店舗の開業や改装、移転を検討し…
2023.10.18 2023.10.02|内装工事
店舗物件の建築確認と完了検査とは?流れや注意点もご紹介
本記事で、店舗物件の建築確認と完了検査について解説します。建築確認から完了検査までの流れや注意点もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗物件の建築確認とは?基本情報
店舗物件の建築確認とは、店舗の新築や増築、改築、移転工事などの着工前に必要な法的手続きです。店舗物件の建築確認について、基本情報(法的要件や申請方法、審査内容、有効期限)をチェックしましょう。
法的要件
まず店舗の建築確認の法的要件は、建築基準法に定められています。建築物の階数や面積などによって、店舗物件の建築確認が必要です。建築確認が必要な場合には、着工前に建築主事(指定確認検査機関)による審査や検査を受けます。
建築確認が必要な建築物は4種類(1~4号)に分類され、新築や増築、改築、移転などの前に建築確認が必要です。例えば3階以上で延べ床面積が500㎡、高さが13mもしくは軒高9mを超える木造建築物は、第2号に分類されています。
申請方法
次に店舗物件の建築確認の申請方法は、審査機関への書類提出です。地方自治体ごとに、審査機関が設けられています。
参照元:東京都都市整備局「東京都23区内の建築物の建築確認・許可申請等の所管」
また建築確認の申請方法として、窓口や郵送での書類提出だけではなく、電子申請もあります。各自治体のWebサイトで確認しましょう。
なお施工主による申請だけではなく、業者(建築士や設計事務所、建築業者など)による代行も可能です。手数料はかかりますが、専門家に依頼することで、問題なく手続きを完了できます。
審査内容
また店舗物件の建築確認における審査内容には、単体規定と集団規定、建築基準関係規定があります。
- 単体規定:建築物の安全性確保の観点から敷地・防火・非難・構造・設備を審査
- 集団規定:健全な街づくりの観点から接道・用途・形態を審査
- 建築基準関係規定:バリアフリー法・消防法・都市計画法等に規定される敷地や構造を審査
以上の審査を通過することで、建築確認済証が交付されます。つまり法令に適合した工事計画だと認められ、工事を開始できます。
有効期限
店舗物件の建築確認後に交付される確認済証には、有効期限がありません。ただし確認済証の交付から着工日までに法改正された場合には、着工時点の法律に従います。
したがって確認済証の交付後に速やかに着工できるように、着工開始時期の法改正予定を調査し、店舗工事業者と相談しておきましょう。なお確認済証の申請中に法改正された場合には、新旧どちらの法令が適用されるのかを担当窓口で確認してください。
なお建築物に対する消防法と建築基準法の内装制限についてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗物件の完了検査とは?基本情報
次に建築確認だけではなく、完了検査の基本情報(法的要件や申請方法、審査内容、有効期限)も確認しましょう。店舗物件の完了検査とは、店舗の新築や増築、改築、移転などの工事完了後に法的に必要な検査です。
法的要件
まず店舗物件の完了検査の法的要件は、建築基準法に定められています。工事完了日から4日以内に申請しなければなりません。完了検査の目的は、確認済証の交付されたとおりに適切に工事されたかの確認です。
なお止むを得ない理由がある場合には、申請の遅延が認められますが、基本的には工事が完了したらすぐに申請する必要があります。店舗物件の竣工から完了検査までの日程を確認しておきましょう。
申請方法
次に店舗物件の完了検査の申請方法は、建築確認と同様で、審査機関への書類提出です。完了検査の書類も業者(建築士や設計事務所、建築業者など)に代行を依頼できるため、施工主が進める必要はありません。
ただし代行を依頼する場合には、委任状の作成が必要です。手続きが円滑に進むように、
速やかに必要書類を提出しましょう。完了検査の申請が受理されると、建築主事(指定確認検査機関)による審査が開始されます。
審査内容
また店舗物件の完了検査の審査内容は、「新築、増築、改築、移転された建築物が法令の基準に適合しているか」です。建築物の間取りや構造、設備、大きさ、高さなどを細かく見られます。完了検査を通過できなければ、店舗物件の営業が認められません。
参照元:東京都「完了検査申請書」(4~5枚目)
なお地方自治体の規定によっては、建築確認と完了検査の間に、中間検査も必要です。中間検査では、特定の工程が終わった段階で、「法令の基準に適合しているか」が検査されます。中間検査に合格しないと、工事を再開できません。
有効期限
そして建築確認済証と同様に、店舗物件の完了検査後に交付される完了検査済証にも、有効期限はありません。ただし建築物の増築や改修、移転などをする場合には、再度、建築確認から完了検査までの手続きが必要です。
なお確認済証と完了検査済証が交付されたら、大切に保管してください。仮に紛失してしまうと、登記や融資を受ける際に不利になる恐れがあります。基本的に再発行されません(代替書類の発行は可能)ので、有効期限の有無に関わらず厳重な保管が必要です。
参照元:日野市「確認済証・検査済証を紛失した場合について教えてください。」
なお内装工事の耐用年数と減価償却についてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗物件の建築確認から完了検査までの流れ
そして建築確認と完了検査の基本情報を押さえたところで、店舗物件の建築確認から完了検査までの流れも把握しておきましょう。7点(建築確認の申請から審査、交付、着工、完了検査の申請から審査、交付まで)に整理してご紹介します。
工事着手前に建築確認を申請する
まず店舗物件の工事着工前に建築確認を申請してください。地方自治体のWebサイトで申請書類を確認しましょう。
- 確認申込書
- 建築計画概要書
- 委任状
- 建築工事届
- 設計図書(各種図面など)
また建築確認の電子申請を受け付けている審査機関なら、オンラインで手続きできます。事前に、電子申請を受け付けている審査機関を調べておきましょう。
参照元:一般財団法人 建築行政情報センター「電子申請・電子報告関連情報」
建築確認の審査を受ける
次に店舗物件の建築確認の申請が受理されると、建築確認の審査を受けます。申請から数週間以内に受けられますが、書類の不備や建築計画の問題などがあると審査期間が長びきます。審査期間は最長70日ですが、事務処理などのために70日を超える場合もあります。
なお建築確認の審査に時間がかかる理由は、建物の構造計算の適合性を判定するためです。構造計算の適合性判定には、審査を補う役割があります。第三者目線から、構造計画やモデル化、構造計算の妥当性が確認されます。
参照元:一般社団法人 日本建築構造技術者協会「確認申請の手続きが変わる」
確認済証が交付される
そして建築確認の審査を通過すると、確認済証が交付されます。確認済証がないと着工できないため、審査に不備があった場合は改善してから再提出しなくてはなりません。確認済証の交付には、審査機関だけの判断ではなく、店舗物件の所在地を所轄する消防署長の同意も必要です。
なお建築確認の確認済証には、建築基準法に適合している旨や建築の場所と延べ床面積、棟数、構造、階数などが記載されています。業者に代行を依頼した場合には、着工前に写しを預かり、引き渡しの際に原本をもらいましょう。
建築工事を着工する
それから確認済証が交付されたら、建築工事を着工します。着工とは、工事計画の一部の着手(根切り工事や杭工事など)を意味します。資材の搬入や事務所の設置、仮設工事などは、着工に含まれません。
なお着工後には、建築物の用途や規模などによって、中間検査が実施されます。中間検査では、審査機関によって「建築確認の通りに工事が進んでいるか」がチェックされます。中間検査において重大な指摘がされた場合には、再度、建築確認を受けなくてはなりません。
参照元:一般社団法人 日本建築構造技術者協会「確認申請の手続きが変わる」
竣工後に完了検査を申請する
さらに中間検査を通過して、竣工後に完了検査を申請してください。竣工とは、建築工事の完了を意味します。建築基準法に基づき、工事完了から4日以内に完了検査を申請しなくてはなりません。完了検査の申請が受理されると、7日以内に完了検査が開始されます。
完了検査を申請するためには、完了検査が求められる箇所の写真や試験結果などが必要です。各地方自治体ごとに書式が異なるため、担当窓口で確認しましょう。なお業者に依頼した場合は、建築確認から完了検査までの手続きを代行してもらえます。
完了検査の審査を受ける
続いて申請が受理されると、完了検査の審査を受けます。完了検査では、「建築確認で審査された図面通りに工事が完了しているか」が確認されます。検査当日には建築業者も立会い、検査担当者が完了検査の提出書類などに基づいて建築物をチェックしていきます。
完了検査で不適合となると、指摘箇所の工事のやり直しや計画変更の手続きなどが必要です。完了検査を通過できなければ店舗物件の存在が認められないため、営業を開始できません。
検査済証が交付される
いよいよ完了検査を通過すると、検査済証が交付されます。検査済証は、将来的に店舗の改修や増築、移転などを行う際に必要になるため、紛失しないように保管してください。建築物の売却時に必要な場合もあるため、検査済証は重要な書類です。
なお完了検査を受けなかったり、不適合のため検査済証が交付されなかったりすると、違法建築物として罰則が適用される恐れがあるため、ご注意ください。また検査済証が交付される時期は明示されていませんので、申請前に担当窓口で確認しましょう。
なお店舗内装デザイン・工事の流れについてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗物件の建築確認と完了検査における注意点
また店舗物件の建築確認から完了検査までの流れにおいては、さまざまな注意点があります。5点(申請書類と工事内容の変更、審査不合格時の対応、工事計画、確認証の保管)に整理してご紹介します。
申請書類を正確に作成しなければならない
まず申請書類を正確に作成しなければならない点が、店舗物件の建築確認と完了検査における注意点として挙げられます。建築確認や完了検査は、建築基準法に基づいて行われる行政手続きであり、申請書類に不備があると審査が通らないからです
申請書類は多岐にわたり、建築基準法や関係法令に定められた規格や基準に沿って作成しなければなりません。申請書類の作成には専門的な知識や技術が必要ですので、業者(建築士や設計事務所、建築業者など)に依頼することをおすすめします。
工事計画の変更には再審査が必要である
次に計画変更には再審査が必要である点も、店舗物件の建築確認と完了検査における注意点です。建築基準法に基づいて、建築確認の審査を通過した工事計画を変更する場合には、計画変更の確認申請が求められます。
そこで計画変更の確認申請を出して審査を通過すれば、計画変更確認済証が交付されて着工が認められます。ただし軽微な工事計画変更であれば、申請書記載事項変更届で済む場合もあります。各地方自治体の担当窓口に相談しましょう。
参照元:名古屋市「計画変更確認申請(申請書記載事項変更届)」
審査不合格の際には速やかに対応する
また審査不合格の際には速やかに対応する点も、店舗物件の建築確認と完了検査における注意点です。審査不合格の際には、申請書類の訂正と再申請が求められます。着工前や中間検査の時点で工事計画を訂正できると、竣工後の大がかりな改修工事を避けやすいです。
なお建築確認が遅れると、工事の進捗や品質に悪影響を及ぼす恐れがあります。また建築確認の再審査に時間や費用などのコストが余分にかかると、店舗の開業準備にも悪影響を与えます。
工事計画にゆとりをもたせる
そして工事計画にはゆとりをもたせる点も、店舗物件の建築確認と完了検査における注意点です。店舗物件の工事は多くの要素や条件に左右されるため、予期せぬトラブルや工事計画の変更などに備えましょう。
なお建築確認や完了検査の審査だけではなく、悪天候や材料調達の遅延、施工業者のスケジュールなども、店舗物件の工事に影響します。開業予定日から逆算して、ゆとりある建築確認の申請時期を計算しましょう。
確認済証や検査済証を紛失しないように保管する
なお確認済証や検査済証を紛失しないように保管する点も、店舗物件の建築確認と完了検査における注意点です。確認済証と検査済証を紛失しても、再発行はされません。審査を受けた自治体から、確認受付台帳記載証明を取り寄せなくてはなりません。
参照元:日野市「確認済証・検査済証を紛失した場合について教えてください。」
なお店舗物件の売却や増改築などの際には、一般的に確認済証と検査済証が求められます。確認済証と検査済証は、法令に基づいて建築された店舗物件の証明です。店舗を開業してからも、確認済証と検査済証を大切に保管しましょう。
店舗の建築確認と完了検査を適切に進めよう!
IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。
下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。また店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討の際は、ぜひご相談ください。
監修者
-
IDEAL編集部
日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
> IDEALの編集者ポリシー
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。