を依頼する前に、業者に防水保証書の発行を確認しましょう。保証期間は業者やメーカーによって異なりますが、10年前後です。保証期間が終わる前にメンテナンスや次の工事を依頼することで、防水性能や保証期間を延長できます。
店舗防水工事後のメンテナンス方法
店舗の防水工事を終えたら、なるべく性能を維持させるためにメンテナンスを心がけましょう。清掃から定期点検、塗り替え、改修用ドレンやかぶせ工法によるメンテナンス方法をご紹介します。
日々の清掃を欠かさない
店舗防水工事後のメンテナンス方法として、まず清掃を欠かさないようにしましょう。防水加工された部分に付いた汚れ(油や水分など)を取り除くことで、衛生状態を保って劣化を防げるからです。
清掃には、柔らかい布やモップ、ほうきなどを使用しましょう。水を撒きながら清掃を行うと、より効率的に汚れを落とせます。ドレンも定期的に清掃することで、詰まりを防ぐことが可能です。
定期点検で早期に劣化に対処する
次に定期点検で早期に劣化を発見することも、店舗防水工事後のメンテナンス方法です。定期点検を怠ってしまうと、劣化が進んで漏水などの被害を招く恐れがあります。特に目に見えない内部の劣化が広がると、補修工事費用が高くなってしまいます。
そのため定期点検を行い、劣化が軽微なうちに補修工事を手配しましょう。長期的に見れば、店舗物件の修繕費を削減できます。防水工事を依頼した業者に定期点検を相談しましょう。
トップコートを塗り替える
またトップコートを塗り替えることも、店舗防水工事後のメンテナンス方法です。防水層を保護するトップコートは、紫外線や風雨に晒されると徐々に劣化が進みます。劣化を放置すれば、防水層の劣化をも引き起こされてしまうため、ご注意ください。
そこで5年前後を目安に、定期的にトップコートの塗り替えが必要です。防水工事後に定期点検を組んでおけば、業者と相談しながら塗り替えの時期を判断できます。
改修用ドレンを設置する
さらに改修用ドレンを設置することも、店舗防水工事後のメンテナンス方法です。既存ドレンに改修用ドレンを被せることで、防水層と雨どいを結合し雨漏りを防ぐことができます。
既存ドレンに防水層を接着させるより、新たに改修用ドレンを活用するほうが、耐用年数が長くなります。防水工事の計画段階で、防水施工箇所に必要なドレンの設置について、工事業者に相談しましょう。
かぶせ工法を検討する
そして店舗防水工事後のメンテナンスとして、かぶせ工法を検討しましょう。かぶせ工法によって、既存の防水層を残しつつ、上に新しい防水層を形成できます。既存の防水層の劣化状況によっては適用できないため、工事業者に相談しましょう。
かぶせ工法により、内装材の撤去にかかる工期と費用を抑えられるうえに、騒音や振動を発生させずに工事を進められます。また既存の防水性能を活かせるため、産業廃棄物の量が減り、環境にも配慮できます。
店舗の防水工事を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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