2022.11.08  2022.11.06|店舗運営ノウハウ

風営法とは?風俗営業の種類や届出・許可の申請と違反・罰則の注意点!

風営法とは?風俗営業の種類や届出・許可の申請と違反・罰則の注意点!

本記事で、風営法について解説します。風俗営業の種類や届出・許可の申請、違反・罰則の注意点などについてご紹介します。

「風営法とは?」「風俗営業の種類を知りたい!」とお悩みではありませんか?店舗の開業や移転、リニューアルなどを検討している方はぜひご覧ください。

風営法とは?

風営法とは?

風営法とは、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」できるように、風俗営業等のルールを定めて業務の適正化を図る法律です。正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」で、風営法と略されます。

引用:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第1条)

風俗営業等に含まれる業種はキャバクラやスナック、ゲームセンターなど、条件によって飲食店や居酒屋、喫茶店、カフェなども含まれます。風俗営業等を開始するためには、許可や届出が必要です。営業場所や設備に関する規制が定められていますので、風営法について正しい理解を深める必要があります。

風営法における風俗営業等の種類

風営法における風俗営業等の種類

風営法における風俗営業等の種類は、主に4つです。各種類は細かく分類されており、規制内容が異なります。風俗営業等の種類ごとに、分類と特徴を確認しましょう。

風俗営業

下表に示したとおり、「風俗営業」は接待飲食店(1~3号営業)と遊技場(4~5号営業)に分類されています。

分類特徴業種・業態
1号営業料理店や社交飲食店
接待と遊興または飲食を提供
キャバクラ
スナック
カフェなど
2号営業飲食を提供する飲食店
客席が10ルクス以下の低照度
バー
喫茶店など
3号営業飲食を提供する飲食店
外から見えづらい5㎡以下の区画席
バー
喫茶店など
4号営業遊技場
遊技設備と景品の提供
マージャン店
パチンコ店など
5号営業遊技場
遊技設備と景品(800円以下)の提供
ゲームセンターなど

接待飲食店の営業許可を取得すると、深夜帯(原則午前0時〜午前6時)に営業できません。自治体の条例によって独自に営業時間が規制されている場合がありますのでご注意ください。スナックとバー、キャバクラの違いについて次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください

また遊技場営業の営業許可は、顧客に射幸心(しゃこうしん)をそそる恐れのある遊技を提供する店舗に必要です。遊技場営業を許可されると、遊技設備と景品の提供が認められます。

特定遊興飲食店営業

「特定遊興飲食店営業」は、深夜帯(午前0時〜午前6時)に顧客に遊興させながら酒類を提供する営業です。「深夜」「遊興」「酒類」という3条件に当てはまると、規制の対象となります。業種としてはライブハウスやクラブ、ダーツバーなどが該当します。

鑑賞型や参加型で積極的に顧客に遊興させる店舗は、特定遊興飲食店営業の許可が必要です。例えばバンドが生演奏する場合やカラオケで従業員が合いの手を入れる場合は遊興とみなされます。一方で店舗にBGMを流したり、カラオケスペースを提供したりするだけなら、遊興に当たりません。

バー開業時の許可申請について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

深夜酒類提供飲食店営業

「深夜酒類提供飲食店営業」は、深夜帯(午前0時〜午前6時)に酒類を提供する営業です。バーや居酒屋などが該当しますが、遊興を提供できません。また主食を提供する店舗は含まれません。居酒屋開業時の許可申請について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

したがって深夜に遊興を提供したい店舗は、特定遊興飲食店営業の許可を取ってください。また顧客の隣に座ってお酌をしたり談笑したりする接待を提供する店舗は、風俗営業(1号営業)の許可が必要です。

性風俗関連特殊営業

「性風俗関連特殊営業」は性に関するグッズやサービスを提供・販売する営業で、次の5分類があります。

  • 店舗型性風俗特殊営業
  • 無店舗型性風俗特殊営業
  • 映像送信型性風俗特殊営業
  • 店舗型電話異性紹介営業
  • 無店舗型電話異性紹介営業

建築基準法と都市計画法によって用途地域が定められていますので、性風俗関連特殊営業を開始する物件を探すときにはご注意ください。店舗物件の探し方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

風営法における風俗営業等の届出・許可申請

風営法における風俗営業等の届出・許可申請

風俗営業等の種類を確認したうえで、必要な届出・許可の準備を開始しましょう。風俗営業等の種類によって申請する届出・許可が変わりますので、ご注意ください。なお一般的な飲食店の営業許可について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

本記事では、風営法における風俗営業等の届出・許可申請について解説します。

届出と許可の違い

届出と許可には、申請する内容や手続きの流れに違いがあります。一般的に、届出は一定の行為について行政官庁に通知する仕組みですから、要件が満たされていれば手続きが完了します。一方で、許可は本来禁止されている行為に対する許可を求める手続きであるため、審査により「不許可」となる恐れがあります。

ただし風営法においては届出も許可と同様に慎重に判断されて、審査期間の目安が届出・許可ともに約55日と設定されています。提出する書類(物件貸主からの使用承諾書など)が多岐に渡り、公安委員会が慎重に審査するからです。

したがって自店舗に必要な届出許可や開業場所、設備の問題点などを事前に確認して、ゆとりをもって申請手続きを開始してください。

届出が必要な業種

風営法に基づいて届出が必要な業種は、深夜酒類提供飲食店営業と性風俗関連特殊営業を行う店舗です。つまり深夜帯に遊興を提供しないバーや居酒屋などは、店舗ごとに営業届出が必要になります。

深夜酒類提供飲食店営業許可に必要な書類は、営業開始届や営業方法を記載した書類、営業所の平面図、住民票などです。警視庁のWebサイトで、様式一覧を取得できます。

参照:警視庁Webサイト「深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)」

性風俗関連特殊営業許可には上記の書類に加えて、賃貸契約書の写しなどが必要です。同じく警視庁のWebサイトで業態ごとの様式一覧を取得できます。

参照:警視庁Webサイト「性風俗関連特殊営業、深夜酒類提供飲食店営業の届出」

許可が必要な業種

風営法に基づいて許可が必要な業種は、風俗営業と特定遊興飲食店営業を行う店舗です。ホストクラブやゲームセンター、ライブハウスなどは、店舗ごとに営業許可を申請してください。

また欠格事由がないことが、許可の条件として風営法に定められています。例えば破産手続きをしてから復権を得ていない人や覚醒剤使用者、基準を満たしていない構造の営業所などには、営業許可が下りません。

なお申請には許可申請書や営業所の平面図、住民票などのほかに、誓約書や管理者の写真の提出が必要です。誓約書には業務を誠実に行うことや欠格事由に該当していないことを誓約します。警視庁のWebサイトで様式一覧を取得できます。

参照:警視庁Webサイト「風俗営業、特定遊興飲食店営業(様式一覧)」

風営法の違反例と罰則

風営法の違反例と罰則

風俗営業等の届出・許可を申請してからも、風営法を遵守する必要があります。違反すると罰則がありますので注意してください。代表的な風営法の違反例と罰則をご紹介します。

無許可営業

まず無許可営業を行った場合に、罰則が定められています。深夜酒類提供飲食店営業と性風俗関連特殊営業には届出が求められて、風俗営業と特定遊興飲食店営業には許可が必要です。

営業許可の届出・許可に違反すると、以下の罰則が科せられます

風営法の分類罰則
風俗営業
特定遊興飲食店営業
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科
性風俗関連特殊営業6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科
深夜酒類提供飲食店営業50万円以下の罰金

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第49条の1と7、第52条の4、第54条の6)

注意点は、接客方法です。例えば深夜酒類提供飲食店営業を届出ている店舗が禁止されている接待行為を顧客に提供した場合、日常的に行っていなかったとしても無許可営業として罰せられる恐れがあります。

営業停止処分違反

次に営業停止処分違反とは、営業停止処分を受けたにも関わらず営業を続ける行為です。既に営業停止処分を受けている状態ですので、営業を続けたいとしても違反を重ねないようにしましょう。

無許可営業とは異なり、風営法の分類に関係なく同じ罰則(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科)が科されます。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第49条)

名義貸し

また名義貸しも風営法違反となり、罰則(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科)の対象となります。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第49条)

名義貸しとは、他者に名義を貸して実質的な経営を行わせる行為です。脱税目的で行われる場合があります。貸した側だけでなく、貸された側も共犯となります。

18歳未満の従業員による接待

それから18歳未満の従業員による接待も風営法違反として罰せられ、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科とされています。風営法は少年の健全な育成に害となる行為の防止を一つの目的としているため、年齢が規制されています。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第50条)

また労働基準法により、18歳未満の深夜労働(午後10時〜午前5時まで)は禁止されています。未成年の従業員を雇用する場合は、接客方法や時間帯に注意が必要です。

参考:茨城労働局「労働基準法のあらまし(最低年齢、深夜業の禁止、年少者・妊産婦等の就業制限 ほか)」

客引き行為

さらに客引き行為(特定の人に対して顧客になるよう積極的に勧誘する行為)も風営法違反になります。通行人の進路に立ちふさがったりつきまとったりする行為も、客引き行為とみなされます。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第22条)

客引き行為に対しては、6ヵ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金または併科が罰則とされています。店外で従業員に呼び込みさせるときには、正しく指導するように徹底しましょう。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第52条)

風営法に違反しないための注意点

風営法に違反しないための注意点

風営法違反には、懲役刑が科される危険性があります。「知らなかった」では通用しませんので、風営法に違反しないための注意点を確認しましょう。

開業場所

まずは開業場所に注意してください。風俗営業等の店舗を開業できる地域は、風営法によって制限されています。原則的に居住専用の地域での営業は許可されず、商業地域や工業地域などでのみ営業を許可されます。

参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第22条)

また営業を許可される地域であっても、保護対象施設が周辺にある場合は開業できません。例えば学校や病院、児童福祉施設などの周囲では、風俗営業等の許可は得られません。自治体ごとに条例が定められていますので、開業予定地の用途制限をご確認ください。

営業時間と接客方針

次に営業時間と接客方針にも注意しましょう。深夜営業の有無で届出・許可が異なりますので、許可された営業時間を守る必要があります。勝手に変更すると無許可営業として罰せられる恐れがあります。

また「遊興」と「接待」の定義を把握したうえで、接客方針を決定してください。接客方法を間違えると、風営法違反として罰せられる恐れがあるからです。遊興は従業員が顧客に積極的に遊興させる行為で、接待は歓楽的雰囲気を醸し出す方法により顧客をもてなす行為とされています。判断基準について、次のページもご参照ください。

参考:福岡県警察「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(9と22ページ

店内の明るさや設備

また店内の明るさや設備にも注意が必要です。例えば客席の照度を10ルクス以下にすると、風俗営業(2号営業)に該当して営業時間が午前0時までと定められています。午前0時以降も営業したい場合は、客席の照度を10ルクス以上にして特定遊興飲食店営業の届出を提出してください。

設備に関しては、ダーツやゲーム機などが規制対象となります。ただしゲーム機の種類やゲームエリアの床面積によって、許可が必要ない場合もあります。判断基準について、次のページもご覧ください。

参考:福岡県警察「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(3~6ページ)

届出・許可の申請期限

さらに届出・許可の申請期限も注意点です。開業希望日に間に合うように、余裕をもって届出・許可を申請してください。

深夜酒類提供飲食店営業と性風俗関連特殊営業に必要な届出は、営業開始10日前までに手続きする必要があります。風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可に明確な申請期限がありませんが、許可が下りるまでの期間は55日が目安です。

風営法を遵守して店舗を開業・経営しよう!

風営法を遵守して店舗を開業・経営しよう!

風営法によって、風俗営業等の種類ごとにさまざまな規則が定められています。届出・許可の手続きは複雑ですが、罰則を受けないように風営法を遵守して、店舗を開業・経営しましょう。

IDEALは風俗営業等を含む店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

店舗の開業や改装、移転などをご検討中の際には、ぜひお問い合わせください。また下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。

キーワード :

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。

> IDEALの編集者ポリシー

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

店舗作り、集客の
無料見積もり・相談をする