2017.06.15 2025.01.26|店舗運営ノウハウ
地域密着型の店舗とは？課題と解決策・事例を紹介
本記事で「地域密着型の店舗とは？」という疑問にお答えして、地域密着型店舗の課題と解決策、事例をご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
地域密着型店舗とは？基本情報を紹介
そもそも地域密着型店舗とは、どういった業態でしょうか？そこで地域密着型店舗の基本情報（定義とメリット・デメリット、チェーン店との違い、開業の流れ）をご紹介します。基本情報を把握したうえで、地域密着型店舗の開業を検討しましょう。
定義
まず地域密着型店舗とは、特定の地域に限定して営業している店舗です。ターゲットとする地域の気候や風土、住民のニーズなどに応じて、きめ細やかに商品・サービスを提供します。
例えば高齢世帯の多い地域に飲食店を出店する際には、健康的な食品を揃えて個別配達に対応します。一方で若年層の出入りする地域の飲食店がテイクアウト・デリバリーに対応することで、集客と売上の安定が可能です。
メリット・デメリット
次に地域密着型店舗を開業するメリットは、迅速な対応や固定客の獲得などです。特定の地域内でニーズのある商品・サービスを提供することで迅速に対応しやすくなり、固定客の獲得を期待できます。
しかし市場規模の狭さや経済的な依存度の高さなどは、地域密着型店舗を開業するデメリットです。ターゲットとする地域を絞り込むほど市場規模が狭くなり、経済的な依存度が高くなってしまいます。
チェーン店との違い
それから地域密着型店舗とチェーン店との違いは、市場規模や知名度・認知度などです。地域密着型店舗の市場規模は限定されており、全国的な知名度・認知度は高くありませんが、特定地域内での安定した集客を期待できます。
一方でチェーン店は幅広い地域へ多店舗展開するほど、知名度・認知度が高まり、市場規模を拡大しやすくなります。フランチャイズの仕組みやメリット・デメリットなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業の流れ
そして地域密着型店舗を開業する流れも、確認しましょう。
- コンセプトを設計する
- 事業計画書を作成する
- 資金を調達する
- 店舗物件を選ぶ
- 店舗のデザイン・工事を業者に依頼する
- 商品やサービスを企画・開発する
- 仕入先を選定する
- 開業に必要な資格・届出・許可を申請する
- 人材の採用と研修を開始する
- 集客活動を展開する
以上の流れには数か月から半年以上がかかりますので、計画的に進めましょう。地域密着型店舗にも活用できる開業準備の流れをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
地域密着型店舗の課題
基本情報を把握したところで、地域密着型店舗の課題も確認しましょう。6点（地域社会のニーズに応える商品・サービスの提供とチェーン店との価格競争、地域社会への貢献、ECへの対応、地域社会に依存するリスクの低下、客観的な効果測定）をご紹介します。
地域社会のニーズに応える商品・サービスの提供
まず地域社会のニーズに応える商品・サービスの提供が、地域密着型店舗の課題として挙げられます。ターゲットとする地域のニーズに応えて商品・サービスを提供できなければ、安定した集客と売上を獲得できません。
例えば高齢層の多く居住する地域に、若年層からニーズの多い商品・サービスを提供する店舗を開業しても、地域密着型店舗とはいえません。地域社会のニーズを把握するためにはマーケティング戦略が重要になりますので、後ほどご紹介します。
チェーン店との価格競争
次にチェーン店との価格競争も、地域密着型店舗の課題です。大きな市場規模で営業するチェーン店は大量に仕入れて低価格で商品・サービスを提供しやすいため、地域密着型店舗が価格競争に勝つことは容易ではありません。
したがって低価格を押し出すよりも、付加価値の高い商品・サービスを提供してチェーン店との競争に打ち勝ちましょう。魅力的な商品・サービスを提供できるように、ブランディングの展開について後ほどご紹介します。
地域社会への貢献
それから地域社会への貢献も、地域密着型店舗の課題です。地域密着型店舗に対しては、高齢化や環境、震災などの社会問題解決への貢献が期待されています。地域社会への貢献によって、店舗営業に対する信頼感を高めましょう。
ただし地域密着型店舗の業種・業態や商品・サービスの種類などに応じて、地域社会へ貢献する方法は異なります。そこで地域イベント・メディアとの連携などについて、後ほどご紹介します。
ECへの対応
またECへの対応も、地域密着型店舗の課題です。以下の調査結果によるとECの市場規模は2010年代より増加傾向にあり、消費者の半数以上が月1回以上ECサイトで商品・サービスを購入しています。
参照元：
経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
PR TIMES「株式会社いつも『生活者のEC利用実態調査2024』レポート」
したがって地域密着型店舗に対するニーズとして、ECへの対応が求められます。特に交通の利便性が低い地域においては、ECで手軽に商品・サービスを購入できると便利だからです。そこでECサイトの運営について、後ほどご紹介します。
地域社会に依存するリスクの低下
続いて地域社会に依存するリスクの低下も、地域密着型店舗の課題です。特定の地域だけで営業している店舗は、過疎化や高齢化、不況などの影響から集客と売上が不安定になるリスクを抱えています。
そこで集客と売上を安定させるためには、出店する地域を拡大したり、地域社会へ貢献したり、魅力的な商品・サービスを開発したりしなければなりません。地域密着型店舗の経営戦略を立案できるように、補助金・助成金の活用について後ほどご紹介します。
客観的な効果測定
そして客観的な効果測定も、地域密着型店舗の課題です。地域密着型店舗の経営状態を客観的に多面的に効果測定するためには、集客数や売上高などの定量的な評価はもちろん、消費者からの感想や要望などの定性的な評価も必要です。
ただし地域密着型店舗の効果測定に必要なデータを収集するためには、外部委託や従業員調査などのコストがかかります。そこで効果測定の業務を効率化できるように、DXの推進について後ほどご紹介します。
地域密着型店舗の解決策
地域密着型店舗の課題ごとに、解決策を講じましょう。6点（マーケティング戦略の立案とブランディングの展開、地域イベント・メディアとの連携、ECサイトの運営、補助金・助成金の活用、DXの推進）をご紹介します。
マーケティング戦略の立案
まずマーケティング戦略の立案が、地域密着型店舗の解決策として挙げられます。店舗のマーケティングは、市場調査から商品・サービスの企画・開発、営業、販売促進までの一連の仕組みをつくる活動です。
地域社会のニーズに応える商品・サービスを提供できるように、マーケティング戦略を立案しましょう地域密着型店舗にも活用できるマーケティングの流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ブランディングの展開
次にブランディングの展開も、地域密着型店舗の解決策です。チェーン店との差別化を図るためにブランディングを展開し、地域社会からの認知度や信頼感を高めながら集客と売上を安定させましょう。
ブランディングを展開するためには、明確なコンセプトの設計や店舗のデザイン、施策の評価・改善などが重要です。店舗をブランディングする流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
地域イベント・メディアとの連携
それから地域イベント・メディアとの連携も、地域密着型店舗の解決策です。地域社会の一員として貢献するために、自店舗の商品・サービスに関連するイベントを協賛・主催しましょう。
イベントだけではなく、地域メディアとの連携を深めることで、自店舗の魅力や地域貢献の内容などをアピールできます。例えばイベント・キャンペーンの情報や地元企業とのコラボ商品・サービスなどです。
ECサイトの運営
続いてECサイトの運営も、地域密着型店舗の解決策です。ECサイトを運営することでECへの需要に応えるだけではなく、実店舗の集客・売上アップにもつながります。例えばECサイトでサービスの予約を受け付け、実店舗で提供する形があります。
他にもOMO型の地域密着型店舗を開業すれば、オンラインとオフラインを統合した購買体験を提供できます。OMO型店舗の開業に必要なシステム・ツールをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
補助金・助成金の活用
さらに補助金・助成金の活用も、地域密着型店舗の解決策です。地域によっては、地域密着型店舗の事業（地域貢献や地域連携など）をサポートする補助金・助成金が運営されています。
商品・サービス開発や集客活動、地域貢献などの事業を企画するための資金が不足する場合には、補助金・助成金の活用を検討しましょう。店舗の開業・経営に活用できる補助金・助成金の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
DXの推進
そしてDXの推進も、地域密着型店舗の解決策です。店舗のDX（デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革）を推進して、店舗経営における業務効率化や生産性向上、競争力の強化などを目指しましょう。
店舗DXの方法には、オンライン予約システムやキャッシュレス決済システム、店舗営業分析システムなどがあります。地域密着型店舗にも活用できるDXを進める流れとポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
地域密着型店舗の事例
地域密着型店舗の課題に適した解決策を実行できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴（マーケティング戦略とブランディング、イベント、ECサイト活用、DX推進）をご紹介します。
マーケティング戦略を立案した地域密着型衣料品販売店
まず「フジヤ」は、マーケティング戦略を立案した地域密着型衣料品販売店です。地域の固定客を増やすために学生インターンシップを受け入れ、地域社会からのニーズをリサーチしたうえでプロモーション活動が展開されました。
プロモーション活動の検証後には、中長期的なマーケティング戦略が提案されました。自店舗の集客だけではなく、地域の大学生に実践的なインターンシップの機会を提供した地域密着型店舗の事例です。
参照元：PROJECT INDEX「【地域密着型マーケティング】老舗衣料品店の”ガチファン”を増やせ! 」
ブランディングを展開した地域密着型サロン
次に「美容室シローの店」は、ブランディングを展開した地域密着型サロンです。50周年記念式典に向けて地元の大学生とコラボレーションプロジェクトを企画し、50周年記念ロゴが制作されました。
50周年記念ロゴは大学生によるフィールドワークに基づいてデザインされ、店舗の包装紙やハンコ、シールなどに活用されました。ブランディングの展開はもちろん、地域貢献につながった地域密着型店舗の事例です。
参照元：
PR TIMES「仙台の創業50年の美容室 x 宮城大学の学生とのコラボレーションによるブランディングプロジェクトがスタート」
PR TIMES「仙台の美容室『シローの店』が50周年記念式典を盛大に開催」
地域密着型イベントに出展した自動車販売店
それから「トップランク」は、地域密着型イベントに出展した自動車販売店です。地域の防災・教育・連携を目的としてイベントに出展し、自動車の展示や乗車体験、撮影会などが行われました。
自店舗のアピールはもちろん、自動車への興味・関心を引き出せるように、イベントへの出展が意図されています。地域住民との交流を通して、地域貢献を心がけている地域密着型店舗の事例です。
参照元：PR TIMES「ひがふなフェスタ2024 | 株式会社トップランクが地域密着型イベントに出展」
地域密着型ECサイトを活用するパン屋
続いて「NOLAN」は、地域密着型ECサイトを活用するパン屋です。地域密着型ECサイトで商品の注文を受け付けると、サイト運営業者によって回収されてから受け取りスポットまで配達されます。
2種類の天然酵母で発酵されたパンには食品添加物が入っておらず、地域のレストランにも販売されています。子供からお年寄りまで食べられるパンづくりを目指す地域密着型店舗の事例です。
参照元：
ハックツ!「藤沢の食卓を支えて30年。『Boulangerie NOLAN Hatta』のパンが愛され続ける理由」
ヤフーニュース!「サウナにヨガなど地元ツアーも！ 企業のまちづくり 家電メーカーの”地域密着”EC【WBSクロス】」
DXを推進した地域密着型スーパーマーケット
そして「ランドロームフードマーケット」は、DXを推進した地域密着型スーパーマーケットです。会員となった顧客の位置情報や購買データ、Web行動データを活用するために、小売業向けマーケティングシステムが導入されています。
各店舗の店長が収集したデータを活用できるように、システム利用のワークショップを開催しています。ビッグデータをマーケティングに活用している地域密着型店舗の事例です。
参照元：ダイヤモンドチェーンストアオンライン「ipoca『ミセシル』の活用で見えてきた自店の強み、地域密着型スーパーの成長戦略」
地域密着型店舗の開業準備を計画しよう！
IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。
下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。また店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討の際は、ぜひご相談ください。
監修者
-
IDEAL編集部
日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数！
> IDEALの編集者ポリシー
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL（イデアル）」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。
おすすめ記事
