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2023.10.16 2023.10.27|内装工事
店舗内装工事の請負契約書なしは違法?基本情報やひな形・注意点を紹介
本記事で、「内装工事の請負契約書なしは違法か?」について解説します。また店舗内装工事の請負契約書に関する基本情報・ひな形・注意点もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗内装工事の請負契約書に関する基本情報
内装工事の請負契約書なしは違法でしょうか?契約書なしは違法ですが、契約書なしでも契約は成立します。ただし軽微な建設工事でも契約書は必要ですので、契約書を作成しないリスクについても解説します。
契約書なしは違法
まず店舗内装工事において、請負契約書なしは違法です。建設業法に基づいて、内装仕上工事を含む建設工事を請け負う業者は、契約条件を書面に記載して、署名(記名と押印)をしなければなりません。
なお店舗内装工事の請負契約書には、工事内容や請負代金、工事期間、支払い時期、損害賠償の負担、引き渡しの方法、引き渡し後の補償、紛争の解決方法などを記載しなければなりませんので、後ほど紹介します。
契約書なしでも契約は成立
ただし店舗内装工事において、請負契約書なしでも契約は成立します。建設工事の請負契約は、不要式契約(契約の成立に格別の形式は必要とされていない契約)だからです。つまり口頭でのやり取りによっても、内装工事を依頼できます。
なお上記(建設業法第19条)のとおり、建設工事の請負契約においては、建設業者と施主との間で、書面を作成しなければなりません。契約方法の自由原則が当てはまらず、例外的な対応が必要です。
参照元:アクト法務事務所「契約書の必要性 – その他の手続き」
軽微な建設工事でも契約書は必要
また店舗内装工事の請負契約においては、軽微な建設工事でも契約書は必要です。軽微な建設工事のみを請け負う業者は、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいとされていますが、契約書を作成しなくてよいわけではありません。
なお軽微な建設工事の条件は、以下のとおりです。
- 1件の請負代金1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事(建築一式工事)
- 1件の請負代金500万円未満の建築一式工事以外の工事
参照元:国土交通省「建設業の許可とは」
契約書を作成しないリスク
そして店舗内装工事の契約書を作成しないリスクとして、行政処分や紛争が挙げられます。建設業法第19条の違反に対する罰則は定められていませんが、建設工事を管轄する行政庁からの指示や韓国を受ける恐れがあります。
また契約書を作成しないために、店舗内装工事の費用や期間、内容に関する認識のズレが生じてしまうと、業者と施工主の間で紛争が起きてしまいます。法令を遵守して、店舗内装工事の請負契約書を作成しましょう。
参照元:弁護士法人グレイス「建設業における契約書作成上の注意点」
店舗内装工事における請負契約書のひな形
店舗内装工事の請負契約書に関する基本情報を押さえたうえで、請負契約書のひな形(工事内容・請負代金・工事期間・支払い時期・損害賠償の負担・引き渡しの方法・引き渡し後の保証・紛争の解決方法)を確認しましょう。
工事内容
まず店舗内装工事における請負契約書のひな形には、工事内容を記載しましょう。設計図を添付して、施工する内装(天井や壁、床、建具など)や設備・機器・什器を明示します。内装工事の種類や流れについて後ほどご紹介します。
工事期間
次に工事期間も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載しましょう。内装工事の開始日と期間、引き渡しの予定日を明記します。なお施工の休止が必要な場合には、休止する日時の記載も必要です。
請負代金
また請負代金も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載してください。内装工事費用の総額を記載し、内訳を記載した見積書を添付します。店舗内装デザイン・工事の費用について、後ほどご紹介いたします。
支払い時期
それから支払い時期も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載します。請負代金の全部または前金と出来高を支払う金額と時期を明記しましょう。工事内容の変更に伴う代金の算定方法の記載も必要です。
損害賠償の負担
さらに損害賠償の負担も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載してください。内装工事により第三者が損害を受けた際には、賠償金を請求される恐れがあります。依頼主と工事業者の負担方法を明記しておきましょう。
引き渡しの方法
加えて引き渡しの方法も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載しなくてはなりません。内装工事の進捗状況や完了を確認するためには、検査が必要です。検査から引き渡しまでの時期と方法を明記しましょう。
引き渡し後の保証
また引き渡し後の保証も、店舗内装工事における請負契約書のひな形に記載します。契約した工事内容に適合しない場合には、改修や返金などが必要です。保証の内容や方法、保険などを確認しましょう。
紛争の解決方法
なお店舗内装工事における請負契約書のひな形には、紛争の解決方法も記載しましょう。契約内容全般(工事の内容や期間、請負代金の支払い、損害賠償、引き渡しなど)について紛争が起きた際には、依頼主と工事業者による協議や第三者による仲裁が必要です。
店舗内装工事の請負契約書に関する注意点
店舗内装工事における請負契約書のひな形だけではなく、注意点(見積書・損害金・クーリングオフ・収入印紙・支払い・契約不適合責任・個人情報保護・下請け)も押さえておきましょう。
見積書の金額
まず見積書の金額が、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点として挙げられます。内装工事の見積書には、工事費用の内訳(工事する箇所や仮設工事費、内装材の代金と運搬費、工賃、施工後のクリーニング費など)が記載されます。
請負契約書には請負代金の総額しか記載されませんので、添付される見積書の確認が重要です。契約書にサインする前に、問題点や疑問点を業者に相談して、納得できる見積書に修正してもらいましょう。
遅延に対する損害金
次に遅延に対する損害金も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。契約した引き渡し時期を過ぎても内装工事が完了しないと、開業準備を進められないため、開業日が遅れるリスクが高まります。
そこで店舗内装工事の請負契約書には、遅延に対する損害金を明記してもらいましょう。工事業者は損害金の支払いを避けたいため、施工監理の徹底を期待できます。ただし遅延が発生したとしても、損賠金の支払いには正当な理由が必要です。
クーリングオフの期間
またクーリングオフの期間も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。工事業者から電話勧誘を受けた場合や契約日から8日以内の場合には、書面で通知することで、クーリングオフが適用されます。
ただし特定商取引に関する法律によって、クーリングオフが適用される条件が定められています。店舗内装工事の請負契約書に、クーリングオフが適用される条件を明記しておきましょう。
参照元:ベリーベスト法律事務所「リフォームの契約はクーリングオフできるのか|方法と注意点」
収入印紙
続いて収入印紙も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。内装工事の請負代金に応じて、契約書に収入印紙を貼らなければなりません。暫定的に軽減税率が適用されています(2023年9月時点)。
一般的には契約書の作成者が、収入印紙を負担します。収入印紙の貼る場所や消印に注意が必要です。また収入印紙を貼り忘れると、過怠税を徴収されますので、ご注意ください。
支払いの方法
さらに支払いの方法も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。店舗内装工事の請負代金は数百万から1,000万円以上になりますので、一般的に分割払いが採用されます。契約段階で、分割払いの時期と金額を工事業者と相談しなければなりません。
なお分割払いの回数には、2回(工事着手の前金と完了金)や3回(工事着手の前金、中間金、完了金)があります。依頼主と工事業者の希望や請負代金の金額に応じて、分割払いの回数を決めましょう。
契約不適合責任の範囲
加えて契約不適合責任の範囲も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。契約内容に適合しない場合には、工事履行の追完や請負代金の減額、損害賠償、契約解除などを請求できます。
そこで店舗内装工事の請負契約書に、契約適合責任の範囲を明確にしておきましょう。なお2020年に民法が改正され、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ変更されています。
参照元:ベリーベスト法律事務所「契約不適合責任とは? 瑕疵(かし)担保責任との違い・期限・免責について」
個人情報の保護
そして個人情報の保護も、店舗内装工事の請負契約書に関する注意点です。請負契約書には、依頼主の氏名や住所などが記載されるため、情報漏洩や無断使用などを防止しなければなりません。
そこで店舗内装工事の請負契約書には、情報の収集や秘密保持や、漏洩防止、目的外利用の禁止、複製の禁止、返還や廃棄などについて記載しましょう。依頼主と工事業者の信頼関係を保つために重要です。
下請けの可否
なお店舗内装工事の請負契約書に関する注意点として、下請けの可否も挙げられます。建設業法第22条に基づいて、一括下請負(元請け業者から下請け業者への丸投げ)は禁止されています。
しかし店舗内装工事の内容によっては、元請け業者が下請け業者の協力を得る必要があります。下請け工事が必要な場合には、請負契約書に依頼主からの許可について記載しなくてはなりません。
店舗内装工事に関するポイント
請負契約書にサインする前に、店舗内装工事に関するポイントを押さえておきましょう。希望条件に合った契約を結べるように、店舗内装工事の流れや種類、費用、耐用年数、原状回復義務についてご紹介します。
流れ
まず店舗内装工事の流れをご確認ください。
- 業者探しと問い合わせ
- 相見積もりと契約
- 業者との打ち合わせ
- 店舗物件探しと現場調査
- 店舗内装デザインの完成
- 店舗の内装工事
- 店舗の引き渡し
以上の流れには、数か月から半年以上がかかります。また店舗の内装工事を依頼できる業者は、設計事務所や工務店、内装専門業者などです。店舗内装工事の流れや注意点について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
種類
次に店舗内装工事の種類も把握しておきましょう。物件の状態(居抜きかスケルトン)によって、必要な工事が異なります。
- 軽鉄工事
- ボード工事
- 壁紙工事
- 塗装工事
- 左官工事
- 床仕上げ工事
- 建具工事
- 家具工事
- 設備工事
以上の種類について目的や方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。内装工事の種類によって、建築業許可や設計士、建築施工管理技士、内装仕上げ施工士などの資格が必要です。
費用
また店舗内装工事の費用は、物件の状態(居抜きかスケルトン)や規模、立地などによって変動します。
- スケルトン物件:坪単価30万-50万円程度
- 居抜き物件 :坪単価10万-30万円程度
なお店舗内装工事費用を節約する方法として、相見積もりや補助金・助成金、居抜き物件などがあります。居抜き物件のメリット・デメリットについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐用年数
それから店舗内装工事の耐用年数は、内装材や設備・機器・什器の種類によって異なります。耐用年数とは所得税法や法人税法に定められた減価償却の配分期間で、減価償却(長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理)のために必要です。
そこで店舗内装工事の耐用年数について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。法令を遵守して、適切に減価償却費を計上しましょう。
原状回復義務
なお賃貸借契約した店舗物件を内装工事した場合には、賃借人は原状回復義務を負います。つまり賃借する前の状態に戻してから物件を退去しなければなりません。契約前に、原状回復の範囲を費用負担を確認しておきましょう。
そして原状回復義務を果たすためには、スケルトン工事が必要です。スケルトン工事の流れや費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。ただし所有者が同意すれば、居抜きの状態で退去できる場合もあります。
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監修者
-
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