2022.06.12  2022.09.19|新規開業ノウハウ

ジム開業準備の流れとポイント!資金調達・資格・届出・申請も紹介

ジム開業準備の流れとポイント!資金調達・資格・届出・申請も紹介

「ジムを開業するためにどんな準備をすればいい?」「ジムの開業準備を成功させるポイントを知りたい!」とお悩みではありませんか?ジム開業にはさまざまな準備が必要ですので、開業日までに計画的に進めることが必要です。

そこで本記事ではジム開業準備の流れとポイントを解説します。資金調達や資格取得、届出・申請の方法もご紹介しますので、ジム開業を検討されている経営者や担当者の方はぜひご覧ください。

ジムの種類

ジムの種類

そもそもジムにはどんな種類と業態があるのでしょうか?ジムの種類ごとに経営手法やサービスの特徴が異なります。開業するジムの経営方針や資金計画を考えるために、種類ごとの違いを把握しておきましょう。

総合型ジム

総合型ジムには豊富なトレーニングマシンや器具が設置されており、プールやサウナなどの施設も併設されている比較的規模の大きな運動施設です。規模が大きい分だけ、開業にかかる資金も多く必要になります。

パーソナルジム

パーソナルジムは、顧客ごとに専属トレーナーがついてトレーニングや栄養に関する指導やメニューを提供する運動施設です。総合型ジムよりも顧客単価が大きいので利益率は高くなりますが、専属トレーナーを雇用する必要があるために人件費もかかります。

オンラインジム

オンラインジムは、オンライン上でトレーニング動画や専属トレーナによる指導などを提供するサービスです。店舗やマシンが無くても開業できるため、コストを抑えられます。ただしオンライン上のジム全てが競合となるので、魅力的なサービスと集客方法が重要になります。

無人ジム

トレーニングマシーンや器具が設置された無人ジム。人件費を抑えて経営できますが、24時間営業するなら労務管理を工夫しなくてはなりません。また初期投資には物件取得費やマシン購入費に加えて、セキュリティや入退室管理のシステム導入費が必要となります。

ジムの業態

ジムの業態

開業するジムの種類と同時に、業態も検討しましょう。業態によって開業に必要な資金や手続き、集客方法などが変わってきます。 2つに整理して、主な特徴をご紹介します。

個人経営

個人事業主としてジムを経営する場合には自由に経営方針を立てることができますが、トレーニングの専門知識だけでなく経営スキルも必要です。例えば収支を適切に保ちながら売上を伸ばせるノウハウを習得している必要があります。

またトレーニング環境を整えるために、物件の取得や設備・機器の購入、知名度をゼロから獲得する集客活動などを行う必要もあります。規模に応じて従業員を雇うことになりますが、予算を立てたうえで採用活動を始めましょう。

フランチャイズ

フランチャイズに加盟してジムを開設することもできます。フランチャイズとは、本部と加盟店契約を結んで同じブランドの店舗を経営する方式です。トレーニングメニューや経営ノウハウを共有してもらえたり、節税対策や集客方法などの助言を得ることも期待できます

またフランチャイズチェーンとしてのブランド力があるので、スムーズに集客できるのも有利な点です。ただし本部との契約内容に応じて、トレーニングメニューやサービス料金などに対して制約を設けらえる場合があります。

ジム開業準備の流れ

ジム開業準備の流れ

開業するジムの種類と業態を選んだら、開業準備の流れを確認しましょう。初めてジムを開業する場合には、どんな準備をどの順番にやればよいか迷ってしまいますよね。大まかな流れをご紹介してから、後ほどポイントを解説していきます。

ステップ1:コンセプトを事業計画書にまとめる

商品・サービスの「付加価値」や「品質」を言語化したコンセプト。開業1年前ほどからジムのコンセプトを設計して、事業計画書にまとめましょう。コンセプト設計の具体的な方法について下の記事に詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。

ステップ2:物件選びと内装デザイン・工事をする

開業半年ほど前には設計したコンセプトに基づいて物件を選んで、内装をデザインして工事を開始します。ジムを始めとする店舗の物件探しと内装デザイン・工事について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

ステップ3:開業資金を調達する

物件選びや内装デザインと並行して必要な資金を正確に計算して、開業半年ほど前にはある程度調達しておきましょう。規模や業態に応じて100万~1,000万円ほどかかりますので、自己資金だけで調達できない場合には民間金融機関の融資や公的機関の助成金などを検討してください。後ほど詳しくご紹介します。

ステップ4:開業に必要な資格を取得する

法的にジム開業に求められる資格はありませんが、トレーニングメニューや栄養指導を提供するために活かせる資格があります。経営者や従業員が資格を取得していれば、独自のサービスを提供して競合から差別化を図ることができます。後ほど具体的な資格をご紹介します。

ステップ5:サービスに必要な備品・機器を購入・搬入する

内装工事の竣工に合わせて、サービスに必要な備品・機器を購入・搬入してください。開業するジムのトレーニングメニューやターゲットのニーズに応じて、全身を鍛える専用マシンやダンベルなどの備品・機器の種類と数を細かく計算して、予算を立てる必要があります。

ステップ6:開業に必要な届出や許可を申請する

開業3カ月ほど前から、ジム開業に必要な届出や許可を申請する準備を開始してください。必要な届出や許可はジムの規模やサービスによって異なるため、開業3カ月以上前から確認しておくことが大切です。後ほど主な届出・許可をご紹介します。

ステップ7:集客方法を決めて宣伝広告を開始する

開業3か月ほど前には集客方法を決めておき、宣伝広告活動を開始しましょう。オフライン広告(ポスティングや雑誌など)とオンライン広告(WebサイトやSNSアカウントなど)の中からターゲット層にリーチできる集客方法を組み合わせて、宣伝広告活動を展開することが重要です。店舗のWeb集客について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

ジムのコンセプトを設計するコツ

ジムのコンセプトを設計するコツ

上記のジム開業準備は全て重要ですが、特にコンセプト設計が重要です。なぜならコンセプトに応じてターゲットやサービス内容が異なるからです。ポイントを押さえることで、経営戦略を立てやすくなり、効率的に準備を進めていきましょう。

業界の動向を把握する

まずはジム業界の動向を把握することで顧客からのニーズを把握したり、収益モデルを考えたりしましょう。ジム利用者数は2010年代から2019年まで増加傾向にありましたが、2019年より減少傾向にあります。新型コロナウィルス感染拡大の影響から打撃を受けていると考えられます。

参考:

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」

Fitness Business「日・米・英の民間フィットネスクラブ市場規模データ(2013年〜2019年)」

したがって集客と売上を伸ばすためには、対人接触機会を最小限に抑えた衛生的な運動環境を顧客に提供することが求められています。例えばフィットネスマシンや脱衣所の定期除菌清掃や空気清浄機の導入などの感染防止策が既に実施されています。

ターゲットとポジションを明確にする

業界動向を踏まえて、開業するジムのターゲットとポジションを明確にしてください。例えばビジネスパーソンをターゲットとするなら、運動不足を解消するメニューや夜遅くまでの営業時間が求められます。

ただしターゲットのニーズにマッチするサービスを提供するだけでは、競合との集客争いに巻き込まれてしまいます。業界動向やターゲットのニーズだけでなく、競合の経営状況も調査したうえで独自のポジションを確立して、競合との差別化を図るサービスを提供しましょう

集客できる立地と物件を選ぶ

設定したターゲットに合わせて、集客できる立地と物件を選ぶことも重要です。例えば経産婦を集客したいのであれば、住居や商店街、産婦人科などに近いエリアが適しています。ターゲットの出入りするエリアを見極めるために、エリア調査をしてください

いくつかのエリアを選んだら、各エリア内にある物件を調査しましょう。物件を内覧するときには、競合ジムの存在や経営状態も必ず確認する必要があります。同じ条件の物件でも立地によって賃料が変動するので、集客効果と予算のバランスも検討しましょう。

ジム開業資金の注意点

ジム開業資金の注意点

物件取得や内装工事などの準備には、資金が必要です。開業資金の相場はジムの種類や規模によって大きく変わります。開業資金の内訳を正確に把握してから、必要な資金を計画的に調達していきましょう。

開業資金の相場と内訳

ジムの開業資金は、主に初期費用(開業準備にかかる費用)と運転資金(開業してからの固定費や修繕費など)の2つに分けられます。10坪のパーソナルジムを開業するための費用を試算して、表にまとめました。

初期費用の内訳費用の相場パーソナルジム(10坪、賃料20万円)
物件取得費(前払い賃料と敷金・礼金)賃料の6-12月分程度※契約条件により変動120-240万円程度
内装工事費(デザインから施工まで)坪単価20-50万円程度※地域や規模などによって変動200-500万円程度
備品・機器費合計50-500万円程度※台数や種類などにより変動50-200万円程度
諸経費(集客や採用、消耗品購入など)合計50-200万円程度※規模や業態などにより変動50万円
合計100-1,000万円程度420‐1,000万円程度

パーソナルジムの初期費用において、物件取得費・内装工事費・備品・機器費が9割を占めます。開業後に利益を確保してから追加することができますので、開業前に設置したい備品・機器をよく検討してください。

運転資金月当たりの相場パーソナルジム
(10坪、賃料20万円)
賃料月間売上の20%程度20万円程度
広告費月間売上の5%程度5万円程度
水道光熱費月間売上の10%程度10万円程度
人件費月間売上の30%程度30万円程度
(アルバイト2名)
諸経費
(消耗品費や修繕費など)
月間売上の5%程度
※必要に応じて支出
5万円程度
合計月間売上の70%程度70万円程度
(月間売上100万円、
利益率30%)

開業してからしばらくは集客を安定させられず売上げが伸び悩む危険性があります。開業前に、運転資金の6カ月分程度を蓄えておきましょう。

綿密な資金計画を立案

希望する立地と物件を選んでジムを開業できるように、綿密な資金計画を立てる必要があります。ジムの規模が大きいほど必要な設備や備品が増えて、初期費用が膨らむ傾向にあります

ただしジム経営に必要な消耗品は多くないので、運転資金を抑えると利益を確保できます。初期投資を早く回収できると、黒字経営をしやすくなります。できるだけ初期投資を抑えて、早く回収できる資金計画を立てましょう。  

開業資金の調達方法

パーソナルジム開業資金の調達方法は次のとおりです。

  • 親族や知人からの借入
  • 民間金融機関の融資制度
  • 日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資
  • クラウドファンディングの募集
  • 国や地方自治体の補助金・助成金

知人や家族から資金を借入できれば、融通が利きやすく審査も不要です。トラブルを回避するためには、利子や返済期限を記した借用書を作成しましょう。

民間金融機関の中には、「開業する事業者向けの保証付き融資制度」を設けている地方銀行や信用金庫があります。

政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度もよく活用されています。税理士の支援を受けたり、無担保・無保証で融資を受けたりすることができます。

参考: 日本政策金融公庫「創業の手引+」

クラウドファンディングは、インターネット上で事業計画を発表して賛同者から資金を集める仕組みです。

国や地方自治体の補助金や助成金には、基本的には返済義務がありません。補助金については申請してから審査に合格すると受給できますが、助成金については申請条件を満たすことで受給できます。

開業資金の節約方法

500万~1,000万円程度の開業資金を調達するのは容易ではありませんので、以下のポイントを押さえることで少しでも節約しましょう。

  • フランチャイズに加盟する
  • 導入するトレーニングマシンの種類と数を検討する
  • 居抜き物件を契約する
  • 効率的な集客で宣伝広告費を抑える

まずフランチャイズに加盟することによって、初期費用を低く抑えることが可能です。トレーニング機器購入に対する補助や物件紹介などの恩恵を得られることがあるからです。

次に導入するマシントレーニングについてハイスペックな機器ばかりを選ぶのではなく、ターゲットのニーズを踏まえて種類と数を検討しましょう。必要な機能が備わっていれば、グレードを下げた機器や中古品を利用することで、費用を抑えられます。

さらに居抜き物件を探すことで、内装工事費を大幅に抑えられます。特に前店舗がジムであれば、譲渡料を支払うことで機器や備品を譲り受けられる可能性があります。ただし内装デザインの自由度が下がったり、譲渡される機器・備品が自店舗に合わなかったりする点に注意が必要です。

最後にターゲットを効率的に集客できる仕組みを整えることで、広告費を抑えましょう。例えば若い社会人女性層をターゲットにするならWebサイトやSNS上で集客できますが、Webを利用しない高齢女性層を呼び寄せたいなら折込みチラシやポスティングなどの紙媒体も検討します。

ジムの開業に必要な資格

ジムの開業に必要な資格

ジムの開業に対して法的に求められる資格はありません。しかしトレーナーの資格を取得することで体形的な知識とスキルを獲得でき、経営に活かせます。そこでジムの経営に役立つ資格をご紹介します。

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

アスレティックトレーナーは、日本スポーツ協会公認の資格です。次のとおり、スポーツ現場における医療補助的な役割に特化されています。

  • スポーツ活動中の外傷・障害予防
  • コンディショニングやリコンディショニング
  • 安全と健康管理 医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応

参考:JSPO「アスレティックトレーナー」

フィットネスの指導だけでなく、アスリートのサポートや医療補助まで支援できるジムを開業するために役立つ資格です。

NSCA認定パーソナルトレーナー

ナショナルストレングス&コンディショニング協会ジャパンが認定するパーソナルトレーナの資格。1996年から国際的に信頼性の高いパーソナルトレーナー認定資格として承認されています。

認定試験ではトレーニングに関する知識だけではなく、運動生理学や医学に関する知識も身につきます。資格を取得することで、多角的な観点から専門性の高いアドバイスができるようになります。試験の合格率は75%ですので、難易度は高くないです。

参考:NSCAジャパン「NSCA認定資格とは」

ジム開業に必要な届出・許可

ジム開業に必要な届出・許可

資金調達や資格取得と併せて、ジム開業に必要な届出・許可の申請も複雑です。業態や規模によって必要な届出・許可が異なりますので、予め確認してから計画的に手続きを開始しましょう。

開業届

個人事業主としてジムを開業するなら、開業から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署へ提出します。所得税や消費税などの確定申告のために必要な手続きで、届出書に記載する自宅かジムの住所を管轄する税務署へ申請します。

参考:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

青色申告承認申請

所得税の特別控除を受けたい場合には、開業から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。青色申告をするには定められた方式で日々の取引を記帳しなければなりませんが、最大65万円の特別控除を受けられるので節税対策になります。

参考:国税庁「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」

個人事業開始申告書

都内で事業を開始するなら、都税事務所へ「個人事業開始申告書」を提出しなくてはなりません。個人事業主は、地方税である個人事業税を納める義務があります。個人事業税の課税主体は都なので、都税事務所への届出が必要になります。

参考:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

公衆浴場営業許可申請

ジムへ公衆浴場を設置するなら、「公衆浴場営業許可申請」を管轄の保健所へ提出します。申請書が受理されると、建築基準法や消防法などの手続きが記載された文章が交付されます。消防機関とのやりとりをしながら、内装デザイン・施工を進めてください。

参考:東京都福祉保健局「公衆浴場」 

防火対象物使用開始届

開業7日前までに、防火対象物使用開業届を管轄の消防署へ提出します。間取りの変更や修繕をする場合には、工事開始日の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」の提出も必要になります。

参考:東京消防庁「防火対象物の工事等計画の届出制度」 

ジム開業のポイントをおさえ、計画的に準備を進めよう

ジム開業のポイントをおさえ、計画的に準備を進めよう

ジム開業までの時間は限られていますので、ポイントを押さえて計画的に準備を進めてください。ジムの集客と売上を伸ばすために明確なコンセプトを設計して、準備に必要な資金を調達することが重要です。

IDEALはジムを始めとする店舗のコンセプト設計から内装デザイン・工事、資金調達、Web集客までをワンストップソリューションとしてご提供しています。

店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の経営者や担当者の方はぜひIDEALへお問い合わせください。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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