2020.09.18  2023.01.25|店舗デザイン

保育園の内装をデザインするポイント!内装制限・施工事例・工事費用

保育園の内装をデザインするポイント!内装制限・施工事例・工事費用

本記事で、保育園の内装をデザインするポイントをご紹介します。内装制限や施工事例、工事費用についても解説します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

保育園のに必要な部屋と内装制限

保育園のに必要な部屋と内装制限

保育園に必要な部屋と内装制限が、国や自治体によって細かく定められています。法令を遵守して保育園の内装をデザインできるように、開設予定の保育園の施設基準を把握しましょう。

必要な部屋

保育園に必要な部屋には、国の基準が定められています。基準を満たす保育園は、認可保育園と呼ばれます。下表に、認可保育園に必要な部屋をまとめました。

部屋の種類部屋の要件と用途
乳児室とほふく室・2歳児未満の子どもを保育する場合に必要
保育室と遊戯室・2歳以上の子どもを保育する場合に必要
医務室・体調の良くない子どもを休ませる部屋
便所・保育年齢に合ったサイズや数が必要
調理室・給食やおやつを用意するために必要
屋外遊戯場・近所の公園や神社の境内で代替可能
参考:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第32条

ただし上記の部屋以外にも、認可保育園には非常階段や警報機などに関する基準が細かく定められていますので、ご注意ください。

また国の基準を踏まえて、自治体ごとに認可保育園に対する指針や要件が設けられています。例えば千葉県では、下記の部屋の設置が認可保育園に義務づけられています。

  • 調乳室または調乳設備
  • 沐浴室または沐浴設備
  • 調理室前室
  • 食品保管庫
  • 下処理室
  • 食材の搬入口及び検収場所
  • 休憩室(保育士・調理員)
  • 収納スペース
  • 幼児用手洗い設備

参照:千葉県「保育所設置認可等の基準に関する指針」

なお国の基準を満たさない認可外保育所に対しても、保育室や調理室、便所などの構造・面積に対して行政から指導・監督が入ります。関係法令を把握して、遵守するようにしましょう。

参考:厚生労働省「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」28ページ

内装制限

認可保育園に必要な部屋には、子どもたちが健康かつ安全に過ごせるように内装制限も法的に定められています。下表に、主な内装制限をまとめました。

項目内容
開口部の面積・保育室の床面積×1/5以上
廊下の幅・床面積200㎡を超えると最低基準が適用
階段の幅・床面積200㎡を超えると最低基準が適用
保育室や乳児室・転落防止設備
建具・防炎処理
参考:
e-Gov法令検索「建築基準法施行令 」19、109、121条
e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」32条

なお保育園を開設するためには施設基準だけではなく、保育士の配置基準を満たす必要もあります。次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

保育園の内装をデザインするポイント

保育園の内装をデザインするポイント

保育園の内装制限を踏まえたうえで、内装をデザインするポイントを解説します。理想的な保育サービスを提供できるように、保育園の内装をデザインしましょう。

コンセプトを表現する

まずコンセプトを表現する点が、保育園の内装をデザインするポイントです。内装デザインによってコンセプトを表現することで、子どもたちや保護者により保育園の方針や理念を伝えることができます。

例えば園児にアートや音楽などの体験を提供するなら、保育室や乳児室に芸術や歌などを連想させるデザインを取り入れます。内装の配色や素材にもこだわり、保育サービスの魅力を引き立てるデザインを検討しましょう。

保護者は保育園を選ぶ際に、たくさんの候補の中から3〜5件ほどを見学して、入園を希望する保育園を決めます。保護者の目に止まるためにも、他の保育園と差別化された内装デザインはです。

子どもが遊びやすくする

次に子どもが遊びやすくする点も、保育園の内装をデザインするポイントです。子どもは遊びを通して、様々なことを学びます。子どもが遊びやすい保育園の内装デザインは、成長の手助けになります。

例えば遊戯室の床にクッション性のある床材を選んだり、回遊性のあるレイアウトにしたりします。また天窓から採光した中庭をデザインすれば、雨天時でも体を動かすことができます。

また壁の一部に黒板やアスレチックを施工したり、秘密基地や洞窟のような空間をレイアウトしたりして、子どもの遊び心をくすぐるデザインをプラスしましょう。なお敷地が広く外に園庭をレイアウトできるなら、予算に応じて必要な遊具を検討してください。

安全性を確保する

また保育園の内装をデザインする際には、安全性を確保する点もポイントです。転んだり、ぶつけたりした時を想定して、内装の素材や配置を検討しなくてはなりません。エリアごとに配色を分けて、視覚的に知らせる点も重要です。

例えばドア枠にクッション素材が施工されたドアなら、子どもが指を挟んでも怪我の程度を抑えることができます。また保育室や園庭を見渡せるように通路や窓をレイアウトすれば、保育士の目が届きやすくなります。

さらに災害時に子どもがスムーズに避難できるように、階段の幅や高さ、手すりの位置を子ども目線から設定します。複数の経路から避難できるように、通路の動線や配色などを検討してください。内装の安全性や耐震性について解説していますので、次の記事もご覧ください。

内装材の機能性にこだわる

さらに内装材の機能性にこだわって、保育園の内装をデザインしましょう。保育サービスの内容や子どもの健康面に配慮して、床や壁、天井に求める機能を整理してください。換気や保温、防音、採光などの機能性から、適した素材を選びましょう。

例えばアトピーや喘息の原因となるカビやダニの発生を防ぐためには、調湿性のある壁材(珪藻土や無垢材、シラス壁など)を施工します。外気温に影響されにくいので、夏は涼しく冬は暖かく感じることができる点もメリットです。

なお保育園にも施工できる壁材を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

トイレを明るくする

なおトイレを明るくする点も、保育園の内装をデザインするポイントです。子どもはトイレに対して、「暗い」「汚い」「怖い」といったイメージを抱きがちです。自分から進んで入りたくなるように、トイレの照明や配色を検討しましょう。

そこでトイレに対するマイナスなイメージを払拭するために、例えば日光を取り入れながらポップな色使いでデザインします。子どもに好まれるイラストやモチーフなどを壁や床に取り入れるデザインも可能です。

また1歳半〜3歳頃の子どもを預かる保育園では、トイレトレーニングが必要です。各年齢に合わせたトレーニングができるように、トイレのサイズや数などを検討しましょう。トイレの内装をデザインするポイントを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

保育園の内装施工事例

保育園の内装施工事例

理想的な保育園の内装をデザインするために、参考となる施工事例を調査しましょう。IDEALの施工した事例を取り上げながら、解説したデザインポイントが活かされている部分をご紹介します。

コンセプトが表現された保育園

「ほほえみたいよう保育園」様の内装は、海への冒険をコンセプトが表現されるようにデザインされました。保育園での成長が、海への冒険として表現されています。

天井には海の家をイメージさせるパーゴラ(木材でつくられた屋根)と雲模様のクロスが施工されています。クロスには、抗菌・空気清浄機能のある素材を選択。また床には白い浜辺と海を想像させる2色の床材が施工されています。

なおトイレの内装は、子どもたちが自ら入りたくなる明るい空間となるようにデザインされています。使用する園児の年齢に合わせて、異なるトイレが施工されています。

子どもが遊びやすい保育園

子どもが遊びやすい保育園

「ほほえみさくら保育園」様の内装は、子どもに体験させたい具体的な活動を想定したうえで、子どもが遊びやすいデザインが取り入れられています。

例えば室内でも季節感を楽しめるように、柱にシンボルツリーが設置されています。果物や花のシールを貼ったり、ホワイトボードに絵を書いたりして、遊ぶことが可能です。他にも壁面にボルダリングや動物の装飾、風船型のライトなどがデザインされています。

なお保育内容や園児の数などによって空間を柔軟に使い分けられるように、可動式パーテーションが採用されています。

安全性が確保された保育園

安全性が確保された保育園

「ほほえみ保育園」様は、0歳児から2歳児までを対象としている保育園です。安全性が確保されるように、内装がデザインされました。園全体の温度を保つための床暖房や、子どもが勝手に触って怪我をしないように壁の上側に戸棚が施工されています。

またカラフルな配色が施されており、清潔感のある白と暖かみのあるウッドをベースに、ポイントカラーとしてオレンジ色のお絵描き壁やカラフルなボルダリング壁が施工されています。

小規模でも圧迫感を感じさせない保育園

小規模でも圧迫感を感じさせない保育園

「ほほえみルーム(ほほえみ病児・病後児保育室)」様は、病中または病気回復期にある子どもを対象にした一時保育サービスを提供しています。小規模でも圧迫感を感じさせない内装となるように、大きな窓のあるスペースに保育室がレイアウトされています。

また体調が悪い子どもが落ち着いて過ごせるように、内装の配色や装飾などはシンプルです。6カ月児~小学校6年生の子どもが利用することから、トイレにはサイズを切り替えられる便座が施工されています。

保育園の内装工事費用

保育園の内装工事費用

デザインした保育園の内装工事を業者へ依頼するために、内装工事費用の相場や内訳を確認しましょう。予算内に収まるように、工事費用の節約方法もご紹介します。

費用相場

保育園の内装工事費用の相場は、坪単価10〜40万円程度です。例えば20坪程度なら、200〜800万円程度かかります。ただし物件の規模や工事の内容などによって、工事費用は変動する点にご注意ください。

費用の内訳

下表に保育園の内装工事費用の内訳をまとめました。20坪のスケルトン物件に保育園の内装を工事する費用を試算してあります。

工事費用の内訳割合20坪のスケルトン物件
デザイン費10%程度20万~80万円程度
施工監理費10%程度20万~80万円程度
内装工事費
(天井や壁、床など)
30%程度50万〜30万円程度
設備工事費
(給食・水道・ガス・電気の設備など)
50%程度100万〜400万円程度
合計100%200万〜800万円程度

上表のとおり、設備工事費が工事費全体の大半を占めます。保育園には給食設備や子ども用のトイレなどが必要だからです。

なお本記事で解説したとおり、保育園の内装には法令により基準が定められています。保育園の内装工事実績のある業者へ依頼しましょう。

費用の節約方法

保育園内装工事費用の節約方法として、まずは複数の業者から見積もりを取ってください。工事の内容や費用を比較検討して、適正な価格で工事してくれる業者を選びましょう。

また業者を決める際に、デザインから工事までを同じ業者に依頼しましょう。同じ業者に依頼することで余分な手数料がかからず、相談する時間も省けます。別々の業者に依頼すると、費用も時間も労力もかかることになります。

さらに内装材や造作家具などを節約するためには、バリュー・エンジニアリング(VE)という方法があります。品質や機能を維持したままコストを削減する方法です。品質や機能が同じで価格が異なる製品があるなら、安い方を選択します。

なお保育園の物件取得費と内装工事費を節約するためには、居抜き物件を選ぶ方法があります。旧借主が施工した内装や設備を引き継いで保育園を解説できるので、スケルトン物件よりも費用を抑えることが可能です。居抜き物件についてはまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

信頼される保育園の内装をデザインしよう!

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監修者

IDEAL編集部

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