2022.07.26  2023.03.31|新規開業ノウハウ

シェアキッチンとは?メリットや利用料金、資格・許可、事例もご紹介

シェアキッチンとは?メリットや利用料金、資格・許可、事例もご紹介

「シェアキッチンって何?」「利用料金や資格について知りたい!」とお悩みではありませんか?シェアキッチンの良さを活かすためには、種類や間借り・クラウドキッチンとの違いを把握する必要があります。

そこで今回は、シェアキッチンを利用して開業するメリット・デメリットについて解説していきます。利用料金や開業するための資格と許可、事例もご紹介しますので、シェアキッチンでの開業を検討している方はぜひご覧ください。

シェアキッチンとは

シェアキッチンとは

シェアキッチンとは、複数の利用者により共有して利用されるキッチンです。シェアキッチンの良さを生かして開業できるように、種類や他業態との違いを把握しましょう。

シェアキッチンの種類

シェアキッチンは、用途によって2種類に分けられます。「飲食店として利用されるシェアキッチン」と「コミュニティスペースとして利用されるシェアキッチン」です。本記事では「飲食店として利用されるシェアキッチン」について解説していきます。

飲食店として利用されるシェアキッチンには、保健所の営業許可基準をクリアした厨房設備が整えられています。物件契約と内装工事が不要となり、飲食店営業や菓子製造業などの営業許可が下りれば営業を開始できます。一般的に飲食店を開業するためには、店舗物件を賃貸したうえで内装を工事して、保健所に営業許可を申請しなければなりません。

一方でコミュニティスペースとして利用されるシェアキッチンは、地域交流を目的として厨房設備が施工されています。シェアハウスの共同キッチンや公民館のレンタルキッチンなどが該当します。消費者への食品販売を目的としないため、保健所への営業許可申請が不要です。

間借りやクラウドキッチンとの違い

シェアキッチンを利用した店舗の開業と似た業態として、「間借り」や「クラウドキッチン」があります。

「間借り」とは、営業している飲食店の営業時間外に、飲食店のキッチンもしくは店舗全体を借りる業態です。例えば夜間のみ営業しているバーを借りれば、日中に弁当屋やカフェ、居酒屋などを営業できます。

飲食店を間借り営業すれば、キッチンを利用してテイクアウトやデリバリーだけを提供することも、客席も利用して店内飲食を提供したりすることも可能です。ただし間貸しする飲食店の仕込みや営業に支障が出ないように、間借りする飲食店の利用できる時間帯が限定されます

「クラウドキッチン」とは、ダイニングフロアのないキッチン施設です。店内飲食を提供しないため、テイクアウトやデリバリーに特化されています。例えばクラウドキッチンを利用することで、宅配弁当店やタピオカ専門店などを開業できます。

クラウドキッチンを利用した飲食店はゴーストレストランと呼ばれ、外部のデリバリーサービスと提携して消費者へ食品を提供します。ゴーストレストランについて下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

シェアキッチンを利用して開業するメリット

シェアキッチンを利用して開業するメリット

シェアキッチンの種類と他業態との違いを把握したうえで、シェアキッチンを利用して開業するメリットを詳しくご紹介します。シェアキッチンの良さを生かして開業できるように、ご確認ください。

開業費用と運転資金を抑えられる

まずシェアキッチンを利用することで、開業費用と運転資金を抑えられます。シェアキッチンには時間単位で利用料が設定されているため、月単位の物件賃料が不要です

また厨房設備・機器(ガス台や水道、調理器具、オーブン、冷蔵庫など)が一通り揃っているため、内装工事費や厨房設備費も必要ありません。さらにテイクアウトやデリバリーの専門店にすれば接客担当の従業員を減らせるため、人件費も抑えられます。

店舗物件を賃貸して飲食店を開業する場合には、規模や業態に応じて開業費用(100‐1,000万円程度)がかかります。下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

開業準備に時間がかからない

また店舗物件を賃貸する場合に比べて、開業準備に時間がかかりません。シェアキッチンを利用することで、物件探しや内装工事、設備購入などが不要です。開業準備をスムーズに行えば、数か月で開業することが可能です。

時間を節約できた分だけ、店舗開業に必須のコンセプト設計やメニュー立案などに集中できます。開業準備期間を短縮したい場合やメニューを頻繁に変更したい場合に、シェアキッチンが適しています。

店舗物件を借りて飲食店を開業するためには、物件探しから物件契約、内装のデザイン・工事、設備や什器の調達までに1年程度の開業準備期間が必要です。店舗物件の探し方について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

競合飲食店と協働できる

さらに競合飲食店と協働できる点もメリットです。同じキッチンを複数の飲食店経営者と共有することで、横の繋がりができやすくなります。飲食店同士の情報交換によって、新たな視点や経営のヒントを得られる可能性があります。

加えて同じキッチンでさまざまな飲食店が営業することで、新たな顧客獲得を期待できます。例えばシェアキッチンでイベントを開催すれば全く違ったジャンルの料理とコラボレーションが可能で、今までターゲットにしていなかった顧客層へアピールする機会になります。

競合店との差別化を図りながらも協働できる点が、シェアキッチンの魅力です。シェアキッチンの存在を広く認知してもらうことは、集客と売上を伸ばすことに繋がります。Web集客について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

シェアキッチンを利用して開業するデメリット

シェアキッチンを利用して開業するデメリット

メリットだけでなく、シェアキッチンにはデメリットもあります。トラブルや不利益を回避するために、予めデメリットを対策しておくことが必要です。開業したい飲食店のコンセプトによっては、シェアキッチンの利用が適さない場合もあります。

厨房設備・機器を改装できない

まずシェアキッチンを利用すると、厨房設備を改装できないデメリットがあります。施工されているガス台やオーブンなどの設備・機器はシェアキッチンの所有物になるため、自己判断で改装できません。また自分が調理しやすいからといって、設備・機器の保管場所を変更できません。

設備・機器の対策として、利用契約前に厨房設備や動線などを下見しておくことをおすすめします。また調理のために専用機器が必要だったり、メーカーにこだわりがあったりする場合には、持ち込みできるかを交渉しなくてはなりません。

利用できる時間とスペースに制限がある

また利用できる時間とスペースに制限がある点も、シェアキッチンを利用するデメリットです。時間単位での利用になるため、他の利用者が利用中には営業も仕込みもできません。利用中には、次の利用者が利用する時間までに片づける必要があります。

時間だけではなくスペースも制限されているため、食品や消耗品などを多く保管することは難しいです。希望するように保管場所と作業場所の動線を描けない危険性もあります。

時間とスペースの対策として、長期利用を条件として希望に近い契約内容を交渉してください。保管倉庫を提供するシェアキッチンもあるため、利用前に確認しておきましょう。どうしても条件に合うシェアキッチンを探せない場合には、店舗物件の賃貸や間借りなどを検討する必要があります。

競合店とトラブルを抱えやすい

さらに競合店と協働できるメリットもある半面、競合店とトラブルを抱えやすいデメリットもあります。例えば営業中に食中毒事故を引き起こすと、シェアキッチン全体が営業停止処分を受ける危険性があります。

また設備・機器の破損や食材の無断使用といったトラブルが起きる危険性もあります。1つのキッチンを共有するため、小さなトラブルでも各利用者の営業に影響します。

トラブルの防止策として、利用契約前に弁済や保証について確認することが必要です。また食品衛生管理に細心の注意を払ってください。さらに所有物に記名したり、鍵付きの保管庫を使用したりしましょう。

シェアキッチンの利用料金

シェアキッチンの利用料金

シェアキッチンを利用して開業するメリットとデメリットと併せて、利用料金もご確認ください。営業したい日数や時間帯に応じて、必要な資金を算出する必要があるからです。開業目的や営業方針などに応じて、利用プランを検討しましょう。

シェアキッチンの利用料金は一般的に時間単価で設定されており、1時間当たり1,000円‐3,000円程度が相場です。例えば1時間1,000円のシェアキッチンを週40時間利用するなら、1か月当たり16万円(1,000円×40時間×4週)かかります。

単発利用の可能なシェアキッチンもあれば、会員登録して月単位で契約するシェアキッチンもあります。会員登録料は数万~数十万円程度で、共益費や保証金が上乗せされたり、賠償責任保険の加入が義務付けられたりする場合があります。

シェアキッチンを利用して開業するための資格と許可

シェアキッチンを利用して開業するための資格と許可

適した料金プランを探したら、シェアキッチンを利用して開業するための資格と許可も確認しておきましょう。開業予定日から逆算して、ゆとりをもって手続きを進めてください。なおシェアキッチン自体が営業許可を取得している場合には、新たに申請する必要がない可能性があります。

食品衛生責任者の資格

食品の製造や販売を始めるためには、食品衛生責任者の配置が必要です。食中毒や異物混入などのトラブルを避けるために、食品衛生管理を正しく行わなければならないからです。シェアキッチンを利用して開業する際も、例外ではありません。

「食品衛生責任者」の資格を取るためには、各自治体で実施されている養成講習会を受講する必要があります。1日かかるため、事前にスケジュールを立てておきましょう。なお調理師や栄養士などの資格があれば、講習は免除されます。

営業許可

「食品衛生責任者」の資格を取得したら、保健所への営業許可申請も必要です。営業許可業種はさまざまで、製造や販売する食品に応じて「飲食店営業」や「菓子製造業」などと分類されています。

参考:厚生労働省「営業許可業種の解説」

例えば店内で調理した食事を提供するだけなら、飲食店営業の許可だけで済みます。しかしケーキやパンを製造してテイクアウト販売するなら、菓子製造業の許可も必要です。開業したい業種と業態を確認して、必要な営業許可を申請しましょう。

なお食品衛生責任者の資格と営業許可の申請について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

シェアキッチンの事例

シェアキッチンの事例

各地で展開されているシェアキッチンの事例をご紹介します。利用できるシェアキッチンを探すときには、営業できる業種や業態、店舗の所在地などを見極めてください。

8K(ハチケー)

東京都内で5か所のシェアキッチンを展開しています。1区画の利用者を8人に限定していることが、名前の由来。シェアキッチンごとに、キッチンの数や取得可能な営業許可の種類、イートインスペースの有無が異なります。

商業施設内や集合住宅近く、オフィスビル内などに位置しているため、さまざまな業種や業態を営業可能です。イベントやマルシェへの出店もでき、創業支援アドバイザーに商品開発や経理まで相談できます。

参照:8K「シェアキッチンではじめよう」

かめやキッチン

駅からほど近い、生活必需品が揃う商店街の一角に位置するシェアキッチン。地域の繋がりを生みだす拠点として、空き店舗を改装して誕生しました。シェアキッチン自体が「飲食店営業」と「菓子製造業」の許可を取得しており、イートインスペースも設けられています

利用するためには会員登録が必要で、3か月以上継続しなければなりません。スペースの一部を利用して、イベントや小物販売などを開催できるプランもあります。

参照:かめやキッチン「まちと人をつなぐシェアキッチン in ハッピーロード大山商店街」

おへそキッチン

東京都内にシェアキッチン2か所を展開している「おへそキッチン」。「飲食店営業」と「菓子製造業」の許可を取得しており、他業種の営業も相談可能です。HACCP実務管理者による指導で衛生管理が徹底されており、安心して調理できます。

キッチンには、業務用のコンベクションオーブンやパン発酵機などが設置されています。例えば「作業台の座席を利用した料理教室」や「ワークスペースで完全予約制の飲食店」を営業することが可能です。

参照:おへそキッチン「国立市にあるシェアキッチン」

タネキッチン

札幌市内で2か所のシェアキッチンを運営している「タネキッチン」では、「飲食店営業」と「菓子製造業」の許可を取得できます。テイクアウト用のキッチンに加えて、イートインスペースを併設したキッチンにはワインセラーが完備されており、お酒の提供もできるようにデザインされています。

単発の利用も可能ですが、月会員になればショップカードを作成して屋号を使用できます。運営元の専門家から創業サポートを受けられる点も、魅力的です。

参照:タネキッチン「北海道札幌市にある、「菓子製造許可」と「飲食店営業許可」を取得した直売所つきシェアキッチン」

条件に合うシェアキッチンを利用して開業しよう!

条件に合うシェアキッチンを利用して開業しよう!

シェアキッチンを利用すると低予算で飲食店を開業することができる一方で、営業上のトラブルが発生する危険性もあります。実店舗や他業態との違いを理解したうえで、条件に合うシェアキッチンを利用して開業しましょう!

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監修者

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