2023.11.15  2023.11.21|店舗運営ノウハウ

店舗に対する消防法の規定とは?開業に必要な届出・消防用設備・消防点検

店舗に対する消防法の規定とは?開業に必要な届出・消防用設備・消防点検

本記事で、店舗に対する消防法の規定を解説します。開業に必要な届出・消防用設備・消防点検もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗に対する消防法の規定とは?

店舗に対する消防法の規定とは?

店舗に対する消防法の規定とは、どういった内容でしょうか?そこで本記事では、店舗に対する消防法の規定について、5点(内装制限・防火管理者・消防用設備と消防点検・防炎物品・罰則)に整理してご紹介します。

内装制限

まず店舗に対する内装制限について、消防法に規定されています。消防法に基づいて、火災予防行政の対象となる建築物(防火対象物)の用途が区分されており、火災予防・初期消火・人命救助・本格消火のために、店舗に必要な設備や内装が定められています。

参照元:

消防庁「防火対象物の用途区分表(消防法施行令別表第一) 参考3 1」

消防庁「平成30年版 消防白書」(2.防火対象物)

内装制限の具体例には、避難経路を知らせる避難誘導灯や難燃性のある建築素材、消火栓などがあり、店舗の用途や規模によって制限内容が異なります。消防法による内装制限について解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

防火管理者の選任

次に店舗における防火管理者の選任も、消防法に規定されています。防火管理者とは、建物火災の予防と対応に必要な業務を統括する役職です。消防計画の作成や避難訓練の実施、消防機器の管理やメンテナンスなどの業務を行います。

店舗物件の用途と面積、収容人数によって、防火管理者の選任が求められます。選任されるためには資格が必要で、日本防火・防災協会・都道府県の開催する防火管理講習の受講が必要です。防火管理者の選任や種類、資格の取り方などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

消防用設備と消防点検

また店舗の消防用設備と消防点検も、消防法に規定されています。消防用設備は、3種類(消火設備・警報設備・避難設備)に分類されていますので、後ほど詳しくご紹介します。

参照元:e-Gov法令検索「消防法施行令 」(第10〜29条)

また消防点検により、店舗に設置された消防用設備を定期的に点検しなければなりません。消防点検の頻度と報告義務が定められています。消防点検についても、後ほど詳しくご紹介します。

参照元:e-Gov法令検索「消防法 」(第17条3)

防炎物品

そして店舗の防炎物品も、消防法に規定されています。防炎物品には、防炎性能基準を満たすカーテンやブラインド、じゅうたん、展示用合板、工事用シート、暗幕・どん帳などです。燃えにくい素材や加工で製造されており、防炎性能基準を満たす「防炎ラベル」が付けられています。

参照元:JFRA日本防炎協会「防炎表示と防炎ラベル」

また防炎物品の使用は、消防法により高層建築物や地下街に、政令により不特定多数の人が出入りする建築物(劇場やカフェ、クラブ、飲食店、百貨店、宿泊施設、病院、福祉施設、学校、公衆浴場など)に義務づけられています。

参照元:JFRA日本防炎協会「防炎物品の種類と防炎規制の対象となる防火対象物」

罰則

なお消防法の規定を遵守しない店舗に対しては、罰則が科せられます。違反の内容に応じて罰金刑や懲役刑が科せられ、防火対象物の使用を停止されると店舗営業をできなくなります。

例えば消防点検の報告や防火管理者選任・解任の届出の義務違反に対しては、30万円以下の罰金または拘留の刑が定められています。また防火対象物に対する措置命令に従わないと、罰金刑と懲役刑が科せられます。

参照元:違反是正支援センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」

店舗開業前の消防法に基づく届出

店舗開業前の消防法に基づく届出

消防法の規定を踏まえたうえで、店舗開業前の消防法に基づく届出を確認しましょう。4点(防火対象物使用開始届出書と防火管理者選任届出書、消防用設備等設置届出書、火を使用する設備等の設置届出書)を取り上げて、各届出の目的と申請方法をご紹介します。

防火対象物使用開始届出書

まず「防火対象物使用開始届出書」は、防火対象物の使用開始を消防署に知らせる消防法に基づく届出です。届出を受けた消防署が、店舗物件の安全性を実地検査して、検査結果通知書を発行します。

防火対象物使用開始届出書の提出方法には電子申請・窓口・郵送があり、提出先は店舗の所在地を管轄する消防署です。届出書に、防火対象物の概要表・図面・室内仕上表・建具表などの書類を添付します。提出期限は、建物の使用開始7日前までです。

なお店舗物件の使用開始前に、実地検査を受けなくてはなりません。事前に管轄の消防署に相談したうえで、必要な書類を準備して、実地検査の日程や開業準備の進行などを調整しましょう。

参照元:東京消防庁「<申請様式><防火対象物使用開始届出書>」

防火管理者選任届出書

次に「防火管理者選任届出書」は、防火管理者の選任が求められる店舗が提出する消防法に基づく届出です。防火管理義務対象物には、防火管理の資格を有する者を設置しなければなりません。

防火管理者選任届出書の提出方法には電子申請・窓口・郵送があり、提出先は店舗の所在地を管轄する消防署です。届出書に、資格を証する書面(防火管理講習修了証など)と防火管理者が作成した消防計画を添付します。提出期限は定められていませんが、防火管理者資格を取得したら、速やかに提出しましょう。

なお防火管理者を第三者に委託する場合や防災管理講習を受けていない有資格者を選任する場合には、電子申請の対象外となりますので、注意しましょう。

参照元:東京消防庁「<申請様式><防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書 >」

消防用設備等設置届出書

また「消防用設備等設置届出書」は、店舗に消防用設備(消火栓や火災報知器など)を設置した際に提出する消防法に基づく届出です。届出を受けた消防署が、店舗に設置された消防用設備の安全性を実地検査します。

消防用設備等設置届出書の提出方法には電子申請・窓口・郵送があり、提出先は店舗の所在地を管轄する消防署です。届出書に、防火対象物の概要表・設備に応じた概要表・各種図面などを添付します。消防用設備の種類によって添付書類が異なるため、管轄の消防署に確認しましょう。提出期限は、消防用設備設置から4日以内です。

なお消防用設備を改修した場合にも消防用設備等設置届出書の提出が必要ですので、店舗の改装・移転時にはご注意ください。また届出後の実地検査の日程や開業準備の進行などを調整しましょう。

参照元:「東京消防庁<申請様式><消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書(法第17条の3の2)>」

火を使用する設備等の設置届出書

そして「火を使用する設備等の設置届出書」は、火災発生の恐れのある火を使用する設備を設置する店舗が提出する消防法に基づく届出です。一定規模以上のコンロやボイラー、給湯湯沸設備、サウナ設備などが該当します。

火を使用する設備等の設置届出書の提出方法には電子申請・窓口・郵送があり、提出先は店舗の所在地を管轄する消防署です。届出書に、防火対象物の概要表・届出設備の概要表・各種図面・設備の機器仕様書などを添付します。提出期限は、火を使用する設備を設置する7日前までです。

なお火を使用する設備等の設置から使用開始前までに、消防署による実地検査が必要です。事前に管轄の消防署に相談したうえで、必要な書類を準備して、実地検査の日程や開業準備の進行などを調整しましょう。

参照元:東京消防庁「<申請様式><火を使用する設備等の設置(変更)届出書>」

なお店舗の開業前には、消防法に基づく届出以外にも準備が必要です。次の記事も併せてご覧ください。

店舗に必要な消防用設備の種類

店舗に必要な消防用設備の種類

店舗に必要な消防用設備は、消防法に基づいて3種類(消火設備・警報設備・避難設備)に分類されます。種類ごとに、設置の目的や基準が異なりますので、確認しましょう。

消火設備

まず消火設備は、店舗の火災時に火を消すために必要な消防用設備の種類です。基準を満たす店舗には、消火器と屋内消火栓、スプリンクラーなどが設置されます。

消火設備の種類設置基準特徴
消火器火を使う全ての店舗人が操作して消火する
屋内消火栓・地下・無窓階・4階以上にある150㎡以上の店舗
・上記以外にある700㎡以上の店舗
人が操作して消火する
スプリンクラー・11階以上にある全ての店舗
・地下・無窓階にある1000㎡以上の店舗
・4階以上10階以下にある1500㎡以上の店舗
・上記以外にある平屋以外の6000㎡以上の防火対象物
自動で火災感知と放水を行う

参照元:e-Gov法令検索「消防法施行令 」(第10〜12条)

なお消火設備には、水噴霧消火設備や屋外消火栓、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備、不活性ガス消火設備、粉末消火設備、動力消防ポンプ設備も含まれます。

参照元: 一般社団法人 日本消火装置工業会「はじめに | 消火設備とは」

警報設備

次に警報設備は、店舗内の火災発生を消防署や近隣に知らせるために必要な消防用設備の種類です。基準を満たす店舗には、自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器が設置されます。

警報設備の種類設置基準特徴
自動火災報知設備・11階以上にある全ての店舗
・地下・無窓階にある100㎡以上の店舗
・上記以外にある300㎡以上の店舗
自動的に煙や炎を検知・報知する
ガス漏れ火災警報設備・地下にある延べ面積1000㎡以上の店舗自動的にガス漏れを検知・報知する
漏電火災警報器・300㎡以上の店舗
・契約電流が50Aを超える店舗

参照元:

e-Gov法令検索「消防法施行令 」(第21~22条)

川崎市「27.警報設備の概要(火災報知設備)」

東京防災設備保守協会「ガス漏れ火災警報設備」

日本消防検定協会「漏電火災警報器」

なお警報設備には、消防機関へ通報する火災報知設備や非常警報器具、非常警報設備も含まれます。

参照元:

東京防災設備保守協会「消防機関へ通報する火災報知設備」 

東京防災設備保守協会「非常警報設備(非常ベル・放送設備)」

東京防災設備保守協会「非常警報器具」

避難設備

また避難設備とは、店舗内に火災が発生した際に避難のために必要な消防用設備の種類です。基準を満たす店舗には、避難器具と避難誘導灯・誘導標識が設置されます。

避難設備の種類設置基準特徴
避難器具2階以上にある50人以上を収容する店舗・避難はしごや滑り台、救助袋、緩降機などがある
・避難経路を使用できない場合に使用される
避難誘導灯・
誘導標識
全ての店舗・非常口の位置や避難の方向を示す
・照明器具が付いている

参照元:

e-Gov法令検索「消防法施行令」(第25~26条)

e-Gov法令検索「消防法施行規則」(第28条の2)

堺市「第17 避難器具」

消防庁「消防法令上の誘導灯及び誘導標識の概要」

店舗開業後の消防点検に関する基本情報

店舗開業後の消防点検に関する基本情報

店舗開業後には、消防法(消防用設備等点検報告制度)に基づいて、消防用設備の点検(消防点検)が必要です。そこで消防点検に関する基本情報(対象と種類、頻度、資格、報告、不備があった際の対処法)について解説します。

参照元:e-Gov法令検索「消防法 」(第17条3)

対象

まず消防点検の対象は、全ての防火対象物と建物に設置される全ての消防用設備です。防火対象物には、不特定多数の人が集まる建築物や火を扱う建築物、火災時の消火活動が困難な建築物などが該当します。

参照元:消防庁「[防火対象物] 参考1-1」(2~3ページ)

また消防用設備には、消火設備と警報設備、避難設備が含まれます。消防点検に関する罰則を受けないように、店舗内に設置されている消防用設備の種類と数を把握しておきましょう。

参照元:消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。」

種類

次に消防点検には、2種類(「機器点検」と「総合点検」)あります。機器点検では、店舗に設置された消防用設備が、目視と簡単な操作によって確認されます。損傷や誤作動が発見された設備には、対応が必要です。

総合点検では、店舗内に設置された消防用設備を実際に作動させて、総合的な機能性が確認されます。なお消防用設備の種類によって、点検の基準や方法が異なります。

参照元:

消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。」

東京消防庁「<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><消防用設備等点検報告制度>」

頻度

また消防点検の頻度については、機器点検が6ヶ月に1回、総合点検が1年に1回です。消防法施行規則によって定められており、違反すると罰則が科せられます。

参照元: e-Gov法令検索「消防法施行規則(第31条6)

点検を行った結果を記録する「維持台帳」を用意して、点検結果を報告するまでの間に正確に記録して保管しなければなりません。店舗内の設置された全ての消防用設備が対象ですので、点検や記録の不備がないように気をつけましょう。

参照元:

消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。」

日本火災報知器工業会「消防用設備等点検報告制度」

資格

それから消防点検の資格には、消防設備士や消防設備点検有資格者があります。以下の条件に当てはまる場合には、消防点検の資格が必要です。

  • 延べ面積1000㎡以上の特定防火対象物(デパートや飲食店、地下街など)
  • 屋内階段が1つしかない特定防火対象物(地下や3階以上にある飲食店など)
  • 消防長の指定した延べ面積1000㎡以上の非特定防火対象物(工場や事務所など)

参照元:e-Gov法令検索「消防法施行令」(第36条2)

上記以外の防火対象物に対しては、防火管理者などの関係者が点検できますが、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が推奨されています。

参照元:

消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。」

日本火災報知器工業会「消防用設備等点検報告制度」

報告

そして消防点検後には、決められた頻度(特定防火対象物は1年に1回、他の防火対象物は3年に1回)で、消防長または消防署長に事実どおりに報告しなければなりません。

参照元:e-Gov法令検索「消防法施行規則 」(第31条6)

したがって結果を報告する前に、消防点検の実施状況や報告書の記載内容を確認しましょう。不備が発見された場合には、適切な対処が求められるため、次にご紹介します。

参照元:

消防庁「消防用設備等には定期点検が必要です。」

日本火災報知器工業会「消防用設備等点検報告制度」

不備の対処

なお消防点検により不備を指摘されたら、該当する設備を改修して、速やかに対処しなければなりません。消防設備が正常に作動していないと、火災発生時に被害拡大の恐れがあるからです。

そこで消防点検の結果報告後に、消防署から不備を指摘された場合には、「消防用設備等点検報告改修計画書」を速やかに提出します。設備の不備を改修できたら、改善報告書を提出しましょう。

参照:東京消防庁「<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><消防用設備等点検報告制度>」

なお店舗物件の建築には、建築確認と完了検査が必要です。次の記事も併せてご覧ください。

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