2023.09.04 2023.10.30|店舗運営ノウハウ
店舗メンテナンスの重点箇所！必要な理由・業者を選ぶ際の注意点・費用
本記事で、店舗メンテナンスの重点箇所と方法を解説します。店舗メンテナンスの必要な理由や業者を選ぶ際の注意点、費用もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗にメンテナンスが必要な理由
なぜ店舗にはメンテナンスが必要なのでしょうか？内装や設備・機器・什器、業務効率、安全の観点から、店舗にメンテナンスが必要な理由をご紹介します。目的を明確にしたうえで、店舗のメンテナンスを計画しましょう。
内装や外装の劣化と破損の修繕
まず店舗にメンテナンスが必要な理由として、内装や外装の劣化と破損の修繕が挙げられます。スケルトン状態の物件に内装や外装を施工しても、店舗営業を続けるたびに劣化や破損が生じますので、定期的な補修や修繕などが必要です。
なお税制上では、建物（躯体）の構造ごとに耐用年数が定められています。内装工事の耐用年数と減価償却に関する情報をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器の保守点検
次に設備・機器・什器の保守点検も、店舗にメンテナンスが必要な理由です。設備・機器・什器のトラブルが急に発生すると、店舗の営業がストップしてしまいます。定期メンテナンスを計画することで、設備・機器・什器の寿命を伸ばして、故障や破損を防止しましょう。
例えば飲食店においては、厨房機器の法定耐用年数が8年と定められています。厨房機器のメンテナンスや修理・交換についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業務効率の向上
また業務効率の向上も、店舗にメンテナンスが必要な理由です。設備・機器・什器に劣化や破損などが生じていなくても、使用するたびに消耗や摩耗していきます。従業員の業務に遅れや間違いが出ないように、店舗全体を定期的にメンテナンスしましょう。
具体的には店舗の業種・業態に関わらず、空調や換気、給排水などの設備・機器やテーブルやカウンターなどの什器にメンテナンスが必要です。また業種・業態に特有の設備・機器・什器（飲食店の調理器具やサロンの施術器具、小売店の陳列棚など）もあります。
安全の管理
そして安全の管理も、店舗にメンテナンスが必要な理由です。内装や外装、設備・機器・什器に劣化や破損が生じていると、来店する顧客はもちろん、従業員にも事故や犯罪の被害が及ぶ恐れがあります。
店舗で発生する恐れのある事故や犯罪として、床での転倒や落下物の衝突、窃盗・強盗、不法侵入、放火などが挙げられます。店舗を防犯対策するポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗メンテナンスの重点箇所と方法
店舗にメンテナンスが必要な理由を踏まえて、メンテナンスの重点箇所も確認しましょう。そこで内装と外装、設備・機器・什器を取り上げて、メンテナンスの具体的な方法をご紹介します。
内装
まず店舗メンテナンスの重点箇所として、内装が挙げられます。一般的な店舗の内装には、天井材や壁材、床材、建具（ドアや窓）などが施工されています。内装材の種類や特徴をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
内装材の具体的なメンテナンス方法をリストにまとめました。従業員で取り組めない方法については、専門業者への依頼を検討しましょう。
- 劣化・破損した内装材の張替え
- ガラス窓のクリーニング
- 床材のモップがけやワックスがけ、カーペットのクリーニング
外装
次に外装も、店舗メンテナンスの重点箇所です。一般的な店舗の外装には、外壁と屋根、エントランス、看板、照明、装飾などが施工されています。外装を構成する要素の機能をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
そして外装材の具体的なメンテナンス方法もリストにまとめました。日常的に実施する方法と定期的に実施する方法を整理しておきましょう。
- 劣化・破損した外壁や屋根の塗装・補修
- エントランスの清掃
- 看板や照明器具などの電球交換
電気設備・照明器具
また電気設備・照明器具も、店舗メンテナンスの重点箇所です。電気設備の保守点検には、法的に専門的な資格（電気主任技術者）が求められます。店舗電気工事の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
参照元： e-Gov法令検索「電気事業法」第43条
一方で店舗の照明器具には、電球の交換やランプシェード・スイッチの清掃などが必要です。照明器具の種類に応じたメンテナンス方法を選びましょう。店舗に施工できる照明の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ガス機器
それからガス機器も、店舗メンテナンスの重点箇所です。ガス機器（給湯器や風呂釜など）の設置や修理には、専門資格（ガス消費機器設置工事監督者）が求められます。異常が発生した際には、直ぐに専門業者に相談してください。
参照元：一般財団法人 日本ガス機器検査協会「ガス消費機器設置工事監督者」
なおガス事業法に基づいて、ガス設備には安全点検が求められます。ガス機器による事故や健康被害を防ぐために、契約しているガス事業者からの情報を確認しましょう。
参照元：東邦ガス「ガス設備の安全点検」
給排水・衛生設備
それから給排水設備も、店舗メンテナンスの重点箇所です。給排水設備には、水道管や給水設備、給湯設備、排水処理設備、衛生設備（洗面所やトイレなど）が含まれます。建築物（店舗）の規模や立地に応じて、給水設備の点検や排水処理設備の清掃などが求められます。
参照元：
なお賃貸店舗においては、所有者や管理業者に確認が必要です。店舗における給排水・衛生設備工事のポイントもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
空調・換気設備
そして空調・換気設備も、店舗メンテナンスの重点箇所です。具体的なメンテナンス方法には、フィルターのクリーニング・交換や温度測定、ガス漏れ・水漏れのチェックなどがあります。店舗に施工される空調設備の基本情報をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
また換気設備は自然換気設備と機械換気設備に分類され、メンテナンス方法には、ファンの洗浄やフィルター交換などがあります。店舗内を換気する方法もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
什器
また什器も、店舗メンテナンスの重点箇所です。一般的な店舗の什器には、テーブル・チェアや施術台、陳列棚、会計カウンターなどがあります。店舗で利用される什器を分類してありますので、次の記事も併せてご覧ください。
什器の具体的なメンテナンス方法には、破損・傾き・汚れのチェックや塗装、クリーニングなどがあります。造作什器の種類や費用もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業種・業態に特有の設備・機器・什器
なお業種・業態に特有の設備・機器・什器も、店舗メンテナンスの重点箇所です。例えばサロンの施術器具や物販店の在庫管理棚などが当てはまります。汚れや塗装の剥がれ、破損、機能性の低下などを防止するために、定期的なメンテナンスを計画しましょう
また飲食業の店舗では、シンクやガスコンロ・ガステーブル、作業台、冷凍冷蔵庫、製氷機、食器棚などが使用されます。厨房設備・機器・什器の選び方や購入方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点
メンテナンスの方法によっては、店舗の従業員に対応できないメンテナンス箇所がありますので、業者への依頼を検討しなければなりません。そこで店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点をご紹介します。
受注実績
まず受注実績が、店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点として挙げられます。受注実績の豊富な業者を選ぶことで、メンテナンスの高い精度や柔軟な対応を期待できるからです。特に各業者が対応してきた店舗の業種・業態を確認しましょう。
そこで店舗メンテナンス業者の受注実績を調べるために、業者の公式サイトや口コミサイト、SNS投稿などにアクセスしましょう。各業者のメンテナンス事例や評判などの情報を得られます。
専門分野
次に専門分野も、店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点です。内装材や外装材、設備・機器・什器ごとに、メンテナンスの専門業者が存在します。特に法的に専門資格が求められるメンテナンス（電気設備や給排水設備など）においては、有資格の事業者へ依頼しなければなりません。
ただし依頼する業者が増える分だけ、相談する手間（従業員の人件費）や手数料がかかります。そこで店舗専門のメンテナンス業者に一括して依頼すると、コストを抑えやすいです。
アフターフォロー
またアフターフォローも、店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点です。特に内装や外装の工事業者にメンテナンスも依頼すると、店舗の施工状態を把握してくれているため、説明や相談の時間を省略できます。
そして各メンテナンス業者に相談した際には、対応の様子や提案内容などにも注意しましょう。想定外のトラブルや不利益を避けるために、希望条件に沿ってメンテナンスを実現できる業者に依頼しましょう。
相見積もり
なお相見積もりも、店舗メンテナンス業者を選ぶ際の注意点です。各メンテナンス業者に同じ希望条件を提示して、見積もりを取ると、各業者の提案内容や費用などを比較できます。適切な内容と費用でメンテナンスを行える業者を選びましょう。
ただし各業者に対して事前に相見積もりの実施を伝え、事後には全業者に対して丁寧に返事をしましょう。別の機会に相談する可能性があるからです。
店舗のメンテナンス費用
店舗に適したメンテナンス業者を選べるように、メンテナンス費用の相場と内訳を把握しておきましょう。無駄な経費を削減できるように、節約方法もご紹介します。各業者へ見積もりを取る際の参考情報としてご覧ください。
相場
まず店舗メンテナンス費用の相場は、月間数万円（年間数十万円）程度です。ただし店舗の業種・業態や物件の規模、設備・機器・什器の種類と台数などに応じて、各店舗のメンテナンス費用は変動します。
内訳
次に店舗メンテナンス費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪の飲食店にかかる5年間のメンテナンス費用を試算してあります。
| 費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 飲食店20坪 （床面積66㎡程度） 5年間の合計 |
| 内装 | 内装材の張替え：1000～2000円程度／㎡ 窓のクリーニング：1000～5000円程度／枚 床材のワックスがけ：300～500円程度／㎡ カーペットのクリーニング：1000～2000円程度／畳 | 10万円程度 5万円程度 20万円程度 5万円程度 |
| 外装 | 外壁や屋根の塗装・補修：1万～2万円程度／㎡ 看板や照明器具などの電球交換：5000～3万円程度／枚 | 10万円程度 5万円程度 |
| 電気設備 照明器具 | 保守点検：数千～数万円程度／回 電球の交換：数千円程度／台 | 3万円程度 2万円程度 |
| ガス機器 | 修理交換：数万円程度／台 安全点検：数千～数万円／回 | 5万円程度 5万円程度 |
| 給排水 衛生設備 | 給水設備の点検：数万円程度／回 排水処理設備の清掃：数万～数十万円程度／回 | 5万円程度 5万円程度 |
| 空調 換気設備 | フィルターのクリーニング・交換：数千～数万円程度／台 温度測定やガス漏れ・水漏れの点検：数千～数万円程度／台 ファンの洗浄やフィルター交換：数千～数万円程度／台 | 5万円程度 5万円程度 5万円程度 |
| 什器 | 破損・傾き・汚れの補修や塗装：数千～数万円程度／台 | 5万円程度 |
| 業種・業態特有の 設備・機器・什器 | 厨房設備の修理・交換：数万～数十万円程度／台 | 5万円程度 |
| 合計 | 5年間にかかるメンテナンス費用 | 100万円程度 （年間20万円程度 月間1～2万円程度） |
上表のとおり、5年間にかかるメンテナンス費用の合計は安くありません。ただし内装・外装・設備・機器・什器の使用状況に応じて、必ずしも全ての費用が発生するわけではない点に、ご注意ください。
節約法
そして店舗メンテナンス費用の節約法をご紹介します。
- 内装・外装・設備・機器・什器の劣化や破損を防ぐ
- メンテナンスのプランを検討する
- 中古品やレンタル品、リース品を選ぶ
まず内装・外装・設備・機器・什器の劣化や破損を防ぐことで、メンテナンス費用を節約できます。正しい使用方法や日常的なクリーニングを徹底しましょう。またメンテナンスのプランを検討して、月額プランや一括サービスを選ぶと、メンテナンス費用の合計金額を節約できます。
さらに内装・外装・設備・機器・什器の中古品やレンタル品、リース品を選ぶと、初期費用を節約できます。直接的にメンテナンス費用を減らすわけではありませんが、経費削減につながります。
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監修者
-
IDEAL編集部
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