2023.09.08  2023.08.23|新規開業ノウハウ

賃貸店舗の保証金(敷金)とは?礼金との違い・注意点・契約の流れも紹介!

賃貸店舗の保証金(敷金)とは?礼金との違い・注意点・契約の流れも紹介!

本記事で、賃貸店舗の保証金(敷金)について、礼金との違いや注意点、契約の流れなどを解説します。また保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

賃貸店舗の保証金(敷金)とは?

賃貸店舗の保証金(敷金)とは?

そもそも賃貸店舗の保証金(敷金)とは、いくらでしょうか?そこで賃貸店舗の保証金の定義や相場をご紹介します。敷金と礼金の違いや解約時の償却と返還に関する情報を確認しましょう。

定義

まず賃貸店舗における保証金(敷金)の定義は、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」です。

参照元:e-Gov法令検索「民法」第622条の2

つまり「賃貸借契約の担保として賃借人が賃貸人に支払うお金」が、賃貸店舗における保証金(敷金)です。賃借人が請求された賃料や修繕費を支払わない場合には、賃貸人は担保として預かっている保証金(敷金)を支払いに充てることができます。

解約時の償却と返還

次に賃貸店舗の保証金(敷金)は、解約時に償却と返還の手続きが行われます。償却とは、賃貸借契約条件に基づいて、預けていた保証金(敷金)から解約日までの賃料や原状回復の工事費用などが差し引かれる特約事項です。

そして償却された残りの金額が、賃借人へ返還されます。解約日までの賃料や原状回復の工事費用が足りない場合には、不足額が請求されます。ただし敷金の償却の条件は、賃貸店舗物件ごとに異なるため、契約前に確認が必要です。

相場

そして賃貸店舗の保証金(敷金)の相場は、賃料の6~10ヶ月程度です。ただし賃貸店舗の立地や規模等に応じて、保証金(敷金)の額は変動します。

また一般的に賃貸店舗の保証金(敷金)は、住居物件よりも高く設定されます。店舗経営の悪化による滞納や退去時の原状回復義務の不履行などのリスクに、賃貸人が備えるためです。

賃貸店舗の原状回復に必要なスケルトン工事には、坪単価1万~5万円程度かかります。スケルトン工事の流れや費用などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

礼金との違い

なお賃貸店舗の保証金(敷金)と礼金との違いは、目的と金額です。保証金(敷金)は賃貸借契約の担保を目的として、賃借人が賃料6~10ヶ月程度を賃貸人に預けます。賃貸店舗においては、「保証金(敷金)なし」の条件は珍しい。

一方で礼金は、賃貸店舗の賃貸人に対するお礼の目的として、賃借人が賃料1~3か月分程度を賃貸人に支払います。礼金は解約時に返金されませんが、「礼金なし」の条件で貸し出される店舗物件があります。

賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点

賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点

賃貸店舗の保証金(敷金)の基本情報だけではなく、注意点も確認しましょう。6点(支払いの時期と方法、償却や返還の条件、契約前の交渉、居抜きでの退去、賃料や光熱水費などの未納、原状回復の状態)に整理しました。

支払いの時期と方法

まず支払いの時期と方法が、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点として挙げられます。賃貸店舗における保証金(敷金)の支払い時期は、一般的に入居前の契約時です。基本的には礼金と同時に支払いを求められます。

そして支払い方法(銀行振込や現金など)については、賃貸人から指定されます。また管理が委託されている賃貸店舗においては、管理業者を通じた保証金(敷金)の支払いが必要です。

償却や返還の条件

次に償却や返還の条件も、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点です。償却や返還の条件があいまいだと、退去時のトラブルを招きますので、契約前に確認しましょう。

例えば「保証金(敷金)は解約日までの日割りの賃料や原状回復の工事費用として償却される」という条件が定められているなら、保証金(敷金)は返還されません。また保証金(敷金)の返還に対しては、「退去から1か月以内に償却後の残額を返金する」などの条件が定められます。

契約前の交渉

また契約前の交渉も、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点です。賃貸店舗の賃貸人や管理業者が同意すれば、保証金(敷金)が減額されます。賃貸借契約書にサインする前に、申し込みの段階で希望条件を交渉してください。

ただし人気物件への入居を希望する場合には、保証金(敷金)の無理な減額を求めると、審査に通らない恐れがあります。他の入居希望者が選ばれてしまうため、過度な減額交渉を避けましょう。

原状回復の状態

それから原状回復の状態も、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点です。退去時に原状回復されていない場合には、契約条件に基づいて原状回復の工事費用が保証金(敷金)で償却されます。

特に入居前から施工されていた内装や設備・機器・什器の破損や劣化が激しい場合には、保証金(敷金)だけでは充当できず、追加の工事費用を求められてしまいます。退去時の保証金(敷金)の返還率を高めるためには、入居中に賃借している店舗物件の破損や劣化を防止しましょう。

賃料や光熱水費などの滞納

そして賃料や光熱水費などの未納も、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点です。賃料を滞納すると、保証金(敷金)で償却される場合がありますが、店舗経営者としての信用を下げてしまいます

また雑居ビルやショッピングモールなどにおいては、ビル管理業者が一括して賃貸店舗の光熱水費を徴収する場合があります。光熱水費の滞納も保証金(敷金)で償却される場合がありますが、入居者としての信用が下がってしまいます。

居抜きでの退去

なお居抜きでの退去も、賃貸店舗の保証金(敷金)に関する注意点です。居抜きでの退去が認められない場合には、原状回復の工事費用が発生します。賃貸借の契約条件によっては、保証金(敷金)から償却されます。

そこで居抜きでの退去を希望する場合には、契約前に賃貸人や管理業者に許可を得ましょう。賃貸借契約以外にも、居抜き物件のトラブル事例と対策をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗物件の賃貸借契約の流れと手続き

店舗物件の賃貸借契約の流れと手続き

賃貸店舗の保証金(敷金)の注意点を押さえたうえで、店舗物件の賃貸借契約の流れと手続きも確認しましょう。

  1. 不動産業者への相談
  2. 候補となる物件の内見
  3. 貸借の申し込み
  4. 貸主による審査
  5. 契約手続き

以上の流れに沿って、店舗物件の賃貸借契約の手続きをご紹介します。

不動産業者への相談

まず店舗物件の賃貸借契約を結ぶためには、不動産業者への相談が必要です。不動産業者へ相談すると、Web上に掲載された物件の詳細情報だけではなく、Web上に非公開の物件情報も得られます。

また不動産仲介業者に相談することで、賃料・保証金(敷金)・礼金の減額交渉や申し込みから審査の手続きをしやすいです。開業予定エリア内においては、複数の不動産業者へ相談しましょう。

候補となる物件の内見

次に不動産業者へ相談したうえで、候補となる物件の内見を申し込みましょう。日を改めて同じ店舗物件を内見することは難しいため、チェックリストを整理したうえで、店舗物件内を確認しなければなりません。

また店舗物件の種類(居抜きかスケルトン)によって、確認できる箇所(躯体や施工されている内装・設備・機器・什器など)が異なります。不明点や疑問点については、不動産業者や管理業者に確認しましょう。

賃借の申し込み

それから複数の店舗物件を内見したうえで、賃借の申し込みを決めます。店舗物件の希望条件(立地や規模、間取り、賃料、種類など)を整理したうえで、賃借を申し込む店舗物件を決めてください。

ただし申し込み時点では、賃借は保証されていません。希望する物件を借りられない状況を想定して、複数の物件に優先順位を付けておく必要があります。また事前に店舗物件の賃貸人の希望条件(賃借の期間や店舗の業態など)も確認しておきましょう。

貸主による審査

そして店舗物件の賃借を申し込むと、店舗物件の貸主による審査を受けます。仲介業者や管理業者が代行する場合もありますので、指定された申込用紙や店舗経営者の身分証、事業計画書を提出してください。

特に事業計画書には、店舗の事業方針や資金計画などが記載されています。幅広い業種・業態の店舗に活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

契約手続き

いよいよ審査に受かったら、店舗物件の賃貸借契約手続きが開始されます。契約書にサインする前に、以下のポイントを確認しましょう。

  • 契約の形態と期間
  • 賃料・礼金の金額や保証金(敷金)の償却・返還
  • 契約解除の期間と方法
  • 原状回復などの特約

契約条件に不明点や変更点があるなら、サインする前に確認や交渉をしなければなりません。ただし安定した店舗経営を続けるためには、貸主との良好な関係を築かなければなりません。

保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイント

保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイント

店舗物件の賃貸借契約の流れと手続きに加えて、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントをご紹介します。物件取得費と居抜きとスケルトンの違い、物件探し、内装デザイン、内装工事、メンテナンスに関するポイントをご覧ください。

物件取得費

まず物件取得費が、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントとして挙げられます。賃貸店舗の物件取得費には、保証金(敷金)以外にも礼金や前貸料、管理費、仲介手数料、保険料などが含まれます。

賃貸店舗の物件取得費の目安は、賃料の6~12か月分程度です。ただし立地や規模、契約条件などによって変動します。また業種・業態によりますが、賃貸店舗の賃料の目安は、売上の10%程度です。

居抜き物件とスケルトン物件の違い

次に居抜き物件とスケルトン物件の違いも、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントです。居抜き物件とスケルトン物件の違いは、以下のとおりです。

  • 費用
  • 工期
  • 汎用性
  • 管理のしやすさ
  • 認知度

特に店舗の開業費用を節約する場合には、居抜き物件が適しています。居抜き物件とスケルトン物件の違いだけでなく、居抜き物件が向いているケースも紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

物件探し

また物件探しも、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントです。賃料だけで物件を選んでしまうと、店舗経営のコンセプトに合わず、集客に苦労する恐れがあります。そこで以下の点に注意しましょう。

  • 開業する店舗のコンセプトを設計する
  • 店舗物件の希望条件を整理する
  • 店舗物件の取得費用を調達しておく
  • 具体的な物件をWeb検索して内覧を予約する
  • 店舗物件の賃貸契約を申し込む

以上の点について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装デザイン

そして内装デザインも、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントです。店舗の内装デザインでコンセプトを表現するためには、適した店舗物件を選ぶ必要があります。例えば大人の隠れ家をコンセプトにしたバーなら、地下店舗や空中店舗を選びます。

また店舗の集客と売上を伸ばすためには、物件の動線や安全性・耐震性、耐久性、断熱性なども考慮しなければなりません。内装デザインの種類や事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装工事

さらに内装工事も、保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントです。デザインした理想的な内装を店舗に工事するために、以下の点に注意して信頼できる工事業者を選びましょう。

  • 施工実績数
  • 施工事例の業種や業態
  • 複数業者からの相見積もり
  • 適正な見積もり金額
  • 内装工事業者の接客対応

特に相見積もりを取ることで、複数の業者が提案した工事の内容と費用を比較できます。内装工事業者の選び方や工事費用を解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

メンテナンス

なお保証金(敷金)以外の賃貸店舗に関するポイントとして、メンテナンスも忘れてはなりません。店舗物件のメンテナンスは、内装や外装の劣化と破損の修繕、設備・機器・什器の保守点検、業務効率の向上、安全の管理などのために必要です。

そして店舗の内装や外装、設備・機器・什器の状態に応じて、メンテナンスを計画しましょう。店舗メンテナンスの重点箇所と方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

保証金(敷金)を考慮して賃貸店舗を契約しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

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